人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

小林研一郎✕エリソ・ヴィルサラーゼ✕読売日響でベートーヴェン「ピアノ協奏曲第1番」、チャイコフスキー「マンフレッド交響曲」を聴く~第580回定期演奏会

2018年07月07日 07時40分07秒 | 日記

7日(土)。昨日は、梅雨は本当に空けたのか?と思われる雨模様の1日でした 昨日、長袖シャツをタンスにしまい半袖シャツを出しました。長嶋さん言うところの「いわゆる一つの衣替え」です 今まではコンサートホールや喫茶店で冷房が効きすぎて寒い場合を想定して長袖シャツを着て出かけていましたが、いつも袖をめくって半袖状態にしていたので、これでは同じことだ、ということで思い切って半袖に切り替えました

ところで、話は360度変わりますが(これ、ギャグですよ、分かってね)、昨日の朝日朝刊・オピニオン欄に「『ガーファ』の世界で」という見出しが躍っていました 「ガ-ファって何よ」と リード記事を読んだら「グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンというアメリカの巨大IT企業4社の頭文字だということでした 3人の論客がガ-ファについて持論を展開していますが、このうちインフォバーン代表取締役・小林弘人氏は「2016年の米大統領選では、フェイスブックやグーグル上でフェイクニュースが拡散し選挙に影響したのでは、という懸念も起きた 米国家安全保障局(NSA)による大規模情報監視を暴露したスノーデン事件では、グーグル、フェイスブック、アップルなどから情報を入手していたとの告発もあった」として、「ガ-ファのサービスは便利だが、それと引き換えに何を失っているのかについて向き合う必要がある」と主張しています

たしかに おっしゃる通りなのですが、われわれ一般市民に何が出来るのだろうか、と考えてしまいます グーグルは便利なので毎日のように検索しているし、アップルはスマホで使っているし、アマゾンは娘が頻繁に利用しているし、やっていないのはフェイスブックだけです 個人的にはフェイスブックは個人情報流出の危険性が極めて高いと思うので、流出して困る個人情報はほとんどありませんが、今後もやるつもりはありません

ということで、わが家に来てから今日で1374日目を迎え、トランプ政権が6日、中国の知的財産権侵害に対する制裁関税を発動、産業用ロボットなど340億ドル(約3兆8千億円)分に25%の関税を課したが、中国も同規模の報復に出た というニュースを見て感想を述べるモコタロです 

 

     

                トランプの頭にあるのは大統領に再選されることだけ 世界経済なんて考えてない

 

         

 

昨日、いつも魚を買っている池袋のN水産で頭付きの鯛を買ってきました これで1280円(税別)です。これを料理します

 

     

 

切り身を「煮つけ」にし、頭を「味噌汁」にしました あとは「生野菜とツナのサラダ」と「マグロの山掛け」を作りました 娘は子供の頃から魚の目が大好物で、目には目がないと言っても過言ではありません 煮つけも味噌汁もとても美味しくいただきました

 

     

 

         

 

5日(木)午後7時からサントリーホールで読売日響 第580回定期演奏会を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第1番ハ長調作品15」、②チャイコフスキー「マンフレッド交響曲作品58」です ①のピアノ独奏はエリソ・ヴィルサラーゼ、指揮は"炎のコバケン”こと小林研一郎です

エリソ・ヴィルサラーゼは1942年ジョージア生まれ、ロシア・ピアニズムを現代に継承する世界的なヴィルトゥオーゾ・ピアニストと言われています モスクワ音楽院で名匠ネイガウスとザークに師事、20歳の時 チャイコフスキー国際コンクールで第3位入賞、24歳でシューマン国際コンクールで優勝を果たしています 現在、モスクワ音楽院とミュンヘン音楽大学の常任教授を務めるほか、主要な国際コンクールの審査員を務めています

 

     

 

オケはいつもの編成で、左サイドにヴァイオリン・セクションを集めています。コンマスは長原幸太です

1曲目はベートーヴェン「ピアノ協奏曲第1番ハ長調作品15」です この曲はベートーヴェン(Ⅰ770-1827)が1793年から95年にかけて作曲し、その後1800年に改訂した作品です 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります

大きな拍手の中、トレードマークの黒い衣装に身を包まれたヴィルサラーゼが登場、ピアノに向かいます コバケンのタクトで第1楽章が開始されます。古典派の協奏曲に特有の長い序奏が続きますが、コバケン✕読響は、20代の若き日の作品だろうがベートーヴェンはベートーヴェンだ という堂々たる演奏を展開します 次いで ヴィルサラーゼのピアノが入ってきて主題を演奏します この楽章の聴きどころはカデンツァです。ベートーヴェンは3つのカデンツァを残していますが、演奏を聴いた限りでは技巧を凝らした長大な曲だったので、3つのうちで一番重厚なカデンツァを選んだのかも知れません ヴィルサラーゼの演奏は、これぞベートーヴェン といった端正ながらも堂々たるものでした 第2楽章のラルゴでは一転、一音一音を慈しむように丁寧に弾き切りました 第3楽章に入ると、躍動感あふれるロンドを軽快に演奏、彼女をサポートする楽員たちもなぜか楽し気に演奏していました ヴィルサラーゼはテンポを揺らして故意に特徴付けたりすることなく、自然体で弾いていましたが、それが反ってベートーヴェンの本質が伝わってくる演奏になっていました

満場の拍手とブラボーにカーテンコールが繰り返されましたが、3度目にステージに呼び戻された時、なぜか彼女の片方の靴が脱げてしまい、聴衆から「あっ」という声が上がりましたが、転ぶことなく 履き直して 無事にステージ中央に進みました さすがはロシア・ピアニズムを現代に継承するピアニストです。晴れの舞台を「履かない一生」にはしません

 

     

 

プログラム後半はチャイコフスキー「マンフレッド交響曲作品58」です この曲はイギリスのロマン派の詩人バイロンの詩劇「マンフレッド」に着想を得た交響曲で、交響曲第4番と第5番の間に当たる1885年に書かれました。チャイコフスキー(Ⅰ788-1824)は、シューマンの劇付随音楽「マンフレッド」を意識して、なかなか作曲に踏み切れなかったようです 第1楽章「レント・ルグーブレ」、第2楽章「ヴィヴァーチェ・コン・スピーリト」、第3楽章「アンダンテ・コン・モート」、第4楽章「アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

チャイコフスキーは、楽譜に標題を記していますが、それによると第1楽章「マンフレッドは、人生に疲れ果てアルプス山中をさまよっている。自ら命を絶ったアスタルテの思い出が彼の胸を締めつける」、第2楽章「滝のしぶきにかかる虹のもと、マンフレッドの前にアルプスの聖霊が現れる」、第3楽章「パストラーレ、山人たちの素朴でのどかな生活」、第4楽章「アリマネスの地下宮殿。地獄の酒宴にアスタルテの亡霊が現われ、マンフレッドは許され、苦悩に満ちた生涯を終える」となっています

チラシの解説によると、コバケン✕読響による「マンフレッド交響曲」は1985年2月以来33年ぶりとのことです コバケンはベルリオーズの「幻想交響曲」など標題付きの交響曲を得意にしていますが、この曲もチェコ・フィルやロンドン・フィルと録音しており、得意のレパートリーなのでしょう

コバケンのタクトで第1楽章が始まります。冒頭、ファゴットによる重苦しいマンフレッドの主題が奏でられますが、チャイコフスキーはファゴットの使い方が上手いですね 彼は後の「交響曲第6番”悲愴”」でもファゴットから開始しています 第2楽章では、まるでメンデルスゾーンの「夏の夜の夢」の妖精が飛び交うような軽快な音楽が各楽器にリレーされていきます 第3楽章では冒頭、オーボエが美しいメロディーを奏でますが、蠣崎耕三の演奏が冴えわたっていました オーボエと言えば、プログラム冊子に「オーディションのお知らせ」として首席オーボエ1名が募集されていましたが、ひょっとすると蠣崎氏の後任狙いでしょうか 第4楽章では力強いモティーフが演奏されますが、最後には第1楽章に現れたマンフレッドのテーマが再現され、パイプオルガンが荘重に響く中、マンフレッドの死が暗示され、フィナーレを迎えます

弦楽器、管楽器、打楽器、オルガン総動員による読響の熱演でしたが、正直な感想を言えば、名曲と言われる交響曲第4番、第5番、第6番に比べると、今一つ魅力が乏しい作品だと思います チャイコフスキーは、パトロンのメック夫人に「これは、私の交響作品のなかで最も優れたものだと思います」と書き送っていますが、冒頭のファゴットによる衝撃的な主題の提示や、フィナーレのパイプオルガンの荘重な音楽など、いくつか強い印象を与えるフレーズがあるものの、継続的に耳を傾けさせる力を持つまでには至っていないように思います 演奏時間して1時間弱の作品ですが、正直言って 全曲を聴き通すには若干長すぎ、辛いものがあります    逆に言えば、交響曲第4番~第6番は 屈指のメロディーメーカー、チャイコフスキーらしい魅力的な旋律に溢れた名曲だと言えるかもしれません

そうは言うものの、演奏するのは炎のコバケン✕読響です チャイコフスキーの隠れた名作「マンフレッド交響曲」の一大叙情詩を総力戦で見事に歌い上げました

実は今、コンサートの予習で聴いたナクソスのCDを聴きながらこれを書いていますが、聴けば聴くほどドラマティックな良い曲だと思うようになりつつあります

 

     

 

さて、コンサートは演奏後、コバケンがセクションごとに立たせた後、例によって拍手を制し、

「皆さん、今日はありがとうございました 読売日響は2017年度のサントリー音楽賞を受賞しました どうか これからも勇気を与えてください

とあいさつ、満場の拍手とブラボーを浴びました いかにも気配りのコバケンらしい あいさつだと思いました


     

コメント
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