人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

藤岡幸夫 ✕ 角野隼斗 ✕ 東京シティ・フィルでモーツアルト「ピアノ協奏曲第26番」、プロコフィエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲を聴く / デュトワ ✕ 新日本フィルのプログラム決定

2023年09月10日 00時25分20秒 | 日記

10日(日)。新日本フィル「2024/2025シーズン  定期演奏会」のうち、プログラムが未定だった「トリフォニー・シリーズ」と「サントリー・シリーズ」の2024年9月公演(21日、22日:指揮=シャルル・デュトワ)の内容が発表されました ①ハイドン「交響曲第104番ニ長調”ロンドン”」、②ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1911年原典版)、③ラヴェル「ダフニスとクロエ」第2組曲です ②と③はデュトワが得意中の得意とする曲です これは楽しみです

ということで、わが家に来てから今日で3162日目を迎え、ロシアの統一地方選投票が8~10日の日程で始まったが、2022年9月に一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州でも初めてロシアの選挙が行われた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     主権国家の土地の一部を強奪して 選挙で正当化しようとしても 誰も認めないよな

 

         

 

昨日、ティアラこうとう大ホールで東京シティ・フィル「第74回ティアラこうとう定期演奏会」を聴きました プログラムは①ヴェルディ:歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲、②モーツアルト「ピアノ協奏曲第26番 ニ長調 K.537 ”戴冠式”」、プロコフィエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲より藤岡幸夫セレクションです   演奏は②のピアノ独奏=角野隼斗、指揮=藤岡幸夫です

 

     

     

上のポスターにある通り、チケットは完売です。これが「かてぃん効果」なのでしょう 会場を見渡すと女性客が圧倒的に多いように見えます

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつものシティ・フィルの並び。コンマスは戸澤哲夫です

本番に先立って、桂冠名誉指揮者、故・飯守泰次郎氏に対しバッハ「G線上のアリア」が献奏されました

1曲目はヴェルディ:歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲です このオペラはジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)が1855年のパリ万国博覧会のために作曲、同年6月13日に初演されました この歌劇は1282年にシチリア島で実際に起こったフランス人虐殺事件を題材としています 序曲はラルゴの静かな音楽で始まりますが、劇的な展開を見せ、まさにヴェルディならではのドラマティックな音楽が繰り広げられました

2曲目はモーツアルト「ピアノ協奏曲第26番 ニ長調 K.537 ”戴冠式”」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1788年に作曲、1789年4月14日にドレスデンで初演されました 翌1790年秋の神聖ローマ帝国皇帝レオポルト2世の戴冠式に際して、フランクフルトでモーツアルトが開いた演奏会で演奏されたことから”戴冠式”と呼ばれています ところで、モーツアルトは1781年5月、ザルツブルクのコロレド大司教と喧嘩別れし、ウィーンに上京してフリーランスの作曲家兼演奏家として独立生活を始めましたが、主な収入源は予約演奏会でした とくにモーツアルト自身がピアノを弾きぶりした「ピアノ協奏曲」の第20番から25番までの6曲が創作の頂点となりました 音楽評論家・萩谷由喜子さんのプログラム・ノートによると、「予約演奏会の会費は6グルデンから13グルデン。18世紀末の1グルデンを仮に現在の邦貨5000円と換算すれば、これは30,000円から65,000円にも相当する」とのことです しかし、この第26番は会員が集まらず 初演の延期を余儀なくされ、モーツアルトは苦労したようです この曲は第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「アレグレット」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の角野隼斗(すみの はやと)は1995年生まれの28歳。東京大学大学院在学中にピティナピアノコンペティション特級グランプリ受賞 2021年のショパン国際コンクールのセミファイナリスト これまで国内外のオーケストラと共演する一方、Cateen(かてぃん)名義で活動するYouTubeチャンネルは登録者数が120万人超、総再生回数は1億回を突破するなど、新時代のピアニストとして注目を集めています

角野が藤岡と共に登場し、ピアノに向かいます よく見ると、角野はドラクロワが描いたショパンの肖像画に似ています 藤岡の指揮でオーケストラによる長い主題提示の演奏が始まります 角野は楽譜上のソロの出番の前に即興でオケに加わります そして楽譜通りのソロの演奏に入りますが、角野のピアノはどこまでもクリアで、一音一音の粒立ちが綺麗です 終盤のカデンツァは彼自身の作曲によるものと思われますが、唯一無二の即興で、とても興味深く聴きました 第2楽章では装飾音を交えて弾かれましたが、嫌味にならないところが彼らしいところです 第3楽章に入ると固さも取れて笑顔も見られ、リラックスして演奏する様子が窺えました この楽章におけるカデンツァは”先が読めない”という意味で刺激的な演奏でした ジャズをはじめクラシック以外の音楽にも精通して演奏活動を続ける角野ですが、真面目な演奏姿を見ると、クラシック作曲家への敬意が感じられ、好感が持てました 藤岡 ✕ シティ・フィルはしっかりとソリストに寄り添い、かてぃんワールドを支えました

満場の拍手とブラボーにカーテンコールが繰り返され、1階前方の女性客を中心にそこかしこでスタンディングオベーションが見られ、会場の温度が2度上昇しました

角野はアンコールに自身の作曲による「きらきら星変奏曲」を演奏しましたが、最初は 今演奏したばかりの”戴冠式”第1楽章のテーマをもとに変奏したかと思えば、次はジャズ風にアレンジして演奏、そうかと思うと今度はバラード風に、次は超絶技巧のリスト風に・・・・というように様々なバリエーションの音楽を取り入れて刺激的なインプロビゼーションを展開、聴衆を興奮の坩堝に巻き込みました スミノハヤト、おぬし、できるな

 

     

 

プログラム後半はプロコフィエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲より藤岡幸夫セレクションです この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)が1935年から翌36年にかけて作曲したバレエ音楽をもとに、作曲者自身が編んだ3つの組曲から藤岡氏が9曲選んだものです

第1曲:モンターギュ一家とキャピュレット家(第2組曲・第1曲)、第2曲:マドリガル(第1組曲・第3曲)、第3曲:メヌエット(第1組曲・第4曲」、第4曲:仮面(第1組曲・第5曲)、第5曲:ロメオとジュリエット(第1組曲・第6曲)、第6曲:ティボルトの死(第1組曲・第7曲)、第7曲:僧ローレンス(第2組曲・第3曲)、第8曲:ジュリエットの墓の前のロメオ(第2組曲・第7曲)、第9曲:ジュリエットの死(第3組曲・第6曲)です

ステージ下手にピアノとハープがスタンバイし、藤岡の指揮で第1曲の演奏に入ります この曲は組曲全体の中で一番有名な音楽ですが、藤岡氏のプレトークによると、彼がイギリスで現地のオケを振ってこの曲を演奏した時、演奏が終わるや否や聴衆から「ワーッ」という大歓声が上がったと言います 後で訊いてみたら、この曲は地元のサッカーチームのテーマ・ミュージックだったそうです プロコフィエフはロシアですが、シェイクスピアはイギリスですからね

全体を聴いた印象は、ジュリエットを表わすフルートが素晴らしい演奏をしていました(第2曲、第5曲他)。また第5曲ではイングリッシュホルンの演奏が素晴らしかった 第6曲では速いテンポによるチェロの渾身の演奏が印象的でした 第8曲では弦楽器を中心に慟哭の音楽が奏でられ、この曲の核心を掘り下げました

藤岡 ✕ 東京シティ・フィルらしい情熱溢れるコンサートでした こんなに素晴らしいコンサートがS席3,500円で聴けるなんて、超ラッキーです

 

     

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サッシャ・ゲッツェル ✕ ネマニャ・ラドロヴィチ ✕ 東京都交響楽団でベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」、コルンゴルト「シンフォニエッタ」を聴く~都響B定期演奏会

2023年09月09日 01時03分23秒 | 日記

9日(土)。わが家に来てから今日で3161日目を迎え、タス通信によると、ロシアのドミトリー・ぺスコフ大統領報道官は7日、インドで9~10日に開かれる主要20か国・地域(G20)首脳会談にプーチン大統領がオンラインでも参加する予定はないと記者団に語り、ビデオメッセージを出す予定もないとした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ウクライナでの戦果はないし 北朝鮮の金ちゃんとの密談があるし 独裁者は辛いね

 

         

 

昨日、夕食に「アスパラ、ベーコン、ジャガイモ炒め」「生野菜とツナのサラダ」「冷奴」「白舞茸の味噌汁」を作りました アスパラは細いので焦げてしまいましたが、美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで東京都交響楽団「第981回Bシリーズ定期演奏会」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61」、②コルンゴルト「シンフォニエッタ  ロ長調 作品5」です 演奏は①のヴァイオリン独奏=ネマニャ・ラドロヴィチ、指揮=サッシャ・ゲッツェルです

指揮者サッシャ・ゲッツェルはウィーン生まれ。ウィーン国立歌劇場でヴァイオリン奏者として活躍 小澤征爾から指揮者のフェローシップとしてタングルウッド音楽祭に招かれた後、指揮を名教師・ヨルマ・パヌラに師事 現在、フランス国立ロワール管音楽監督、ソフィア・フィル首席客演指揮者、カナダ・ナショナル・ユース管音楽監督を務めています

 

     

 

ネマニャ人気でしょうか、会場は結構な客入りで女性客が多いように感じます

オケは12型で左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの都響の並び。コンマスは山本友重です

1曲目はベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)がアン・デア・ウィーン劇場のコンマス兼指揮者として活躍していたフランツ・クレメントのために1806年11月から12月23日までの短期間で作曲、同年12月23日に同劇場で初演されました 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「ロンド / アレグロ」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏のネマニャ・ラドロヴィチはセルビア生まれ。ドイツのザールランド音楽演劇大学、セルビアのベオグラード芸術大学で学んだ後、14歳で渡仏 15歳でパリ国立高等音楽院に入学し、パトリス・フォンタナローサに師事。さらにクレモナでサルヴァトーレ・アッカルドに学ぶ 2003年にハノーファー国際コンクールをはじめ5つのコンクールで第1位を獲得するなど受賞多数

ネマニャとゲッツェルが登場しステージ中央に向かいます ネマニャは背が高く、髪は長く、顎鬚をたくわえ、まるでレゲエのミュージシャンのような風貌です

 

     

 

ゲッツェルの指揮で第1楽章が開始されます ネマニャの演奏はオーバーアクションですが、出てくる音は弱音重視のナイーブな音楽です 10年ぐらい前でしょうか、「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」で彼の演奏(多分ヴィヴァルディ)を聴いた時は、同じオーバーアクションでも出てくる音が派手で、まるでエンタテインメントのようだと思ったものです しかし、このベートーヴェンは、曲の性格もあってか、大人しく感じます そんなことを考えていたら、楽章の末尾でフリッツ・クライスラーによるカデンツァがアグレッシブに弾かれ、やっぱりネマニャだな、と思いました 第2楽章はかなり遅いテンポで開始され、ネマニャのソロもそのテンポを維持し、高音部の美しいソロを披露しました 第3楽章は一転、軽快なテンポによる演奏が展開しました 強弱のアクセントが明確なメリハリのある演奏が繰り広げられましたが、終盤の速いテンポのカデンツァはネマニャらしい情熱的な演奏でした

満場の拍手にカーテンコールが繰り返され、ネマニャはヤドランカ・ストヤコヴィッチ「あなたはどこに」をしみじみと切々と演奏、再び大きな拍手に包まれました

休憩時間には女性用トイレに長蛇の列ができました

 

     

 

プログラム後半はコルンゴルト「シンフォニエッタ  ロ長調 作品5」です この曲はエーリヒ・ウォルフガング・コルンゴルト(1897-1957)が1911年から12年8月まで作曲、1913年11月30日にウィーン楽友協会大ホールでワインガルトナー指揮ウィーン・フィルにより初演されました 何と15歳の時の作品です 第1楽章「流れるように、陽気な活力をもって」、第2楽章「スケルツォ:モルト・アジタート、速く情熱的に」、第3楽章「モルト・アンダンテ(夢みるように)」、第4楽章「フィナーレ:悲愴に ~ アレグロ・ジョコーソ」の4楽章から成ります

オケは14型に拡大し、ステージ下手にはハープが2台、チェレスタがスタンバイします

コルンゴルトは好きな作曲家ですが、今回初めてライブを聴くので、CDを10回ぐらい聴いて予習し、少なくともメロデイーは頭に叩き込んでおきました

 

     

     

 

CDを聴いて予習している時から感じ、今回ライブで聴いてあらためて思ったのは、「この曲は本当に15歳の少年が作曲したのか」ということです 評論家の父ユリウス・レオポルト・コルンゴルトは、生まれてきた子にモーツアルトの名前にちなんだ「ウォルフガング」を付け、エーリヒ・ウォルフガング・コルンゴルトと名付けたわけですが、モーツアルトの父親はレオポルト・モーツアルトだったわけですから、ほとんど親子そろってモーツアルト家の由緒ある名前を付けたことになります そして、息子のウォルフガングは父親の期待通り”早熟の天才”として活躍したことになります

ゲッツェルの指揮で演奏に入りますが、全楽章を通じて思ったのは、曲想としてはリヒャルト・シュトラウスのような「ロマン派の最後を飾る」ロマンティシズム溢れる音楽ではあるが、コルンゴルト特有の抒情性を備えた作品であるということです

このゴージャスなサウンドはどこかで聴いた覚えがあります それは現代のハリウッド映画の音楽です コルンゴルトは1934年に演出家マックス・ラインハルトに誘われ、ナチスから逃れるためアメリカに亡命します。そして「海賊ブラッド」(1935)、「風雲児アドヴァーズ」(1936)、「ロビンフッドの冒険」など映画音楽を手がけることになります それが現代のジョン・ウィリアムズの「スターウォーズ」「未知との遭遇」につながっていくのです

ゲッツェル ✕ 都響によるゴージャスな演奏を聴きながら、ジョン・ウィリアムズの宇宙的に広がる映画音楽を思い浮かべました ゲッツェルは精力的な指揮で都響からアグレッシブな演奏を引き出しました

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中国の原発も大量のトリチウムを垂れ流している ~ 中国はどう答えるのか? / 誉田哲也著「オムニバス」を読む ~ 姫川玲子シリーズ文庫最新刊短編集

2023年09月08日 05時29分27秒 | 日記

8日(金)。日経夕刊に連載の東大特任教授・中川恵一氏のコラム「がん社会を診る」が6日付の記事で、福島第1原子力発電所の多核種除去設備(ALPS)処理水の海洋放出と中国政府の対応を取り上げています 内容を超略すると次の通りです

「東京電力は、トリチウム以外の放射性物質を国の定めた放出基準以下とし、ALPSでも取り除けないトリチウムも安全基準の40分の1未満まで薄めて海洋に放出するとしていた 実際のトリチウム濃度は、安全基準の3~4百分の1近くまで希釈されていることが確認された(8月26日時点)。放出地点から2~3キロメートル離れると濃度は周辺の海水と同程度になることも分かった 放出された水を毎日2リットル飲み続けても年間の被ばく量は自然被ばく(約2ミリシーベルト)の千分の1あまりなので、全く問題にならない。海洋放出が環境や人体に与える影響は無視できるレベルだといえる 国際原子力機関(IAEA)も海洋放出にはお墨付きを与えているが、IAEAのレビューチームは世界11か国の専門家から構成され、その中には中国の専門家も含まれている チームは2年にわたり何度も来日し、6つの報告書を発表するなど丁寧にレビューを実施している。海洋放出の環境への影響は無視でき、国際的な基準に合致している、と最終的な報告書をまとめている しかし、放出が始まった8月24日、中国政府は日本産の水産物の輸入を全面的に停止すると発表した 香港も中国に追随した。22年の水産物輸出額は前年比3割増の3873臆円で、中国は871臆円、香港は755臆円を占めるので影響は甚大だ 中国の原発も大量のトリチウムを海洋放出している。21年の放出量は広東省・陽江原発で約112兆ベクレル、福建省・寧徳原発で約102兆ベクレル、遼寧省・紅沿河原発で約90兆ベクレルに上る これに対し福島第1原発の放出総量は年22兆ベクレル未満に抑える計画なので、科学的議論だけで簡単に解決する問題でないことが分かる 科学的で透明性のある情報を国際社会に広く発信し続けることが何よりも大切である

中川教授の示す一連の数値が正しいとすれば、中国は日本よりも圧倒的に多いトリチウムを海洋放出していることになります

新聞報道によると、インドネシアで開かれている東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席した中国の李強首相は「核汚染水の排出は世界の海洋生態環境や人々の健康に関わる」と主張したといいます そうであれば、日本以上に『核汚染水の排出』を行っている中国こそ非難されるべきではないのか これについて中国はどう答えるのか 海洋放出が行われて以降、日本の大使館や日本人学校に物が投げ込まれたり、全国の役所に多くの中国語の電話がかかってきて、放出について一方的に非難して業務を妨害したという事件が起こりました この背景には、中国・習近平政権が、停滞する経済や拡大する若者の失業の実態から国民の目をそらさせ、日本を非難するのを黙認しガス抜きをしているというのが大方の見方です こういうやり方が、いかにも強権主義国家・中国を思わせます 「日本産の水産物の輸入を全面的に停止する」という措置は科学的な根拠によるものではなく、日本に対する政治的な圧力であることは明らかです こんなことばかりやっている限り、中華思想で世界制覇を狙う覇権主義・強権主義国家の「中国」は、「小国」には成れても「大国」には成れないのです これは面積だけが広い小国ロシアとよく似ています

ということで、わが家に来てから今日で3160日目を迎え、文部科学省は7日、宗教法人の「報告徴収・質問権」による調査(500項目以上の質問)に対して回答のない項目が100項目以上あったとして、世界平和統一教会(旧統一教会)に行政罰の「過料」を科すよう求める通知を東京地裁に郵送した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     教会は反発しているようだが 解散して任意団体として税金を払って活動すればいい

 

         

 

昨日、夕食に「鶏のから揚げ」と「豆腐とオクラの味噌汁」を作りました 唐揚げは2週間に1度のローテで いつもは金曜日に作っていますが、コンサートの関係で1日繰り上げました  鶏は180度で2度揚げしていますが、時間の目安は 小さ目のは3分 ✕ 2度,大き目のは4分 ✕ 2度です これを失敗すると固すぎたり、逆に半生になったりするので難しいです    今回はとても美味しく出来ました

 

     

 

         

 

誉田哲也著「オムニバス」(光文社文庫)を読み終わりました 誉田哲也は1969年、東京都生まれ。学習院大学卒。2002年に「妖(あやかし)の華」で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞。2003年には「アクセス」で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞 主な著書に「ストロベリーナイト」「ソウルケイジ」「ジウ」シリーズ(全4巻)などがある

 

     

 

本書は警視庁捜査一課の刑事・姫川玲子を主人公とするシリーズの記念すべき10冊目で、「シンメトリー」「インデックス」に続く3冊目の短編集です 「それが嫌なら無人島」「六法全書」「正しいストーカー殺人」「赤い靴」「青い腕」「根腐れ」「それって読唇術?」の7つの物語から成ります

「それが嫌なら無人島」:葛飾区青戸のマンションで女子大生が殺された 被疑者とされた男はすでに別件で本所署に勾留されていた 刑事・勝俣に呼び出された玲子は、本所の案件には触るなと強要される それでも玲子は捜査を進める

「六法全書」:五日市署内で自死した男の家から女性の腐乱死体が発見され、姫川班の刑事たちは特捜に入る。身元不明の女性と男の関係は? 姫川班の中松巡査部長は、姫川の突拍子もない発想と迷いのない行動力を目の当たりにする

「正しいストーカー殺人」:ストーカーがストーキングした女性に殺されたという これが本当の「ストーカー殺人」か? 玲子は、ストーカーとの関係を語ろうとしない女性から、殺害までの顛末を探り出す

「赤い靴」:「男を殺した」と若い女性が自首してきた 彼女の自宅には供述通り男の死体があった しかし、死因は彼女の供述とは食い違っていた 玲子は年上の部下・日野利美とともに背景には何があるのかを探る

「青い腕」:前作で自首してきた若い女性は自称ケイコだったが、身の上については語らなかった 死んだ男とはどんな関係だったのか? 玲子は身元が明らかになった男の母親を訪ね、息子とケイコはどんな関係にあったのか尋ね、複雑な関係を解きほぐす

「根腐れ」:覚醒剤所持で自首してきた売れっ子女性モデルの取り調べを頼まれた姫川は、なぜ彼女が自首してきたのか裏の事情を探る 背景には彼女の妹のトラブルが絡んでいたことを突き止める

「それって読唇術?」:玲子は東京地検の武見に行きつけのバーに呼び出される 玲子は「これはデートなのか?」と勘繰るが、どうやら違うようだ 玲子は「武見さんにとって、一番堪えられないことは何ですか?」と問いかける。彼は苦い過去を語り始める、という話で 事件は起こりません

いつもながら、玲子と彼女に振り回される部下の菊田たちとの軽妙な会話が楽しい「オムニバス=乗り合いバス」の7編です

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大友直人 ✕ 三浦文彰 ✕ 種谷典子 + 与那城敬 ✕ 東京交響楽団 ✕ ミナトシティコーラスでラロ「スペイン交響曲」、フォーレ「レクイエム」を聴く ~ 第32回Kissポートクラシックコンサート

2023年09月07日 00時37分31秒 | 日記

7日(木)。わが家に来てから今日で3159日目を迎え、中国外務省の毛寧副報道局長は6日の記者会見で、中国の新しい地図に沖縄県・尖閣諸島が「釣魚島」と表記されているとして日本が抗議したことについて「日本の抗議は受け入れない」と述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     覇権主義・中国は日本と東南アジア諸国の領土・領海を”我が物”にしようとしてる

 

         

 

昨日、夕食に「鮭のバジルオイル焼き」「生野菜とアボカドのサラダ」「モヤシのナムル」「冷奴・ウニ醤油かけ」「シメジの味噌汁」を作り、鯵の刺身と一緒に食べました 中国政府による日本産水産物の輸入全面的停止措置に対抗して、微力ながら日本の漁業業者を応援します 皆さん、日本産の魚介類を食べましょう

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで「第32回 Kiss ポート クラシックコンサート」を聴きました プログラムは①千住明「Our Home Port」(Kissポート財団設立20周年テーマ曲)、②ラロ「スペイン交響曲 作品21」、③フォーレ「レクイエム 作品48」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=三浦文彰、③のソプラノ独唱=種谷典子、バリトン独唱=与那城敬、合唱=ミナトシティコーラス。管弦楽=東京交響楽団、指揮=大友直人です

 

     

 

自席は1階10列27番、センターブロック右通路側です 会場はコーラスが入るP席を除きかなりの客入りです コーラスメンバーの家族・友人知人・関係者が一定の割合で詰めかけていると思われ、在京オケの定期演奏会とは客層が異なるように感じます

オケは12型で左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東響の並び コンマスはグレブ・ニキティンです。チェロのトップにはエルディーディ弦楽四重奏団の花崎薫が客演しています

1曲目は千住明「Our Home Port」(Kissポート財団設立20周年テーマ曲)です この曲は同財団創立20周年を記念して作曲されました

大友の指揮で演奏に入りますが、NHK大河ドラマ風の親しみやすい音楽でした

2曲目はラロ「スペイン交響曲 ニ短調 作品21」です この曲はエドゥアルド・ラロ(1823-1892)が1874年に作曲、1875年2月7日にサラサーテによって初演され、彼に献呈されました シンフォニックな響きから「交響曲」と題されましたが、実質は「ヴァイオリン協奏曲第2番」です 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「スケルツァンド:アレグロ・モルト」、第3楽章「インテルメッツォ:アレグレット・ノン・トロッポ」、第4楽章「アンダンテ」、第5楽章「ロンド:アレグロ」の5楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の三浦文彰はハノーファー国際コンクールで史上最年少の16歳で優勝し、国内外のオーケストラと共演を重ねている実力者です 蛇足ですが、父上はご存じの通り、東京フィルのコンマス・三浦章宏氏です

大友の指揮で演奏に入ります 第1楽章で三浦は力強くスペイン情緒溢れる演奏を展開しました 第2楽章では南国的な情緒が醸し出されていました 第3楽章ではハバネラ風の音楽が心地よく響きました 第4楽章はこの曲の白眉と言うべき音楽で、三浦の独奏ヴァイオリンの哀愁漂う美しいビブラートが会場を満たしました 第5楽章はラストの超絶技巧によるヴァイオリン独奏が圧巻でした 満場の拍手にカーテンコールが繰り返されますが、アンコールはありませんでした。見識です

 

     

 

プログラム後半はフォーレ「レクイエム ニ短調 作品48」です   この曲はガブリエル・フォーレ(1845-1924)が1887年から翌88年にかけて作曲、1888年にパリで初演されました。その後、2度にわたり改訂が行われ、1900年の第3稿が決定稿となりました 第1曲「イントロイトゥス(入祭唱)とキリエ」、第2曲「オッフェルトリウム(奉献唱)」、第3曲「サンクトゥス(聖なるかな)」、第4曲「ピエ・イエス(慈悲深きイエスよ)」、第5曲「アニュス・デイ(神の子羊)」、第6曲「リベラ・メ(私を解き放ってください)」、第7曲「イン・パラディスム(楽園に)」の7曲から成ります

ところで、クラシック音楽における「三大レクイエム」と言えば、モーツアルト、ヴェルディ、フォーレの作品です しかし、その性格は全く異なります モーツアルトの作品は未完で、「ラクリモーサ」に代表されるように「ただ悲しい」と嘆く音楽です ヴェルディの作品は「怒りの日」に代表されるように「死との闘い」のような激しい音楽です そしてフォーレの作品は「サンクトゥス」「ピエ・イエス」に代表されるように、天国的に穏やかな音楽です さらに他の2人には無い「楽園にて」が最後に置かれているのが大きな特徴です

P席の中央ブロックに男声合唱50名がスタンバイし、女声合唱が彼らを挟むように左右ブロックに各50名、合計150名のコーラスがスタンバイします ざっと見渡したところ男声陣を中心に平均年齢が相当高いようです 全員配置に着いたタイミングで、大友氏がマイクをもって登場しトークに入りました

「今日はようこそお越しくださいました 前半はラロの曲を三浦君が素晴らしい楽器で素晴らしい演奏をしてくれました 後半は、恒例により(「高齢により」とも聞こえた)ミナトシティコーラスが加わりフォーレの『レクイエム』を演奏します 私は最初からこのコンサートの指揮を務めていますが、ここ数年の新型コロナ禍の下では演奏家、とくにコーラスの皆さんは合唱が出来ない状態が続きました 今回は4年ぶりの出演となります コーラスの皆さんは合唱指揮の安達陽一さんの指導により年明けから練習を重ねてきました ソプラノとバリトンを迎えて演奏しますが、ソプラノの出番は1回だけ、バリトンは2回だけです どうかお聴き逃しのないようにしてください ミナトシティコーラスは仲間を募集しているそうです。どうぞ応募なさってください。それでは演奏をお楽しみください

そうでした。4年ぶりです 私は毎回聴いてきたので、懐かしいです

オケのメンバーが入場し、大友が指揮台に上ります その時、会場の後方(2階?)からケータイの着メロが聴こえてきました 大友の耳にも届いたようで、しばらく鳴りやむのを待った様子です 音が消えたのでタクトを降ろしました 在京オケの定期演奏会では さすがにケータイの着メロが鳴ることは無くなりましたが、この日の公演のように1回限りのいわゆる「特別演奏会」では、いまだにこういう不届き者が出てきます 事前のアナウンスなど何の意味もないようです。聞いていないのですから 演奏妨害は絶対に止めてほしいと思います

大友に指揮で第1曲の演奏に入りますが、冒頭から迫力あるコーラスが繰り広げられます この曲の白眉は第3曲「サンクトゥス」の美しいコーラスと、第4曲「ピエ・イエス」における種谷典子のソプラノの透明感溢れる美しい歌唱です 第2曲「オッフェルトリウム」と第6曲「リベラ・メ」におけるバリトン独唱・与那城敬は威厳のある歌唱で聴衆を魅了しました フォーレの「レクイエム」特有の第7曲「イン・パラディスム」はオルガンのメルヘンチックな音楽に乗せて歌われるコーラスが素晴らしかった

大友直人 ✕ 東京交響楽団はソリストとコーラスをしっかりと支え、渾身の演奏を展開しました

 

     

     

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プッチーニ「トスカ」を観る ~ 本作ロールデビューのヨンチェヴァとグリゴーロ、ベテランのルチッチにブラボー!:METライブビューイングアンコール2023

2023年09月06日 05時34分24秒 | 日記

6日(水)。わが家に来てから今日で3158日目を迎え、ウクライナ国防省情報局は3日、ロシア軍のヘリコプター操縦士マクシム・クズミノフ大尉(28)がヘリでウクライナに亡命し、ウクライナ当局に保護されたが、家族も別途ロシアを出国して無事である  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     若者ほど プーチン政権の無能力・無展望に 嫌気がさしている証拠 若者よ彼に続け!

 

         

 

昨日、夕食に「ナスと鶏の炒めもの」「冷奴・ウニソースがけ」「モヤシの味噌汁」を作り、「うにいか」と一緒に食べました ウニソースとウニイカは娘が伊豆旅行のお土産に持ち帰ったもので、とても美味しいです

 

     

 

         

 

昨日、東銀座の東劇で「METライブビューイングアンコール2023」のうちプッチーニ「トスカ」を観ました これは2018年1月27日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です キャストはフローリア・トスカ=ソニア・ヨンチェヴァ、マリオ・カヴァラドッシ=ヴィットーリオ・グリゴーロ、スカルピア=ジェリコ・ルチッチ、堂守=パトリック・カルフィッツィ。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱=メトロポリタン歌劇場合唱団、指揮=エマニュエル・ヴィヨーム、演出=デイヴィッド・マクヴィカーです

 

     

 

歌劇「トスカ」はジャコモ・プッチーニ(1858-1924)がヴィクトリアン・サルドゥによる悲劇「ラ・トスカ」を原作として、ルイジ・イリッカとジュゼッペ・ジャコーザの台本により1896年から99年にかけて作曲、1900年1月14日にローマのコンスタンツィ劇場で初演されました

物語の舞台は1800年、ナポレオン軍が迫るローマ 歌姫トスカには、反体制派で共和主義者の画家カヴァラドッシという恋人がいる 聖アンドレア・デラ・ヴァッレ教会でフレスコ画を描いていたカヴァラドッシは、脱獄した同志アンジェロッティと再会し、隠れ家に匿う 教会に現れたトスカに横恋慕する警視総監スカルピアは、アンジェロッティの妹アッタヴァンティ侯爵夫人の扇を利用して、恋人が不貞を働いていたという噂をトスカに吹き込み、彼女は取り乱してその場を去る スカルピアは「行け、トスカよ!嫉妬という鷲の翼を解き放ち・・・」と邪心を露わにする トスカは別荘の恋人のもとに向かうが、スカルピアの部下の尾行の結果、カヴァラドッシは同志を匿った罪で逮捕されてしまう(以上第1幕)

ファルネーゼ宮の一室。カヴァラドッシは拷問を加えられた末に、銃殺刑を言い渡される 一方、逮捕の報を知ったトスカは、すべての事情を悟る スカルピアは恋人の助命をちらつかせ、彼女に言い寄る トスカは揺れる胸の内を「歌に生き、愛に生き」に託して歌う そして、求愛を受け入れると偽り、カヴァラドッシの死刑が執行されたように芝居を打つ段取りをさせる スカルピアがトスカに近づいた瞬間、彼女はナイフで彼の胸を刺しぬく(以上第2幕)

サンタンジェロ城の屋上で、処刑が始まろうとしている。カヴァラドッシはトスカあての遺書を書き、思い出を胸に「星は光りぬ」を歌う そこにトスカが現れ、一部始終を告げて、「処刑は芝居」だと明かす しかし、空砲のはずの銃に装てんされていたのは実弾だった トスカは恋人に取りすがるが、そこにスカルピア殺害を知った追手が迫っていた トスカは「スカルピアよ、神の御前で!」と城壁を乗り越え、虚空へ身を躍らせる(以上第3幕)

 

     

 

プッチーニの数ある名作オペラの中で他の作品と異なるのは、主役級の3人の登場人物が3人とも死亡することです スカルピアはトスカに刺され、カヴァラドッシは銃殺され、トスカは城壁から飛び降ります そのこと一つとっても、このオペラがいかにドラマティックであるかが分かります

スコットランド出身 デイヴィッド・マクヴィカーの演出の大きな特徴は、舞台装置から衣装に至るまでリアリティーを追求していることです 第1幕冒頭の聖アンドレア・デラ・ヴァッレ教会の内部にしても、第3幕のサンタンジェロ城の屋上にしても、現地を視察したうえで設計図を描き、模型を作り、かなり実物に忠実に再現しています 幕が開くと同時に聴衆から感嘆の声とともに大きな拍手が起こるのも無理ありません

私がこのオペラで一番好きなのは、第1幕のラストです スカルピアは「イアーゴは嫉妬する男心をかき乱すためにハンカチを使ったが、俺は扇でやる」と邪心を露わにします これは言うまでもなく、シェイクスピアの「オテロ」(ヴェルディがオペラ化)では、旗手イアーゴがオテロの妻デズデーモナのハンカチを利用してオテロの嫉妬を煽り失脚させることを狙ったが、スカルピアは教会内に落ちていたアッタヴァンティ侯爵夫人の扇を利用してトスカの嫉妬を煽り、「カヴァラドッシの行先を突き止めてやる」と言っているのです

スカルピアから、恋人が不貞を働いていたという噂を吹き込まれたトスカは取り乱してその場を去りますが、神を称賛する「テ・デウム」の合唱が力強く歌われる中、スカルピアは「行け、トスカよ!嫉妬という鷲の翼を解き放ち・・・」と欲望を露わにして歌い上げます 「聖」と「俗」の融合が見事で、何度聴いても感動します セルビア出身のルチッチの欲望に満ちた力強い歌唱はスカルピアそのものです

フローリア・トスカを歌ったソニア・ヨンチェヴァはブルガリア生まれのソプラノです ”歌う女優”と言いたくなるほど演技力が優れ、深い情感を秘めた豊潤な声で聴衆を魅了します 第2幕のアリア「歌に生き 愛に生き」ではトスカに成り切った彼女の熱唱に、拍手とブラボーが鳴りやみませんでした 「トスカ」を歌うのはこれが初めてとは思えない存在感を示しました

マリオ・カヴァラドッシを歌ったヴィットーリオ・グリゴーロはイタリア生まれのテノールです 明るく甘美な声と真に迫った演技力で、若さ溢れるカヴァラドッシを歌い演じました 第3幕のアリア「星は光りぬ」では恋人を残したまま死のうとしている若者を迫真の演技力とともに熱唱、拍手とブラボーの嵐に包まれました

ところで、(前にも書きましたが)、カヴァラドッシはスカルピアの命により「パルミエリ伯爵の時と同じように、見せかけ」の方法で銃殺されるわけですが、具体的にどのような方法かは普通の演出では分かりません しかし、マクヴィカーの演出では、最初に他の受刑者の「通常の銃殺」(銃殺後に短剣でとどめを刺す)を舞台上で見せ、カヴァラドッシの銃殺の時には「とどめを刺さない」ことで、違いを明らかにしています つまり「パルミエリ伯爵の時と同じように」とは「とどめを刺さない」ということであり、決して「見せかけ」ではなく実際に銃殺してしまうのです トスカはまんまとスカルピアの「見せかけ」に引っかかり恋人を失ってしまったのです

これで、3日連続でプッチーニの三大オペラ=「ラ・ボエーム」「トゥーランドット」「トスカ」をMETライブビューイングで観たことになります ほかに「蝶々夫人」もあるし「マノン・レスコー」もあるし「ジャン二・スキッキ」もあるし、プッチーニは本当に素晴らしいオペラをいくつも書いているなと、あらためて感嘆します

METライブビューイングアンコール「トスカ」の上映時間は、幕間のインタビュー、2回の休憩を含め約3時間です 今後の東劇での上映予定は、9月6日(水)15時10分、同12日(火)18時45分、同24日(日)10時30分、同28日(木)14時40分です

 

     

     

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プッチーニ「トゥーランドット」を観る ~ ヤニック・ネゼ=セガンのドラマティックな音楽作りと、フランコ・ゼフィレッリによる絢爛豪華でリアリティに富んだ演出:METライブビューイングアンコール2023

2023年09月05日 06時56分12秒 | 日記

5日(火)。わが家に来てから今日で3157日目を迎え、ロシアによる戦争遂行を支持し、オンラインで影響力をもつ好戦派の「インフルエンサー」(Zブロガー)が、ウクライナ侵攻についてソーシャルメディアで虚偽の内容等を連日投稿することで、高額の広告収入を得ていることが、BBCの取材で分った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアは 大統領から ブロガーから 知らないふりの国民に至るまで 腐り切ってる!

 

         

 

昨日、夕食に「ビーフシチュー」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました シチューには赤ワインを入れて煮込みましたが、若干入れすぎたようで味が濃くなってしまいました 次回の反省材料にします

 

     

 

デザートに「フルーツタルト」をいただきました 栄養過多です

 

     

 

         

 

昨日、東劇で「METライブビューイングアンコール2023」のうちプッチーニ「トゥーランドット」を観ました これは2019年10月12日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演は、トゥーランドット=クリスティーン・ガーキー、カラフ=ユシフ・エイヴァゾフ、リュー=エレオノーラ・プラット、ティムール=ジェイムズ・モリス。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱=メトロポリタン歌劇場合唱団、指揮=ヤニック・ネゼ=セガン、演出=フランコ・ゼフィレッリです

 

     

 

オペラ「トゥーランドット」はジャコモ・プッチーニ(1858-1924)がカルロ・ゴッツィの戯曲「トゥーランドット」に基づき、ジュゼッペ・アダミとレナード・シモーニの台本により1921年から24年にかけて作曲(作曲者の死により、リューの自決以降は未完)、その後フランコ・アルファーノにより補完され、1926年4月5日にミラノ・スカラ座で初演されました

舞台は昔の中国、北京の紫禁城。トーランドット姫は異国の王に権力を奪われた祖先ロウリン姫に自分を重ね、アジア各国の王子からの求愛を拒絶し、自分が出す「3つの謎」を解けなかった王子を次々と処刑してきた 官吏が謎解きに敗れたペルシャの王子の公開斬首刑を告げる 興奮した民衆の渦に巻き込まれた目の不自由な老人が倒れ、お付きの女性が助けを求める かつてのダッタンの王ティムールと女奴隷リューで、居合わせた息子の王子カラフと再会する カラフは周囲の制止に耳を貸さず、姫への新たな挑戦者に名乗り出て銅鐸を3度打ち鳴らす(以上第1幕)。

姫に仕える3大臣のピン、パン、ポンはカラフの無謀を嘆き「故郷に帰りたい」と歌う 広場に皇帝アルトゥムが現れカラフの意思を確認する。カラフが3つの謎を解くと姫は狼狽するが、父帝に「異国の王子からの求愛を受け入れろ」と諭される カラフは逆に「夜明けまでに自分の名前を当てれば、命を差し出す」と姫に助け舟を出す(以上第2幕)。

トゥーランドットは「王子の名前が分かるまで、誰も寝てはならない」と、お触れを出す カラフはこれを受けて有名なアリア「誰も寝てはならぬ」を歌う 3大臣は美女や宝石をチラつかせ、北京を去るよう説得するが、カラフは耳を貸さない そこにティムールとリューが引き出され、「謎の王子」の名を聞き出すための拷問を受ける リューは口を割らず、「氷のような姫君」のアリアを歌いながら自害する 無垢な女性の死に動揺する姫をカラフは激しく抱きしめ、熱い口づけで真実の愛に導く 姫は群衆を集めて「ついに謎が解けた」と言い、「彼の名は愛」と告げる(以上第3幕)。

 

     

 

この公演の大きな特徴は、前年の2018年にMET音楽監督に就任したヤニック・ネゼ=セガンのドラマティックかつ抒情的な音楽作りと、フランコ・ゼフィレッリによる絢爛豪華でリアリティに富んだ演出です

幕間のインタビューでヤニック・ネゼ=セガンは、「今が一番幸せな時です」と語っていましたが、フィラデルフィア管弦楽団の音楽監督も兼務する彼にとっては、上昇気流に乗ったグライダーのようなものでしょう 幕開けの第1音で聴衆をトゥーランドットの世界に引き込みます

この年(2019年)の6月にゼフィレッリが死去したことから 本公演は彼に献呈されました 特典映像で若き日のゼフィレッリが合唱の振付をしているシーンが映し出されましたが、彼は忙しなく動き回り、合唱団の一人一人に動きを指示していました かなりリアルに拘っている姿が印象的でした

ライブビューイングの「トゥーランドット」では、マリア・グレギーナがヒロインを歌った公演(一番最初に観た)が強く印象に残っていて、一つの基準になっています

トゥーランドットを歌ったクリスティーン・ガーキーはアメリカ出身のドラマテック・ソプラノですが、前シーズン(2018年)のワーグナー「ワルキューレ」ブリュンヒルデ役で好評を博しました 本公演でも、パワフルで強靭な美声で聴衆を圧倒しました

前述の通り、本作はプッチーニの死により未完に終わり、フランコ・アルファーノにより補完されたわけですが、エンジェル・ブルーのインタビューで「カラフとトゥーランドット姫の結婚生活はうまくいくのでしょうか?」と問われ、「たぶん、イエスです カウンセラーが必要かもしれませんが」と答えていました 絶妙な回答です

カラフを歌ったユシフ・エイヴァゾフは1977年アゼルバイジャン生まれのテノールです アンナ・ネトレプコのパートナーと言った方が分かりやすいでしょうか 明るく開放的なテノールで、第3幕のアリア「誰も寝てはならぬ」は見事のひと言でした そういえばネトレプコさんは今頃どうしているのでしょうか

リューを歌ったエレオノーラ・プラットはイタリア出身の若手ソプラノです 第1幕と第3幕で歌われるアリアを、プラットはリューに成り切って歌い上げ、聴衆の涙を誘いました

ティムールを歌ったジェイムズ・モリスは1947年ボルティモア生まれのバスバリトンです 深く豊かな美声がかつての王の威厳を表わしていました

特筆すべきは冒頭でもご紹介したヤニック・ネゼ=セガンの指揮によるメトロポリタン歌劇場管弦楽団の渾身の演奏です それと同時に、このオペラでは合唱が大きな役割を果たしますが、メトロポリタン歌劇場合唱団の迫真のコーラスがホールを揺るがしました

METライブビューイングアンコール「トゥーランドット」の上映時間は幕間のインタビュー、休憩時間等を含め約3時間20分です 今後の東劇での上映予定は9月16日(土)10時30分、同24日(日)14時15分、同28日(木)10時30分の3回です

 

     

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「METライブビューイングアンコール2023」でプッチーニ「ラ・ボエーム」を観る ~ 前日「蝶々夫人」を歌ったクリスティーヌ・オポライスが急きょ代役でミミを歌うサプライズ

2023年09月04日 06時19分01秒 | 日記

4日(月)。昨日、東銀座でMETライブビューイングを観た後、時間があったので何年ぶりかで新宿のタワーレコードに行ってみました ビルの9階と10階がタワーレコードですが、クラシックは10階です。10階のフロアに着いて店内を見渡して驚きました。前に来た時はほとんどワンフロア全部がクラシック売場だったのが、何と10分の1くらいの狭いスペースに縮小していました 代わりに他のジャンルの売り場が増えていたのですが、さらに驚いたのはLP復刻ブームを反映してLPの売り場がかなり広いスペースを占めていたことです キャッチフレーズも「NO MUSIC、NO LIFE」とともに「NO VINYL、NO LIFE」(VINYL=アナログ盤)が併用されていました クラシックCDのあまりの少なさにショックを受けました もう二度とこの店に立ち寄ることはないでしょう 頼りは渋谷店ですが、余程のことがない限り行かないと思います

ということで、わが家に来てから今日で3156日目を迎え、ロシアでは1日に始まった新学期から、ウクライナ侵攻を肯定する新しい歴史教科書を導入し、軍事ドローンの操縦も学校で教えるなど、子供のころからプーチン政権のプロパガンダを刷り込み、親政権の「愛国者」をつくる狙いがある  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアが戦争に負けて プーチンが失脚したら 教科書はどう書くのか 楽しみじゃね?

 

         

 

昨日、東銀座の東劇で「METライブビューイングアンコール2023」のうちプッチーニ「ラ・ボエーム」を観ました これは2014年4月5日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演は、ミミ=クリスティーヌ・オポライス、ロドルフォ=ヴィットーリオ・グリゴーロ、ムゼッタ=スザンナ・フィリップス、マルチェッロ=マッシモ・カヴァレッティ、ショナール=パトリック・カルフィッツィ、コルリーネ=オレン・グラドゥス。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、指揮=ステファーノ・ランザーニ、演出=フランコ・ゼフィレッリです

 

     

     

オペラ「ラ・ボエーム」はジャコモ・プッチーニ(1858-1924)がアンリ・ミュルジュ原作「ボヘミアンたちの生活情景」に基づき、ジュゼッペ・ジャコーザとルイージ・イッリカの台本により1892年から95年にかけて作曲、1896年2月1日にトリノ・レッジョ劇場で初演されました

物語の舞台は19世紀半ばのパリ 詩人ロドルフォは、画家のマルチェッロなど3人の仲間と共に、将来を夢見て屋根裏部屋での貧乏生活に耐えている 3人が街へ繰り出して1人残ったロドルフォのもとに、同じ屋根裏に住むお針子ミミが火を借りにくる。ミミが落とした鍵を闇の中で探すうちに手が触れ合い、2人は恋に落ちる(以上第1幕)

大賑わいのカフェ・モニュス。ロドルフォはミミを仲間たちに紹介する そこにマルチェッロの昔の恋人ムゼッタが、金持ちの老人と連れ立って登場する 昔の恋人の気を惹きたいムゼッタが自分の人気ぶりを歌うと、カフェの騒ぎも最高潮に達する ムゼッタはマルチェッロたちと合流し、勘定は老人に押し付けてしまう(以上第2幕)

パリの郊外の居酒屋前。マルチェッロを訪ねたミミが「ロドルフォが嫉妬深いので別れるしかない」と訴える しかしロドルフォの本意は「貧しいわが身ではミミの薬も買えない」と不治の病にかかったミミを案じての別れだった ロドルフォはミミと回想に浸り、マルチェッロはムゼッタの浮気を罵りつつ、ともに別れていく(以上第3幕)

男たちは再び屋根裏部屋の共同生活に戻る 一同が陽気に騒いでいると、ムゼッタが身体が弱ったミミを連れて来る ベッドに寝かし、皆は治療のための工面を図る ロドルフォとミミは最初の出会いに思いを馳せるが、ミミは咳の発作に襲われ、皆が戻った後に、密かに息を引き取る ロドルフォは「ミミー!」と叫び 亡骸にすがりつく(以上第4幕)

 

     

 

開演に先立ち METピーター・ゲルブ総裁がステージ脇に登場、驚くべき主役交代を告げました

「皆さまにお知らせがあります ミミを歌う予定のアニータ・ハーティッグが風邪のため、本日出演できなくなりました 今朝7時半にハーティッグからメールがあり、風邪を引いてしまいどうしても歌うことが出来ないということでした そこで、昨日「蝶々夫人」のヒロインを歌ったクリティーヌ・オポライスに急きょ電話を入れ、何とか引き受けてもらいました 再びMETに来てもらい、衣装合わせを済ませて準備が整いました ヒロインを歌い、その翌日 別のオペラのヒロインを歌うのはMET始まって以来、彼女が初めてです 皆さま、どうか彼女を応援してあげてください

これに関して、オポライスはジョイス・ディドナートによる幕間のインタビューで、

「蝶々夫人を歌い終わって、家に帰って寝たのですが、公演の最終日の夜はなかなか寝付けないのです 今朝の5時頃やっと寝付いたと思ったら、7時半にゲルブ総裁から電話が来たのです

と語っていました。ディドナートが「その時、どう返事したの?」と訊くと、

「断りました

でも彼女は引き受けたのです ディドナートが、「あの公演、観ていたそうね」と言うと、

「そうなんです。それで多少、事前に全体の流れが把握出来ました

と答えていました つまり、ライブビューイングの収録は初日公演に限らないということです METでは2,3作のオペラ公演が同時並行で上演されているので、オポライスはハーティッグのミミを事前に観て観察することが出来ていたということです そうは言うものの、前日の公演から24時間経たないうちに、別のオペラのヒロインを歌うなど常識では考えられません 彼女は、

「プロとして、引き受けるべきだと思いました

と語っていましたが、これぞプロフェッショナルの鏡と言うべきでしょう 本当のプロはいつでも準備が出来ているということだと思います ゲルブ総裁はインタビューで「こういうことはよくあることです」と語っていましたが、すぐに代役を引き受けることが出来るオポライスのような優秀な歌手陣が揃っているMETだからこそ、平然と言えるセリフだと思いました

第1幕冒頭のロドルフォとミミの「冷たい手を」「私の名はミミ」は、当時人気急上昇中のイタリア出身のグリゴーロとラトヴィア出身のオポライスにより、センチメンタルでノスタルジックに歌い上げられました この作品に限らず、プッチーニってこういう感動的な音楽をたくさん作っていますね

生き生きしていたのはムゼッタを歌ったアメリカ出身のスザンヌ・フィリップスです ムゼッタは彼女の当たり役です

本公演の大きな特徴はフランコ・ゼフィレッリによる豪華な演出です とくに第2幕「カフェ・モニュス」の100人を超す人々が登場する絢爛豪華なシーンが印象的です

私は2011年のMET来日公演でゼフィレッリ演出による「ラ・ボエーム」を観ています 6月8日(水)NHKホールです。ミミは当初アンナ・ネトレプコが歌う予定でしたが、東日本大震災に伴う東電の原発事故の影響で来日せず、代わりにバルバラ・フリットリが歌いました ロドルフォはMETの看板テノール、ピョートル・ベチャワが歌い、ムゼッタをスザンナ・フィリップスが歌いました 指揮はファビオ・ルイージです ゼフィレッリの演出で「ラ・ボエーム」のライブビューイングを観ると、あの日の来日公演を思い出します

 

     

 

METライブビューイングアンコール「ラ・ボエーム」の上映時間は幕間のインタビュー、2回の休憩を含め約3時間です 今後の東劇での上映予定は9月15日(金)14時15分、同20日(水)19時の2回です

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ドイツの最新のクラシック音楽事情 ~ 置いてきぼりの聴衆 / フォーレ四重奏団のチケットを取る / ブレイディみかこ「ワイルドサイドをほっつき歩け」、阿川佐和子「老人初心者の覚悟」他を買う

2023年09月03日 07時00分08秒 | 日記

3日(日)。クラシック音楽情報誌「ぶらあぼ」に連載の、レコード会社勤務・城所孝吉氏のコラム「気分はカプリッチョ」の第86回(9月号)を見て、とても驚きました 見出しは「クラシック界で置いてきぼりを食らっているのは、既存の音楽ファン?」です 内容を超略すると次の通りです

「近年のクラシック界では、青少年活動が重視されている。聴衆の高齢化が進み、このままではお客さんがいなくなってしまうからだ 著者の住むベルリンでも同じだ。聴き手の育成は盛んで(ベルリン・フィルの教育プログラムに見られるように)かなりのお金が投資されている しかし、その一方で、コンサートホールや劇場への客足は明らかに鈍くなった なぜそうなったか? ベルリンのオーケストラの演奏会で疑問に思うのは、やたらと難しい曲を取り上げることだ プログラムの大半が20世紀以降の作品や上演機会の少ない曲。前半が現代もので後半がブラームスというのなら分かるが、曲目のすべてが『お勉強的な作品』であることが一般化している ブラームスの交響曲が演奏されるのは、ひと団体でシーズン中1,2度ほど。劇的なインフレで人々の懐が寂しくなった現在、『わざわざお金を払って難しいものを聴きたくない』という雰囲気が生まれている これまで教養の一環として晦渋な作品に耳を傾けてきた人々が、コンサートから離れているのだ。今のドイツ音楽界の問題は、若いお客さんがいないことではなく、既存の(平均的な)クラシックの聴衆とその傾向がネグレクトされている、ということだ 未知のものを紹介する『正しさ』に固執することで、お客さんが離れてしまうのは本末転倒だ。つまり、ドイツでは、初心者でもなく、現代/希少作品マニアでもない普通のクラシック・ファンこそが置いてきぼりを食らっているのだ 筆者はこれが、チケット収入に依存しない(=膨大な補助金で賄われている)公共の音楽団体の『お気軽経営体質』からきていると考えている もちろん民間主体の日本のオーケストラ界では、そんな状況ではないが(同様の路線では、そもそも集客出来ないだろう)、ベルリンでは、お客さん自体が『度を越した教養主義』を拒否し始めているように思う

このエッセイを読んで、何が驚いたかと言って「ブラームスの交響曲が演奏されるのは、ひと団体でシーズン中1,2度ほど」という文章です 同じ「聴衆の高齢化と、聴き手の育成問題」を抱えるクラシック音楽界なのに、ドイツと日本ではまったく逆ではないか、ということです

ドイツのオーケストラは、国内で難しい曲ばかりやらされていて嫌気がさしているから、来日公演ではベートーヴェンやブラームスなど名曲路線をやりたくなるのか、とさえ思ってしまいます

ドイツにおけるオーケストラの活動を維持する「莫大な補助金」はうらやましいと思いますが、日本で「現代/希少作品」ばかりのコンサートがはびこるようになったら、オケのすべての定期会員を辞めます 名曲路線の海外オケの来日公演にはうんざりですが、まだ日本のクラシック音楽界の方がいいのかな、とあらためて思ったエッセイでした

 

     

 

         

 

12月10日(日)14時から横浜みなとみらいホール(小ホール)で開かれる「フォーレ四重奏団」演奏会のチケットを取りました プログラムは①マーラー「ピアノ四重奏曲断章イ短調」、②フォーレ「ピアノ四重奏曲第1番ハ短調」、③ブラームス「ピアノ四重奏曲第1番ト短調」です フォーレ四重奏団は大好きなピアノ・クァルテットです

 

     

 

実は、12月7日(木)19時からトッパンホールで下のチラシのコンサートがあるのですが、N響定期演奏会と重なっているので諦めました

 

     

 

彼らの演奏によるモーツアルト、ブラームス、メンデルスゾーン、マーラー&R.シュトラウスのピアノ四重奏曲のCDはすべて揃えてあります

 

     

 

というわけで、わが家に来てから今日で3155日目を迎え、旧統一教会への解散命令請求の可否判断に向けた調査を進める文化庁が、教団の対応が質問権行使への回答拒否に該当するとして過料の罰則適用を検討していることが、政府関係者への取材で分かった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     過料なんて言ってないで 犠牲者を増やさないためにも 解散命令を出すべきじゃね

 

         

 

手元の本が残り少なくなってきたので、いつも通りジュンク堂書店池袋本店で5冊仕入れてきました

1冊目はブレイディみかこ著「ワイルドサイドをほっつき歩け ~ ハマータウンのおっさんたち」(ちくま文庫)です 「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっぴりブルー」でお馴染みの英国在住の著者によるエッセイ集です サイン本なので彼女のサインが入っています

 

     

     

 

2冊目は青山美智子著「木曜日にはココアを」(宝島社文庫)です 「お探し物は図書室まで」と「月曜日の抹茶カフェ」が良かったので買い求めました

 

     

 

3冊目は阿川佐和子著「老人初心者の覚悟」(中公文庫)です 高齢者の仲間入りした著者による痛快エッセイ集です

 

     

 

4冊目は中山七里著「ラスプーチンの庭」(角川文庫)です 「中山七里は七人いる」と言われる多作ベストセラー作家の文庫最新作です

 

     

 

5冊目は馳星周著「少年と犬」(文春文庫)です 馳氏の本を買うのは今回が初めてなので楽しみです

 

     

 

誉田哲也著「オムニバス」とブレンダン・スロウカム著「バイオリン狂騒曲」を読んでから読み始めます いずれも読み終わり次第、このブログでご紹介していきます

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高関健 ✕ 荒井英治 ✕ 東京シティ・フィルでリゲティ「ルーマニア協奏曲」「ヴァイオリン協奏曲」、バルトーク「管弦楽のための協奏曲」を聴く~第363回定期演奏会

2023年09月02日 01時11分38秒 | 日記

2日(土)。わが家に来てから今日で3154日目を迎え、トランプ前米大統領は31日、2020年の米大統領選で敗北した南部ジョージア州の結果を覆そうとしたとして同州フルトン群の地区検察に起訴された13の罪状について文書で無罪を主張し、9月6日に他の被告と共に予定されていた罪状認否には出廷しないとした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     出廷して余計なことを口走り 罪状を増やすことを恐れて 弁護士が止めてんじゃね

 

         

 

昨日の夕食は大学時代の友人S君が送ってくれた「ヒラメをムニエル」にして、「生野菜サラダ」「冷奴」「味噌汁」と一緒にいただきました   ムニエルはご覧の通り、無残にも形が崩れてしまいましたが、これは全長30センチもあるヒラメをフライパンで裏返す時、あまりの大きさに一部がついていけず剥がれてしまったためです 肉厚で食べ応えがあり、とても美味しくいただきました

 

     

 

         

 

昨夜、東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィル「第363回 定期演奏会」を聴きました プログラムは①リゲティ「ルーマニア協奏曲」、②同「ヴァイオリン協奏曲」、③バルトーク「管弦楽のための協奏曲」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=特別客演コンマス・荒井英治、指揮=常任指揮者・高関健です

 

     

 

拍手の中、楽員が配置に着きます オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置をとります コンマスは戸澤哲夫です

正規のプログラムの前に、8月15日に急性心不全で逝去された飯守泰次郎氏を追悼して、ワーグナーの歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲が演奏されました 透明感のある弦楽器群の演奏が心に沁みました

正規プログラムの1曲目はリゲティ「ルーマニア協奏曲」です この曲はジェルジ・リゲティ(1923-2006)がオーストリアへの亡命前の1951年に作曲しました 第1楽章「アンダンティーノ」、第2楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第3楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ」、第4楽章「モルト・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

高関の指揮で演奏に入りますが、第2楽章の軽妙な曲想といい、第3楽章のアルペン・ホルン風の穏やかな音楽といい、第4楽章のステージ上のホルンと舞台袖で演奏するホルンとの掛け合いといい、「えっ、これがリゲティ」と言いたくなるような聴きやすい音楽で、親しみを覚えました

 

     

 

2曲目はリゲティ「ヴァイオリン協奏曲」です この曲はドイツのヴァイオリニスト、サシュコ・ガヴリーロフの委嘱により1990年に3楽章構成で完成、初演後大幅に改定され、1992年に全5楽章の最終稿が完成されました 第1楽章「前奏曲」、第2楽章「アリア、ホケトゥス、コラール」、第3楽章「間奏曲」、第4楽章「パッサカリア」、第5楽章「アパッショナート」の5楽章から成ります

オケは一旦解体され、大幅なレイアウト変更が行われます 弦楽器は10人程度しか残らず、あとは管楽器と打楽器が加わります。極めて小規模編成です

ヴァイオリン・ソロを務める新井英治は桐朋学園大学卒。江藤俊哉氏に師事。1979年から新星日本交響楽団、1980年から東京交響楽団、1989年から2015年まで東京フィルのコンサートマスターを務めました 1992年に「モルゴーア・クァルテット」結成に参加しました(シティ・フィルの戸澤コンマスもメンバーです)。現在、東京シティ・フィルの特別客演コンマスのほか、日本センチュリー交響楽団首席客演コンマス、名古屋フィル首席客演コンマスを務め、東京音大教授として後進の指導に当たっています

荒井の前にある譜面台は3台横並びに配置され、そこに長い楽譜が置かれます 譜めくりなどしている暇がない、と思われます

高関の指揮で第1楽章が独奏ヴァイオリンのささやくような弱音で開始され、次第に激しさを増していきます 第2楽章冒頭の「アリア」は独奏ヴァイオリンにより美しいメロディーが奏でられますが、調性音楽はここだけのようです やがてオカリナの不安定な音楽が奏でられます 圧巻は第5楽章の最後の「カデンツァ」です。この日の演奏はアデスによるカデンツァが弾かれましたが、「超絶技巧ここに極まれり」といった集中力に満ちた厳しい演奏でした

曲を閉じると、大きな拍手とブラボーが飛び交いました ソリストの荒井英治がリゲティをたたき斬った侍のように見えました ここで思い出したのは、リゲティの「ヴァイオリン協奏曲」と言えば3月27日(月)の都響B定期演奏会でコパチンスカヤのヴァイオリン独奏で聴いたな、ということでした しかし、同じ曲なのに聴いた印象がかなり異なります それは第5楽章の「カデンツァ」の解釈にあります リゲティの指示はかなりフレキシブルなようで、どのように演奏しても良いようです コパチンスカヤは、ヴァイオリンを弾きながら歩き回ったり、飛んだり跳ねたり、オケに向かって「ワーッ」と叫んだり、客席に向かって「ワーッ」と叫んで挑発したりしていました 言わば聴衆を巻き込んで演奏に参加させ、「リゲティなんて難しくも何ともありませんで。みんなで楽しみましょ」と誘っているエンターテイナーのようでした その点、今回の荒井英治のアデスによるカデンツァは、リゲティに真っ向勝負を懸けて打ち勝った演奏だったように思います

演奏する方も大変だったでしょうが、聴く方も大変でした 約30分にわたる緊張感の持続は精神的に良くないと思います リゲティを聴くにはリゲインが必要かもしれません

 

     

 

プログラム後半はバルトーク「管弦楽のための協奏曲」です この曲はナチスの支配から逃れるため1940年にアメリカに亡命したベーラ・バルトーク(1881-1945)が、クーセヴッキー生誕70周年とボストン交響楽団指揮者就任20周年記念のために1943年に作曲、1944年12月に初演されました 第1楽章「序奏」、第2楽章「対の遊び」、第3楽章「エレジー(悲歌)」、第4楽章「中断された間奏曲」、第5楽章「終曲」の5楽章から成ります

高関の指揮で演奏に入りますが、第1楽章では低弦による導入部の音楽が印象的です 第2楽章は、管楽器群が順に二重奏を披露するのが楽しい 第3楽章は弦楽器を中心とする”慟哭の音楽”です 第4楽章では、中盤で管楽器により馬のいななきのような音楽が奏でられ、思わず笑ってしまいます フルートとオーボエの演奏が素晴らしい 第4楽章は無窮動風の軽快なフィナーレです ベートーヴェンの第5交響曲の「暗から明へ」という精神を体現するかのように、勝利のクライマックスで曲を閉じます

会場いっぱいの拍手とブラボーが飛び交うなか、カーテンコールが繰り返されます 9月なのにまだ猛暑が続く熱い夏を吹き飛ばす爽快な演奏でした

 

     

コメント (2)
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上岡敏之 ✕ 読売日響でブルックナー「交響曲第8番 ハ短調」を聴く ~ 第664回 読響名曲シリーズ / 東京シティ・フィル10月定期の指揮者・曲目変更 / ルイージ:N響との契約延長

2023年09月01日 00時11分30秒 | 日記

9月1日(金)。昨日の午後は、gooブログのシステム障害により、長時間記事を書くことも見ることも出来なかったので不安で不便でした 最初は自分のブログだけがおかしいのかと思って、パソコンを再起動したり いろいろと試みましたが、どうしてもつながらないので諦めてコンサートに出かけました 家に帰ってきて9時過ぎにアクセスしたらまだ繋がらないので、グーグルで「gooブログ システム障害」と打って検索をかけたら、gooブログの「スタッフブログ」がヒットし、下のお知らせが掲載されていました どうやら午後3時20分頃からアクセスしずらい事象が生じていたようです やっと午後10時20分頃に繋がりました。この間なんと7時間です いくら何でも長すぎです もうイヤ、こんな生活。通販生活

 

     

 

話は180度変わりますが、大手百貨店そごう・西武の労働組合は、親会社セブン&アイに対し、米投資会社への売却に関する事業継続や雇用維持について説明を求めてきたが不十分だとして、昨日(31日)旗艦店の西武池袋本店でストライキを実施しました 朝日新聞によると、大手百貨店でのストは1962年の阪神百貨店以来約60年ぶりとなるとのこと これに対し経営側は池袋本店を臨時休業としました

 

     

     

 

本店前では同社労組の組合員がビラ配りをしていました

 

     

     

 

新聞各社の報道によると、セブン&アイ・ホールディングスは31日、臨時の取締役会を開き、傘下の百貨店「そごう・西武」を9月1日に米投資ファンドに売却することを決議しました

デパートの労働組合がストライキを実施することについては賛否両論あると思いますが、当該労組にとって最重要課題は売却後の従業員の「雇用の維持」であることは言うまでもありません その点、ある程度の確約が得られない場合はストライキに訴えることもあり得ると思います。というよりも、組合員の雇用と生活が守れない労働組合など存在意義がありません 私も執行委員、副書記長、書記長、委員長と4回労組の役員を経験したので、彼らの思いが良く分かります

西武池袋本店と言えば、米投資ファンドに売却後、1階や2階辺りにヨドバシカメラが入店するのかどうか、というのが話題になっています 個人的には池袋駅のすぐ近くにビックカメラ本店とヤマダ電機本店があるので、「これ以上大手家電量販店がオープンしてどうすんのよ」という気持ちですが、その一方で、「ルイ・ヴィトン」「エルメス」「イヴ・サンローラン」「クリスチャン・ディオール」といった「プレステージ雑貨や化粧品の店舗ばかり並んでいるのもどうなのよ」という気持ちもあります。オレにカンケーネーシ 日常的な買い物で直接関係あるのは「デパ地下」の食料品売り場です ここをヨドバシカメラの店舗にするのならストライキをやります

ということで、わが家に来てから今日で3153日目を迎え、ロシアなど旧ソ連諸国が組織する航空行政調整機関「国家間航空委員会」(事務局モスクワ)は30日、ロシア民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏が死亡した小型機墜落について、現時点で調査していないと発表し、墜落に関しては「コメントしない」と表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     だって 爆発物を仕掛けてプリゴジンを殺害したのを 正直にコメントできる訳がない

 

         

 

昨日、夕食に「タンドリーチキン」「生野菜サラダ」「冷奴」「豆腐の味噌汁」を作りました タンドリーチキンは辛すぎず美味しく出来ました

 

     

 

         

 

東京シティ・フィルの公式サイトによると、「10月4日に開催予定の『第364回定期演奏会』に出演予定だった飯守泰次郎氏の逝去に伴い、指揮を常任指揮者の高関健氏が務めることとなった。また、プログラムも当初予定していたシューベルト『交響曲第5番』『同第6番』に代えて、飯守氏が得意としていたワーグナーとブルックナーに変更する」としています 曲目は①ワーグナー:歌劇「さまよえるオランダ人」序曲、②同:歌劇「トリスタンとイゾルデ」より”前奏曲と愛の死”、③ブルックナー「交響曲第9番」で、②のメゾソプラノ独唱=池田香織となっています この選曲から窺えるのは飯守氏への追悼の想いです

 

         

 

N響の公式サイトによると、「NHK交響楽団は、2022年9月に3年間の任期で首席指揮者に就任したファビオ・ルイージとの契約を このたび延長し、2028年8月までといたしました」としています また、「2025年5月には、アムステルダムのマーラー音楽祭に招待され、続いてヨーロッパ各地での公演を予定しています 2026年には創立100年を迎えるN響は、数々の記念公演において、ルイージと共に魅力的なプログラムをお届けすることとなります」としています

個人的にはルイージの契約延長は大歓迎ですが、ただ、就任1年目のプログラムが あまりにも保守的だったので、今後はもっと攻めたプログラムを組んでほしいと思います

 

         

 

昨夜、サントリーホールで「第664回 読響名曲シリーズ」公演を聴きました プログラムはブルックナー「交響曲第8番 ハ短調」です 指揮は上岡敏之です 当初、ローター・ツァグロゼクが指揮する予定でしたが肺炎のため降板、急きょ上岡氏が緊急にドイツから一時帰国し代役を務めることになりました

上岡氏は今年3月25日(土)にすみだトリフォニーホールで開かれた新日本フィルの「特別演奏会」で、この曲を指揮したのが記憶に新しいところです

上岡敏之はヘッセン州立歌劇場音楽総監督、北西ドイツ・フィル首席指揮者、ザールラント州立歌劇場音楽総監督、ヴッパータール市立歌劇場音楽総監督兼インテンダント、新日本フィル音楽監督などを歴任 現在、コペンハーゲン・フィル首席指揮者を務める傍ら、ザールブリュッケン音大指揮科正教授として後進の指導に当たっています

 

     

 

「交響曲第8番 ハ短調」はアントン・ブルックナー(1824-1896)が1884年から87年にかけて作曲(第1稿)、その後87年から90年にかけて改訂(第2稿)、1892年12月18日にウィーンで初演されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ・モデラート」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「フィナーレ」の4楽章から成ります

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び 管楽器は3管編成、ホルンは8本(うちワーグナーチューバ持ち替え4)という大編成 ステージ下手にはハープが3台スタンバイします。コンマスは長原幸太です

上岡敏之の指揮で第1楽章の演奏に入ります 鈴木康浩率いるヴィオラ・セクションの渾身の演奏が凄い 日橋辰朗率いるホルン・セクションの分厚い響きが会場を満たします オーボエの荒木奏美の演奏が冴えています 第2楽章冒頭は速いテンポで開始されましたが、弦楽器群の渾身の演奏が光ります ハープの音色が美しい 第3楽章では弦楽セクションの美しいアンサンブルが会場を満たしました 第4楽章は速いテンポで開始され、荒木奏美のオーボエ、フリスト・ドブリノヴのフルートが冴え渡りました そして、フィナーレでは金管・木管が咆哮し、打楽器が炸裂し、弦楽器が渾身の演奏を展開し、音の大伽藍を築き上げました

演奏を振り返ってみると、上岡は各楽章の間を十分取って次の楽章に移りました これは、管楽器のメンテナンス上の配慮(唾が溜まるので楽器から出す時間を与える)と、気持ちのリセットの意図があるように思います また、全曲を通してブルックナー特有のゲネラルパウゼ(全休止)が何カ所かありますが、局面に応じて休止の長さが異なり、そのタイミングが絶妙でした また、演奏の大きな特徴としては、最強音と最弱音とのレンジがとてつもなく大きいということです 特に弱音にこだわりを感じます 一言で言えば、終始 弛緩するところのない集中力に満ちた緊張感あふれる演奏でした

上岡のタクトが降ろされても、誰も拍手をしません 上岡氏が脱力してリラックスするとやっと拍手が起こり、満場の拍手とブラボーがステージを包み込みました 「指揮者のタクトが降ろされるまで、拍手はお控えください」というアナウンスが効きすぎたようです どうも私はこのアナウンスが好きになれません

いずれにしても、この日のコンサートは、奇才上岡敏之の指揮で読響のゴージャスなサウンドを堪能することができて、代役は大当たりだったと思います

 

     

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