人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

チャップリン「一日の行楽」「のらくら(ゴルフ狂時代)」「巴里の女性」「サーカス」を観る ~ マイナーな作品ながら音楽が素晴らしい!

2023年09月20日 06時42分05秒 | 日記

20日(水)。わが家に来てから今日で3172日目を迎え、米主要メディアは18日、来年の大統領選の共和党指名候補を争うトランプ前大統領が、27日にカリフォニア州で開かれる党全国委員会公認の第2回討論会を第1回に次いで欠席すると一斉に報道した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     起訴などを巡る討論で 支持率低下につながる懸念から 欠席するんだろ 卑怯者め!

 

         

 

昨日、夕食に「豚肉の冷しゃぶ」「冷奴」「山菜の味噌汁」を作りました まだ暑い毎日が続くのでスタミナ作りのためには豚肉が良いですね

 

     

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐でチャールズ・チャップリンの「一日の行楽」「のらくら(ゴルフ狂時代)」「巴里の女性」「サーカス」の4本を観ました どちらかと言えば「サーカス」以外はマイナーな作品です

「一日の行楽」はチャップリン監督・脚本・製作・出演による1919年アメリカ映画(サイレント・モノクロ・18分)です

内容は、チャップリンと妻、2人の子供たちが行楽に出かけ、いろいろとトラブルが起こり、思うようにいかない様子を描いたものです 車のエンジンがなかなか かからなかったり、交差点で警官に呼び止められてバックさせられたり、船上で他の客と殴り合いになったりします 一番可笑しかったのは、交差点でトラックからコールタールが流れ出して、警官の足が抜けなくなってしまい、その間にチャップリン一家が車で去っていくシーンです

 

     

 

「のらくら(ゴルフ狂時代)」はチャップリン監督・脚本・製作・出演による1921年アメリカ映画(サイレント・モノクロ・32分)です

ゴルフコースで紳士らと珍妙なゴルフを行っていた放浪者チャーリー。彼は公園内を歩いていたところ、警官にスリと間違われ、ホテルに逃げ込む そこでは仮装パーティが開かれており、彼を富豪のダメ亭主と勘違いした婦人に追われる羽目になる

チャップリンは放浪者と裕福な有閑層の男(夫)の一人二役を演じています ゴルフのシーンで、他人の打ったボールを自分のと勘違いして打ち、トラブルになるシーンがいくつかありますが、実際のコンペではないのだろうか、なんて暇なことを考えていました

 

     

 

「巴里の女性」はチャップリン監督・脚本・製作による1923年アメリカ映画(サイレント・モノクロ・91分)です 映画の冒頭、スクリーンに「この映画は喜劇ではない。チャップリンは出演していない」という趣旨のメッセージが表示されます その意味では、他のチャップリン映画と大きく異なる「シリアス・ドラマ」です 物語は両方の家族から結婚を反対されたピエールとマリーのすれ違い人生を描いています。チャップリンがこの映画を製作した理由は、マリーを演じたエドナ・パーヴァイアンスを、チャップリンとの共演でなくとも通用する女優として世間に認知させることや、演出に専念したいと思ったことなどが挙げられています 物語を読み解くと、ピエールとマリーを中心とする登場人物の心理を巧みに描写した作品と言えると思います なお、クレジットには出ていませんが、実はチャップリンは駅の荷運び人として出演しています 私には発見できませんでしたが

 

     

 

「サーカス」はチャップリン監督・脚本・製作・出演による1928年アメリカ映画(サイレント・モノクロ・72分)です

巡業サーカスを見ていた放浪者(チャップリン)は、泥棒と勘違いされて警察に追われサーカスのテント小屋に逃げ込んだことがきっかけで、小道具係としてサーカスに入団する 愉快なキャラクターで彼はたちまち売れっ子になる 彼は団長の娘マーナ(マーナ・ケネディ)に恋をするが、彼女は新しく入団した綱渡り師レックス(ハリー・クロッカー)に夢中になっている 彼女を振り向かせようと、放浪者は密かに綱渡りの練習をするのだった そんな中、綱渡りの演目を前にして綱渡り師がいなくなり、放浪者が代役に抜擢される 命綱が外れるなどのハプニングの中、放浪者は見事に綱渡りを演じ切る しかし、娘 はそれどころではなく、父親である団長の虐待に耐えかねてサーカスを抜け出してしまう 放浪者は迷った末に、恋敵であった綱渡り師に彼女を託す 綱渡り師は団長から彼女をかばい、彼女はサーカスへの復帰を許される サーカスの馬車が興行へと旅発つ中、放浪者はその地に留まり、去っていくサーカスを見送る すべてが去り閑散とした跡地に座り込み物思いに沈んでいた放浪者は、やがて思いを振り切るかのようにその場を立ち去っていく

この作品は文句なしの抱腹絶倒映画です 放浪者を見るとなぜか追いかけてくる馬が可笑しい チャップリンの命がけのハイライトが2カ所あります 1カ所はライオンの檻に閉じ込められてしまうシーンです。撮影では200回もライオンの檻に入ったそうです 団長の娘に檻の鍵を開けてもらい、外に逃げ出すときの素速さが半端なく、思わず笑ってしまいます もう1カ所は綱渡りシーンです。高い位置に張られたロープの上を歩くのですが、命綱のワイヤに逆さに吊るされたり、途中でワイヤが外れてしまったりして、見ていてハラハラするシーンが続きます さらに何匹もの猿が出てきて彼の邪魔をするので観ている方は手に汗握りますが、一連の綱渡りシーンはスタントを使わずチャップリン本人が演じています 綱渡りは700回以上も試みたとのことです 役者としてのチャップリンのプロ根性を見た思いです

この日に観た4つの作品に共通するのは監督・脚本・製作・(出演)がすべてチャーリー・チャップリンであることですが、もう一つあります それはすべての音楽をチャップリンが作曲していることです 4作ともサイレント映画なので、登場人物は口を動かしますが、声は出ません その代わり日本語のテロップが出て、音楽が流れます この音楽が凄い 登場人物の心境や、置かれた立場を音楽が見事に表現しています ここが並みの映画監督と違うところです

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「METライブビューイングアンコール2023」でヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」を観る ~ ラドヴァノフスキー、アルヴァレス、ホヴォロストフスキー、ザジックにブラビー!

2023年09月19日 00時38分33秒 | 日記

19日(火)。わが家に来てから今日で3171日目を迎え、ウクライナ軍の関連組織「国民抵抗センター」は17日、ロシアのプーチン大統領が13日に行われた北朝鮮の金正恩総書記との会談中、ウクライナ東部のロシア占領地域に、州内の要塞やインフラ施設の建設作業のため 北朝鮮の労働者を連れてくるよう求めたとみられるとの見方をサイトに投稿した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアは面積が広い割には人口が少ないし 若者は戦争に行ってるし 金ちゃん頼みか

 

         

 

昨日、夕食に「野菜とひき肉のドライカレー」を作りました カレーには赤ワインですね、って もうすっかり腰痛が治ったつもりでいるし

 

     

 

         

 

昨日、東銀座の東劇で「METライブビューイング・アンコール2023」のうち、ヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」を観ました これは2011年4月30日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演はレオノーラ=ソンドラ・ラドヴァノフスキー、マンリーコ=マルセロ・アルヴァレス、ルーナ伯爵=ディミトリ・ホヴォロストフスキー、アズチェーナ=ドローラ・ザジック。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱=メトロポリタン歌劇場合唱団、指揮=マルコ・アルミリアート、演出=デイヴィッド・マクヴィカーです

私はこの公演のライブビューイングは観ていませんが、2015年10月3日収録のライブビューイング(レオノーラ=アンナ・ネトレプコ他)を観ています 演出は同じです

 

     

 

「イル・トロヴァトーレ」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)がアントニオ・ガルシア・グティエレスの「エル・トロヴァドール」に基づき1851年から翌52年にかけて作曲、1853年1月19日にローマのアポロ劇場で初演された全4幕から成るオペラです 標題の「トロヴァトーレ」とは「吟遊詩人」のことです

物語の舞台は15世紀初頭のスペイン。ルーナ伯爵の陣営で警備隊長フェルランドが昔語りをする 先代の伯爵に2人の息子がいたが、弟君がジプシーの老婆に呪いをかけられたとされ、老婆は火あぶりとなり、弟君は行方不明になったという 夜、城内の庭では、暗闇の中、女官のレオノーラが恋人の吟遊詩人マンリーコと間違ってルーナ伯爵に抱きついてしまい、レオノーラを愛する2人は決闘となる(以上第1幕)

ジプシーの野営地。アズチェーナは息子マンリーコに、自分の母が火炙りにされた様子を物語る 復讐のため伯爵の弟君を火に投げ入れたつもりが、誤って自分の息子を殺したと聞き、マンリーコは自分の出生に疑問を抱く そこにレオノーラが修道院に入るという知らせがもたらされる 駆けつけたマンリーコは、先にレオノーラを略奪しようとしたルーナ伯爵から彼女を救い出す(以上第2幕)

ルーナ伯爵の陣営にアズチェーナが捕らえられてくる 彼女がマンリーコの母親と知った伯爵は復讐を誓う 一方、マンリーコの陣営では、レオノーラとの結婚が準備されている最中に、アズチェーナが捕らえられたとの知らせがもたらされる マンリーコは母親の救出のため出陣する(以上第3幕)

マンリーコはルーナ伯爵との闘いに敗れ、アズチェーナと共に塔に囚われている 一方、レオノーラはルーナ伯爵に身を任せる代わりにマンリーコの助命を嘆願する 牢に現れたレオノーラはマンリーコを逃そうとするが、先に飲んでいた毒が回り息絶える それを知ったルーナ伯爵は激昂しマンリーコを処刑する アズチェーナはルーナ伯爵に、彼こそ行方不明のお前の弟だと告げる 伯爵は「それでも俺は、生きていかなければならないのか」と絶望する(以上第4幕)

 

     

 

スコットランド出身のデイヴィッド・マクヴィカーの演出・舞台作りは極めてオーソドックスで好感が持てました 廻り舞台により場面転換がスピーディーに行われ、弛緩する所がありませんでした

レオノーラを歌ったソンドラ・ラドヴァノフスキーは米シカゴ近郊出身のソプラノです 1995年にMETのオーディションに合格し、翌年「リゴレット」でMETデビューを果たしました 第1幕のアリア「穏やかな夜」、第4幕のアリア「恋はばら色の翼にのって」をはじめ、超絶技巧の美しいコロラトゥーラによるベルカント唱法で抜群の存在感を示しました

マンリーコを歌ったマルセロ・アルヴァレスはアルゼンチン生まれのテノールです 30歳まで家具会社を経営し、本格的に声楽を学び始めてわずか数年で世界的なトップ・テナーの名声を獲得したという特異の経歴の持ち主です 本作では第3幕の「見よ恐ろしき炎」をはじめ情熱的な歌唱で聴衆を魅了しました

アズチェーナを歌ったドローラ・ザジックはアメリカ出身のメゾソプラノです アズチェーナは当たり役で、輝かしく威厳のある歌唱でジプシーの母親を見事に歌い演じました このオペラは「イル・トロヴァトーレ」よりも「アズチェーナ」とした方が良いのではないか、と思わせるほどの存在感がありました

ルーナ伯爵を歌ったディミトリ・ホヴォロストフスキー(ホロストフスキーとも書く)は1962年 ロシア・シベリア生まれのバリトンですが、第2幕第2場におけるアリア「君が微笑み」をはじめ、パワフルでありながら翳のある独特の声と、銀髪・甘いマスクで聴衆を魅了しました また、マンリーコとの二重唱、レオノーラを加えた力強い三重唱はわくわくどきどきが止まらない興奮を味わいました ヴェルディのオペラはこういうところが素晴らしいと思います 幕間のインタビューでホヴォロストフスキーは、「6月に日本でヴェルディ『ドン・カルロ』に出演するのが楽しみです」と語っていました 私はその時すでにその来日公演のチケットを入手していたので観に行きました 2011年6月10日のMET来日公演:ヴェルディ「ドン・カルロ」(指揮=ファビオ・ルイージ)です ホヴォロストフスキーはロドリーゴ役で出演しましたが、映像で観た通りカッコよくて歌も抜群に巧く、圧倒的な人気でした 

 

     

 

今でも思い出すのは、その年の3月11日に東日本大震災が起こり、それに伴って東京電力原子力発電所の事故が発生したことにより、MET来日公演で来日するはずだった何人かの歌手が来られなくなったことです アンナ・ネトレプコ、オルガ・ボロディナ、ヨナス・カウフマン、ジョセフ・カレーヤといった錚々たる歌手たちです しかし、ホヴォロストフスキーは来日し歌ってくれました ますます彼のファンになりました

しかし、残念ながら下の写真の「死亡告知」の通り、彼は 2017年11月22日に脳腫瘍が原因で死去しました 55歳は あまりにも早すぎです

 

     

 

ところで「ヴェルディのオペラの中で最高傑作は何か?」と問われたら 何と答えますか? 「マクベス」「リゴレット」「椿姫」「ドン・カルロ」「アイーダ」「ファルスタッフ」・・・まだまだありますが、迷いますね    私は「イル・トロヴァトーレ」だと答えます このオペラは最高峰の歌手が4人揃わないと上演できない作品なのです 美しいアリアあり、力強い二重唱、三重唱あり、第2幕の勇ましい「アンヴィル・コーラス」ありーといった、ある意味アンサンブル・オペラの傑作と言えるかもしれません ヴェルディの他のオペラも好きですが、「イル・トロヴァトーレ」は特別です

今回のMETライブ「イル・トロヴァトーレ」を観るにあたり、マリア・カラスがレオノーラを歌ったCDで予習しておきました いいですね、マリア・カラス

 

     

     

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阪田知樹「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 全曲演奏会」を聴く ~ 大井剛史 ✕ 東京フィルのバックで「ピアノ協奏曲第1番~第4番」 & 「パガニーニの主題による狂詩曲」

2023年09月18日 00時02分06秒 | 日記

18日(月)。わが家に来てから今日で3170日目を迎え、中国海軍の測量艦1隻が15日、鹿児島県周辺の接続水域から日本の領海に侵入したが、侵入は2021年11月以降相次いでおり、今回で9回目となる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     習近平政権のモットーは 自国の領海は中国のもの 他国の領海も中国のものだからな

 

         

 

昨日、サントリーホールで阪田知樹「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 全曲演奏会」を聴きました プログラムは①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第1番 嬰へ短調 作品1」、②同「同第2番 ハ短調 作品18」、③同「同 第4番 ト短調 作品40」、④同「パガニーニの主題による狂詩曲 作品43」、⑤同「ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 作品30」です

セルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)は最初ペテルブルク音楽院に入学しましたが、従兄でリストの高弟の一人、A.ジロティの勧めでモスクワ音楽院に転じ、N.ズヴェレフとジロティからピアノを、タネーエフやアレンスキーから作曲を学びました チャイコフスキーの影響を強く受けたモスクワ楽派の様式を守り、ピアノ曲を中心にしたあらゆる分野の作品を残しました ロシア革命でスイスに亡命、その後はもっぱらピアノ・ヴィルトゥオーソとしてヨーロッパ、アメリカで活躍しました(以上、三省堂「クラシック音楽作品名辞典」より)。

ソリストの阪田知樹は2016年フランツ・リスト国際ピアノコンクール(ブタペスト)第1位、6つの特別賞を受賞。2021年にはエリザベート王妃国際音楽コンクールピアノ部門で第4位入賞。パウル・パドゥラ=スコダ氏に10年間師事。東京藝大を経て、ハノーファー音楽演劇大学で学士、修士首席修了、現在同大学院ソリスト課程に在籍

 

     

 

私がラフマニノフの「ピアノ協奏曲 全曲演奏会」を聴くのは2度目です 1度目は2011年8月6日にサントリーホールで開かれた清水和音のピアノ独奏、高関健指揮東京交響楽団によるコンサートでした

予想通りと言うか、この日は多くの女性客が殺到しました 在京オケの定期演奏会とは雰囲気が全く違います

腰痛防止用腰ベルト着用で座った自席は1階13列12番、左ブロック右から4つ目です 会場はかなり埋まっている模様です

拍手の中、オケのメンバーが配置に着きます 弦楽器は12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東京フィルの並び。コンマスは三浦章宏です

1曲目は「ピアノ協奏曲第1番 嬰へ短調 作品1」です この曲はラフマニノフがモスクワ音楽院の学生だった1890年から翌91年にかけて、同音楽院の卒業試験のために作曲、1892年にモスクワで初演されました ラフマニノフはこの曲の前に20曲の作品を作曲していましたが、作品番号をつけず、このコンチェルトに「作品1」を付けたほどの自信作でした しかし彼はそれに満足できず1917年に全面的に改訂しました 昨今のコンサートで演奏されるのはその改訂版によるものです 第1楽章「ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

大井の指揮で第1楽章がファンファーレで開始されます この楽章では阪田の情熱的なカデンツァが見事でした 第2楽章では弱音によるピアノ独奏が印象的です そして第2楽章から第3楽章への「静」から「動」への切り替えが鮮やかでした 若きラフマニノフの意欲が伝わってくるような素晴らしい演奏でした

2曲目は「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18」です この曲はラフマニノフが28歳の時、1900年から翌01年にかけて作曲、1901年に初演されました 彼はこの曲を作曲する前、第1交響曲の不評が原因で強度のノイローゼになっていましたが、この曲はノイローゼから立ち直った彼が最初に作曲した作品で、作曲家としてのラフマニノフの名を世界に知らしめる最初の成功作となりました 第1楽章「モデラート」、第2楽章「アダージョ・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・スケルツァンド」の3楽章から成ります

阪田のピアノ独奏により教会の鐘を模した和音が静かに、そして徐々に力強く会場に響き渡ります 次いでオケが加わり情熱的な音楽が展開します ロマンティシズムの極致をいく演奏とはこういう演奏を言うのでしょう 第2楽章ではアレッサンドロ・ベヴェラリのクラリネットが良く歌い、ソリストに華を添えます フルート、ファゴットも素晴らしい 第3楽章では、力強いピアノとオケとによりスケールの大きな演奏が繰り広げられ、ラフマニノフらしい追い込むような音楽で曲を閉じました

1回目の休憩時間(20分)には、「若手男性ピアニスト公演における女性トイレ長蛇の列の法則」が適用されました

 

     

 

3曲目は「ピアノ協奏曲第4番 ト短調 作品40」です この曲はラフマニノフがロシア革命を逃れてアメリカに亡命した後の1926年に作曲、1927年3月にレオポルト・ストコフスキー指揮フィラデルフィア管弦楽団により初演されました 第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

大井の指揮で第1楽章に入りますが、第2番を聴いた後では、冒頭の音楽を聴く限り、何となく気の抜けたような印象を受けます しかし、阪田はそうしたことを払拭するかのような情熱的な演奏を展開します 第2楽章はノクターン風の美しいメロディーで阪田の弱音が美しく響きます 第3楽章に入ると一転、切れ味鋭い阪田のソロによりアグレッシブな演奏が展開します 高橋臣宣の素晴らしいホルンが華を添えます。ピアノ協奏曲の中で目立たない位置にある第4番に光を当てた素晴らしい演奏でした

4曲目は「パガニーニの主題による狂詩曲 作品43」です この曲は1934に作曲、同年ボルティモアで初演されました 「主題」はパガニーニの「無伴奏ヴァイオリンのためのカプリース」の第24番から採られています この作品は序奏と第1変奏から第24変奏までの曲から成ります なお、第7、第10、第24変奏では、ベルリオーズの「幻想交響曲」でも採用された「怒りの日」のメロディーが登場します

大井の指揮で演奏に入りますが、阪田による「変奏」に応じた変幻自在の演奏に舌を巻きます 一番有名な「第18変奏」一つとっても、理知的なアプローチにより抑制の効いたノーブルな演奏を展開しました 完璧と言ってもよい素晴らしい演奏でした

ここで2回目の休憩(10分間)に入ります 相変わらず女性トイレには例の法則が適用されていました

 

     

 

最後の曲は「ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 作品30」です この曲は1907年から09年にかけて作曲、1909年にニューヨークでラフマニノフ自身のピアノにより初演されました 彼はアメリカで演奏旅行を行い、マーラーの指揮で独奏しています 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「間奏曲:アダージョ」、第3楽章「フィナーレ:アラ・ブレーヴェ」の3楽章から成ります 

大井の指揮で第1楽章が開始されます。淡々と独奏ピアノが奏でられますが、徐々に情熱を帯びていきます。阪田はロマン溢れる演奏を展開します 第2楽章ではオーボエやホルンがソリストの抒情的で美しい演奏に華を添えます 第3楽章に入ると一転、力強い音楽が超絶技巧のピアノ独奏によって繰り広げられ、オケとの丁々発止のやり取りで圧倒的なフィナーレを飾ります

演奏が終わるや否や、会場から「ウォー」という会場を揺るがすかのような声援が起こり、盛大な拍手とブラボーとともに会場総立ちとでも言いたくなるようなスタンディングオベーションが起こりました おそらく聴衆の3分の2以上の老若男女が立ち上って拍手を送ったのではないかと思われます これほどのスタオベはここ数年見たことがありません

全曲を通して、大井剛史 ✕ 東京フィルはしっかりとソリストを支え、立派な演奏を展開したことは特筆に値します

今回、阪田知樹がラフマニノフの「ピアノ協奏曲 全曲演奏会」にチャレンジし、終始 暗譜で演奏し切り 偉業を達成したことは、彼の音楽人生に大きな足跡を残したことになります われわれ聴衆は、その場で演奏を聴いた”証人”として、この日のことは忘れないでしょう

これまでも何度か当ブログで書きましたが、若手ピアニストの中で一押しは阪田知樹です この日の演奏を聴いて増々その感を強くしました

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中山七里著「ラスプーチンの庭 刑事犬養隼人」を読む~遺体の痣はカルト宗教によるものか? 大病院での先端医療と民間医療の在り方を考えさせられるミステリー

2023年09月17日 06時42分22秒 | 日記

17日(日)。太鼓の音が聞こえてきたので外を覗いてみると、子どもたちが山車を引いて白山通りを歩いているのが見えました 近くの神社の秋祭りのようです。まだまだ暑い日が続きますが、暦の上では秋なんだな、とあらためて思いました 「祭り」ということでいつも思い出すのは、娘が保育園に通っていた頃のことです お遊戯会で歌って踊る催し物があって、娘が家で歌の練習していました 聞いていると「ぐーちゃらぐんぐんぐんぐん まわあってる~ おそぎのうわわ はなまつり~」と聞こえます ぐーちゃらぐんぐんぐんぐんって何だ? おそぎのうわわって何だ? と疑問を抱きながら、お遊戯会本番を迎えました 子どもたちがテープの歌に合わせて踊ります 耳を傾けてよ~く聞いていると「風車がぐんぐんぐんぐん 回ってる~ おとぎの村は 花祭り~」と歌っていることが分かりました そんな娘も、今では親が作る料理に注文をつけるまでに口達者に成長しました 時々、あの頃のまま大きくならなくてもよかったのに・・・と思うことがあります これ 娘には内緒です

ということで、わが家に来てから今日で3169日目を迎え、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会は15日、ロシアの侵攻が続くウクライナの首都キーウと西部リビウの2か所の世界遺産を、存続が危ぶまれる「危機遺産」リストに登録することを決めた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     タリバンと同じ野蛮人のロシア兵に 文化の重要性が理解できればいいけど どうかな

     

         

 

中山七里著「ラスプーチンの庭 刑事犬養隼人」(角川文庫)を読み終わりました 著者の中山七里は、普段から当ブログをお読みいただいている読者の皆さまにはお馴染みですね 1961年、岐阜県生まれ。「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー 「岬洋介シリーズ」としてベストセラーとなる 「中山七里は七人いる」と言われるほどの多作小説家で、「どんでん返しの帝王」とも呼ばれています 本書は「切り裂きジャックの告白」「七色の毒」「ハーメルンの誘拐魔」「ドクター・デスの遺産」「カインの傲慢」に続く「刑事犬養隼人」シリーズ第6弾です

警視庁捜査一課の刑事・犬養隼人は、娘・沙耶香の入院仲間だった少年・庄野祐樹の告別式に参列することになった 帝都大附属病院から自宅療養に切り替えた彼の遺体は奇妙な痣だらけだったが、両親は心当たりがないと言う さらに翌月、同じような痣のある自殺死体が公園で発見される 検視の結果、いずれも事件性なしと判断されたが、犬養は「これはカルトではないか」と疑問をもち、独自に捜査を進めると、「ナチュラリー」という謎の民間医療組織に行き当たる 犬養は部下の高千穂明日香とともに「ナチュラリー」を訪問し、主宰の織田豊水と対峙するが、織田は民間療法の正統性を主張する 納得できない犬養は豊水の過去を調査する。しかし、驚くべきことに豊水は「ナチュラリー」の建物内で死体となって発見される いったい何がどうなっているのか・・・

 

     

 

上記のストーリーは「聖痕」「怪僧」「教義」「殉教」という各章の中で語られますが、実はその前に「黙示」という章があります そこでは、「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」に罹った父親・汲田允が、多額の医療費を支払って帝都大附属病院で先端医療を受けたにも関わらず死亡したことにより家庭が崩壊したことから、娘の汲田姉妹が同病院に恨みを抱き復讐を誓うまでが描かれています これが伏線となって最後のどんでん返しにつながるわけですが、「またしてもやられた」という感じです

タイトルの「ラスプーチンの庭」は、高千穂明日香が「ナチュラリー」教祖の織田豊水を評した次の台詞から取られています

「血友病患者だったロシア皇太子を治療した功績で皇帝夫妻の信頼を勝ち取り、やがて宮中で権勢を揮った20世紀初頭の怪僧です あの顔を見た時から誰かに似ていると思ったんですけど、ラスプーチンでした」「司教や上流階級の知遇を得て宮中に入り込んだラスプーチンは政治に介入し始め、時の皇后と親密な関係を持ったことも手伝って教会や政界に敵を作りました 要は嫉妬ですよね。結局、ラスプーチンは彼に反感を持つ貴族の一派によって暗殺されます 泥酔させられた上に何発も銃弾を撃ち込まれたそうです

本書を読み終わって真っ先に頭に浮かんだのは「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」による霊感商法や高額献金問題、そして「宗教2世」問題がらみで顕在化した「ものみの塔聖書冊子協会(エホバの証人)」による子どもの虐待問題です 後者については佐藤典雅著「カルト脱出記 ~ エホバの証人元信者が語る25年間のすべて」を読んだ感想を2022年9月5日付toraブログに書きましたので、興味のある方はご覧ください ちなみに「ラスプーチンの庭」の単行本は、2022年7月に起きた安倍元首相襲撃事件よりも前の2021年1月に刊行されています

著者はナチュラリー事務局長の鞠谷貢に「医療法を遵守して死ぬのと、法の埒外で治療して完治するのとで有意義なのはどちらでしょうか?」と言わせているように、必ずしも高額の医療費をつぎ込んで大病院で先端治療を受けなくとも、いずれは死ぬのであるから、民間療法で治るならそれも否定できないと考えている節があります しかし それ以上に、新興宗教まがいの民間療法で金儲けをしている奴らは絶対に許さない、という強い信念を抱いているのは間違いありません

巻末の「解説」で弁護士の紀藤正樹氏が次のように書いています

「『ラスプーチンの庭』の読後感は複雑な想いを持つ それは殺人事件などの重大事件のニュースを見た時に感ずる想いに通ずるものである。日常に生起する事件には、我々社会が先に対策を取っていさえすれば、被害者も加害者も生じないのではないか、事件を防げたのではないかと考えさせられる事件が多々ある 本作で起こる事件にもまた、同様の感慨を感じた。創作であるはずの本作によって現実の事件の在りようまでをも想起させる著者の筆力には感嘆するほかない

中山七里は常に社会性のあるテーマを取り上げ、読者に問いかけてきます 読者としては作品をミステリーとして楽しむだけでなく、提起された問題を自分なりに考えることを求められます

 

     

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馳 星周著「少年と犬」を読む ~ 岩手県から熊本県まで5年をかけて辿り着いた一匹の犬の使命と運命:直木賞受賞作

2023年09月16日 06時48分53秒 | 日記

16日(土)。わが家に来てから今日で3168日目を迎え、ロシア訪問中の北朝鮮の金正恩総書記とロシアのプーチン大統領は贈り物を交換したが、プーチン氏は「何度か宇宙に行った」宇宙服の手袋とロシア製のライフルを贈り、金氏は北朝鮮製の銃などを贈った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     どっちの銃が優秀か プーチャンと金ちゃんが向かい合って撃ち合いしてみたらどう

 

         

 

昨日、夕食に「お肉やわっやわっ鶏のガリチー煮・スパゲティ添え」を作りました 今週中はビールを飲まないのでスパゲティをいつもより多めにしました

 

     

 

         

 

馳 星周著「少年と犬」(文春文庫)を読み終わりました 馳 星周(はせ せいしゅう)は1965年、北海道生まれ。横浜市立大学文理学部卒業後、出版社勤務を経て、フリーのライターに 96年にデビュー作「不夜城」がベストセラーになる。98年「鎮魂歌(レクイエム)不夜城Ⅱ」で日本推理作家協会賞長編部門、99年「漂流街」で大藪春彦賞、2020年「少年と犬」で第163回直木賞を受賞しました

 

     

 

本書は「男と犬」「泥棒と犬」「夫婦と犬」「少女と犬」「娼婦と犬」「老人と犬」「少年と犬」の7篇から成る連作短編集です

「男と犬」では、東日本大震災で被災した宮城県仙台市を舞台に、運転手として窃盗団に手を貸す中垣和正と、震災で飼い主を亡くしたシェパードの雑種「多聞」との出会いが語られます

「泥棒と犬」では、窃盗団の一員であるペルシャ人のミゲルが逃走を図り新潟県に向かい、そこで「タモン」を放すが、ミゲルは何者かによって銃殺されるという物語が語られます

「夫婦と犬」は、富山県に住む中山大貴・紗英夫妻がその犬に出会い、大貴は「トンバ」、紗英は「クリント」と名付けるが、大貴がトンバとともにトレイルランニング中、滑落事故で死んでしまうというストーリーです

「少女と犬」では、東尋坊で死のうと思った永野瑠衣がその犬に出会い「マックス」と名付け、生きる希望を取り戻していくストーリーが語られます

「娼婦と犬」では、滋賀県で娼婦の美羽がその犬と出会い「レオ」と名付ける ギャンブラーの晴哉のため風俗店で働くが、浮気を知って晴哉を殺害してしまう 自首を決意しレオを京都の山中に放つという話が語られます

「老人と犬」では、島根県で猟師を営む片野弥一がその犬と出会い「ノリツネ」と名付ける 弥一は膵臓癌を患っており、ノリツネは疎遠となった娘の代わりに、自分を看取るために使わされたと信じている 弥一は猪狩りの最中、仲間の猟師の誤射によって死亡してしまうというストーリーが語られます

「少年と犬」では、岩手県釜石市で東日本大震災に被災し、熊本県に引っ越してきていた内村徹が「多聞」と出会い、家族で飼うことにする 息子の光は大震災の経験から心を閉ざしていたが、多聞との交流で心を開くようになる しかし、熊本大地震が起こり、多聞は落下物から光を守るため庇って死んでしまう その後、光と多聞は5年前に宮城県の自宅近くの公園で会っていたことが判明する、というストーリーが語られます

「多聞」は人前に現れる時にはいつも空腹で、満身創痍の状態です しかし出会った人は、放っておくことが出来ない親しみを感じ、食物を与え、動物病院に連れていき治療を施します 助けられた恩返しをするかのように、多聞は人に癒しを与えます 人はこう思います。「この犬は自分に出会うためにやってきたのだ」と しかし、多聞は常に西の空を眺めています。そこで人は思います。「この犬は西の地方に行きたいのだ。そこに会いたい人がいるに違いない」と そういう多聞に”選ばれた”人たちの配慮によって多聞は西の方へ、西の方へと移動していきます そしてついに会うべき人に会い、彼の命を救って死んでいきます

本書は、「多聞」という名の犬が、行く先々で別の名前で呼ばれ、人々を癒しながら西の地方を目指して移動していく姿を描いている一方、それぞれの物語の登場人物の生き方や生き様を描いているとも言えます

犬で思い出すのは、子ども時代に近所に住んでいた「ジロー」という名前の犬のことです ジローを飼っていた家が川向うに引っ越してしまい、何年もジローを見ない月日が経ちました ある日、仕事から帰ってきた建具職人の父が「今日、ジローに遭ったぞ」と興奮気味に話しました 川向うに仕事に行った父が、帰りがけに橋の近くでジローによく似た年老いた犬に出逢ったので、「ジローか?」と声をかけると、しっぽを振って嬉しそうにすり寄ってきたそうです 父は頭や身体を撫でてあげたといいます 「犬は人の顔や声をよく覚えているもんだなあ」とさかんに感心していました 言うまでもなく犬は頭が良い動物です 本書を読んでずいぶん昔のことを思い出しました

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「2024 トッパンホール・ニューイヤーコンサート」のチケットを取る ~ メンデルスゾーン & ブラームス「ピアノ三重奏曲 第1番」他 / 青山美智子著「木曜日にはココアを」を読む

2023年09月15日 06時41分28秒 | 日記

15日(金)。昨夜のその瞬間から「あれ」が「優勝」に変わりました 阪神タイガース、セリーグ優勝おめでとうございます 1985年の「日本シリーズ  阪神 対 西武」を西武球場で2度観戦し、吉田監督の日本一の胴上げを目の前で見たファンの一人として とても嬉しいです タイガースについては日本一になった時にあらためて書くことにします

話は変わりますが、昨日 N響 Aプロ10月度定期公演を15日(日)から14日(土)に振り替えました 15日は14時から東響定期とN響定期がダブってしまうので、N響の方を前日に振り替えました 東響も前日に振り替えることが出来たのですが、ミューザ川崎まで行かなければならないのでやめました

 

     

 

来年1月21日(日)15時からトッパンホールで開かれる「2024年  トッパンホール・ニューイヤーコンサート」のチケットを取りました プログラムは①メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調」、②シューマン「子どもの情景 作品15」、③シュルホフ「ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲」、④ブラームス「ピアノ三重奏曲第1番 ロ長調 作品8」です 演奏はヴァイオリン=日下紗矢子、チェロ=ペーター・ブルンズ、ピアノ=フローリアン・ウーリヒです メンデルスゾーンとブラームスの「ピアノ三重奏曲第1番」の組み合わせは個人的には最高です

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3167日目を迎え、コメルサントによると、北朝鮮の金正恩氏とロシアのプーチン大統領による会談前、北朝鮮の警備員が金正恩氏が座る予定の椅子が後ろ側に座面をしっかり支える脚がついていないデザインだったため、椅子に座ったり立ったりを繰り返してチェックし、会場に同席する閣僚らの椅子の一つと取り替えた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアの事務方は面目丸つぶれだが 換えた椅子がこけたら 北朝鮮の警備員は死刑

 

         

 

昨日、夕食に「蒸じゃがタラコバター」「冷奴」「大根と人参の味噌汁」を作りました タラコとバターは合いますね。とても美味しかったです

 

     

 

         

 

青山美智子著「木曜日にはココアを」(宝島社文庫)を読み終わりました 青山美智子は1970年生まれ、愛知県出身、横浜市在住。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務 2年後に帰国し、出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る デビュー作「木曜日にはココアを」が第1回宮崎本大賞受賞。「猫のお告げは樹の下で」が第13回天竜文学賞、「月曜日の抹茶カフェ」が第1回けんご大賞受賞 「お探し物は図書室まで」と「赤と青とエスキース」が2021年・2022年本屋大賞でともに第2位となる

 

     

 

新聞の書評を読んで面白そうだと思って最初に読んだ青山美智子さんの本が「お探し物は図書室まで」でした なかなか味わい深い本だと思って、次に読んだのが「月曜日の抹茶カフェ」でした これが興味深かったので「木曜日にはココアを」を読んでみた、という順番です 物語的には先に「木曜日にはココアを」を読んでから「月曜日の抹茶カフェ」を読むのが良いのでしょうが、別に何の支障もありません

本書は「木曜日にはココアを」(ブラウン)、「きまじめな卵焼き」(イェロー)、「のびゆくわれら」(ピンク)、「聖者の直進」(ブルー)、「めぐりあい」(レッド)、「半世紀のロマンス」(グレイ)、「カウントダウン」(グリーン)、「ラルフさんの一番良き日」(オレンジ)、「帰ってきた魔女」(ターコイズ)、「あなたに出会わなければ」(ブラック)、「トリコロールの約束」(パープル)、「恋文」(ホワイト)の12色による連作短編集です

川沿いの桜並木がちょうど終わるあたりで、大木に隠れるように建っている小さな喫茶店「マーブル・カフェ」 そこで、ある女性客に出された一杯のココアから、東京とシドニーを繋ぐ12のカラーに因んだストーリーが展開します 主人公が入れ替わり、そして交わりながら”小さな幸せ”が語られていきます。家事・育児を専業主夫に任せてキャリアウーマンとして働く女性の作る卵焼き、落とし忘れたネイルを注意された幼稚園の保母さん、動物園で出会った幸せそうな老夫婦・・・そして、最後の話が最初の話につながっていく 意図したわけではない何気ない行為が、いつの間にか誰かを救っているかもしれない ー そんなことを思わせてくれます 二人のココアさんの小さな幸せを祈らないではいられません 読後感が心地よい作品です

ところで、本の内容とは全く関係ありませんが、この本にはちょっとした”仕掛け”があります 読み終わる頃に「この本のカバー、やけに分厚いなあ」と思ってよく見ると、二重になっているのです 外のカバー(写真の上)には「帯」が印刷されています。そのカバーをめくると、ほとんど同じデザインの別のカバー(写真の下)が現れます カバーの左下に「カバーデザイン:菊池祐」とあるので、彼のアイディアだと分かります この手法は「木曜日にはココアを」に限らず、どんな本でも良いわけですが、この本でなければならない特別な意図があるのだろうか? 地下鉄はどこから入れるんでしょうねぇ?  こんな難しい問題 とてもカバーしきれません 考えると 本とうに眠れなくなるんですよ

 

     

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無料招待コンサートのご案内 ~ バッティストーニ ✕ 五十嵐薫子 ✕ 村田夏帆 ✕ 東京フィル(11月19日)/ 阿川佐和子著「老人初心者の覚悟」を読む

2023年09月14日 06時41分15秒 | 日記

14日(木)。腰痛が再発してからまだ日にちが浅いのに、珍しく痛みが激減しました お酒は飲まないし、寝ても起きても腰ベルトを着用していることが大きいと思います しかし、「治ったぁ 快気祝いに乾杯だ」と大喜びしてビール をかっ食らったり、「2本立て映画 を観に行くぜぃ」と調子こいてると、すぐにまた再発するのは(経験上)目に見えています 少なくとも今週中は整体の院長の言いつけを守り「清く正しく美しく」過ごそうと思います・・・って、宝塚かよ

さて、無料招待コンサートのご案内です 11月19日(日)15時から渋谷のオーチャードホールで開かれる「未来の巨匠コンサート2023」に抽選で500名が招待されます 

オーチャードホールの定員は2150人なので、500人ということは定員の4分の1近くの席が招待席になります

プログラムは①シベリウス「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調」、②ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番 ”皇帝”」、③バッティストーニ「コリバス」他です  演奏は①のヴァイオリン独奏=村田夏帆、②のピアノ独奏=五十嵐薫子、管弦楽=東京フィル、指揮=アンドレア・バッティストーニで、司会はTOKYO-FM「ブルーオーシャン」の住吉美紀さんです

 

     

     

 

応募期間は9月17日から10月8日までで、応募方法はインターネットのみです 下の「QR」コードからホームページ内の応募フォームに進んで申し込むようになっています

ダメもとで申し込んでみてはいかがでしょうか

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3166日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は13日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記をロシア極東アムール州のボストーチヌイ宇宙基地で出迎えたが、今後首脳会談により、北朝鮮はロシアの先端技術の供与を求め、ロシアは北朝鮮の武器や弾薬の供与を求めると思われる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     世界の無法者国家とならず者国家の取引だ ここに中国が加われば 強権主義三羽烏

 

         

 

昨日、夕食に「ブリの照り焼き」「豚汁」「冷奴」を作り、「イワシの刺身」と一緒にいただきました 魚はヘルシーなので 出来るだけ食べたいですね

 

     

 

         

 

阿川佐和子著「老人初心者の覚悟」(中公文庫)を読み終わりました 阿川佐和子は1953年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部西洋史学科卒。エッセイスト、作家 1999年に檀ふみとの往復エッセイ「ああ言えば、こう食う」で講談社エッセイ賞、2000年に「ウメ子」で坪田譲治文学賞を受賞 2012年には「聞く力ー心をひらく35のヒント」がミリオンセラーとなった

 

     

 

本書は「婦人公論」に「見上げれば三日月」のタイトルで連載されたエッセイのうち、2016年7月26日号 ~ 2019年9月10日号掲載分から42編を選んで収録したものです

阿川佐和子と言えば「対談の名手」です しかし、本書を読むと「エッセイの名手」でもあることが分かります その点、向田邦子と共通しているように思います。しかし、その文体は全く異なります。向田邦子は男性的な「である」調の文体で、短いセンテンスでズバッズバッと切り込んできます。そのリズム感が心地よく感じます 一方、阿川佐和子は親しい友人に語りかけるように「ねえ、こんなことあったんだけど、あなたには経験ないですか?」みたいに、すーっと入ってきます

私は本を読む時、「この表現は面白い」とか「これはブログで使えるぞ」というフレーズがあると、そのページの上の角を折る(いわゆる「ドッグイヤー」)癖があるのですが、本書を読み終わって「犬の耳」を見たら片っ端から折られていて、「これじゃ、折っても折らなくても同じじゃん」と自分にツッコミを入れました

私が声を出して笑ってしまったのは「立場変われば」というエッセイです 一部を抜き出してご紹介すると次の通りです

「あるとき私が、『ブラジャーとは、頻繁に洗濯するものではないと思っていた 私の場合、だいたい3週間に1度の頻度で洗っている』という内容のエッセイを書き上げて、担当編集者のK子に送ったところ、即座に電話がかかってきた。『お原稿、読みましたあ。でもアガワさん、やだあ 本当に3週間も洗わないんですかあ? きったなーい』。お父さんの汚れたパンツを間違えて拾い上げた娘のごとき奇声を発して呆れるので、私はビビった 私同様、大ざっぱな性格と思しきK子でさえ そんな反応か。この分では読者から反感を買う恐れがある 『3週間を2週間に変えた方がいいかな』と提案したところ、『いえいえ、3週間で行きましょう。大丈夫ですよ』K子の太鼓判を信じて雑誌に掲載したところ、大反響だった。あちこちから『読んだぞ』と声をかけられた。ただそれは、共感とはほど遠く、『3週間も洗わないの?  信じられなーい』。女性のみならず、憎からず思っていた殿方にまで眉をひそめられ、私は泣いた(わりにまたここで書いているんですけどね)」

いくらなんでも3週間に1度は間隔開きすぎだと思います バストはベストの状態でカバーしておいた方が良いと思います 今や既婚者の佐和子さん。せめて1週間に1度くらいには短縮しているのではないかと想像します

「自分もそうだった」と共感したのは「予定外のオンナ」というエッセイです 一部をご紹介すると次の通りです

「試験が近づくと、レポート用紙を取り出してまず計画を立てる 朝8時から10時は世界史、10時半から12時まで古文。昼休みを挟んで1時から3時、英文解釈。その後、30分ティータイム そして3時半から数学・・・・。きれいに書き上げると勉強机の前の壁に貼り付ける。すでにかなりの満足感 よし、この予定で頑張るぞ ところがこの計画、守られたためしがない どんどんずれ込んでいく。ずれ込むごとに書き直す。昼休み後を古文にして、ティータイムは夜に回そう。よし、頑張るぞ。いくら書き直しても予定は予定。現実との落差が大きくなるばかりである そして結局、すべてが間に合わないまま試験に突入するはめとなる 家族はそんな私を見て、『企画庁長官』と命名した。つまり、私は立てた予定を達成したことがないのである。だから、予定をクリアして達成感を味わったことはない

まるで、高校入試を控えた中学3年時の自分のことを書いているように思い、激しく共感を覚えました   よく県立高校に合格できたと思います

ところで、エッセイ「たったオノマトペ」の中で、父上の作家・阿川弘之氏が絵本(絵ではなく文章の方)を書いたことがあると紹介されていました 「しゃっ しゃっ しゃくだ しゃくだ」「ちゃん ちゃん かたかた けっとん」「けろろん ろんろん けろろん ろん」というリズミカルなオノマトペで表した『きかんしゃ  やえもん』です ベストセラーとなったこの絵本は、子どもたちが小さい頃によく読み聞かせをしたものです その絵本が佐和子さんの父上の作によるものだとは、その当時はまったく意識していませんでした 佐和子さんは「その子供である私は『けろろん ろん』と無事に育つことができたのだと感謝している」と書いています

本書は「老人若葉マーク」の著者が、老化と格闘する日々を赤裸々に綴った痛快エッセイ集です 決して電車の中では読まないようにご注意申し上げます

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マリオ・ヴァンツァーゴ ✕ 読響でスクロヴァチェフスキ「交響曲」、ブルックナー「交響曲第4番 変ホ長調 ”ロマンティック”」を聴く ~ 読響第631回定期演奏会

2023年09月13日 00時18分01秒 | 日記

13日(水)。わが家に来てから今日で3165日目を迎え、東京都教育委員会などは11日、2024年度入学者対象の都立高校入試から男女別定員を全面廃止することを決めた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     今まで こんな恥ずかしい男女差別をやっていたとは 東京はアナクロニズムの極致!

 

         

 

昨日、夕食に「豚の生姜焼き」と「カブの味噌汁」を作りました 生姜焼きは豚小間肉を使いましたが、サラダをワンプレートに乗せ、洗いものを少なくしました

 

     

 

         

 

昨夜、腰痛対策用腰ベルト着用のうえ、サントリーホールで読売日響「第631回定期演奏会」を聴きました プログラムは①スクロヴァチェフスキ「交響曲」、②ブルックナー「交響曲第4番 変ホ長調 ”ロマンティック”」です 指揮はマリオ・ヴァンツァーゴです

マリオ・ヴァンツァーゴはスイス・チューリヒ生まれ。ウィーン国立音楽大学でハンス・スワロフスキーらに師事。インディアナポリス響、ハイデルベルク市歌劇場、グラーツ歌劇場、バーゼル響、イェーテボリ響などの音楽監督を歴任。2010年から今年夏までスイスのベルン響の首席指揮者兼芸術監督を務めました

 

     

 

オケは16型で左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの読響の並び   ステージ下手にはピアノ、チェレスタ、ハープがスタンバイします コンマスは林悠介、アシスタント・コンマスは「葵トリオ」の小川響子が客演しています 最近、小川さんの客演が多いように思いますが、何かあるのかな

1曲目はスクロヴァチェフスキ「交響曲」です スタ二スラフ・スクロヴァチェフスキ(1923ー2017)はポーランド出身の指揮者・作曲家です。2007年から10年にかけて読響の常任指揮者を務めました 今年が彼の生誕100年に当たることから、今回”日本初演”として演奏されることになりました この曲は2003年に作曲された作品で、第1楽章「レント・ミステリオーソ」、第2楽章「プレスト・テネブローソ」、第3楽章「アダージョ」の3楽章から成ります

背が高く頑丈そうな体型のヴァンツァーゴが指揮台に上り、第1楽章に入ります 弱音によって緊張感を高める所謂”現代音楽”が流れ、「こういうの苦手。帰ろうかな」と思いました。第2楽章に入ると何とかついていけそうな曲想になり、林コンマスのヴァイオリン・ソロが演奏されたのを機に「帰ろう」という考えを止めました 第3楽章に入ってやっと曲の良さが少し分かり始めました。この楽章でも林氏の美しいソロが救いでした 演奏後は すごい拍手でしたが、読響の演奏は素晴らしかったものの、みんな曲の良さを解って拍手してるのかな

この日も「ブルックナー・プログラム公演 男性トイレ長蛇の列の法則」が適用されました

 

     

 

プログラム後半はブルックナー「交響曲第4番 変ホ長調 ”ロマンティック”」です この曲はアントン・ブルックナー(1824-1896)が1874年に作曲(初稿)、1878年から80年にかけて改訂、1881年2月20日にウィーンで初演されました 各楽章に中世ロマネスク時代への憧れを示す標題的内容があるとし、その意味で作曲者自身が「ロマンティック」と名付けました 第1楽章「運動的に、しかし速すぎずに」、第2楽章「アンダンテ・クアジ・アレグレット」、第3楽章「スケルツォとトリオ」、第4楽章「フィナーレ:運動的に、しかし速すぎずに」の4楽章から成ります

第1楽章が弦楽器のトレモロとホルンによる「ブルックナー開始」で幕を開けます 速いテンポでサクサクと演奏されたので、ちょっと意外でした 日橋辰朗のホルンが素晴らしい 彼の演奏はこの楽章に限らず、全楽章を通して冴え渡っていました この楽章ではホルン・セクションをはじめ、トロンボーン、テューバ、トランペットといった金管楽器が良く鳴っています 木管楽器ではオーボエの金子亜未、フルートのフリスト・ドブリノヴの演奏が際立っていました 第2楽章では、遠藤真理と富岡廉太郎の率いるチェロ・セクションの深い演奏が印象的でした また、柳瀬省太率いるヴィオラ・セクションがこの楽章を通して素晴らしい演奏を展開しました 第3楽章ではホルンを中心に狩りの音楽が展開し、トリオではフルートがよく歌いました 第4楽章は、再び速いテンポで開始され、推進力に満ちた演奏が繰り広げられました フィナーレは金管・木管楽器が咆哮し、ティンパニが炸裂し、弦楽器が渾身の演奏を展開、音の大伽藍を築き上げました

満場の拍手がヴァンツァーゴと読響の面々に送られ、カーテンコールが繰り返されました

読響は巧い連中が揃っているなあ、とあらためて思いました とくにブルックナーの交響曲のような大曲は、読響の深みのあるゴージャスなサウンドで聴くと、一層曲の良さが解ります

         

ところで、久しぶりに”天下無敵”のサスペンダー爺さんを見ました これまでも何度かコンサートで見かけましたが、それほど目立った動きがなかったので、「爺さん、最近おとなしくなったのかな」と思っていました ところが、昨日はいつもの悪い癖が再発したようです 開演時間になり、楽団員が三々五々ステージに現れ配置に着きます そして、拍手に迎えられて林コンマスが入場してきた まさにその時、爺さんがレセプショニストに伴われてヨタヨタと現れ、1列目の、コンマスの真ん前の席に座ったのです    何なんでしょうか、この図々しさは   どんなに遅くとも開演時間には自席に着いて、オケの面々を迎えるのが”聴く側”としての常識です それを、コンマスが出てくるタイミングを狙ったように登場するのは「計算づく」としか思えません コンマスはじめオケの楽団員の皆さんに対して失礼です。定期会員の多くは、爺さんが注目を浴びるために意図的に遅く入場してくることを知っています そして、みんな呆れています ホール側も、開演時間になったら扉を閉めて入場を拒否するとか、対応を取った方が良いと思います オーケストラに対する敬意がない者はコンサート会場に来るべきではない

         

さて、もう一つあります。ブルックナー終演後、聴衆が拍手をする中、隣席の若者がスマホを取り出し、何とカーテンコールを写メし始めたのです N響、東響、新日本フィルなどはカーテンコール時の写メが許されていますが、読響は解禁されていません よほど注意しようと思いましたが、最近は若者に限らず、ナイフや包丁をバッグに忍ばせている可能性もあるので、止めときました マナーを守れない者が後を絶たないのは困ったものです

 

     

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ブレンダン・スロウカム著「バイオリン狂騒曲」を読む / 「小倉喜久子 ~ フォルテピアノの世界」、「紀尾井 明日への扉 ~ タレイア・クァルテット」のチケットを取る

2023年09月12日 06時41分43秒 | 日記

12日(火)。腰痛が再発してしまいました 昨年1月に発症、行きつけの整体で約2か月間治療し、それ以来治まっていたので安心していたところでした 思い返せばこの3週間は21日間のうち18日間をコンサートを聴いたりオペラのライブビューイングを観たりと、相当ハードな毎日を過ごしていたので、腰に大きな負担がかかったのだと思います 腰にとって一番悪いのは「座りっぱなし」です 院長からは、今後1週間は①あちこち動き回らないで、出来るだけ横になって身体を休ませること、②お風呂はシャワー程度、③お酒は厳禁、④患部を冷やすこと、ただしやり過ぎると凍傷になるので気をつけること ー を厳命されました 幸い今週は2回しかコンサートがないので、それ以外の日は映画鑑賞の予定は入れないようにして、読書しておとなしく過ごそうと思います

ということで、わが家に来てから今日で3164日目を迎え、中国のためにスパイ行為を働いた疑いで、ロンドン警視庁が英議会の調査担当者ら2人を逮捕していたことが10日までにわかった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     国民を相互監視態勢で縛る習近平政権にとって 海外におけるスパイ行為など朝飯前

 

         

 

昨日、夕食に「ピーマンの肉詰め・チーズ入り」「生野菜サラダ」「豆腐とオクラの味噌汁」を作りました 「ピーマン~」はチーズを入れると一層美味しくなります

 

     

 

         

 

12月開催のコンサート・チケットを2枚取りました

1枚は、12月9日(土)14時から第一生命ホールで開かれる「小倉喜久子   フォルテピアノの世界」です プログラムは①J.S.バッハ「2台のクラヴィーアのための協奏曲ハ短調BWV1062」、②C.Ph.Eバッハ「チェンバロとフォルテピアノのための協奏曲変ホ長調Wq47/H479、③モーツアルト「2台のクラヴィーアのためのフーガハ短調K.426」、④同「2台のクラヴィーアのための協奏曲変ホ長調K.365」です 演奏はクラヴィーア/チェンバロ=小倉喜久子、川口成彦、管弦楽=オルケストラ・デル・モンド・デル・フォルテピアノです

 

     

     

     

もう1枚は、12月13日(水)19時から紀尾井ホールで開かれる「紀尾井 明日への扉 タレイア・クァルテット」のコンサートです プログラムは①ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第11番ヘ短調作品95”セリオーソ”」、②メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第1番変ホ長調作品12」、③シューベルト「弦楽四重奏曲第14番ニ短調D810”死と乙女”」です タレイア・クァルテットは第1ヴァイオリン=山田香子、二村裕美、ヴィオラ=渡部咲耶、チェロ=石崎美雨です。このうち石崎美雨は日本フィルの楽団員です

 

     

 

         

 

ブレンダン・スロウカム著「バイオリン狂騒曲」(集英社文庫)を読み終わりました ブレンダン・スロウカムは米ノースカロライナ州フェイエットヴィル出身。9歳からヴァイオリンを習い、ノースカロライナ大学で音楽を専攻 オーケストラでの演奏のほか、教師として幼稚園、小中学校での音楽教育にも力を入れる。小説家としては本作がデビュー作となる

チャイコフスキー国際コンクールを目前に控えた黒人ヴァイオリニスト、レイ(レイクアン)・マクミリアンのヴァイオリンが突然ホテルの部屋から消えた ケースに入っていたのは1枚の脅迫状だった。そこにはヴァイオリンを返してほしければ500万ドルのビットコインを指定番号に送れと書かれていた レイが祖母から譲り受けた古いヴァイオリンはストラディヴァリウスだった 黒人差別と偏見に耐えながらやっと手に入れた世界の舞台への切符だったが、肝心の楽器が盗まれてしまったのだ 母親や親せきは古いヴァイオリンが高価な楽器だと分かると売却して分配すべきだと主張していた また、その楽器は自分の祖先が奴隷に奪われたものだから返却すべきだとする白人の兄妹が現れる そうした思惑と計略が渦巻く中、レイは真犯人からストラディヴァリウスを奪い返し、国際コンクールの舞台に立つことができるのか

 

     

 

著者は「あとがき」で次のように書いています

「クラシック音楽の世界では有色人種の音楽家の数が極端に少ない・・・それが、ぼくがこの本を書こうと思った理由のひとつです 統計によると、クラシックの交響楽団に所属する演奏家のうち黒人の割合は1.8%で、有色人種全体でも12%です けれども日々演奏を行う僕にとって、それは単なる統計上の数字ではありませんでした。それは僕の生き方に、愛する音楽を演奏することに、そしてしばしばあることですが、いまだ理解不能な理由によってそれを妨げられることに関するものなのです この小説に登場する出来事の多く ~ 結婚式の場面、バトン・ルージュでの手荒い仕打ち、オーディション ~ は、僕のこれまでの経験に基づています。肌の色が違うというだけの理由で嫌悪の目を向けられるのは気分が滅入りますし、こんな思いをする人がひとりもいなくなってほしいという気持ちになります 僕と異なる外見の友人にこういう経験を話すと、判で押したように同じ反応が返ってきます。『そんなわけない。それは違うよ』すべて本当なのに 黒人ヴァイオリニストである僕は、非黒人のライバルの2倍努力しなくては同じものが得られませんでした。大学ではいつも自分の能力を認めてもらう努力をしなくてはなりませんでした

クラシックの交響楽団の演奏家のうち黒人の占める割合が少ないのはアメリカに限りません 日本についてみてみます

「フェスタサマーミューザKAWASAKI 2023」に参加した在京オーケストラの楽団員数を、その時に配布された各オケのパンフレット記載データで見ると、東京フィル=160人、N響=103人、読響=92人、新日本フィル=90人、日本フィル=80人、東響=79人、東京シティ・フィル=58人で、合計662人です このうち黒人らしき楽団員が在籍しているのは都響の1人だけではないかと思います 全体に占める割合は0.15%です。もっとも日本のオケの場合は、日本人以外の楽団員の割合が少ないと言った方が良いかもしれません

本書を読むと、黒人に対する差別や偏見に対する”怒り”が伝わってきます 彼が一番言いたいのは「人種や外見に関係なく、それぞれが敬意を払うべきだ」ということです

本書はタイトルに相応しく、レイが弾く曲をはじめとしてクラシック音楽が数多く登場します その意味ではクラシック・ファンには馴染みやすい内容となっています また、レイの所有するストラディヴァリウスの来歴や、誰が何の目的でそれを奪ったのかを追う推理小説としても十分に楽しめる作品です 500ページを超える大作ですが、面白くてページをめくる手が止まりませんでした クラシック・ファンに限らず広くお薦めします

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ファビオ・ルイージ ✕ マルティン・ヘルムヒェン ✕ NHK交響楽団でリヒャルト・シュトラウス「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」「ブルレスケ」「イタリアから」を聴く

2023年09月11日 06時44分31秒 | 日記

11日(月)。わが家に来てから今日で3163日目を迎え、インドでの20か国・地域首脳会議(G20サミット)に出席したイタリアのメロー二首相は、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に関する投資協定から離脱する方針を中国の李強首相に非公式に伝えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     習近平の顔をつぶすことになるから 中国は間違いなく貿易報復措置を取るだろうな

 

         

 

NHK交響楽団の新シーズンが始まりました 昨日、NHKホールでN響9月度定期公演Aプログラムを聴きました オール・リヒャルト・シュトラウス・プログラムで、①交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら 作品28」、②「ブルレスケ  ニ短調」、③交響幻想曲「イタリアから 作品16」です 演奏は②のピアノ独奏=マルティン・ヘルムヒェン、指揮=首席指揮者ファビオ・ルイージです

 

     

 

オケは16型で左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び コンマスは”マロさん”こと篠崎史紀です

1曲目はリヒャルト・シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら 作品28」です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が1894年秋から翌95年5月にかけて作曲、1895年11月6日にケルンで初演されました

紳士ルイージが指揮台に上り演奏に入ります   弦楽器のソフトな演奏により「むかしむかし・・」と物語が始まり、ホルンによる主役ティルが登場します このホルンが大活躍しますが、今井仁志の演奏が素晴らしい オーボエの吉村結実、フルートの神田寛明の演奏が冴え渡りました そして、弦楽セクションのシャープな演奏が光りました

ところで、この曲を初めて聴いたのはン十年前に聴いたヘルベルト・ブロムシュテット指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団による演奏です このオケは当時、東ドイツの楽団でしたが、いぶし銀のような独特の音を持っていて、すっかり魅了されました それ以来、来日公演があるたびに聴きにいったので、FM放送からオーケストラ曲が流れてくると「あっ、これはドレスデンだ」と解ったものです 今はCD以外で聴く機会がなくなってしまいましたが、オーケストラとしては一番好きな楽団です

 

     

 

2曲目は「ブルレスケ  ニ短調」です 「ブルレスケ」とは”お下品な笑劇”のことですが、この曲は単一楽章によるピアノとオーケストラのための作品です 1885年から翌86年にかけて作曲、1890年6月21日に作曲者自身の指揮、オイゲン・ダルベールのピアノ独奏によりアイゼナハで初演されました

ピアノ独奏のマルティン・ヘルムヒェンは1982年ベルリン生まれ。ハンス・アイスラー音楽大学、ハノーファー音楽演劇大学で学ぶ 2001年にクララ・ハスキル国際コンクールで優勝しています

ステージに登場したヘルムヒェンは風貌が何となくメンデルスゾーンに似ています

ルイージの合図により、植松透の軽快なティンパニの連打で演奏が開始されます すぐに独奏ピアノが入ってきますが、力強くも粒立ちが綺麗です かなりの超絶技巧曲で、速いパッセージが鮮やかに弾かれました 中盤の緩やかなパッセージでは独奏ピアノによる詩情豊かな演奏が繰り広げられました オケとの間合いが難しそうな曲ですが、ヘルムヒェンは何の問題もなく鮮やかな演奏を展開しました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、ヘルムヒェンはシューマン「森の情景」から第7曲「予言の鳥」を抒情的に演奏、再び大きな拍手に包まれました この時、紳士ルイージは舞台袖で立ったままソリストの演奏に耳を傾け、演奏が終わると袖で彼を迎えました こういう指揮者は他にいないのではないか、と思います

 

     

 

プログラム後半は交響幻想曲「イタリアから 作品16」です この曲は1886年に作曲、1887年3月2日にミュンヘンで初演され、ハンス・フォン・ビューローに献呈されました 第1曲「カンパーニャで」、第2曲「ローマの廃墟で」、第3曲「ソレントの海岸で」、第4曲「ナポリ人の生活」の4曲から成ります

この曲の成り立ちについて岡田暁生氏がプログラム・ノートで次のように書いています

「シュトラウスは『良家のお坊ちゃん』であった 父フランツはミュンヘン宮廷歌劇場の名ホルン奏者であり、母はミュンヘンの大ビール会社のお嬢さんだった 当時のヨーロッパの上流家庭には、20歳くらいになると息子に見聞を広めるためのイタリア長期旅行をさせる習慣があり(グランドツアー)、シュトラウスも1886年4月から5月にかけてイタリアに行かせてもらった ローマとナポリを中心に名所旧跡を見て回り、鮮烈な印象を受けた彼が、帰国後すぐ完成させたのが本作品である

金持ちの息子はメンデルスゾーンだけではなかったのですね 初めて知りました

この曲は事前にルドルフ・ケンペ指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団によるCDで予習しておいたのですが、どうも音楽がすんなりと耳に入ってきませんでした ライブ演奏ならどうか、と期待して聴きましたが、そう簡単に問題は解決しませんでした ただ、第3楽章における木管楽器群の抒情的な演奏や、第4楽章における「フニクリ・フニクラ」をパラフレーズした音楽は楽しく聴くことができました 全体的な印象として、ルイージは洗練された音楽作りに徹していると感じました

N響の思う壺ですが、カーテンコールを写メしておきました

 

     

     

 

     

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