人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

アファナシエフのピアノ・リサイタル他のコンサート・チケットをゲット

2012年11月20日 07時19分00秒 | 日記

20日(火).昨夕は,土曜日の”釣り大会”の反省会ということで地下のRで飲みました 心配された当日の天候は,予報どおり強風・大雨のため急きょ海釣りから屋形船での川釣りに変更され,アジがハゼになったとのこと RのT店長も参加したので釣果のハゼが酒のツマミに出されました.皆が釣りの反省をしている時に,”釣り大会に参加しなかったのに,何でここに座って飲んでいるんだろう?”と反省しました.私の半生なんてこんなものです 解散のあと,X部長に拉致され上野に向かいました.またしてもカラオケ・スナックFで歌合戦をやりましたが,2人とも最高点が93点.X部長は嬉々として,私はうな垂れて帰ってきました

 

  閑話休題  

 

コンサートのチケットを4枚買いました.1枚は12月10日に東京文化会館で開かれるMAP'S(宮本文昭指揮オーケストラ)コンサートです プログラムは①モーツアルト「ディヴェルティメントK.137」,②同「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」,③グリーグ「ホルベアの時代より」,④チャイコフスキー「弦楽セレナード」ほかです

 

          

 

2枚目は12月13日に上野の東京藝大奏楽堂で開かれる藝大学生オーケストラのコンサートです プログラムは①モーツアルト「歌劇”後宮からの誘拐”序曲K.384」,②モーツアルト「ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488」,③マーラー「交響曲第1番”巨人”」,指揮はダグラス・ボストック,ピアノ独奏は坂井千春です.入場料は全自由席で1,500円.これはコストパフォーマンスが非常に高い公演です ナマでモーツアルトのピアノ・コンチェルトとマーラーのシンフォニーが1,500円で聴けるなんて最高

 

          

 

3枚目は来年3月24日にサントリーホールで開かれる日本フィルの名曲コンサートです プログラムは①チャイコフスキー「交響曲第2番”小ロシア”」,②グリーグ「ピアノ協奏曲」(ピアノ:萩原麻未),③ラヴェル「ボレロ」です.言う間でもなく,萩原麻未のピアノを聴きたくてチケットを買いました

 

          

 

4枚目は来年6月15日に紀尾井ホールで開かれるヴァレリー・アファナシエフのピアノ・リサイタルですオール・ブラームス・プログラムで,「7つの幻想曲 作品116」「3つの間奏曲 作品117」「6つのピアノ曲 作品118」「4つのピアノ曲 作品119」が演奏されます アファナシエフのリサイタルを聴くのは2回目ですが,1回目に弾いたブラームスの今にも止まりそうな,しかし美しい演奏にすっかり魅了されました.今回も名演に期待したいと思います

 

          

 

 

 

 

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マーラー「若き日の歌」,R.シュトラウス「家庭交響曲」を聴く~東響定期公演 

2012年11月19日 06時58分32秒 | 日記

19日(月).昨日,サントリーホールで東京交響楽団の第605回サントリーホール・シリーズ定期演奏会を聴きました プログラムは①マーラー/べリオ編「若き日の歌」より5曲(バリトン:ロディオン・ボゴソフ),②リヒャルト・シュトラウス「家庭交響曲」の2曲.指揮は飯森範親です

コンサートに出かける際に大切な忘れ物をしてしまいました.スーツあるいはジャケットの胸ポケットにはボールペンがさしてある(はず)なのに,ホールに着いて取ろうとすると,無いのです これは大失態です.ブログを書くにために,曲の合間にメモをとるのですが,ボールペンがないとすべて記憶をたどって思い出さなければならないので相当キツイのです こういうことは年に2回位ありますが,この日がそのうちの1回です

 

          

 

オーケストラがスタンバイしますが,いつもと配置が違います.チェロとヴィオラが逆になっていて,チェロが右端に位置しています.この理由は後で分かります

1曲目のマーラー作曲べリオ編「若き日の歌より」は,音楽学者でマーラー研究家アンリ・ルイ・ドゥ・グランジュが1986年にマーラー祝祭週間の際に,マーラーの初期歌曲「若き日の歌」のオーケストラ化をべリオに依頼し,これに応えてオーケストラ化したのが,この作品です

バリトンのロディオン・ポゴソフが指揮者・飯森範親とともに登場します ポゴソフはモスクワ生まれ,まだ若いバリトンです.プロフィールによるとメトロポリタン歌劇場をはじめ世界のオペラ劇場で歌っているようで,今後もMETで「セビリアの理髪師」フィガロ役などが予定されているとここと

第1曲「夏に小鳥はかわり」から第4曲「いたずらな子をしかりつけるために」までは「子供の魔法の角笛」から採られていますが,第1曲は交響曲第3番の第3楽章にも同じメロディーが使われています ボゴソフは張りのあるバリトンで軽快に歌います 最後の第5曲「思い出」が静かに歌われ曲を閉じると,満場の拍手が満たしました この人は歌もうまく見栄えがするので世界的に人気が出るかもしれません

1曲目が終わったので席を立とうとしたのですが,オーケストラのメンバーが座ったままで,しかもメンバーが追加され大編成になりました 「これは変だ」と思っていると,指揮者の飯森がマイクを持って登場しました

「後半に演奏するリヒャルト・シュトラウスの”家庭交響曲”は,彼の家庭の出来事を音楽にしたものですが,曲を理解するためにあらかじめ演奏を交えながら説明しておきたいと思います

として,第1楽章の提示部から解説しました.まず,シュトラウス,妻のパウリーネ,息子のフランツの3人の家族が3つの主題群で提示されます 夫(シュトラウス)は「気楽」で「夢見がち」な,時に「不機嫌」にもなる「気性の激しい」性格の持ち主.母親(パウリーネ)は時にガミガミとうるさく,ときに優しく,息子は悪戯盛りで何をするか判らない存在・・・・・こうした性格を音で表現していきます そしてさらに解説します

「パウリーネのテーマはコンサートマスターの大谷康子さんが,シュトラウスのテーマは首席チェロの西谷牧人さんが演奏するので,いつもと違い,チェロを第1ヴァイオリンと対局の位置にしました

この解説があったお陰で後半の「家庭交響曲」は非常に分かりやすく理解度が深まりました それにしても,リヒャルト・シュトラウスは何と大袈裟な音楽を作るのでしょうか 作曲家たる者,普通「家庭」をテーマに交響曲を作曲しようなどとは思わないのではないかと思います しかも自分の家庭の事を音楽にしているのです.信じられません この人の作曲した交響詩「英雄の生涯」などは,過去の自分の作品を片っ端から登場させて,結局,英雄は自分自身であることを音で表しています これほど誇大妄想の大きな作曲家も他にいないのではないかと思います 皆さんの近くにもいませんか,ほんの小さなことを大袈裟に拡大して大事にしてしまう人が・・・・・こういうのを”針小棒大”と言いますが,リヒャルト・シュトラウスこそ,身近な出来事を音楽によって”針小棒大”にして表現した希少な作曲家と言えるのではないでしょうか

 

          

 

そんな中で,私が唯一リヒャルト・シュトラウスの作品で評価しているのが歌劇「ばらの騎士」です.この作品はモーツアルトのオペラを意識して作曲したと言われていますが,華麗な舞台・演出と相まって美しいアリアが歌われます ”喜歌劇”なので観ていて飽きることがありません.彼にはこういう作品をもっとたくさん作って欲しかったと思います

リヒャルト・シュトラウスと言えば,自作(多分,交響詩のどれか)を指揮をしている姿をビデオで観たことがあります.オーケストラはウィーン・フィルだったと思います.あの”誇大妄想の権化”のシュトラウスであるから,さぞかし大袈裟な指揮振りなのではないかと想像していたのですが,まったくやる気の無さそうな,ただ棒を振っているだけの姿に,しばし唖然としたのを覚えています 作曲家シュトラウスと指揮者シュトラウスの表裏をまざまざと見せつけられた映像でした

 

          

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イアーゴが主役か?~METライブビューイングでヴェルディ「オテロ」を観る 

2012年11月18日 06時54分49秒 | 日記

18日(日).昨日の朝日朝刊の連載記事「元気のひけつ」に「ミカンを食べて健康で長生き 毎日3~5個で効果」という記事が載りました 記事によると,ミカンにはβクリプトキサンチンが多く含まれていて,欧米の研究によると,これを多くとる人は肺がんにかかるリスクが低いとことが分かったとのことです.日本の研究では,ミカンを毎日3~5個食べている人は,肝機能障害,動脈硬化,骨粗しょう症などになりにくいことが分かっているそうです ・・・・・ということですので,脂質はほとんどゼロで手軽に皮がむけるミカンをもっと食べましょう

ミカンと言えば,幼いころのことを思い出します.私はお茶で有名な埼玉県のS市に生まれ住んでいましたが,学校が休みになると東京・月島に住む従兄達,私より1回り年上の”こーちゃん”と”せっちゃん”が遊びにきてくれました 母親がおやつにミカンを出すと,せっちゃんは皮を剥いて半分にしたかと思うと,一房ずつ分けないでそのまま口に放り込んでむしゃむしゃ食べるのです 私はそれを見て「これが東京の食べ方か・・・・カッコいいなあ」と”せっちゃんスタイル”に憧れました.その日から私のミカンの食べ方は”せっちゃんスタイル”変わり,現在に至っています

 

  閑話休題  

 

昨日,新宿ピカデリーでMETライブビューイング,ヴェルディ「オテロ」を観ました これは今年10月27日に米メトロポリタン歌劇場で上演された公演のライブ録画です

キャストはオテロにヨハン・ボータ(テノール),デズデーモナにルネ・フレミング(ソプラノ),イアーゴにファルク・シュトルックマン(バリトン),カッシオにマイケル・ファビアーノ(テノール)ほかで,バックを務めるのはセミヨン・ビシュコフ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団,演出はエライジャ・モシンスキーです

 

          

 

オケがスタンバイして指揮者のビシュコフが登場します.私は個人的にはこの人はあまり好きではないのですが,第1幕冒頭の嵐の中,オテロ率いるキプロス官軍とトルコ軍との戦いの場面の迫力ある演奏を聴いて,一瞬にしてヴェルディの世界を表出した彼の統率力に評価が変わりました ヴェルディのオペラの一つの大きな特徴は勇壮で力強い音楽だと思いますが,ビシュコフは見事にその特徴を表現していました

幕間にソプラノのラドヴァノフスキーのインタビューにオテロ役のボータが答えて「急病のため開幕から3日間オペラを休んで休養をとって満を持してこの日の公演に臨んだ」と語っていました.ボータは,70歳過ぎてからヴェルディが作曲したオテロを完ぺきに歌い演じました

オテロの妻デズデーモナ役のルネ・フレミングの声はまさに”ビロードの声”とでも表現するのがぴったりくるような美しく輝かしい声です 演技は言う間でもなくMETで1,2位を争うほどの素晴らしさです特に第4幕で歌う「柳の歌」の”寂しい荒野に歌いながら泣く”と,それに続く”アヴェ・マリア”の15分以上にわたる独唱の素晴らしさは,鳥肌モノでした

そして,この主役の2人を食ってしまうほどの存在がイアーゴ役のシュトルックマンです デズデーモナのハンカチを利用して謀略を企てオテロとデズデーモナの仲を引き裂き,二人を死に追い込んでいく悪党の役を見事に演じ,歌い上げました このオペラの主役は,実はイアーゴではないのか,と思えるほど存在感が大きいのです

そして何より良いのは極めてオーソドックスな演出であることです 舞台を勝手に現代に置き換えたりしないことが,物語をシンプルに伝えることにつながっています

休憩,インタビューを含めて3時間27分の上映です.新宿ピカデリーでは23日(金)まで毎日午前10時から上映されます

 

          

             〔来年生誕200年を迎えるジュゼッペ・ヴェルディ〕

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男のエッセイ~高倉健著「あなたに褒められたくて」を読む

2012年11月17日 07時00分20秒 | 日記

17日(土).昨夕は前日に続き地下のRで当社S氏と防災センターS隊長と3人で飲みました いつものX部長と若手2人は土曜に釣り大会を控えていることから,珍しく不参加でした 昨夕の趣旨はS氏の16日遅れの誕生会を上野のカラオケ・スナックでやろうということで,取りあえずお店の開く時間まで時間つぶしをしようということでS隊長を巻き込んでRで飲んだわけです

7時過ぎに隊長と別れて,山手線で上野方面に向かいました 7時45分ごろカラオケ・スナックFに着いて,さっそく歌合戦に突入しました.後からもう一組2人連れが来ましたが,お構いなしに歌いまくりました 途中,「ハッピー・バースデー・トゥー・ユー」の歌に合わせて,ママのRさんが用意してくれたバースデー・ケーキにS氏とママとで”入刀式”をやり,先の2人組も巻き込んでみんなでいただきました 何という人類愛,浸透きずな,政治家の生活が第一なのでしょうか・・・・・・何のこっちゃ

 

          

 

上野写真は,もとい,上の写真は,S氏に「殿,恐れながら,週刊文春や週刊アサヒ芸能の記者に追いかけられる恐れがありますゆえ,ブログに載せるのは控えましょうか?」と具申したのですが,「これ三太夫,週刊文春が怖くて,週刊フライデーを恐れてサラリーマンは務まらんのだぞ 苦しゅうない,載せても差し支えないぞ.良きにはからえ」と仰せだったので,通常のサイズで大々的に掲載することにしました.後でどーなっても知らねーよ,オレ 一応”無断転載を禁ず”と書いておこうっと

結局3時間居座って1人10曲ぐらい歌いまくって10時半過ぎにお店を出ました.この店は良心的な店で,すごく楽しいので,また来週も行きます 貯めてもいいのは貯金とマイレージで,貯めてはいけないのはストレス 週末にはストレスを発散しないと気持ちのいい近未来が開けませんからね

さて,テレビで今朝の関東地方の天気を見ると,釣り大会の現場,千葉県沖の海は”南風で波高し”とのこと.船は出るのか出ないのか? 参加者の釣果やいかに

 

  閑話休題  

 

高倉健著「あなたに褒められたくて」(集英社文庫)を読み終わりました この本は1991年6月に林泉舎発行,集英社発売の単行本を文庫化したものです

高倉健と言えば,言わずと知れた日本を代表する国際的な映画スターです 1931年2月福岡県生まれ,56年に映画デビューし,日本アカデミー賞主演男優賞をはじめ数多くの賞を受賞しています.この本で第13回日本文芸大賞エッセイ賞を受賞しています

同じジャンルの本でも,ちょっと前に読んだ芥川賞受賞作家・川上未映子の「そら頭はでかいです,世界がすこんと入ります」とは対極的な位置にある書き方です.男と女,博多生まれと大阪生まれ,いろいろ違いがあるでしょうが,一番違うのは感性です 川上未映子の場合は,すべての事をしゃべったそのままの言葉で,しかも大阪弁で綴っていくのに対して,高倉健は”行間を読め”とばかりに最小限のことしか語りません 相手に対しても必要以上の言葉を求めようとしません.”饒舌対寡黙”と言ってもいいかもしれません

この本を中心に例を挙げれば,「お心入れ」というテーマのエッセイの中で健さんは次のように書いています

『お心入れ』って,いい言葉ですよね.

お心入れがないんですよね,このごろ・・・・・・端的に,どこどこの何でございますって,ちょっと高級といわれる料亭に行くと,

『ええ,これは琵琶湖のシジミでございます』って.

『聞いてねえよ』って言いたいときがありますね.

出された方は,これだけ気をつかって出してもらった,みんなわかってる・・・・・それはもうある意味では,文化だって気がするんですよね」

健さんによれば,余計なことを言わなくても,分かる人にはちゃんと分かっているのだということになります 私もそう思います.こういう文章を読むと高倉健が増々好きになってしまいます

ところで,高倉健と言えばヤクザ映画ですね.私が大学生の頃は,大学紛争の名残りがまだ燻っていた時期でした.そんな中,学園祭が開かれ,学生自治会の主催により大講堂で高倉健主演のやくざ映画がオールナイトで上映されたのです 酒を飲みながら観る者あり,タバコを吸いながら観る者あり,大講堂は”無法地帯”あるいは”解放区”と化しました 健さんが後ろのヤクザから狙われようのもなら,誰かがスクリ―ンの健さんに向かって「健さん,危ない 後ろに敵がいるぞ」と叫んだりしていました.その頃,高倉健は右翼にも左翼にも支持されるカッコいい憧れの存在でした

この本には,高倉健という一人の人間の人柄がよく出ています 車好きの健さん,厳しい監督への想い,密航に失敗した若き日の思い出,ロンドンからかかってきた不思議な電話の話・・・・・・たくさんのエピソードが詰まっています ところで,表題の「あなたに褒められたくて」の”あなた”とは誰のことでしょうか・・・・その答えは本書に最後のエッセイに書かれています.お手に取ってご覧ください

 

          

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奥泉光「シューマンの指」,高倉健「あなたに褒められたくて」,道尾秀介「光媒の花」 

2012年11月16日 07時00分43秒 | 日記

16日(金)。昨夕,X部長から「今日はコンサートないよね?」と謎の問いかけがあり「ないけど・・・・」と答えると,「じゃあ,30分だけっちゅうことで」と誘われました.N氏,T君,K君も巻き込んで5人で地下のRになだれ込みました.X部長の理論(理屈)は「前日,2つしかない飲食店舗のうちOに行ったのに,Rにも行かないのはテナント対策として不公平だ」というものですが,早い話がただ飲みたいだけなのではないかというのが私の推理なのだが,どうかね,明智君 もっとも,こちらも30分が30分間のことではなくて6時30分までということは分かっているので,1時間ならいいだろうということで飲むことにしたわけですけどね

と,ところが,6時半になると,X部長だけでなく他のメンバーも「今日はコンサートないんだから時間は無制限だよね」とか「どうせ家に帰ってもやることないんでしょ」とか,よってたかって帰そうとしないのです.時計を見たら,な,なんと9時近くになっていました 何でこうなるんだろう,と思いながら半分千鳥足で帰ってきました・・・・・・という訳で,今日も朝から頭が頭痛ですごーく痛いのです.今夜も飲みに行くんですけどね

 

  閑話休題  

 

昨日昼、飯野ビルのランチタイムコンサートを聴きました 出演は東京藝大4年在学中の森島嘉奈子さんです。プログラムは①リスト「愛の夢第3番」、②ショパン「幻想ソッ曲曲」、③ハイドン「ソナタ変ホ長調」、④ラフマニノフ「コレルリの主題による変奏曲」です

昼食を食べて12時半過ぎに飯野ビル1階エントランスホールに着いたのですが、50数席用意されたパイプ椅子は満席でした 止む無く立ち聴きすることにしましたが、すでに前半の3曲が終わり、森島さんが、最後に演奏するラフマニノフについて「ラフマニノフは身長が2メートルもあって、指が長く、手のひらを広げると22センチもありました・・・・・」と解説しているところでした

さっそく演奏に入りましたが、彼女の恵まれた体格を反映してパワフルなピアノで、ベーゼンドルファーがよく鳴っていました 欲を言えばハイドンが聴きたかったですね

 

          

 

本を3冊買いました 1冊は奥泉光著「シューマンの指」(講談社文庫)です.これは,講談社創業100周年記念書き下ろし作品として2010年7月に単行本として講談社から刊行されたものを文庫化したものです.クラシック音楽を素材に取り上げている推理小説です.文庫本になるのを虎視眈々と狙っていました

 

          

 

もう1冊は,高倉健著「あなたに褒められたくて」(集英社文庫)です.これは1991年6月に林泉舎発行,集英社発売の単行本を文庫化したものです.ちょっと古いですが,われらの健さんが日常,どんなことを考えているか知りたいと思って買いました

 

          

 

最後は道尾秀介著「光媒の花」(集英社文庫)です.これは2010年3月に集英社から単行本で発売,第23回山本周五郎賞を受賞した作品を文庫化したものです.道尾秀介の作品は文庫化すると必ず買っています

 

          

 

これらの本についても、このブログで順次紹介していきますが、順番は決まっていません。悪しからず

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渡邊一正,伊藤文乃,マーティン・スタンツェライト「トリオ・ポストレーモ」を聴く~JTアートホール 

2012年11月15日 06時58分36秒 | 日記

15日(木).昨日の野田首相の”16日に解散”発言には驚きました 不意打ちを食らってY・ABE~と思った安倍自民党総裁は「われわれだけで決めてしまっていいんですか?」と弱腰発言 これに対して野田首相は決然と言いました「これでいい野田

                         

昨夕5時半にX部長から”打ち合わせ”の打診がありました 7時から虎の門のJTアートホールでコンサートがあるので,逆算して6時半までは付き合えると判断,地下の焼鳥0で飲みました 中ジョッキで乾杯して,その後は新潟銘酒”きりんざん”を飲みました 仕事の打ち合わせも順調に進んで,きっちり6時半に店を出ました 徒歩で虎の門へ.酔い覚ましにホットコーヒーを飲んでフリスク・ペパーミント味を舐めてコンサートに臨みました

7時開演のコンサートの出演者は「トリオ・ポストレーモ」です このユニットは東京フィル指揮者・渡邉一正,群馬交響楽団コンマス・伊藤文乃,広島交響楽団首席チェロ・マーティン・スタンツェライトの3人が2002年に結成したグループです 渡邊和正が95年から2002年まで広島交響楽団の正指揮者を務めていたときのコンマスが伊藤文乃さんだったとのことで,その時の縁でトリオが結成されたそうです.「ポストレーモ」とはラテン語で「やっと」という意味だそうです

プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第5番”幽霊”」,②マルタン「アイルランド民謡による三重奏曲」,③ドヴォルザーク「ピアノ三重奏曲第4番”ドゥムキー”」です

 

          

 

自席は4列7番と,かなり前の真ん中の見通しの良い席です 会場は3分の2位埋まっている感じでしょうか.いつものように「ケータイ電話の電源をお切りください」のアナウンスがあり,ハッとしました ”飲んできた”ので,肝心なことを忘れていたのです.”飲んでいない”しらふの時はこんなことはあり得ません.アナウンスに感謝です

伊藤文乃は朱色のドレス,スタンツェライト氏は赤の蝶ネクタイ,渡邊一正はフツーの黒の上下で登場です 1曲目のベートーヴェンの「ピアノ三重奏曲第5番ニ長調」は1808年に完成し,エルデーディ伯爵夫人に献呈されました 指揮者の渡邊一正があれほどピアノが達者なのにはビックリしました伊藤文乃のヴァイオリンは美しい音色です.スタンツェライトのチェロは朗々と響きます.アンサンブルも相性がいいです

次の曲に移る前にスタンツェライトが登場して流暢な日本語で曲の解説をしました

「ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第5番は”幽霊”というタイトルがついていますが,私はどこが幽霊なんだろう?と思います.この曲は交響曲第6番”田園”の後に書かれました.この曲には”田園”に共通する雰囲気があると思います 次に演奏するのはマルタンの曲ですが,マルタンはスイス出身の作曲家です.”アイルランド民謡による三重奏曲”は,マルタンがフランスに行ったときに,アイルランド系アメリカ人から依頼されて作曲したのですが,依頼者がお金を払わなかったのです しかし,マルタンは”良い曲が出来たからこれでよし”として請求しなかったということです 時計で有名なスイスはドイツよりも時間に”正確”ですが,スイス生まれのマルタンは”性格”も良かったのですね

ここで笑が起こります.赤の蝶ネクタイがオシャレですが,シャレもなかなか冴えたドイツ人です

マルタンの「アイルランド民謡による三重奏曲」は1925年に完成した3つの楽章から成る曲ですが,面白いと思ったのは第1楽章「アレグロモデラート」です 基本的には舞曲の曲想なのですが,あの映画「ゴジラ」の音楽を作曲した伊福部昭の「日本狂詩曲」あるいは「交響譚詩」に良く似ているのです.これにはきました.

休憩後のドヴォルザーク「ピアノ三重奏曲第4番ホ短調”ドゥムキー”」は,1891年2月に完成しました.「ドゥムキー」というのは「哀歌」「挽歌」を意味する「ドゥムカ」の複数形です.この曲は6つの楽章から成ります.私は多分この曲をナマで1度聴いたことがある程度です.CDも持っていません.そんな状況ですが,この曲が民族色豊かな曲であると感じました 第6楽章の後半に聴いたことのあるメロディーが出てきて”ああ,これがドゥムキーか”と思いました.

アンコールにドヴォルザークの「わが母の教えたまへし歌」を詩情豊かに演奏しました

このコンサートを主催しているのは公益財団法人アフィニス文化財団というJT(日本たばこ)系の財団ですが,とくにプロのオーケストラの演奏家を支援しているのが特徴です.演奏家は演奏したいのです.しかし,その場がないのです.その場を提供しているのがJTアートホールの主催公演です.私はタバコは吸いませんが,JTのこの活動は素晴らしいと思います

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川上未映子著「そら頭はでかいです,世界がすこんと入ります」を読む 

2012年11月14日 06時50分11秒 | 日記

14日(水)。川上未映子著「そら頭はでかいです,世界がすこんと入ります」(講談社文庫)を読み終わりました 川上未映子は1976年大阪生まれ.2008年に「乳と卵」で第138回芥川賞を受賞しました.このブログでも彼女の作品を2度紹介しました

この本に収められているのは彼女が2003年8月29日から2006年8月29日までに自身のブログ「未映子の純粋悲性批判」に書いた日記です 彼女のデビュー小説「わたくし率 イン 歯ー,または世界」が2007年のことですから,デビュー前の随筆ということになります

文章をみると,すでにこの頃から彼女の文章の特徴である句点(〇)がなく読点(,)で長々とつないでいくスタイルが出来上がっていることがわかります 例えば「猫パニック」というタイトルの文章は24行ありますが,途中で句点があるのはたったの2か所です しゃべり言葉をそのまま文章にしている,と言えばよいのでしょう.しかも大阪弁で

中にはタメになる知識も紹介しています 「猫マーク」では次のように書いています.

「みんな,知ってますか.我々が使うびっくりマーク「!」と,疑問があるとき使う「?」マークは,猫をお尻のほうから見た模様なんやということを.上の部分は,びっくりしたとき,および疑問を持ったときのしっぽの形,下の黒丸は猫のお尻の穴だということを」

そうだったんすか また,「凄いはげまし」では,次のように書いています.

「『井の中の蛙』のことわざの話になって,驚くべきことにこの続きを誰も知らなかったので,教えてあげたら,凄く盛り上がった,みんなの気持ちが静かに盛り上がった ・・・・井の中の蛙,大海を知らず,されど. されど? 空の青さを知る. やなんてすごい励まし.でも空の青さは井の中から出ても変わらず見えるわけで.青さだけを知っていることと,大海の広さと空の青さを知っていること,どっちがいいかなんてそら場合によるよな

全部で136本の随筆が収録されていますが,ブログに書いた文章の集積なので,1本1本の長さはまちまちです

そういえば何日か前の新聞に川上未映子のエッセイが載っていて、私がちっとも知らない間に赤ん坊を産んだらしいです 「結婚なんてしそうもない」と言っていたのに、いつの間にか結婚しているし、「子供なんて怖い」と言っていたのに、いつの間にか出来てるし・・・・・・この人っていったい・・・・・・

文庫本の帯に「怒涛の大阪弁で綴る芥川賞作家デビュー随筆集」とありますが,まさにエンドレスの言葉がちっちゃい頭に怒涛のように押し寄せてきてすこんと入ります

 

          

 

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あるヴァイオリン弾き,最後の夢~映画「チキンとプラム」を観る

2012年11月13日 06時59分30秒 | 日記

13日(火)。当ビル地下1階W薬局のHさんと当社S氏がたまたま誕生日が同じ(もちろん生年には隔世の間あり!)なことから、昨夕、Iビル地下のベトナム料理YBで「ジョイント・バースデー・パーティー」を開きました 参加者は、先日虎ノ門のカレーショップで会食した(目的は今だ不明)メンバーで、W薬局のHさん、Kさん、当社のS氏、K君と私の5人です

一応午後8時集合ということでしたが,W薬局の早番・遅番のローテの関係で5人が揃ったのは8時半を過ぎていました まず,誕生日のHさんに花束贈呈のセレモニーがあり,次いで南店長ご推奨のシャンパンで乾杯して,Hさんがケーキの蝋燭の火を消しました S氏も主役の一人ですが,”今日はHさんが主役ですから,私は居ないものと考えてください”と言って,Hさんを引き立てていました.さすがは人生経験の一番長い人徳者,スターウォーズで言えばヨーダのような存在です ベトナム料理のコースをひと通りいただき,最後にHさんがケーキに入刀して食べられる分だけ5人で分けて食べ,残ったケーキをHさんに持ち帰ってもらうことにしました

 

          

 

話題はもっぱら,K君が独立して住むには都内のどこがいいかということに集中しました K君は当社管理部に所属していますが,大地震が起きた時は歩いてでも当ビルに駈け付けなければならないので,出来るだけ交通の便が良いところが望まれる訳です Hさんは今,都内某所で一人マンション住まいをしていることから,一人暮らしの先輩としてアドバイスをしていました 中目黒がいい,谷根千がいいんじゃない,神楽坂ではどう,といろいろ候補地が挙げられましたが結論は出なかったようです

プレゼント贈呈のセレモニーがありましたが,Hさんは祝福される立場なのに,”いつもお世話になっていますから”と言って,ワイン漬けのいちじくをビターチョコでくるんだ”いちじくチョコ”をくださいました なんて優しいんでしょうか,涙チョチョ切れそうです チョコレート大好き人間の私にとっては最高のプレゼントです Hさん,ありがとうございました.とりあえず神棚に飾って・・・・あっ,なかった とにかく大事にいただきます ところで,Hさんはいちじくが大好きだとのことですが,まったくお酒が飲めないのにワイン漬けのチョコは大丈夫なのかな 解散間際にS氏が「次回はカラオケ大会ということで,よろしくっ」と言っていましたが,軽く聞き流しておくことにします

 

              

 

  閑話休題  

 

ヒューマントラスト有楽町で映画「チキンとプラム」を観ました コンサートのチラシに混じっていた映画のチラシに「チキンとプラム」があり,サブタイトルに「あるバイオリン弾き,最後の夢」と謳っていたので,「これは絶対クラシック音楽が使われているのに違いない」と思って観ることにしたものです

天才ヴァイオリニスト,ナセル・アリ(マチュー・アマルリック)は,夫婦喧嘩の末,妻ファランギース(マリア・デ・メディロス)に大切なヴァイオリンを壊されてしまいます 絶望したアリは死ぬことを決意します.最後の8日間で彼はこれまでの人生を振り返ります

「技術は完ぺきだが,音楽はカラッポ」と師匠に言われた修業時代,絶大な人気を博した黄金時代間違いだった結婚,怖くて優しくタバコが大好きだった母親(イザべラ・ロッセリーニ)の死,大好きなチキンのプラム煮 そして最後に,相手の親の反対で叶わなかったイラーヌ(ゴルシフテ・ファラハ二)との恋を・・・・・・

この作品はマルジャン・サトラビというイラン出身の女性監督が,自身のコミック「鶏のプラム煮」を実写映画化したもので,映画の中にはアニメも出てきてファンタジックな味を出しています

「技術は完ぺきだが,音楽はカラッポ」のアリは,忘れられない恋の相手イラーヌのことを思い出すことで奇跡の音色を奏でます コミカルであると同時にロマンティック,またファンタジックでもあります

さて,ストーリーとしては面白くそれなりに楽しめましたが,どうしても不満が残ります.それはクラシック音楽がたったの一曲も使われていないからです 西田佐知子の東京ブルース”泣いた女がバカなのか,騙した男が悪いのか”ではありませんが,”泣いた私がバカなのか,騙したコピーが悪いのか”と言いたいです もちろんこの映画は音楽に溢れています.しかし,すべてがこの映画のために作られたオリジナル曲なのです こういうのを日本語で「当てが外れた」と言います.とは言うものの,この映画を観て,私は最後の8日間で何を思い出すのだろうか,と思ったのも事実です.この映画にクラシック音楽を求めない人にはお薦めします

 

          

 

   閑話休題  

 

飯野ビルで毎月第3木曜日に開いている「ランチタイムコンサート」が明後日15日(木)12時5分から飯野ビル1階エントランスロビーで開かれます

 

          

 

出演は名古屋市出身で現在東京藝術大学4年在学中の森島嘉奈子さんです プログラムは①リスト「愛の夢 第3番」、②ショパン「幻想即興曲」、③ハイドン「ソナタ 変ホ長調」、④ラフマニノフ「コレルリの主題による変奏曲」です。ハイドンを取り上げるところは、今までの出演者と異なっています 自信の表れと考えてよいのでしょうか?仕事の関係で、後半しか聴けないかも知れませんが、楽しみですお近くにお勤めの皆さん,昼休みのひと時,ベーゼンドルファーの美しい音色に耳を傾けてみてはいかがでしょうか

 

          

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最高のソプラノ~ノルマ・ファンティー二の「トスカ」を観る~新国立劇場 

2012年11月12日 07時00分52秒 | 日記

12日(月).昨日,初台の新国立劇場でプッチーニの歌劇「トスカ」のプルミエ公演を観ました ヒロインのトスカをノルマ・ファンティー二が歌います.私は数年前に,新国立劇場で彼女が歌うトスカを初めて聴いてすっかり魅了されてしまい,彼女が日本で公演すると聞いては聴きに行きました 新国立の「アイーダ」タイトルロール,「仮面舞踏会」アメーリア,「イル・トロヴァトーレ」レオノーラ,「アンドレア・シェニエ」マッダレーナはもちろんのこと,一昨年10月の日本初の「ソプラノ・リサイタル」,昨年10月のプラハ国立歌劇場の「トスカ」と聴ける限りすべての公演を聴きました         

今回のキャストは,ノルマ・ファンティー二のほかに,カヴァラドッシにサイモン・オニール,スカルピアにセンヒョン・コー,アンジェロッティに谷友博,スポレッタに松浦健ほかで,バックは沼尻竜典指揮東京フィル,演出はアントネッロ・マダウ=ディアツです.今回の演出は2000年に初めて公開したものの何回目かのものですが,何度観ても飽きない演出です

 

          

 

会場はほぼ満席です.自席のすぐ前の席に見たような白髪の紳士が座っています.休憩時間に確かめると,指揮者の飯守泰次郎さんでした プログラムに載っている新国立劇場運営財団名簿を見ると”芸術参与”として飯守氏の名前が載っていました.この日はプレミエ(初日)公演だったので観にこられたのでしょう.第2幕終了までご覧になって帰られました

私が「トスカ」で好きな場面は3か所あります.まず最初は第1幕のフィナーレです.スカルピアが「行け!トスカ」を歌う中,教会の鐘やオルガンに伴われて聖歌が合唱で歌われ,最高潮に達する場面です このフィナーレは同じ作曲者の「トゥーランドット」第1幕のフィナーレに匹敵する華麗で壮大な音楽です

次は,やはり何と言っても第2幕でトスカが歌うアリア「歌に生き,恋に生き」から,トスカがスカルピアをナイフで突き刺して去って行くまでの場面です アリアでは高度な歌唱力が,その後のフィナーレに向けては無言の演技力が求められる重要な場面です ノルマ・ファンティー二はこの両方の力を備えています.彼女の歌う「歌に生き,恋に生き」は生で5~6回聴きましたが,何度聴いても感動します

 

          

 

 幕間のカーテンコールに出てくるノルマ・ファンティー二は,最初,笑顔が見えません.それは直前まで演じていたトスカに成りきっているからです 手をつなぐ隣のサイモン・オニールやセンヒョン・コーに促されて,やっと我に返って笑顔を見せるのです いつもそうなのです

3か所目は第3幕のフィナーレです.これは歌よりも演出の素晴らしさが光る場面です 兵士に迫られたトスカが城壁から身を躍らせて落ちていくのですが,通常の演出では,歌手がスカートの裾をたくし上げて,足から”どっこいしょ”と飛び降りるのですが,この演出では,トスカが城壁に立って,スカーフを持った右手を挙げて,そのまま舞台奥の下をめがけて倒れ込んでいくのです この演出を初めて見た時は思わず息を飲みました.凄い演出だと思いました.ノルマ・ファンティー二のトスカは,この演出とともに記憶されています

全3幕が終わりカーテンコールになったのですが,指揮者の沼尻竜典が舞台に登場するや,3階席辺りからブラボーに紛れて大きなブーイングが出ました 私は彼の指揮はすごく良かったと思っていたので,これは意外でした.どこが悪かったのかさっぱり分かりませんでした.が,家に帰ってこの日の公演をもう一度振り返ってみて,ハッと気が付きました

それは,第3幕でカヴァラドッシが告別のアリア「星は光りぬ」を歌う場面で,アリアが終わってもオーケストラの伴奏が続き,間をおかずに次の場面に移ったため,せっかくのサイモン・オニールの熱唱に拍手とブラボーを贈りたかった聴衆が,そのチャンスを与えられなかったためではないか,と思ったのです それ以外に考えられません.それにしても近来まれに見るブーイングでした.近くの人はドンビキしたのではないでしょうか  

総じて今回のトスカは素晴らしい出来だったと思います スカルピア役のセンヒョン・コーは歌は申し分ありませんが,もう少し悪役に徹するふてぶてしさがあっても良かったと思います カヴァラドッシ役のサイモン・オニールも歌は良いのですが,もう少しダイエットした方がいいかもしれませんね,関係ないけど ノルマ・ファンティー二はいつでも全力投球で,歌も演技も最高でした

                         

劇場入り口で配られていたチラシの中に,トリノ王立歌劇場来日公演「トスカ」にノルマ・ファンティー二が出演するというチラシが入っていました.来年11月29日(金),12月2日(月)東京文化会館とのこと.これは聴き逃せません

 

          

 

 閑話休題  

 

2日(金)から続いてきたコンサート通いは昨日の「トスカ」をもって,”10日間連続自己新記録”を達成して幕を閉じました あっという間の10日間でした.正直言って疲れました

2日:小菅優+カメラ―タ・ザルツブルク(1) モーツアルト「ピアノ協奏曲第21番,第23番」ほか.

3日:小菅優+カメラ―タ・ザルブルク(2)  モーツアルト「ピアノ協奏曲第20番,25番」ほか.

4日:METライブ「愛の妙薬」       アンナ・ネトレプコ(ソプラノ)ほか.

5日:アリス・沙良・オット:ピアノリサイタル  ムソルグスキー「展覧会の絵」ほか.

6日:ミューズたちの饗宴 小川里美他   ベッリーニ「ノルマ」~清らかな女神よ,ほか.

7日:ダン・タイ・ソン+新日本フィル(1)  ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第1番,2番,3番」

8日:ダン・タイ・ソン+新日本フィル(2)  ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4,5番」   

9日:萩原麻未+フィルハーモニア台湾  グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」ほか.

10日:ラドゥロヴィチ+東京交響楽団   メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」「ホ短調」

11日:新国立オペラ「トスカ」     ノルマ・ファンティー二(ソプラノ)ほか.

今後この記録が破れるかどうか分かりませんが,『音楽は生で聴くことに意義がある』という信念のもと,クラシック音楽なら何でも聴いてやろうという意欲だけは,今後も持ち続けていきたいと思っています

 

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ブラボー!ラドロヴィチ~メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」,「ホ短調」を聴く

2012年11月11日 07時08分46秒 | 日記

11日(日).昨日,東京オペラシティコンサートホールで,東京交響楽団第70回オペラシティシリーズ定期演奏会を聴きました プログラムは①バッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番から”シャコンヌ”」,②同「ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調」,③メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」,④同「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」の4曲,指揮とヴァオオリンはネマニャ・ラドゥロヴィチです

ラドゥロヴィチは1985年ユーゴスラヴィアのセルビア生まれで,パリ国立高等音楽院などで学び,95年ストレサ国際,96年コチアン国際,2001年エネスコ国際,03年ハノーファ国際各コンクールで優勝した実力者です 彼の演奏を聴くのは数年前に東京国際フォーラムで開かれたラ・フォル・ジュルネ音楽祭で聴いたメンコン以来です.あの時は,あまりの激しい動きにびっくりしたものです 聴衆の反響はもの凄いものがありました

プログラムの最初にヴァイオリン独奏曲,しかもバッハの無伴奏パルティータ第2番の”シャコンヌ”を持ってくるという,普通なら考えられない構成で意表を突きます

ラドゥロヴィチが下の写真のような縮れ毛の長髪,上下黒一色の衣装で颯爽と登場します まるでロックンローラーがクラシックコンサートに殴り込みをかけてきたかのような雰囲気です 舞台中央に立って,おもむろにバッハのシャコンヌを心に沁み渡るように演奏します

次いで,東響の弦のメンバー14人とチェンバロが登場,そこにラドゥロヴィチが指揮者兼ソリストとして加わります.チェンバロとチェロ以外は立ったままでバッハの「ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調」を演奏します ラドゥロヴィチは右を向いたり左を見たり正面を向いたり,あちこちに気を配りながら演奏しますラドゥロヴィチの”動”とオーケストラの”静”が対象的です.第1楽章と第3楽章はまるでジャズの掛け合いのようなノリの良さで躍動感溢れる演奏を展開します

 

          

 

休憩後はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲が2曲演奏されます.メンデルスゾーンは経済的に恵まれた家庭に育ちましたが,自宅では毎日曜日に名演奏家たちが集うサロン・コンサートが開かれていました ニ短調の協奏曲は13歳のメンデルスゾーンがこのサロンで演奏するために作曲したものですバックを務めるのは弦楽器のみです.ラドゥロヴィチの演奏を聴いていると,とても13歳の少年が書いたものとは思えません.彼はモーツアルトのように早熟の天才と呼ばれますが,この曲を聴けばその理由が分かります

有名なホ短調の協奏曲は,当時,ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者として活躍していた彼が,コンサートマスターのフェルディナント・ダーヴィットのために作曲したもので,1844年彼が35歳の時の作品です ちなみにモーツアルトは35歳で死去しました

オケのメンバーが追加され,フルオーケストラの状態でホ短調協奏曲に臨みます.この曲でも,ラドゥロヴィチはヴァイオリンを指揮棒代わりに指揮をしながら自らソリストも務めます この曲でも,演奏しながら右を向いたり左を見たり正面を向いたり,すべてのセクションに気を配りながら演奏を進めます 興に乗ると片足を後ろに蹴り上げたりして演奏します.とにかく忙しく動き回り,切れ目なく演奏される3つの楽章を颯爽と弾きまくります

会場割れんばかりの拍手 最前列の女性数人が一斉に立ち上がり,スタンディング・オベーションを始めました ラドゥロヴィチはていねいに四方の客席に一礼し,賞賛の拍手に応えます ロックンローラーのようなスタイルですが,ステージマナーは一流です.人は見かけで判断してはいけません

鳴り止まない拍手とブラボーにアンコールを演奏しました.まず,バッハの「無伴奏ヴァイオリンパルティータ」第2番から”サラバンド”を静かに,次いでパガニーニの「カプリース」から”悪魔の笑い”を優しく,そして激しく,自由自在に演奏して聴衆を圧倒しました ラドゥロヴィチこそ,実力を備えた真のエンタティナ―です

 

          

            (プログラムの表紙の絵はクリムト「りんごの木」です)

 

コンサートが終わってロビーに出ると,ラドゥロヴィチのサインを求めてCDを片手にした聴衆が長蛇の列を作っていました.すごい人気です 一方,出口付近では森永製菓の人がチョコレートの試供品を配っていました.CDケースに近い大きさだったので期待したら,中に入っていたのは海賊王ルフィ―,ではなくて,ワンピースのみでした 味はどうかって?・・・・・・娘に聞いて下さい

無料と言えば,数年前にサイトウキネン・オーケストラを松本まで日帰りで聴きに行ったときには,ホワイエで地酒や,ある年は地元のワインが振る舞われていました.バーコーナーのお酒が売れなくなるのに,この英断は見上げたものだと思いました

 

          

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