人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

フィリップ・ド・ブロカ監督「まぼろしの市街戦」、サム・ペキンパー監督「戦争のはらわた」を観る~流れるのはビゼー「アルルの女」、ドイツ民謡「幼いハンス」:早稲田松竹

2019年03月09日 07時20分20秒 | 日記

9日(土)。報道によると、覆面プロレスラー「デストロイヤー」として日米で活躍したリチャード・べイヤーさんが3月7日、米ニューヨーク州バファロー郊外の自宅で死去したとのことです さすがは「4の字固め」が得意だっただけあって、亡くなる歳も4の倍数の88歳で固めました 現在 アメリカは自国第一主義を掲げる「世界秩序のデストロイヤー(破壊者)」が大統領を務めています 反則技連発のタイガー・ジェット・シン並みのヒール(悪役)=トランプ・アメリカ・ファーストを倒すヒーローはいつ現れるのでしょうか 

ともあれ、力道山、アントニオ猪木とともに日本のプロレス界を牽引してくれた本物のデストロイヤーさんのご冥福をお祈りいたします

 

         

 

昨日の夕食は「すき焼き」にしました。たまにはね

 

     

 

         

昨日、早稲田松竹で「まぼろしの市街戦」と「戦争のはらわた」の2本立てを観ました

まぼろしの市街戦」はフィリップ・ド・ブロカ監督・製作・脚本による1966年フランス映画(102分:4Kデジタル修復版)です

時は第一次世界大戦末期。敗走中のドイツ軍が、占拠したフランスの小さな町に時限爆弾を仕掛けて撤退した 進撃するイギリス軍の伝書鳩係の兵士プランピック(アラン・ベイツ)は、フランス語ができると言うだけの理由で爆弾解除を命じられる 彼は2羽の鳩とともに町に潜入するが、住民たちが逃げ去った町では、精神病院から解放された患者やサーカスの動物たちが解放の喜びに浸り、あたかもユートピアのような生活が営まれていた プランピックは爆弾発見を諦め、患者たちから王と崇められながら過ごすことになる やがて時限爆弾の仕掛けられた場所と爆発を阻止する方法を発見し、町を危機から救う 次の任地へ向かうことを命令されたプランピックはトラックから脱走し、町の精神病院に戻り患者たちと楽しく過ごすのだった

 

     


この映画は、戦争のばかばかしさをユーモアを交えて描いた傑作です 住民がいなくなった社会で、将軍になったり、公爵になったり、理髪師になったり、娼婦になったりと、思い思いの役割を演じる精神病院の患者たちの生活こそがまともな世界で、お互いに殺し合う戦争が異常な世界だということを何気に主張しています それを証拠に、プランピックは「もう戦争に行くのは嫌だ」として、精神病院の患者たちの元へ戻り 一緒に楽しく生活する道を選んでいます

この映画では、娼婦に成り切った患者がプランピックを歓迎して歌を歌うシーンがあります 最初はあまりにもゆったりとしたメロディーだったので何の曲か分らなかったのですが、頭の中でメロディーを早回ししたら、ジョルジュ・ビゼー「アルルの女:第1組曲」の「前奏曲」冒頭のメロディー(プロヴァンス民謡『三人の王の行進』による)であることが分かりました フランス映画ですからフランスの作曲家の曲を使ったのだと思います プランピックは患者たちから王と崇められるわけですから、選曲に意味はあります


         


「戦争のはらわた」はサム・ペキンパー監督による1977年イギリス・ドイツ合作映画(133分:デジタル・リマスター版)です

舞台は第二次世界大戦下の1943年、ロシア戦線。ソ連軍の戦闘が激化し、撤退を余儀なくされていくドイツ軍の小隊長シュタイナー伍長(ジェームズ・コバーン)は、プロイセンの貴族の血を引き、勲章を手に入れることしか興味のない無能な指揮官のシュトランスキー大尉(マクシミリアン・シェル)を嫌悪していた 2人の関係が険悪になっていく中、シュトランスキーは勲章を得るため、叙勲のための推薦人になってほしいとシュタイナーに頼むが拒まれる。このことを根に持ったシュトランスキーは、前線から引き揚げてくるシュタイナー小隊をせん滅する策略を図る


     


第二次世界大戦を描いた映画は、ヒトラーのナチス・ドイツを悪者にする内容の作品が圧倒的に多いと思いますが、この映画は、ドイツ側から捉えた戦争映画です シュタイナーは、勲章が欲しいがために味方をせん滅しようとした上司のシュトランスキーを殺さず、部下のように従わせ、おろおろするシュトランスキーの態度を見て高笑いするラストシーンが印象的です

この映画の冒頭は、ヒトラーの姿やドイツ軍の行進などの記録映像が映し出されますが、そのバックで流れるのは児童合唱によって歌われるドイツの古い民謡「幼いハンス」です 日本で「蝶々 蝶々 菜の葉に止まれ」という歌詞で知られている唱歌「ちょうちょう」の元になった民謡です Wikipediaによると、この曲はドイツ東部・ドレスデンの教師だったフランツ・ヴィーデマン(1821-1882)が作詞したもので、幼い「ハンスちゃん」が大人の「ハンス」に成長していくという歌詞には、子どもたちに別離・出発・悲しみからの回復を経験させるという教育上の目的があったとのことです 映画のラスト、無能なシュトランスキーがシュタイナーから嘲笑されるシーンでもこの民謡が流れますが、大人になっても勲章にしか興味のない 子どものような「ハンスちゃん=シュトランスキー」をおちょくっているかのようです

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