30日(月)。わが家に来てから今日で1397日目を迎え、東から西へ列島を横切る観測史上初の強い台風12号が関東地方を抜けて、真夏の猛暑が戻ってきたことから ひと言アドヴァイスをするモコタロです
水飲まなきゃやってらんないよ! 猛暑再来 熱中症にならないように水分補給を!
昨日、ミューザ川崎で東京シティ・フィルの「正統派ドイツ音楽Ⅱ」公演を聴きました これは「フェスタサマーミューザ2018」の一環として開かれたものです。プログラムは①ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲、②ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73”皇帝”」、③ブラームス「交響曲第4番ホ短調作品98」です ②のピアノ独奏はシュテファン・ヴラダー、指揮は高関健です
午後3時からの開演に先立って午前11時から同じ会場で公開リハーサルが開かれました 私服で登場した楽員を見ると、かなりメンバーが入れ替わっているように思いました 私は東京シティ・フィルの定期会員ではないので、メンバーの顔ぶれはあまりよく分からないのですが、新しい顔がちらほらと見えるように思いました
さて、リハーサルの前半は「皇帝」と「魔弾の射手」を、後半はブラームスの「第4番」をさらいました 「皇帝」では楽章が終わるごとにヴラダーが高関氏に歩み寄ってスコアを見ながら注文を出し、その指摘箇所をおさらいする形をとりました。ヴラダーはピアニストであると同時に、最近は指揮者としても活躍しているので、オケ全体のバランスなどが気になるのでしょう 高関氏は指摘を受け日本語で楽員に指示を出し やり直しをします。ヴラダーが引き上げた後は「魔弾の射手」です この曲は演奏しては途中で止め、やり直しという繰り返しをすることで仕上げていきました
20分休憩をとった後、ブラームス「交響曲第4番」のリハーサルに入ります 「魔弾~」同様、途中で演奏を止めてやり直しをしながら全楽章をさらいましたが、第4楽章冒頭のところで、金管がトンデモナイ音を出しました 高関氏はスコアブックを持ち上げて、上下さかさまにして「どこにそういう音符が書いてあるの」と言いたげに金管を見て、「3番かと思った」とジョークを飛ばしました それを聞いた楽員一同は大笑いです ここで、高関氏が「3番かと思った」と言ったのは、ブラームスの「交響曲第3番ヘ長調」の第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」の冒頭がちょうどそんな感じだったからです こういうことがあるからリハーサルの見学は止められないのです
リハーサルを見て感じたのは、高関氏のコミュニケーション能力の高さです 修正点を指摘して再演の結果が上手くいくと、必ず右手の指でOKマークを作って奏者を讃えます 誰でも認められればうれしくなり、もっと上手に演奏しようと思うものです 高関氏は楽員の心理を十分に把握して指揮をしているように見受けられます
さて本番です。会場は8割方埋まっているでしょうか オケは高関シフト=左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置を採ります。コンマスは戸澤哲夫です
1曲目はウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲です カール・マリア・フォン・ウェーバー(1786‐1826)が1821年に初演したオペラ「魔弾の射手」は、オペラにおけるドイツ・ロマン主義を確立したと言われる記念碑的な作品です
この曲ではクラリネット、フルート、ホルンが素晴らしい演奏を繰り広げていました
2曲目はべートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73”皇帝”」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)が1811年に初演した作品です
第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ・ウン・ポコ・モッソ」、第3楽章「ロンド・アレグロ」の3楽章から成ります この曲は「皇帝」という愛称で呼ばれていますが、ベートーヴェンが名付けたものではありません しかし、全体的な印象としてはまさに数あるピアノ協奏曲の中の皇帝と呼べるほど威厳に満ちた堂々たる作品です
ピアノ・ソロを務めるシュテファン・ヴラダーはウィーン出身のピアニストで、ウィーン国立音楽大学でハンス・ペーターマンデルに師事し、1985年ベートーヴェン国際ピアノコンクールで優勝しています
高関のタクトで第1楽章がオケの総奏で開始されると すぐにヴラダーの力強い独奏ピアノが入ってきます ヴラダーのスケールの大きい演奏を高関✕東京シティ・フィルがしっかりとサポートします 第2楽章は一転、静謐さを感じさせる繊細な音楽です。ヴラダーは粒立ちの美しいピアノで一音一音を慈しむように演奏します バックを務めるオケはフルート首席・竹山愛をはじめとする木管楽器群と、弦楽器群が美しい演奏を展開します 続けて演奏される第3楽章では冒頭からピアノが炸裂します。ヴラダーのピアノはパワフルで、これぞベートーヴェンという意気込みを感じさせます
会場いっぱいの拍手とブラボーに、ヴラダーはリストの「コンソレーション第3番」をしみじみと演奏し、聴衆のクールダウンを図りました
プログラム後半はブラームス「交響曲第4番ホ短調作品98」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833‐97)が1885年に作曲した最後の交響曲です
第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・モデラート」、第3楽章「アレグロ・ジョコーソ」、第4楽章「アレグロ・エネルジーコ・エ・パッショネート」の4楽章から成ります
高関は譜面台にスコアブックを載せますが、ページをめくることはなく暗譜で指揮します それならスコアブックは不要ではないか、と思われそうですが、おそらく、指揮者や演奏者が上下黒の正装で演奏するのが「作曲家とその作品に対する敬意」からであるのと同様に、「作曲者とその作品に対する敬意」を表しているのだと思います
高関のタクトで第1楽章が 上から下へ、下から上へ と繰り返される ため息のようなメロディーで開始されます もの悲しいような、ほのかに情熱を秘めたような不思議な曲想です 第2楽章では 弦の美しさに感嘆します 第3楽章ではオケの力強さや推進力を感じます そして、第4楽章ではエネルギーに満ちた情熱の発露を感じます ここでも竹山愛のフルートが冴えわたります 全楽章を通じて、高関健の指揮は大胆にして繊細、そして明快でした
満場の拍手とブラボーに、高関✕東京シティ・フィルは公開リハーサルでは練習しなかった(さては隠れてやったか?)ブラームスの「ハンガリー舞曲第1番」をノリノリで演奏、会場の温度を2度上昇させました