明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(255)戦争と暴力の10年を問う

2011年09月07日 17時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110907 17:00)

9月11日が近づいてきました。この日は、311大震災・大津波・原発
大事故から6カ月の日ですが、同時にアメリカで起こった「911事件」
から10年目の日でもあります。あのときツインタワーを襲ったのは
誰だったのか未だにはっきりしていません。しかしアメリカは、
すぐさまオサマ・ビンラディンを犯人と断定してアフガニスタン・
タリバン政権に引き渡しを要求。タリバン政権が「証拠がないのに
引き渡しには応じられない」述べると、なんと、事件には直接に
なんの関係も考えられないアフガニスタンに空襲を開始しました。

その後、世界は殺伐とした雰囲気に包まれてしまいました。アメリ
カはテロに対する報復のトーンをどんどん高め、あちこちで国家に
よる暴力が強められました。さらにイラクに対する介入が強められ、
フセインが大量破壊兵器を隠していると主張。イラク侵攻が開始さ
れ、全面戦争・・・というより一方的な殺りく戦に拡大し、本当に
たくさんの命が奪われていきました。

こうした流れはパレスチナにも波及し、2008年末から翌年にかけて
イスラエルがガザ地区を空襲、世界の人々が見ている前で、白昼
堂々と連日にわたる市民の殺りくが行われてしまいました。まさに
この10年、世界は戦争と国家暴力によって明け暮れました。その
挙句にアメリカは今年になって、パキスタンでオサマ・ビンラ
ディンの隠れ家を急襲。無抵抗だった彼をその場で法的根拠もなく
処刑してしまいました。

そもそもテロとはなんでしょうか。非常に定義が難しい言葉ですが、
法的根拠に基づかない、卑劣な殺りく行為というほどの意味を持っ
ていると思います。ではアメリカの行ったことは何だったのでしょ
うか。イラクには大量破壊兵器などなかったのです。しかし一方的
攻め込んだ。オサマビン・ラディンも無抵抗なのに処刑されてし
まった。僕はこれらも明白なテロだと思います。国家テロです。

こうした10年の最後の年に、311事態が起こりました。地震自体は
偶然にこの時期に起こったのですが、その後に起こった放射能漏れ
隠しによる被曝の拡大、いまなお続く、危険地帯の放置などの事態
は、僕にはこの10年間とのつながりを強くもつものであると思えて
なりません。

さらに言えば、そもそもこの暴力は、第二次世界大戦のあらゆる
暴力(日本軍のそれも含めて)が正されて来なかったこと、特に
原爆投下の不正義が正されて来なかったことと強く結び付いている
ように思えます。その意味で私たちに今降りかかってきている
苦しみは、アフガンやイラクの人々が苦しんできたことや、第二次
世界大戦の犠牲者たちの苦しみと深いつながりを持っています。
(僕はその意味を込めて、アフガニスタン空爆と書かずに空襲と
書いています。あのとき、「空襲」と書くと日本人が嫌悪するので、
「空爆」という言葉が使われたそうだからです)

だからこそ、今、この戦争と暴力の10年を問わなくてはいけない。
それを問わずして、私たちだけの平和と安全を考えることはでき
ないと思うのです。あれほどにひどい戦争を行う国が私たちの「友好
国」であり、かつ政府の背後から原発事故終息にも強く口を出して
いること。同時にそのむごい戦争を全面支持してきたのが私たちの
政府であることと、人々が深刻な被曝の中にあっても、それを防ごう
とせず、むしろ被曝の実態を隠して、被曝を拡大しようとすらして
いることが強く重なっているように僕には思えます。

その意味で、311から6カ月を迎えるこの秋に、僕は多くの皆さんと
ともに、この10年の戦争と暴力の中で亡くなったたくさんの命に
思いを馳せ、その中にあってこそ、私たちと世界の人々の未来の平和
と安全、幸せを願っていきたいと思うのです。

こうした観点から僕は京都大学の岡真理さんがよびかけている以下の
企画に参加します。これらは僕が参加するピースウォーク京都も協力
しています。またピースウォーク京都自身は、10月8日、アフガニス
タンへの空襲が始まった日に、三条河原でキャンドルをもって、
戦争犠牲者への追悼行動を行います。10月29日のマラライ・ジョヤ
さんの講演会も共催します。(これらの案内はまた別に掲載します)

みなさま、どうかご参加ください。平和への祈りを込めて。

*****************************

9・11、アフガニスタン空爆から10年目を迎え、アフガニスタン関連の
講演会を3回シリーズで京都大学にて、開催いたします。シリーズ最終回
にあたる第3回、アフガニスタンの女性人権活動家、マラライ・ジョヤ
さんをお招きしての講演会は、ピースウォーク京都との共催です。
その事前学習会として、2つの企画を準備いたしました。いずれも
アフガニスタン関連の映画上映とアフガニスタン研究者による講演会です。

第1弾は、10日、今週の土曜日、川崎けい子・中津義人監督のドキュメン
タリー「ヤカオランの春」の上映と、田中浩一郎さんの講演会です。
「ヤカオランの春」は、1978年の共産党クーデタから2001年の米軍による
攻撃までの20数年間のアフガニスタンの歴史を、一人のアフガン人教師の
人生の証言に重ね合わせながら描いたものです。アフガニスタンの苦しみが、
決して、アメリカによる戦争、あるいはタリバーン時代から始まったもの
ではないことがよく分かります。
ぜひ、お越しください。

===転載・転送歓迎=========================

シリーズ<9・11、アフガニスタン空爆から10年
 ~アフガニスタンと世界と私たちの今を考える~>

■第1回 2011年9月10日(土)1:30~(1:00開場)
◎映画「ヤカオランの春」(川崎けい子・中津義人監督、2003年、83分)
◎講演 田中浩一郎さん(日本エネルギー研究所理事)
 「アフガニスタン~終わらない苦難の歴史~」
会場:京都大学 吉田南キャンパス 人間・環境学研究科棟 地下講義室
http://www.h.kyoto-u.ac.jp/access/
★申し込み不要 / 資料代700円
--------------------------------------------------------------
アフガニスタンを今いちど、想起するために――
9・11によって、それまで関心の埒外に打ち捨てられていたアフ
ガニスタンは、にわかに世界の耳目の的になりました。しかし、
2003年、イラク戦争が始まると、世界の関心はイラクに注がれ、
アフガニスタンは再び、忘却の深淵に飲み込まれていきました。
10年たっても米軍・NATO軍の駐留は続いています。9・11、
そしてアフガニスタン空爆から10年を迎える今、あらためてア
フガニスタンについて想起し、私たちが果たすべき応答責任ついて、
ともに考えたいと思います。
--------------------------------------------------------------
【講師プロフィール】
田中浩一郎(たなか・こういちろう)
専門は現代イランの政治情勢および現代アフガニスタン情勢。在イラン
日本大使館専門調査員、(財)中東経済研究所主任研究員、外務省国際
情報局分析2課専門分析員、国際連合アフガニスタン特別ミッション政
務官、(財)国際開発センター エネルギー・環境室主任研究員を歴任、
2008年より(財)日本エネルギー経済研究所理事、兼 中東研究センター
長。論文に「アフガニスタンの今」(保坂修二編『アフガニスタンは今、
どうなっているのか』京都イスラーム地域研究センター、2010年)ほ
か多数。
--------------------------------------------------------
【映画「ヤカオランの春」】
やがて教師は語り始めた、封印された暗い過去の秘密を、故郷で起こっ
た衝撃の真実を――
内戦の激戦地ヤカオラン、美しい大地は血で染まり、人々は悲しみに
沈んだ。アリ・アクバル、タジワール夫妻は、生きるために故郷を離れ、
難民となった。そして、自らの人生を子どもたちに語り始めた。
平和を希求する人々へ、あるアフガン家族からのメッセージ…
---------------------------------------------------------
主催:PJ21(京都大学大学院 人間環境学研究科 岡真理研究室)
PJ21kyoto@gmail.com
----------------------------------------------------------

<今後の予定>
■第2回 2011年10月8日(土)1:30~(1:00開場)
◎映画「カンダハール」(モフセン・マフマルバフ監督、イラン=仏、
2001年、87分)
◎講演 鈴木均さん(アジア経済研究所研究員)
 「アフガニスタンはどこへ行くのか~9・11から10年を迎えて~」
--------------
■第3回 2011年10月29日(土)1:30~(1:00開場)
◎講演 マラライ・ジョヤさん(人権活動家・もと国会議員)
 「祖国に自由と真の民主主義を求めて
~占領・軍閥・原理主義との闘い~」
-----------------------------------------------------------
PJ21 その他の企画(別途、詳細お知らせします)

■9月17日(土)1:30~(1:00開場)
「<パレスチナ>私たちに何ができるの?」
◎映画「シャティーラ・キャンプの子どもたち」
◎講演1.岡真理「パレスチナ問題とレバノンのパレスチナ難民」
   2.清末愛砂「西岸最新情報」
◎私たちにできること(パレスチナ関連NGOの活動紹介)
会場同じ/資料代1000円
------------------------------------------------------------
以上

岡 真理
*****************
京都大学大学院 人間・環境学研究科
tel/fax 075-753-6641
e-mail PJ21kyoto@gmail.com
*****************
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明日に向けて(254)実はこれまでも日本全土が被曝していた・・・・・。

2011年09月06日 23時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110906 23:00)

これまでこの通信に多くの方がコメントを寄せて下さいました
が、その中でやりとりをし、お互いにブログをリンクさせるに
いたった方に「よもぎ」さんという方がおられます。「石の下
にも5年かも」というブログを開設されています。

ブログの説明として次のような一文が掲載されています。「慢
性疲労症候群と診断されてから、いろいろな方面に関心が広がり
ました。石の下に閉じ込められている方々が大勢いらっしゃる
のだと思います。病名にこだわらず、思うことを記していきた
いと思います。」

「慢性疲労症候群」という言葉を、僕は肥田舜太郎医師のイン
タビューの折に初めて知りました。ウキべディアでは「主訴は、
身体及び思考力両方が激しく疲労し、日常生活を著しく阻害す
る」と説明されており、日本で38万人の患者がいると推定され
ています。

しかし認知度が低く、「適切な診断を受けていないか、うつ病
・神経症・更年期障害・自律神経失調症等に誤診されている患
者が多いと思われる」のが実情のようです。アメリカでも数百
万人の患者さんがいるようですが、肥田さんがしのビデオをみた
ときに、原爆ぶらぶら病とそっくりだと感じたと言うのです。

そこから肥田さんは、この病もまた被曝の影響によって起こって
いるのではないかと考えたといいます。詳しくは、岩波書店
『世界』9月号に掲載された、肥田さんのインタビュー記事を
ご参照ください。

よもぎさんもまた「慢性疲労症候群」という診断を受ける中
で、さまざまなことを学び、情報発信をしてくださっているの
ですが、彼女が伝えたいことは、この病の恐ろしさというよりも、
その中にあって、前向きに、命ある事に感謝しつつ歩んでいる姿
です。その姿勢に心を打たれます。

さて、そのよもぎさんが、今回、「これまでずっと封印してきた」
ことを書いて下さいました。端的に言えば、311の前からたくさん
の原発に囲まれている日本では多くの地が被曝しているという
点です。また多くの人がガイガーカウンターを持った今、それが
明らかになりつつある。だから「原発マフィア」が、放射能を
日本中にばら撒いてしまおうとしているのではないかという推論も。

僕は全体としてよもぎさんの書いていることに強く共感しました。
避難や除染を考えるときにも、この日本全体の被曝の可能性を
考えることは非常に重要だと思います。この点、肥田さんも、
グールドというアメリカの研究者が行った研究を引いて、原発から
100マイル(160キロ)圏内ではガンの発症率がそれ以外の地域より
高いこと。被曝が疑われることを指摘していました。

それで肥田さんは日本でも原発からの100マイル地図を作ろうとした
ところ、ほとんど日本全土が入るのでやめたと我々ていたので
すが、今回、よもぎさんは、自らのブログにこの地図をアップされ
ています。ぜひこれもご覧ください。
http://baikautsugi132.blog24.fc2.com/blog-entry-73.html#comment

この地図を見ると、原発から160キロ圏内にあることを免れている
地域は、北海道の東半分と、紀伊半島の南側部分。徳島県などであ
ることが分かります。被曝から逃れるにいいところといえそうです
が、東北海道は西で事故が起こったらアウトです。紀伊半島はどう
か。放射能の被害ではないけれど、豪雨による大災害の最中で、
なんとも悲しく思います・・・。

こう考える時、思いだされるのは、肥田さんの次の言葉です。
「一番大事なのはみんなで元を断つことです。放射能から逃げる
努力などする必要のない世の中を作ることです」・・・。
まさに僕もその通りだと思います。

以下、よもぎさんのブログ内容をご紹介します。

*****************************

現実直視(1)2001年3月11日以前の日本1

このブログでは、ずっと封印していたことを書きます。
未来に生き残る人に伝えなくてはいけない時になってしまった
と判断しました。現在、生きている人が、この事実の連鎖を知
らなくては、生き残る人さえいなくなるかもしれないという懸
念が、日々強くなるばかりです。

まず、日本がこれまでの55年間に、多かれ少なかれ日常的に被
曝してきた範囲。原発が稼働するだけで、低線量フォールアウト
は半径160kmの圏内に及びますが、もう多くの人がご存じのよう
に、風向きによって範囲はきれいな円など描きません。

そして、どの原発も何度も高濃度の放射能漏れ事故を起こしてい
ます。その都度、よくても「事故はあったが周辺に影響はない」
の報道が為されました。まったく報道されない事故も多々あった
ことと想像します。

しかし、もちろん影響はあったのです。
子供や若者にがんや脳腫瘍が増え、大人がある日突然に白血病に
なる…。その多さを見ても(おそらく統計は公表されないで
しょうが)、従来の生物学や疫学では説明できない不思議な現象
のはずです。

私自身が「脳内物質が影響を受ける免疫障害の病」と知って、脳
と免疫に関するさまざまな文献を渉猟し、また、それ以前に生活
をともにしてきた動物たちの「免疫障害」の病気の数々と闘って
きた重い経験が結びついたとき、無数の病名の区別など吹っ飛ん
でしまいました。

生物の免疫システムが広範囲にわたって壊されている!

小動物の場合しか知らないといえば知らないのですが、最初に出
る症状は多様で、ほんとうに何年経っても、次から次へと新しい
病名に遭遇します。けれども、つきっきりの臨床看護をしていれ
ば、次第に症状の展開が読めてくるようになります。
なりたくないのですが、なってしまいます……

これと同じことが人間にも起きているとは、現実には、長い間、
私は気づいていませんでした。自分の状態も病気とは知らなかった
のです。

けれども「慢性疲労症候群」という病名からスタートしてみると、
WEB上で、さまざまな病気と苦闘しあるいは共生している方々の
たくさんのブログを知ることができる時代になっていました。

なかでも気になったのは、グリオーマという脳腫瘍(膠芽腫)の
多発でした。2001年前後に、20代後半という若さで罹患されてい
る方が多い……。数年の余命宣告を受けるような病の好発年齢が
20代後半?

ホームページやブログという表現手段を使えるという条件が、年
齢層をかなり狭く見せているのかもしれませんが、これほど苛酷
な病に罹る働き盛りの方が多いというのは、どう考えても異常です。

また、今ではごく当たり前の病のように口に上る「うつ病」の
多発も、やはり異常と考えるべきだと思いますし、免疫障害が
関わっていると思われます。「うつ病」は憂鬱が続くからなって
しまう、というような病ではありません。脳内物質の異常が
起こっています。ただし、セロトニン、ドーパミン由来説は、
現在も「仮説」です。仮説をもとにした投薬は、ターゲットを
確定できないロシアン・ルーレット。しかし、SSRIはもはや湯水の
ように処方され、ビジネス分野を確立してしまいました。
副作用には「うつ病」が必ず明記されています。

けれど、断薬も苦しい副作用を伴うため難しく、患者の発症時の
恐怖、断薬時の苦悩の記憶を糧に、個体差を精査することなく、
どんどんばら撒かれています。いったん「うつ病」と診断される
と薬の人質状態となってしまいます。

薬と武器は同じ人間が所有する会社が作っている。

同じ人間たち=シンジケートが、医療産業、石油産業、自動車
産業、金融産業も、その根幹を一手に握っている。

もちろん原子力産業も、です。

そして、医療、薬、武器、原子力が最も欲しがるものは何か?
出来るだけ多くの「人体実験」のデータとエビデンス(統計証拠)
です。

--------------------------------------------------------------

3月の事故をきっかけに、いち早くガイガーカウンターを入手され
た方々が大勢いました。この全国の状態を計測されたら、当時
「安全」と信じていた関東以西でも、異常な高い数値が続々と出る
ことに、誰もが不審を感じ始めるのは時間の問題です。

そこで「原子力シンジケート」が打った手が、「汚泥を腐葉土に
混ぜて、全国拡散」だと私は直観しました。

これで、速やかにすべてを福島のせいにできる。

でも、多くの人が「安全でクリーン」と考えていた日本は上図のもの
です。現在、多くの日本在住の人が「返して!」と叫んでいるのは、
人工放射性原子のヒット率が低く、たやすく隠蔽できるだけの島
なんです。

原発の配置を見て、私が想起したのは、解体するためにビルの各所
に配置された爆薬でした。

原典は6月14日の記事「未曾有な日常、生き方シフト」で、記事の
末尾にご紹介した下記の本とともに送付していただいた小冊子、
【アヒンサー 未来に続くいのちのために 原発はいらない】です。

2冊の本も、再度ご紹介しておきます。
アメリカに於けるデータが詳しく掲載されています。

アヒンサーシリーズ(アヒンサー=「生命あるものを傷つけない」)
『死にいたる虚構 国家による低線量放射線の隠蔽』 (1994年刊)
ジェイ M. グールド/ベンジャミン A. ゴルドマン著
(肥田舜太郎/斎藤紀 共訳)
“DEADLY DECEIT Low Level Radiation High Level Cover up”
    Jay M. Gould/Benjamin A. Goldman

同じシリーズに
『放射線の衝撃 低線量放射線の人間への影響(被曝者医療の手引き)』
もあります。
ドネル W. ボードマン Donnell W. Boardman,M.D.著(肥田舜太郎 訳)

現在は[PKO法『雑則』を広める会]
(tel&fax 0422-51-7602 047-395-9727)で、500円以上のカンパで頒布。

本当にできるだけ多くの、日本にいる人に読んで欲しいのですけれど
……無理かなあ?(-_-;)
コメント (2)
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明日に向けて(253)ナラ枯れ防除活動に再度、取り組みます・・・。

2011年09月06日 01時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110906 01:00)

みなさま。*印の内容は9月1日に書いものです。主旨はナラ枯れ防
止活動を洪水防止の観点からも再開するというものです。ところが
親しい友人にこのことを話したところ、原発問題でこれだけ動いて
いるのに、そう何でも取り組まなくていいのではとアドバイスを受
けました。それで取りあえずこの文章を保存状態にしました。

ところが台風12号がやってきて、紀伊半島を中心に、もの凄い被害
が発生し、何か所にもわたって大洪水がおきて、多くの方が亡くな
ってしまいました。未だ行方不明の方もたくさんいます。こうした
被害の発生は、予想できもしたことですが、それでも唖然とするも
のがありました。

いろいろな悲劇が起こっています。例えば那智勝浦町では、寺本
真一町長(58)の自宅が流され、お連れ合い(51)と娘さん(24)も流さ
れ、後に娘さんは遺体で発見されました。ちょうど4日に結納を行う
予定だったそうです。「被害に遭ったのはうちだけではない。・・・
早急に復旧に向けた対策、対応を考える」と町長は語ったとか。

この紀伊半島を襲った激烈な被害そのものは、ナラ枯れを原因とす
るものとはいえません。この地域にもナラ枯れの原因となるカシノ
ナガキクイムシが生息していますが、主に激烈に枯死をもたらして
いる日本海側固体群とは別の太平洋側固体群で、それほど大きな枯
損はもたらしてはいないからです。

それでも全国的に進んでいるさまざまな要因での山林の崩壊が一因
となっていることは間違いないと思われるし、これに「絶対に洪水
を行させない」ことを目指してきた、堤防の度重なる強化による洪
水防止という河川管理方法の破たんが重なり、気象の異常化による
降水量の激増に対応できなくなったためと思われます。

これを考えたときに、山林の保全は急務であり、とくに激烈に進行
を続け、今日、奥羽山脈を峠越えして太平洋側に侵入しつつある
カシナガ被害を食い止めること、いや少なくとも食い止めるべきだ
という発信を行っていくことは必要不可欠だと思います。以上から
いったんは保存にした内容をご紹介します。以下、お読みください。

**************

(2011年9月1日記)

僕はこの春まで日本の森林の荒廃を憂い、激しく進行す
るナラ枯れ(ミズナラやコナラなど、ナラ類の集団枯死現象)を食
い止めるための活動を行ってきました。しかし311事態以降、これを
休止して、すべてを大震災・大津波・原発大災害対策に振り向けて
きました。

その間にも各地で枯死が進み、森の中を奔走している人々を思う
と胸が痛い思いがしていましたが、今は緊急事態だからと、放射線
被曝からいかに私たち自身を守るのかということに、ウェイトをお
いて走ってきました。そのスタンス自身は今後も大きく変わるわけ
ではありません。

しかし今回の東北の旅で、仮設住宅を訪れ、平地が津波で被害を受け
たのだから当然といえば当然ですが、その多くが沢筋に建てられてい
るのを見て、山を守る必要性を痛感する思いがしました。特に宮城
県から岩手県にかけては、コナラやミズナラの純林がとても多いと
聞いています。

実際、旧仙台城裏手の山間ににある東北大学植物園も、最大数を誇
る樹木はコナラで約5000本、そのつぎはこの地域の自生的な樹木で
あるモミで約2000本と、圧倒的にコナラが多く、それだけにここで
ナラ枯れ被害が起こった場合、急速な生態系の変化が起こることが
考えられます。

とくに懸念されるのは、圧倒的な集団枯損が進むことで、山の保水力
が急激に低下し、洪水が発生しやすくなることです。ことに最近の
「異常気象」の中で、極地的な「ゲリラ豪雨」が発生しやすくなって
いることを考えるとき、山の崩壊を食い止めて、洪水を未然に防ぐ
ことの重要性は非常に高くなっています。

津波被害を受けた方たちのもとに今度は山から洪水が押し寄せるなど、
あってはならないことであり、山の動植物を守るためでもあるけれど
も、今は東北の再生のため、これ以上の被害を増やさないために、
人を守ってくれる山々を守ることを訴えたいと思います。そのため
この間知り合った東北の方たちと何らかの活動を行いたいと思います。

同時に、かなり被害の進んでしまった京都市内でも、再度、気持ちを
奮い立たせて防除に取り組みたいと思います。対象としては、大文字
山の大の字の上から頂上にいたる部分と、大文字山からは少し南に
なりますが、これまでも防除に取り組んできた、若王子山頂の、共同
墓地付近です。

近くの手近かな自然を守ることを繰り返すことで、さまざまなことを
学び、また力も蓄えて、東北での活動につなげたいと思います。スケ
ジュールなど、これから考え、この場で明らかにします。みなさま、
どうか再びお力添えください。山を守り、人を守り、よりよい明日を
目指しましょう!
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明日に向けて(252)原発作業員の急性白血病死に対する日弁連会長談話

2011年09月05日 23時30分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110905 23:30)

2回にわたってお伝えしてきた福島第一原発で作業されていた方の
急性白血病死問題について、日本弁護士連合会の会長談話が発表
されました。概ね妥当なのではないかと思います。僕自身、まだ
学びを進めている最中ですが、重要な提言としてご紹介したいと
思います。

******************************

東京電力福島第一原子力発電所作業員の急性白血病による死亡に
関する会長談話
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/110902_2.html

東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)は、本年8月30
日、福島第一原子力発電所で復旧作業(以下「本件作業」という。)
を行っていた下請企業の40代の男性が急性白血病で死亡したと発
表した。東京電力の発表によると、本年8月上旬の7日間、休憩所
で作業員の放射線被ばくの管理に従事し、その後数日間のうちに体
調不良を訴え、死亡したとのことである。また、男性の7日間の
外部被ばく線量は0.5ミリシーベルト、内部被ばく線量は0ミリ
シーベルトとのことであり、厚生労働省の労働災害認定基準に該当
せず、医師の診断によっても本件作業と急性白血病との因果関係が
ないとされている。

しかし、急性白血病は遺伝などを原因とする例も見られるが、放射
線被ばくや一部の化学物質への曝露等に起因する例が多く、その原
因の特定は疾患の種類や遺伝性などの他の原因の有無なども含め慎重
に検討する必要がある。

しかし、東京電力による記者発表においては、この男性の3月11日
以降の居住歴も含めた全行動履歴が明らかでなく、また、福島第一
原子力発電所事故以前も含めた原子力発電所の作業歴の有無は明らか
でない。この男性が、福島第一原子力発電所周辺で生活していた期間
があれば、その生活そのものに起因した被ばくをしている可能性が
あり、また、以前から原子力発電所での作業に従事していたとすれば、
そこでの作業で放射線被ばくしていた可能性も十分にある。さらに、
事故収束作業現場の混乱状況からすれば、作業に起因した外部被ばく
及び内部被ばくの測定値そのものの正確性にも疑問が残る。しかも、
東京電力は、因果関係を否定する根拠について、このような不十分な
調査による事実関係を厚生労働省の労災認定基準に当てはめるだけで、
診察をした医師に因果関係を否定する具体的根拠を聴き取ってもいない。

このような十分な調査を経ているとはいい難い中で、本件作業と男性の
急性白血病との因果関係を断定的に否定することは性急に過ぎ、相当
ではない。

そもそも東京電力は作業を元請企業に発注しておきながら、その作業
員の急性白血病の発症について、元請企業からの報告を受けるだけで、
当該男性が何次下請の作業員かすら把握していない。事故が発生した
原子力発電所での作業員の管理体制としては無責任というほかない。

福島第一原子力発電所では、このような体制の下で250ミリシーベル
トを超えて被ばくしたとされる作業員が続出していることから、今後、
健康影響を訴える作業員が続出することも予想される。

福島第一原子力発電所事故は一日も早い収束が強く望まれているとこ
ろであり、そのためには、作業員の労働環境の適正さを確保することが
極めて重要である。

したがって、当連合会としては、東京電力に対し、男性の職歴、生活歴、
それから予想される被ばく線量を徹底的に調査し、男性の原子力発電所
での作業と事故後の生活に基づく被ばくを併せて考慮し、急性白血病と
の関係を慎重に検討した上で、プライバシーに配慮しつつその検討結果
を公開することによって、原子力発電所労働者の休憩時を含む労働環境
の適正さを確保することを求める。

そして、国に対しては、今後一層、東京電力に対する労働安全衛生指導
を強化し、原子力発電所労働による健康被害が起こることを防ぐととも
に、放射線による健康被害の危険性が確率的に高いと考えられる労働者
が安心して暮らすことができるよう、長期にわたって健康影響を調査し、
健康被害が発生したときには困難な立証を経ることなく手厚い保護を
受けることができる施策を実現することを求める。また、事故発生時に
福島第一原子力発電所付近に居住していた労働者については、労災認定
の判断に当たって、作業に起因する被ばくだけでなく、環境汚染地域に
おける生活に起因する被ばくも総合的に考慮してその判断を行うことと
すべきである。

2011年(平成23年)9月2日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児
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明日に向けて(251)避難と除染についての考察

2011年09月04日 23時30分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110904 23:30)

土曜、日曜と所用で東京に行ってきました。新幹線の車中で台風の東
海道を眺めながら、避難や除染について考えていることをツイートし
ていましたが、いろいろな方から反響がありました。そのツイートを
まとめて投稿したいと思います。(なお必要な訂正や付け加えを行っ
ています)

*****

新幹線で台風を突破して東京へとばく進中。富士川がものすごい濁流。
東海道本線は止まっている模様。新幹線は最大で41分の遅れ。

今日の目的は東京近郊の某都市のままさんと会うこと。この都市、まま
さんたちが幼稚園の放射線値を測っていることに対し、「公的な場所を
市民がかってに測定するのはまかりならん」 とか幼稚園に通達したらし
く、市民による計測がおさえられているらしい。

行政、とくに首長は住民の避難を嫌う傾向がある。住民がいることが、
自分たちの権力の基盤だと思っているからではないだろうか。歴史的に
も定住しない流浪の民は政治権力によって迫害されることが多かった。
日本では、みちみちの人がそれにあたる。

そこまで話を広げずとも、例えば今、福島県が行っている放射線除染
活動などには、避難回避の意図が強くみられる。もちろん除染で避難が
回避できるならそれに越したことはないが、この見極めが大切だ。

南相馬市での除染などどうなのだろう。大山こういち議員が市長を避難
を押し止めていると強く批判している。ここに入り込んでいる児玉龍彦
教授は、緊急除染と恒久除染は違うと明示しつつも、避難は住民の判断
によるものとして、避難勧告などは避けている。

この辺は非常に難しい。そもそもここまで除染したら安全という値は本
来設定できない。緊急と恒久の線引きはどうなるのか。よくは分からな
いがなにはともあれ自分自身も各地の除染活動にかかわらねばと思う。
その前提としての、各地の住民による測定活動にまずはコミットメント
するつもりだ。

また避難した方が良いという強い認識を持ちながらも、その場にいる
人々のことも大事に考えなければいけない。避難の呼び掛けは大事だが、
様々な事情で避難できない人々とどう歩むのかもとても大事だ。この点、
行政の避難回避策とは線を引きつつ、何ができるかを考えなければ。

さて東京についた。17分遅れだ。続きはまた…。


避難と除染の問題を論じているときに、ある知人からアメリカからの帰
国を伝えるメールが届いた。僕や彼女が住んでいるのは京都市。彼女の
お連れ合いはアメリカ人で、2人の小さな可愛いお子さんたちがいる。
その彼女から京都を脱出してアメリカに行くべきかどうかと相談を受け
たのは6月のことだった。

僕は、原発事故が全く収束しておらず、今後どのような放射性物質の拡
散があるか分からないので、海外と比べて京都の方が今はリスキーだ。
とはいっても海外に出れる人は少ない中で、あなたに行けるところがあっ
て、行くか行かないか悩んでいるのなら、行くことをお勧めすると話した。

彼女とお連れ合いは他にも色んなアドバイスを受けて出国を決意。その後、
僕がアメリカでの被曝実態のレポートも書いたので、ちょっと申し訳
ない気もしたけれども、向うで放射能を気にしないでよい生活が送れて
良かったようだ。

ところが京都に戻ったら子どもの調子がにわかに悪くなった。それで
Oリングなどを使った治療をしてくれる医師にみせたら、あっさりとセシ
ウムの被曝の影響だと言われたという。西洋医学の体系を信頼する方は
まゆつばと思われるだろうが、僕も被曝の影響ではないかと思う。

というのは、この夏、多くの子どもが被曝を憂いた大人たちの手で各地
に短期の避難をした。素晴らしい試みが無数にあったが、今は多くの子
どもたちが元いた地域に帰った。その親御さんの何人かから、子どもが
戻ったら体調不良になったという話を聞いたからだ。

さらに知人から、原発問題に詳しく、チェルノブイリの子どもたちを夏
に短期受け入れてきたある高名な教授が同様のことを語り、帰ってから
体調を崩す子どもたちのことで胸を痛めてきたことも聞いた。

そうなるとアメリカに逃れていた子どもたちも、京都に戻って症状が出
てきたと推論される。京都も被曝地だというわけだが、その場合、食料に
よる内部被曝の割合が高いと思われる。

関東から逃れてきたある人は、京都の方がかえって東日本の食材が多い
気がすると語っていた。買う側の警戒心が東日本より西日本の方が低い
気がするとも。

となると京都もまた、もし選択肢があるのなら、避難した方が良い土地
であると言える。しかし同様のことは、日本のかなり広範な地域に当て
はまると言えるだろう。私たちはこのことを見据えて、より被曝量を減
らす努力をしていく必要がある。


アメリカから帰国した知人は京都のものを整理したらもう一度アメリカ
に戻るそうだ。それがいいと僕は思う。でも京都を出れない人、出る気
のない人はたくさんいるし、京都に避難してきている人もたくさんいる。
僕自身は自らの選択として京都からやれることをやり続けるつもりだ。

このツイートに対してある知人が南相馬市から避難してきた人の言葉を
伝えてくれた。かの地のあるところでは懸命の除染の後に山に積もった
放射能が流れ降りてきて元の木阿弥になってしまった。除染は無理だと
感じたそうだ。実際、僕も山は除染はとても無理だと思う。

そうした放射線が高い地域からは例えば京都に避難した方がいい。東京
からだって、可能なら京都に移った方がいいだろう。(僕は今、新宿で
これを書いている)でも京都よりもいいところもまたあるし、そこから
みれば京都も離れるに越したことはない。そもそも今は日本にいない方
がいいとすらいえるだろう。こうしたことを、それぞれがそれぞれのい
る場で、考えていく必要がある。

なかなか解けないパズルのようだが、答えを焦らず、できるだけ多くの
立場の声に耳を傾け、相互理解を深め、痛みをシェアしあって、できる
だけ多くの人で歩める道を探したいものだ。みんなで知恵を出し合い、
歩んでいきたい。そうでないと未来はみえない。集団的叡知にたどり
着かねば…。

*****


補足を加えます。

「京都の方がかえって東日本の食材が多い気がする」というのは、東日
本に比べて警戒心の緩やかな京都の状態について感じた比ゆ的な感想と
考えるのが妥当だと思います。生鮮食品である野菜は、大消費地=都市の
近郊で作られて運び込まれてきたので、その構造までががらりと変わっ
ているわけではないと思います。

なおある子どもさんがOリングを使った治療で、「セシウムによる被曝」
と言われたとツイートしたことに対して、別の京都の知人からこんな
メールが寄せられました。

「あるヨーロッパの国から戻ってきている友達の娘さんが今年初めから
8月初旬まで沖縄の石垣島に滞在していたのですが・・・京都で再会して
激やせしていて、慌てて子どものときから診てもらっているOリングをさ
れるお医者さんに診てもらったら、その娘さんはアレルギーがもともと
あって、そして化学物質過敏症なのに他のものには一切反応がなく
・・・ひとつだけ反応したものが「セシウム」だったと昨夜聞きました。
ちなみにどうやって「セシウム」をOリングで調べたか聞いたら、汚染
されているお茶の葉を持って調べたそうです・・」

さらに考察を続けます・・・。


コメント (3)
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明日に向けて(250)福島原発作業員死亡・・・白血病は今回の被曝が原因ではないのでは?

2011年09月02日 23時00分00秒 | 明日に向けて8月1~31日
守田です。(20110902 23:00)

8月30日に、福島第一原発で8月上旬に1週間働いていて作業員が、
白血病で死亡したというニュースが流れました。ちょうどこのころ、
原子炉1号機近くの排気筒や、建屋から、10シーベルトとか、5シー
ベルト超の放射線量が観測されていたことなどに踏まえて、僕は
この白血病が、被曝によってもたらされたのではと推論しました。

しかしこれを書いた「明日に向けて(249)」を読んだ方から、被曝
が高線量だったとしても、死亡報告が16日と働いていた時期から
間近であり、この短期間で白血病が発症したとは考えにくい。白
血病検査は難しく、見逃されることもあるため、この方はもともと
白血病で、被曝で病態が悪化したのでは、という指摘がありました。

ただしその場合でも、まれにこうしたケースはあるにせよ、事前に
白血球数と血小板数に異常が無かった人が、16日までに亡くなるの
も早すぎる。この辺が不可解だといいます。またより高い線量の被
曝が疑われるが、そもそも0.5シーベルトでも年間許容量の半分で
高い被曝量だということを忘れてはいけないという指摘も。

読んでいて、なるほどと思いました。さらに、作業された方は高
線量で被曝し、急性症状でも亡くなったのではないか。白血病
も患っていたため、いわば合併症を起して亡くなり、「白血病」
とのみ診断されたのではないか、いや0.5ミリでも白血病を悪化させ
るために十分だったのでは、とさらなる推論が走ります。

この点で、もっと正確な情報が必要であり、そのためにも継続的
な調査が求められます。何よりそれを早々に打ち切ったことに
隠された何かの存在が疑われるからです。こうした点を自ら学び
つつ探っていくことに作業員の方々や、私たちの安全を守ってい
くカギがあります。

しかしなにはともあれ、僕の白血病に関する理解が浅いために、
間違った推論をしてしまった可能性があります。まだ僕には確信
を持った判断ができるまでに、放射線被曝と白血病発症の関連、
とくに時間的流れがつかめていませんが、とても大切な指摘だと
思いますので、みなさんにご紹介しておきます。

なおこのアドバイスを下さったのは、明日に向けて(224)でご紹介
した「子供の白血病を乗り越えてきたお母さん」です。さすがに
白血病へのご見識があついです。また作業員の方たちや被曝された
方を守っていくために、少なくとも僕はもっと、被曝と病の関係の
学習を深めなければと痛感しました。

・・・ありがとうございました。

*****************************

「子供の白血病を乗り越えてきたお母さん」より

原発作業員の白血病で死亡したというニュースについて,「今回の
被曝と白血病の発症との因果関係」という一点についてだけ取り急
ぎ考えを述べさせてもらいます.私は素人ですから当てにはならな
いかもしれませんが,報道されていることが事実ならおそらく担当
した医師の言うとおり今回の被曝と白血病の因果関係はないと思い
ます.

白血病細胞が一つ生まれてから発症するまでには(症状がでるまで,
または採血検査でひっかかるまで)何ヶ月もかかります.もしこの
方が大量の被曝をしたのなら,放射線による急性障害で亡くなるこ
とはあっても,8月初旬に7日間作業して16日に白血病にで死亡
するということはまずあり得ないことだと思います.

事前の健康診断では末梢血の検査(普通の採血)はしていたと思いま
すが,血液像の検査はしていないと思いますし,まして骨髄の検査
をしているとは考えにくいです.(血液像というのは顕微鏡で白血
球を構成する好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球などの比率
を確認するもので,その比率の増減によって体にどんな異常が起こっ
ているかの見当を付ける検査です.白血病細胞である芽球が見つかる
こともあります.骨髄検査というのは胸骨または腸骨(腰の横にある
骨)に太い針を刺して骨髄を採取する検査で,主に白血病の確定診断
に使われます.両者は白血病など,何らかの疾病が疑われなければ
行われません.

ということは実際には白血病であったけれどもまだ末梢血の白血球数
と血小板数に異常がが見られなかった,ということは大いにあり得る
ことです.実際,末梢血には異常がみられなかったけれど骨髄を検査
して白血病であることがわかるという方はたくさんいます.

時間がないのでこれ以上書けませんが,以前の被曝が原因で発症した
ということはあり得ることですが,少なくとも8月初旬の被曝によっ
て「発症」したということは考えにくいと思います.ただ,8月初旬
に白血球数と血小板数に異常がなかったのに16日に白血病で亡くな
るというのは早すぎるとは思います.でもこれも多くはないけれど実
際にあるようです.この方の場合には被曝が影響しているのでしょう
ね.これまでに原発で働いたことはなかったという報道もありますが,
その辺のところも知りたいところです.

死因についても担当医師が言ったように白血病なのだと思います.被
曝が引き金になって急に悪化したと考えるのが妥当だと思います.

被曝量については本当に0.5ミリシーベルトなのか,本当はもっと
多いのか,知りたいですね.もともと私たち日本人の年間被曝限度は
1ミリシーベルト.今,私たちは感覚が麻痺していて,0.5ミリ
シーベルトと聞くと「その程度!?」と思ってしまいがちかもしれない
けれど,実は年間限度の半分に相当するんだということも忘れてはい
けないと思います.実際の被曝量がもっと多かったということも大い
にあり得るわけですが,ずさんな管理ももっと問題にしないといけな
いですね.

そういえば6月に小林圭二さんの講演を聞いた後,少しお話をしたの
ですが,その時小林さんが原発作業員の被曝がとても心配だから,私
たちは取材が来たときには必ずその話をするようにしていると言って
いました.

7月末に,原子力安全保安院が4月1日に,このままでは作業員が不
足するから、一生の間に、1シーベルト(1000ミリシーベルト)を限界値
とするということを厚生労働省に要請していたというニュースがあり
ましたが,これはあまり問題にされていなかったように思います.
1シーベルトを我慢しろなんて言う人が真っ先に現場で働け!と怒り
がこみ上げます.

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