人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

藤岡幸夫 ✕ 角野隼斗 ✕ 東京シティ・フィルでモーツアルト「ピアノ協奏曲第26番」、プロコフィエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲を聴く / デュトワ ✕ 新日本フィルのプログラム決定

2023年09月10日 00時25分20秒 | 日記

10日(日)。新日本フィル「2024/2025シーズン  定期演奏会」のうち、プログラムが未定だった「トリフォニー・シリーズ」と「サントリー・シリーズ」の2024年9月公演(21日、22日:指揮=シャルル・デュトワ)の内容が発表されました ①ハイドン「交響曲第104番ニ長調”ロンドン”」、②ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1911年原典版)、③ラヴェル「ダフニスとクロエ」第2組曲です ②と③はデュトワが得意中の得意とする曲です これは楽しみです

ということで、わが家に来てから今日で3162日目を迎え、ロシアの統一地方選投票が8~10日の日程で始まったが、2022年9月に一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州でも初めてロシアの選挙が行われた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     主権国家の土地の一部を強奪して 選挙で正当化しようとしても 誰も認めないよな

 

         

 

昨日、ティアラこうとう大ホールで東京シティ・フィル「第74回ティアラこうとう定期演奏会」を聴きました プログラムは①ヴェルディ:歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲、②モーツアルト「ピアノ協奏曲第26番 ニ長調 K.537 ”戴冠式”」、プロコフィエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲より藤岡幸夫セレクションです   演奏は②のピアノ独奏=角野隼斗、指揮=藤岡幸夫です

 

     

     

上のポスターにある通り、チケットは完売です。これが「かてぃん効果」なのでしょう 会場を見渡すと女性客が圧倒的に多いように見えます

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつものシティ・フィルの並び。コンマスは戸澤哲夫です

本番に先立って、桂冠名誉指揮者、故・飯守泰次郎氏に対しバッハ「G線上のアリア」が献奏されました

1曲目はヴェルディ:歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲です このオペラはジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)が1855年のパリ万国博覧会のために作曲、同年6月13日に初演されました この歌劇は1282年にシチリア島で実際に起こったフランス人虐殺事件を題材としています 序曲はラルゴの静かな音楽で始まりますが、劇的な展開を見せ、まさにヴェルディならではのドラマティックな音楽が繰り広げられました

2曲目はモーツアルト「ピアノ協奏曲第26番 ニ長調 K.537 ”戴冠式”」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1788年に作曲、1789年4月14日にドレスデンで初演されました 翌1790年秋の神聖ローマ帝国皇帝レオポルト2世の戴冠式に際して、フランクフルトでモーツアルトが開いた演奏会で演奏されたことから”戴冠式”と呼ばれています ところで、モーツアルトは1781年5月、ザルツブルクのコロレド大司教と喧嘩別れし、ウィーンに上京してフリーランスの作曲家兼演奏家として独立生活を始めましたが、主な収入源は予約演奏会でした とくにモーツアルト自身がピアノを弾きぶりした「ピアノ協奏曲」の第20番から25番までの6曲が創作の頂点となりました 音楽評論家・萩谷由喜子さんのプログラム・ノートによると、「予約演奏会の会費は6グルデンから13グルデン。18世紀末の1グルデンを仮に現在の邦貨5000円と換算すれば、これは30,000円から65,000円にも相当する」とのことです しかし、この第26番は会員が集まらず 初演の延期を余儀なくされ、モーツアルトは苦労したようです この曲は第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「アレグレット」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の角野隼斗(すみの はやと)は1995年生まれの28歳。東京大学大学院在学中にピティナピアノコンペティション特級グランプリ受賞 2021年のショパン国際コンクールのセミファイナリスト これまで国内外のオーケストラと共演する一方、Cateen(かてぃん)名義で活動するYouTubeチャンネルは登録者数が120万人超、総再生回数は1億回を突破するなど、新時代のピアニストとして注目を集めています

角野が藤岡と共に登場し、ピアノに向かいます よく見ると、角野はドラクロワが描いたショパンの肖像画に似ています 藤岡の指揮でオーケストラによる長い主題提示の演奏が始まります 角野は楽譜上のソロの出番の前に即興でオケに加わります そして楽譜通りのソロの演奏に入りますが、角野のピアノはどこまでもクリアで、一音一音の粒立ちが綺麗です 終盤のカデンツァは彼自身の作曲によるものと思われますが、唯一無二の即興で、とても興味深く聴きました 第2楽章では装飾音を交えて弾かれましたが、嫌味にならないところが彼らしいところです 第3楽章に入ると固さも取れて笑顔も見られ、リラックスして演奏する様子が窺えました この楽章におけるカデンツァは”先が読めない”という意味で刺激的な演奏でした ジャズをはじめクラシック以外の音楽にも精通して演奏活動を続ける角野ですが、真面目な演奏姿を見ると、クラシック作曲家への敬意が感じられ、好感が持てました 藤岡 ✕ シティ・フィルはしっかりとソリストに寄り添い、かてぃんワールドを支えました

満場の拍手とブラボーにカーテンコールが繰り返され、1階前方の女性客を中心にそこかしこでスタンディングオベーションが見られ、会場の温度が2度上昇しました

角野はアンコールに自身の作曲による「きらきら星変奏曲」を演奏しましたが、最初は 今演奏したばかりの”戴冠式”第1楽章のテーマをもとに変奏したかと思えば、次はジャズ風にアレンジして演奏、そうかと思うと今度はバラード風に、次は超絶技巧のリスト風に・・・・というように様々なバリエーションの音楽を取り入れて刺激的なインプロビゼーションを展開、聴衆を興奮の坩堝に巻き込みました スミノハヤト、おぬし、できるな

 

     

 

プログラム後半はプロコフィエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲より藤岡幸夫セレクションです この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)が1935年から翌36年にかけて作曲したバレエ音楽をもとに、作曲者自身が編んだ3つの組曲から藤岡氏が9曲選んだものです

第1曲:モンターギュ一家とキャピュレット家(第2組曲・第1曲)、第2曲:マドリガル(第1組曲・第3曲)、第3曲:メヌエット(第1組曲・第4曲」、第4曲:仮面(第1組曲・第5曲)、第5曲:ロメオとジュリエット(第1組曲・第6曲)、第6曲:ティボルトの死(第1組曲・第7曲)、第7曲:僧ローレンス(第2組曲・第3曲)、第8曲:ジュリエットの墓の前のロメオ(第2組曲・第7曲)、第9曲:ジュリエットの死(第3組曲・第6曲)です

ステージ下手にピアノとハープがスタンバイし、藤岡の指揮で第1曲の演奏に入ります この曲は組曲全体の中で一番有名な音楽ですが、藤岡氏のプレトークによると、彼がイギリスで現地のオケを振ってこの曲を演奏した時、演奏が終わるや否や聴衆から「ワーッ」という大歓声が上がったと言います 後で訊いてみたら、この曲は地元のサッカーチームのテーマ・ミュージックだったそうです プロコフィエフはロシアですが、シェイクスピアはイギリスですからね

全体を聴いた印象は、ジュリエットを表わすフルートが素晴らしい演奏をしていました(第2曲、第5曲他)。また第5曲ではイングリッシュホルンの演奏が素晴らしかった 第6曲では速いテンポによるチェロの渾身の演奏が印象的でした 第8曲では弦楽器を中心に慟哭の音楽が奏でられ、この曲の核心を掘り下げました

藤岡 ✕ 東京シティ・フィルらしい情熱溢れるコンサートでした こんなに素晴らしいコンサートがS席3,500円で聴けるなんて、超ラッキーです

 

     


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