人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ラジ・リ監督「バティモン5 望まれざる者」を観る ~ パリ郊外で、行政によって排除される移民家族を描いた作品

2024年06月06日 06時53分52秒 | 日記

6日(木)。わが家に来てから今日で3432日目を迎え、車の大量生産に必要な「型式指定」を巡る認証不正があった問題で、国土交通省は前日のトヨタ自動車に続き5日朝、道路運送車両法に基づき、ヤマハ発動機の本社に立ち入り検査に入った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     自動車業界は 不正やらリコールやら 飽きずによくやってるね 技術立国はどこへ?

         

昨日、夕食に「肉じゃが」「生野菜サラダ」「ワカメの味噌汁」を作りました 「肉じゃが」はハッシュドビーフの肉が余ったので使いました 肉じゃがは ちょっとしょっぱかったので、次回の反省材料とします

     

         

昨日、新宿武蔵野館でラジ・リ監督によるフランス・ベルギー合作映画「バティモン5 望まれざる者」(105分)を観ました

労働者階級の多くの移民家族が暮らすパリ郊外の一画にある通称「バティモン5」では、再開発のため、老朽化が進んだ団地の取り壊し計画が進められていた そんな中、市長の急逝により臨時市長に就任した元小児科医のピエールは、汚職を追究されていた前任者とは異なり、クリーンな政治活動を行う若き政治家で、バティモン5の復興と治安改善を政策に掲げ理想に燃えていた 一方、「バティモン5」の住人で移民たちのケアスタッフとして働く西アフリカ・マリ共和国にルーツを持つフランス人女性アビ―は、行政の怠慢な対応に苦しむ住人たちの助けになりたいと考えていた 彼女は友人ブラズの手を借りながら、住民たちが抱える問題に向き合う日々を送っていた 日ごろから行政と住民との間には大きな溝があったが、団地で発生した火災をきっかけに、「バティモン5」の治安改善のため強硬な手段を取る市長ピエールは、「老朽化した建物は危険である」として、安く買い叩いた金で即刻退去するよう求めたことから、長年にわたり高いローンを払い続けてきた住民が反発し、激しい抗争へと発展していく

     

映画の冒頭は、「バティモン5」の一室で老婆が死亡したことから、柩を階下まで降ろす様子が描かれています エレベーターが故障したままの中、住民の荷物が置かれた狭い階段を スマホの光を頼りに何人かの男たちが柩を苦労しながらやっと地上階まで降ろすシーンは、移民たちがどれほど悲惨な生活環境で暮らしているかを如実に表しています

アビーの友人ブラズは、不当に安い価格で住居を買い取り、クリスマスイブの当日に5分以内に荷物を持って出て行け、という理不尽な要求を突き付けられて我慢できなくなり、市長の家に押しかけてクリスマスイブの準備をしている市長の家族に対し、「クリスマスに出て行けと言われることがどんなことか、思い知らせてやる」と怒りをぶつけ、部屋の中を荒して部屋にガソリンを撒きます そこに連絡を受けたアビーが現われ、ブラズは火を点けることを断念します この時のブラズの怒りに満ちた態度こそ移民たちの心情を代弁していると言えます

さて、パリ2024夏季オリンピックは、開会式の2日前の7月26日から競技が始まります ラジ・リ監督はオリンピック開催の直前に公開するもくろみはなかったようですが、「結果的には良かったかもしれない」と朝日新聞のインタビューに答えています(5月24日付朝刊)。国際的なイベントの開催に伴って現実のパリでも、貧困地区の老朽化した建物を壊して住民を立ち退かせる再整備計画が加速したと言われています どこの国でも、大きなイベントが開かれる際には、裏で表面化しない”不都合な真実”が起こっているということでしょう

私は毎日のように池袋に買い物ついでに出かけていますが、池袋駅構内を歩いていると、すれ違う人の半分はアジア・中東系の外国人ではないかと思うことがしばしばです この人たちの全てが移民であるとは言えないものの、少子高齢に伴う労働力不足の日本社会の現状を見ると、日本で働く、あるいは暮らす外国人は年々増加の一途をたどることは火を見るよりも明らかです お互いに安全で住みやすい社会にしていきたいと思うばかりです

     

コメント
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