人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ジョナサン・ノット ✕ 東京交響楽団 ✕ 東響コーラスで J.シュトラウス2世「芸術家の生涯」、リゲティ「レクイエム」、タリス「スぺム・イン・アリウム」、R.シュトラウス「死と変容」を聴く

2019年07月21日 07時22分57秒 | 日記

21日(日)。大学時代の友人で千葉県勝浦市在住のS君から海産物セットが届きました アジ、サバ、あこう鯛、イカが箱から はみ出さんばかりに詰まっていました   S君ありがとう。持つべきものは友だちです

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で1752日目を迎え、トランプ米大統領は19日、日本と韓国の間で高まる緊張の緩和に向けた仲介を韓国文在寅大統領から依頼され、「もし彼らの双方が求めるなら、私は関与するだろう」と述べた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      発言がコロコロ変わるトランプに仲介を頼んだとは 文在寅大統領のセンスを疑う

     

         

 

昨夕、サントリーホールで東京交響楽団の第672回定期演奏会を聴きました   プログラムは①ヨハン・シュトラウス2世「芸術家の生涯 作品316」、②リゲティ「レクイエム」、③タリス「スぺム・イン・アリウム」(40声のモテット)、④リヒャルト・シュトラウス「死と変容 作品24」です 演奏は②のソプラノ=サラ・ウェゲナー、メゾ・ソプラノ=ターニャ・アリア―ネ・バウムガルトナー、②③の合唱=東響コーラス、指揮=ジョナサン・ノットです

この日の不思議なプログラミングについて ジョナサン・ノットは、東響のプログラム冊子「Symphony  7月号」誌のインタビューで、まず東響コーラスとの共演を考えたそうです 「何でも暗譜で歌うこの素晴らしいアマチュア合唱団がどこまでできるのか知りたくなった」とのことで、その結果がリゲティの「レクイエム」と「スぺム・イン・アウリム」の選曲となったそうです   もう一つのテーマが、二人のシュトラウスです。そして、全体を通してのテーマは「人生と死」ということです。ノットのプログラミングはいつも考え抜かれていますね


     

 

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置、いわば”ノット・シフト”をとります    コンマスはグレヴ・二キティン。チェロの首席には西谷牧人氏がスタンバイしていますが、プログラム冊子の「NEWS&TOPICS」によると7月21日付で退団するとのこと。西谷氏は2008年に入団し11年間首席チェロを務めました どこのオーケストラにトラバーユするんだろうか。気になります

1曲目はヨハン・シュトラウス2世「芸術家の生涯 作品316」です この曲はヨハン・シュトラウス2世(1825-1899)が1867年に作曲したワルツで、「美しき青きドナウ」とほぼ同時期に初演されました

ジョナサン・ノットのタクトで演奏に入ります。ゆったりしたテンポで奏でられるウィンナ・ワルツは、ウィーン・フィルの演奏とは一味違う、それでも優雅と言う点では共通する堂々たる演奏でした フルート首席の相澤政宏、オーボエ首席の荒木奏美の演奏が冴えわたりました

東響コーラスの男女混声合唱団約120名がP席にスタンバイし、ソリストのソプラノ=サラ・ウェゲナーとメゾ・ソプラノのターニャ・アリア―ネ・バウムガルトナーが指揮者の左サイドにスタンバイします

2曲目はリゲティ「レクイエム」です この曲はジェルジ・リゲティ(1923-2006)が、1963~1965年に作曲した作品です ①入祭唱、②キリエ、③審判の日:続唱、④ラクリモーサから成ります

曲は、まるで声明(しょうみょう)のような静かな合唱によって開始されます その後、合唱の各声部は絡み合うような動きを見せますが、リゲティはこれを「ミクロポリフォニー」と呼んだそうです 「キリエ」の緊迫した合唱を聴いていて、スタンリー・キューブリックの映画「2001年宇宙の旅」で、この部分が使われていたな、と思い出しました たかの舞俐さんのプログラム・ノートによると、このキリエは「リゲティへの断りなしに映画に用いられ、リゲティの名前を世間に浸透させたことでも知られている」そうです 「審判の日」は劇的です。この曲のハイライトと言っても良いかも知れません リゲティはこのレクイエムについて「死者のための完全なミサ曲ではない」と語ったそうですが、これほど緊張感に満ちた音楽が続いては、死者もおちおち死んでられないでしょう とにかく合唱が素晴らしい


     


プログラム後半の1曲目はタリス「スぺム・イン・アリウム」(40声のモテット)です この曲はトマス・タリス(1505頃~1585)が1570年頃に作曲した全40声部(5声部の合唱8組)により歌われるモテットです 「スぺム・イン・アリウム」(御身より他に)は「神より他に望みを託せる方はいません」という意味です

オーケストラの出番はないため、照明はジョナサン・ノットと合唱団のみに当てられます 合唱団は男声と女声が左右に分かれて歌う前半の「レクイエム」とは違い、「ソプラノ、アルト、テナー、バリトン、バス」約15人から構成される8つのグループに分かれてスタンバイします

曲は、8つのグループが様々な順序で応答していくため、聴いている側はホールトーンに包まれる感じになり、音響効果(ステレオ効果)が最大限に発揮されます とにかく合唱が素晴らしい 日本の合唱団で素晴らしいと思うのは新国立劇場合唱団とバッハ・コレギウム・ジャパンのコーラスだと思いますが、アマチュア合唱団では東響コーラスは相当レヴェルが高いのではないかと思います しばし、拍手が鳴り止みませんでした

最後の曲はリヒャルト・シュトラウス「死と変容 作品24」です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が1888年から翌89年にかけて作曲し、1890年6月21日にアイゼナハで作曲者の指揮により初演されました

リヒャルト・シュトラウスは評論家フリードリヒ・フォン・ハウスエッガーへの手紙で「非常に高い理想へと邁進するひとりの芸術家の死の瞬間を描こうとした」と記しています この日のプログラミングに立ち返ると、最初に「芸術家の生涯」で開始したコンサートは「芸術家の死」で終わることになります。私は個人的には「英雄の生涯」とか「家庭交響曲」とかいった誇大妄想的な作品は好きではありませんが、24歳の若き日に書いたこの「死と変容」は好きです ノットのタクトに導かれた東響はリヒャルト・シュトラウスの管弦楽の魅力を十分に生かした素晴らしい演奏を展開しました

最後に、前の曲を歌い終わってP席に座ってこの曲に耳を傾けていた東響コーラスの面々も ノットの指示で立ち上がり、度重なるカーテンコールに応えていました とてもいいコンサートでした

コメント
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