西脇市岡之山美術館では、アトリエシリーズ「第12回サムホール大賞展受賞作家展」の第3弾として、「滝川真紀子展」が6月3日~6月22日の会期で開催されています。
滝川真紀子さんは、前回展で優秀賞を受賞された青森県平川市在住の方です。滝川さんは、地元青森の劇団の舞台製作にかかわったことがきっかけで制作活動を始められたそうです。布や植物など身近なものを素材にインスタレーションや立体、平面作品を制作されています。
滝川さんが表現されている「stitch map」の作品は、様々な素材の断片を糸で縫い合わせ、素材に刻まれた痕跡を幾重にも重ねることで異なる記憶や風土を一枚の画面におさめ、まるで地図のように浮かび上がらせています。今回の作品展では、西脇で出会った播州織のはぎれも活用され、津軽と西脇の暮らしが交差し、過去と現在、土地と土地を縫い重ねるように作品を制作されたそうです。
また、「letter」と呼ばれる作品は、植物の種子を貼り重ねて構成した平面作品です。それぞれの種には、固有の意味やメッセージが宿るといわれています。
滝川さんは、人々の営みが重なり合ってできた町には暮らす人々の痕跡や時間・歴史の積み重なりが、まるで地図の刻まれていると言われています。滝川さんの作品は、素材を縫い重ねることで、記憶や風土、生活の小さな風景としてみる人の前に立ち上がるような表現を試みたいと話されていました。哲学的な表現ですが、滝川さんの作品を観ながら、作品に込められた思いを感じ取ることが少しできたように思います。
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