人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでプッチーニ「つばめ」を観る ~ エンジェル・ブルー、ジョナサン・テテルマン、エミリー・ポゴレルツ、ベクゾット・ダブロノフにブラボー!

2024年06月02日 00時05分26秒 | 日記

2日(日)。わが家に来てから今日で3428日目を迎え、元不倫相手への「口止め料」を巡って有罪判決を受けたトランプ前大統領は5月31日、「不正な裁判だ。我々は控訴する」との意向を明言したが、評決後に集まった小口現金は3480万ドル(約54億円)にのぼり、トランプ陣営としての1日の記録を更新した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     敗訴しても金集めをする 商魂逞しさは見上げたものだが 裁判費用に消えゆく運命!

 

         

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、プッチーニ「つばめ」を観ました これは今年4月20日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演はマグダ=エンジェル・ブルー、ルッジェーロ=ジョナサン・テテルマン、リゼット=エミリー・ポゴレルツ、プル二エ=ベクゾット・ダブロノフ。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、指揮=スペランツァ・スカップッチ、演出=二コラ・ジョエルです

     

「つばめ」はジャコモ・プッチーニ(1858-1924)がジュゼッペ・アダ―ミの台本により1913年から16年にかけて作曲した全3幕から成るオペラ(抒情喜劇)です 本作はウィーンの劇場からオペレッタの作曲を依頼されたことから手掛けられましたが、曲の完成間近になって第一次世界大戦が勃発し、オーストリアがイタリアの敵国になったため、初演は1917年3月に中立国モナコのモンテカルロ劇場で行われ、大成功を収めました

金持ちの銀行家ランバルドに囲われている高級娼婦のマグダは、ランバルドの友人の息子ルッジェーロと恋に落ち、ランバルドに別れを告げる コート・ダジュールで愛の生活を送る二人の元に、ルッジェーロの母から、マグダとの結婚を喜ぶ手紙が届く ルッジェーロは母に、二人の結婚を許してくれるよう手紙を送っていたのだ ルッジェーロは喜び、マグダに手紙を見せるが、自分の過去を悔やむマグダはためらう 彼女はルッジェーロに高級娼婦だったことを告白し、「あなたの家には入れない」と告げランバルドの元に戻っていくのだった

     

私は今回初めてこの作品を観賞しました プッチーニと言えば真っ先に「ラ・ボエーム」「トスカ」「蝶々夫人」「トゥーランドット」に代表される”泣かせるオペラ”を頭に思い浮かべますが、この「つばめ」は、それらの有名曲とは違う(誰も死なないし)、同じ高級娼婦を主人公にしたヴェルディ「椿姫」とも違う、喜劇的な要素と感傷的な要素をミックスした独特のオペラです

「つばめ」というタイトルは、第1幕でヒロインのマグダの手相を見ていた詩人プル二エが「貴女は恋に落ちて つばめのように海を渡り、恋が終わって 再びつばめのように舞い戻る」と予言する場面から取られています

マグダ役のエンジェル・ブルーは1984年カリフォルニア州生まれのソプラノです UCLAで音楽博士号を取得。2007~2010年にロサンゼルス・オペラの若手芸術家育成プログラムに参加後、欧州で国際的キャリアをスタートさせました METライブでは「カルメン」のミカエラ役が記憶に新しいところです 第1幕冒頭のアリア「ドレッタの夢」をはじめ、声に力があり、伸びのある美しい歌唱で聴衆を魅了しました

ルッジェーロ役のジョナサン・テテルマンは1988年にチリのカストロで生まれ、養子縁組の結果、ニュージャージー州プリンストンで育ったテノールです マンハッタン音楽学校とマスネ音楽学校で学びました 2021年にはドイツ・グラモフォンと専属解約を結びました 開演前にMETのピーター・ゲルブ総裁がステージに現れ、「テテルマンは花粉症に悩まされており不調であるが、本日は出演する。ご理解ください」とアナウンスしていましたが、実際に歌い始めると、まったく不調を感じさせない張りのあるテノールを聴かせてくれました

リゼット役のエミリー・ポゴレルツはミルウォーキー出身のソプラノです フィラデルフィアのカーティス音楽院を2018年に修了。ワシントン国立オペラの「キャンディード」でデビュー 2020年からバイエルン国立歌劇場のメンバーとして活躍しています 軽やかな歌唱と俊敏な演技で、マグダの小間使いリゼットを歌い演じました

プル二エ役のベクゾット・ダブロノフはウズベキスタン出身のテノールです 2021年にドミンゴ主宰「オペラリア」で第2位を獲得しました リリカルな歌唱で演技力もありました

     

メトロポリタン歌劇場管弦楽団の指揮をとったスペランツァ・スカップッチは1973年ローマ生まれの女性指揮者です 10歳でサンタ・チェチーリア音楽院に入学し、ピアノと室内楽を学び、ジュリアード音楽院で研鑽を積みました 2022年にイタリア人女性指揮者として初めてスカラ座の指揮台に立ち、25/26シーズンから英国ロイヤル・オペラの首席客演指揮者に就任します 彼女は帝王ムーティの愛弟子で、ムーティに所縁のある東京・春・音楽祭では2018年にロッシーニ「スターバト・マーテル」を、2020年にはプッチーニ「三部作」(「外套」「修道女アンジェリカ」「ジャン二・スキッキ」)を指揮しています 今回の「つばめ」でも、歌手に寄り添いつつ、ヒロインの悩み、悦び、哀しみをオケから引き出していました

【訂正】2020年のプッチーニ「三部作」はコロナ禍の影響で中止となりました。クラシックファンさんからご指摘がありました。お詫びのうえ訂正いたします(2日14:40)。

二コラ・ジョエルによる演出は、アールデコを基調とした洒脱な雰囲気満点の舞台で、とても美しく 見応えがありました METライブビューイングでは幕間に舞台裏の様子が映し出されますが、いかに大掛かりな装置が多くの人々によって準備され、片づけられ、模様替えされていくかが分かります オペラは「総合芸術」と言われますが、陽の当たる表のステージの裏では、名もない多くのスタッフが働いているからこそ成り立っているのだとつくづく思います

     

METライブビューイング「つばめ」の上映は休憩1回、出演者へのインタビュー等を含めて2時間44分です 新宿ピカデリーでは6日(木)まで上映されます

さて、次回の「METライブビューイング2023-2024」は 今シーズン最後のオペラ、プッチーニ「蝶々夫人」です ヒロインの蝶々夫人を歌うのは、”遅すぎるMETデビュー”のアスミック・グリゴリアン 6月21日~27日の上映が待ち遠しいです

 

     

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする