人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

上岡敏之 ✕ 小川典子 ✕ 新日本フィルでラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」、プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」組曲から抜粋を聴く~フェスタサマーミューザ2019

2019年07月29日 07時16分02秒 | 日記

29日(月)。わが家に来てから今日で1580日目を迎え、日本郵政グループは、かんぽ生命の保険を委託販売する日本郵便の営業ノルマについて、廃止する方針を固めた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      「かんぽだから安心」とか「〇〇だから安全」というのは疑った方がいいと思う

 

         

 

昨日、ミューザ川崎で新日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートを聴きました これは「フェスタサマーミューザ2019」の一環として開かれたコンサートです プログラムは①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18」、②プロコフィエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲から抜粋です 演奏は①のピアノ独奏=小川典子、指揮=上岡敏之です

午後6時からの本番に先立って、3時半から約1時間公開リハーサルが開かれました 数年前の「フェスタサマーミューザ」でたまたま隣り合わせになった地元・神奈川県在住のS氏と3階センター席で聴きました 本番とは逆の順序でプロコフィエフからおさらいしました 公開リハーサルというと、ほとんどの指揮者はカジュアルな服装でリラックスした感じでタクトを握るのですが、新日本フィル音楽監督の上岡敏之氏はネクタイこそ締めていないものの上下黒のスーツです 彼にとってはこれがカジュアルなのでしょうか 主要な組曲を演奏して途中で止めてやり直しをするといった形で約30分おさらいし、一旦休憩をとり、ピアノをセンターに移動してラフマニノフのリハーサルに入りました 小川典子さんはカジュアル・スタイルです 第1楽章を通してさらった後は、第2楽章と第3楽章でソリストが気になるところをさらって短時間で仕上げました

 

     

 

さて、本番です オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの新日本フィルの編成。コンマスはチェ・ムンス氏です   いつものように、第2ヴァイオリンの篠原英和氏と松崎千鶴さんを確認しました

1曲目はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1900年から1901年にかけて作曲、1901年にラフマニノフの独奏で初演されました よく知られている通り、ラフマニノフは1897年に発表した交響曲第1番の初演が酷評され、自信喪失に陥ってしまいました その後、精神科医ニコライ・ダ―リの催眠療法により創作意欲が復活したと伝えられています その復活第1弾がこの「ピアノ協奏曲第2番」だったのです 第1楽章「モデラート」、第2楽章「アダージョ・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・スケルツァンド」の3楽章から成ります

オレンジ系の衣装を身に着けた小川典子さんが上岡氏とともに登場、さっそく第1楽章に入ります 小川さんの演奏は何度か聴いたことがありますが、その度に思ったのは明快な音楽作りです 自分の考えたことを自信を持ってストレートに表現するので、聴いていて気持ちよさを感じます 今回の演奏も例外ではなく、ロマンに満ちた音楽を明快に奏でていきます。特に素晴らしいと思ったのは第2楽章の クラリネット首席の重松希巳江とピアノとの会話です   全楽章を通して、上岡氏の指揮は、小川典子さんとの協演が初めてとは言えないほどピタリと付けていました

満場の拍手とブラボーに 小川さんは会場の隅々まで聴こえるような大きな声で「アンコールにラフマニノフの練習曲”音の絵”作品39-1を演奏します」と宣言し、超絶技巧曲を鮮やかな演奏で弾き切り、会場の温度を2度上昇させました たいていのソリストはアンコール曲名を言わずにいきなり弾き出すか、曲名を言ったとしても とても聴こえない小さい声かのどちらかなのに対し、小川さんはどこまでも明快です    流行りの言葉で言えば「聴衆ファースト」の立場に立っています    彼女がミューザ川崎シンフォニーホールアドヴァイザーを務めているのも伊達ではないと思います

 

      

 

プログラム後半はプロコフィエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲から抜粋です この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)が1935年に完成したものの、2時間を超える長さが不評を買いバレエの上演契約が破棄されてしまいました プロコフィエフは音楽だけでも演奏されるようにと、組曲として編み、第1組曲は1936年、第2組曲は翌37年に、さらに第3組曲が1946年に初演されました この日演奏されるのは3つの組曲から9曲が抜粋され、ストーリー順に演奏されるものです 演奏されるのは次の9曲です

①モンタギュー家とキャピュレット家(第2組曲)、少女ジュリエット(第2)、ジュリエット(第3)、ロメオとジュリエット(第1)、僧フローレンス(第2)、タイボルトの死(第1)、別れの前のロメオとジュリエット(第2)、ジュリエットの墓の前のロメオ(第2)、ジュリエットの死(第3)

上岡氏の指揮で1曲目の「モンタギュー家とキャピュレット家」(第2組曲)の演奏に入ります この曲は「ロメオとジュリエット」組曲の中で最もポピュラーな曲だと思いますが、上岡氏の指揮は「静と動」の表現の落差が鮮やかで、最初からプロコフィエフの世界に引きずり込まれてしまいます 第2曲「少女ジュリエット」では少女ジュリエットの可憐な様子が表現されますが、クラリネット首席の重松さんのソロと、チェロ首席の長谷川さんのソロ光っていました この組曲のハイライトは「タイボルトの死」(第1組曲)でしょう この曲は「ロメオの親友マーキュシオがタイボルトに殺され、激怒したロメオがタイボルトを殺してしまう」というストーリーですが、冒頭の高速テンポで演奏される戦いの音楽はバーンスタインのウエストサイドストーリーのようなジャジーな趣です しかし、後半は一転 葬送行進曲となります。この組曲だけで立派な「音のドラマ」となっています  新日本フィルは切れ味鋭い演奏を展開しました

上岡氏はインタビューで「今回は音楽だけ取り出すことで、聴く方にどれだけ情景が浮かぶように表現できるのか、新鮮なチャレンジになります。いまの新日本フィルの表現力で、この作品の名旋律と、美しくも悲しいストーリー堪能していただければと思います」と語ってますが、その目論見は十分達成できたと思います

 

     

 

     

コメント
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