守田です。(20110907 17:00)
9月11日が近づいてきました。この日は、311大震災・大津波・原発
大事故から6カ月の日ですが、同時にアメリカで起こった「911事件」
から10年目の日でもあります。あのときツインタワーを襲ったのは
誰だったのか未だにはっきりしていません。しかしアメリカは、
すぐさまオサマ・ビンラディンを犯人と断定してアフガニスタン・
タリバン政権に引き渡しを要求。タリバン政権が「証拠がないのに
引き渡しには応じられない」述べると、なんと、事件には直接に
なんの関係も考えられないアフガニスタンに空襲を開始しました。
その後、世界は殺伐とした雰囲気に包まれてしまいました。アメリ
カはテロに対する報復のトーンをどんどん高め、あちこちで国家に
よる暴力が強められました。さらにイラクに対する介入が強められ、
フセインが大量破壊兵器を隠していると主張。イラク侵攻が開始さ
れ、全面戦争・・・というより一方的な殺りく戦に拡大し、本当に
たくさんの命が奪われていきました。
こうした流れはパレスチナにも波及し、2008年末から翌年にかけて
イスラエルがガザ地区を空襲、世界の人々が見ている前で、白昼
堂々と連日にわたる市民の殺りくが行われてしまいました。まさに
この10年、世界は戦争と国家暴力によって明け暮れました。その
挙句にアメリカは今年になって、パキスタンでオサマ・ビンラ
ディンの隠れ家を急襲。無抵抗だった彼をその場で法的根拠もなく
処刑してしまいました。
そもそもテロとはなんでしょうか。非常に定義が難しい言葉ですが、
法的根拠に基づかない、卑劣な殺りく行為というほどの意味を持っ
ていると思います。ではアメリカの行ったことは何だったのでしょ
うか。イラクには大量破壊兵器などなかったのです。しかし一方的
攻め込んだ。オサマビン・ラディンも無抵抗なのに処刑されてし
まった。僕はこれらも明白なテロだと思います。国家テロです。
こうした10年の最後の年に、311事態が起こりました。地震自体は
偶然にこの時期に起こったのですが、その後に起こった放射能漏れ
隠しによる被曝の拡大、いまなお続く、危険地帯の放置などの事態
は、僕にはこの10年間とのつながりを強くもつものであると思えて
なりません。
さらに言えば、そもそもこの暴力は、第二次世界大戦のあらゆる
暴力(日本軍のそれも含めて)が正されて来なかったこと、特に
原爆投下の不正義が正されて来なかったことと強く結び付いている
ように思えます。その意味で私たちに今降りかかってきている
苦しみは、アフガンやイラクの人々が苦しんできたことや、第二次
世界大戦の犠牲者たちの苦しみと深いつながりを持っています。
(僕はその意味を込めて、アフガニスタン空爆と書かずに空襲と
書いています。あのとき、「空襲」と書くと日本人が嫌悪するので、
「空爆」という言葉が使われたそうだからです)
だからこそ、今、この戦争と暴力の10年を問わなくてはいけない。
それを問わずして、私たちだけの平和と安全を考えることはでき
ないと思うのです。あれほどにひどい戦争を行う国が私たちの「友好
国」であり、かつ政府の背後から原発事故終息にも強く口を出して
いること。同時にそのむごい戦争を全面支持してきたのが私たちの
政府であることと、人々が深刻な被曝の中にあっても、それを防ごう
とせず、むしろ被曝の実態を隠して、被曝を拡大しようとすらして
いることが強く重なっているように僕には思えます。
その意味で、311から6カ月を迎えるこの秋に、僕は多くの皆さんと
ともに、この10年の戦争と暴力の中で亡くなったたくさんの命に
思いを馳せ、その中にあってこそ、私たちと世界の人々の未来の平和
と安全、幸せを願っていきたいと思うのです。
こうした観点から僕は京都大学の岡真理さんがよびかけている以下の
企画に参加します。これらは僕が参加するピースウォーク京都も協力
しています。またピースウォーク京都自身は、10月8日、アフガニス
タンへの空襲が始まった日に、三条河原でキャンドルをもって、
戦争犠牲者への追悼行動を行います。10月29日のマラライ・ジョヤ
さんの講演会も共催します。(これらの案内はまた別に掲載します)
みなさま、どうかご参加ください。平和への祈りを込めて。
*****************************
9・11、アフガニスタン空爆から10年目を迎え、アフガニスタン関連の
講演会を3回シリーズで京都大学にて、開催いたします。シリーズ最終回
にあたる第3回、アフガニスタンの女性人権活動家、マラライ・ジョヤ
さんをお招きしての講演会は、ピースウォーク京都との共催です。
その事前学習会として、2つの企画を準備いたしました。いずれも
アフガニスタン関連の映画上映とアフガニスタン研究者による講演会です。
第1弾は、10日、今週の土曜日、川崎けい子・中津義人監督のドキュメン
タリー「ヤカオランの春」の上映と、田中浩一郎さんの講演会です。
「ヤカオランの春」は、1978年の共産党クーデタから2001年の米軍による
攻撃までの20数年間のアフガニスタンの歴史を、一人のアフガン人教師の
人生の証言に重ね合わせながら描いたものです。アフガニスタンの苦しみが、
決して、アメリカによる戦争、あるいはタリバーン時代から始まったもの
ではないことがよく分かります。
ぜひ、お越しください。
===転載・転送歓迎=========================
シリーズ<9・11、アフガニスタン空爆から10年
~アフガニスタンと世界と私たちの今を考える~>
■第1回 2011年9月10日(土)1:30~(1:00開場)
◎映画「ヤカオランの春」(川崎けい子・中津義人監督、2003年、83分)
◎講演 田中浩一郎さん(日本エネルギー研究所理事)
「アフガニスタン~終わらない苦難の歴史~」
会場:京都大学 吉田南キャンパス 人間・環境学研究科棟 地下講義室
http://www.h.kyoto-u.ac.jp/access/
★申し込み不要 / 資料代700円
--------------------------------------------------------------
アフガニスタンを今いちど、想起するために――
9・11によって、それまで関心の埒外に打ち捨てられていたアフ
ガニスタンは、にわかに世界の耳目の的になりました。しかし、
2003年、イラク戦争が始まると、世界の関心はイラクに注がれ、
アフガニスタンは再び、忘却の深淵に飲み込まれていきました。
10年たっても米軍・NATO軍の駐留は続いています。9・11、
そしてアフガニスタン空爆から10年を迎える今、あらためてア
フガニスタンについて想起し、私たちが果たすべき応答責任ついて、
ともに考えたいと思います。
--------------------------------------------------------------
【講師プロフィール】
田中浩一郎(たなか・こういちろう)
専門は現代イランの政治情勢および現代アフガニスタン情勢。在イラン
日本大使館専門調査員、(財)中東経済研究所主任研究員、外務省国際
情報局分析2課専門分析員、国際連合アフガニスタン特別ミッション政
務官、(財)国際開発センター エネルギー・環境室主任研究員を歴任、
2008年より(財)日本エネルギー経済研究所理事、兼 中東研究センター
長。論文に「アフガニスタンの今」(保坂修二編『アフガニスタンは今、
どうなっているのか』京都イスラーム地域研究センター、2010年)ほ
か多数。
--------------------------------------------------------
【映画「ヤカオランの春」】
やがて教師は語り始めた、封印された暗い過去の秘密を、故郷で起こっ
た衝撃の真実を――
内戦の激戦地ヤカオラン、美しい大地は血で染まり、人々は悲しみに
沈んだ。アリ・アクバル、タジワール夫妻は、生きるために故郷を離れ、
難民となった。そして、自らの人生を子どもたちに語り始めた。
平和を希求する人々へ、あるアフガン家族からのメッセージ…
---------------------------------------------------------
主催:PJ21(京都大学大学院 人間環境学研究科 岡真理研究室)
PJ21kyoto@gmail.com
----------------------------------------------------------
<今後の予定>
■第2回 2011年10月8日(土)1:30~(1:00開場)
◎映画「カンダハール」(モフセン・マフマルバフ監督、イラン=仏、
2001年、87分)
◎講演 鈴木均さん(アジア経済研究所研究員)
「アフガニスタンはどこへ行くのか~9・11から10年を迎えて~」
--------------
■第3回 2011年10月29日(土)1:30~(1:00開場)
◎講演 マラライ・ジョヤさん(人権活動家・もと国会議員)
「祖国に自由と真の民主主義を求めて
~占領・軍閥・原理主義との闘い~」
-----------------------------------------------------------
PJ21 その他の企画(別途、詳細お知らせします)
■9月17日(土)1:30~(1:00開場)
「<パレスチナ>私たちに何ができるの?」
◎映画「シャティーラ・キャンプの子どもたち」
◎講演1.岡真理「パレスチナ問題とレバノンのパレスチナ難民」
2.清末愛砂「西岸最新情報」
◎私たちにできること(パレスチナ関連NGOの活動紹介)
会場同じ/資料代1000円
------------------------------------------------------------
以上
岡 真理
*****************
京都大学大学院 人間・環境学研究科
tel/fax 075-753-6641
e-mail PJ21kyoto@gmail.com
*****************
9月11日が近づいてきました。この日は、311大震災・大津波・原発
大事故から6カ月の日ですが、同時にアメリカで起こった「911事件」
から10年目の日でもあります。あのときツインタワーを襲ったのは
誰だったのか未だにはっきりしていません。しかしアメリカは、
すぐさまオサマ・ビンラディンを犯人と断定してアフガニスタン・
タリバン政権に引き渡しを要求。タリバン政権が「証拠がないのに
引き渡しには応じられない」述べると、なんと、事件には直接に
なんの関係も考えられないアフガニスタンに空襲を開始しました。
その後、世界は殺伐とした雰囲気に包まれてしまいました。アメリ
カはテロに対する報復のトーンをどんどん高め、あちこちで国家に
よる暴力が強められました。さらにイラクに対する介入が強められ、
フセインが大量破壊兵器を隠していると主張。イラク侵攻が開始さ
れ、全面戦争・・・というより一方的な殺りく戦に拡大し、本当に
たくさんの命が奪われていきました。
こうした流れはパレスチナにも波及し、2008年末から翌年にかけて
イスラエルがガザ地区を空襲、世界の人々が見ている前で、白昼
堂々と連日にわたる市民の殺りくが行われてしまいました。まさに
この10年、世界は戦争と国家暴力によって明け暮れました。その
挙句にアメリカは今年になって、パキスタンでオサマ・ビンラ
ディンの隠れ家を急襲。無抵抗だった彼をその場で法的根拠もなく
処刑してしまいました。
そもそもテロとはなんでしょうか。非常に定義が難しい言葉ですが、
法的根拠に基づかない、卑劣な殺りく行為というほどの意味を持っ
ていると思います。ではアメリカの行ったことは何だったのでしょ
うか。イラクには大量破壊兵器などなかったのです。しかし一方的
攻め込んだ。オサマビン・ラディンも無抵抗なのに処刑されてし
まった。僕はこれらも明白なテロだと思います。国家テロです。
こうした10年の最後の年に、311事態が起こりました。地震自体は
偶然にこの時期に起こったのですが、その後に起こった放射能漏れ
隠しによる被曝の拡大、いまなお続く、危険地帯の放置などの事態
は、僕にはこの10年間とのつながりを強くもつものであると思えて
なりません。
さらに言えば、そもそもこの暴力は、第二次世界大戦のあらゆる
暴力(日本軍のそれも含めて)が正されて来なかったこと、特に
原爆投下の不正義が正されて来なかったことと強く結び付いている
ように思えます。その意味で私たちに今降りかかってきている
苦しみは、アフガンやイラクの人々が苦しんできたことや、第二次
世界大戦の犠牲者たちの苦しみと深いつながりを持っています。
(僕はその意味を込めて、アフガニスタン空爆と書かずに空襲と
書いています。あのとき、「空襲」と書くと日本人が嫌悪するので、
「空爆」という言葉が使われたそうだからです)
だからこそ、今、この戦争と暴力の10年を問わなくてはいけない。
それを問わずして、私たちだけの平和と安全を考えることはでき
ないと思うのです。あれほどにひどい戦争を行う国が私たちの「友好
国」であり、かつ政府の背後から原発事故終息にも強く口を出して
いること。同時にそのむごい戦争を全面支持してきたのが私たちの
政府であることと、人々が深刻な被曝の中にあっても、それを防ごう
とせず、むしろ被曝の実態を隠して、被曝を拡大しようとすらして
いることが強く重なっているように僕には思えます。
その意味で、311から6カ月を迎えるこの秋に、僕は多くの皆さんと
ともに、この10年の戦争と暴力の中で亡くなったたくさんの命に
思いを馳せ、その中にあってこそ、私たちと世界の人々の未来の平和
と安全、幸せを願っていきたいと思うのです。
こうした観点から僕は京都大学の岡真理さんがよびかけている以下の
企画に参加します。これらは僕が参加するピースウォーク京都も協力
しています。またピースウォーク京都自身は、10月8日、アフガニス
タンへの空襲が始まった日に、三条河原でキャンドルをもって、
戦争犠牲者への追悼行動を行います。10月29日のマラライ・ジョヤ
さんの講演会も共催します。(これらの案内はまた別に掲載します)
みなさま、どうかご参加ください。平和への祈りを込めて。
*****************************
9・11、アフガニスタン空爆から10年目を迎え、アフガニスタン関連の
講演会を3回シリーズで京都大学にて、開催いたします。シリーズ最終回
にあたる第3回、アフガニスタンの女性人権活動家、マラライ・ジョヤ
さんをお招きしての講演会は、ピースウォーク京都との共催です。
その事前学習会として、2つの企画を準備いたしました。いずれも
アフガニスタン関連の映画上映とアフガニスタン研究者による講演会です。
第1弾は、10日、今週の土曜日、川崎けい子・中津義人監督のドキュメン
タリー「ヤカオランの春」の上映と、田中浩一郎さんの講演会です。
「ヤカオランの春」は、1978年の共産党クーデタから2001年の米軍による
攻撃までの20数年間のアフガニスタンの歴史を、一人のアフガン人教師の
人生の証言に重ね合わせながら描いたものです。アフガニスタンの苦しみが、
決して、アメリカによる戦争、あるいはタリバーン時代から始まったもの
ではないことがよく分かります。
ぜひ、お越しください。
===転載・転送歓迎=========================
シリーズ<9・11、アフガニスタン空爆から10年
~アフガニスタンと世界と私たちの今を考える~>
■第1回 2011年9月10日(土)1:30~(1:00開場)
◎映画「ヤカオランの春」(川崎けい子・中津義人監督、2003年、83分)
◎講演 田中浩一郎さん(日本エネルギー研究所理事)
「アフガニスタン~終わらない苦難の歴史~」
会場:京都大学 吉田南キャンパス 人間・環境学研究科棟 地下講義室
http://www.h.kyoto-u.ac.jp/access/
★申し込み不要 / 資料代700円
--------------------------------------------------------------
アフガニスタンを今いちど、想起するために――
9・11によって、それまで関心の埒外に打ち捨てられていたアフ
ガニスタンは、にわかに世界の耳目の的になりました。しかし、
2003年、イラク戦争が始まると、世界の関心はイラクに注がれ、
アフガニスタンは再び、忘却の深淵に飲み込まれていきました。
10年たっても米軍・NATO軍の駐留は続いています。9・11、
そしてアフガニスタン空爆から10年を迎える今、あらためてア
フガニスタンについて想起し、私たちが果たすべき応答責任ついて、
ともに考えたいと思います。
--------------------------------------------------------------
【講師プロフィール】
田中浩一郎(たなか・こういちろう)
専門は現代イランの政治情勢および現代アフガニスタン情勢。在イラン
日本大使館専門調査員、(財)中東経済研究所主任研究員、外務省国際
情報局分析2課専門分析員、国際連合アフガニスタン特別ミッション政
務官、(財)国際開発センター エネルギー・環境室主任研究員を歴任、
2008年より(財)日本エネルギー経済研究所理事、兼 中東研究センター
長。論文に「アフガニスタンの今」(保坂修二編『アフガニスタンは今、
どうなっているのか』京都イスラーム地域研究センター、2010年)ほ
か多数。
--------------------------------------------------------
【映画「ヤカオランの春」】
やがて教師は語り始めた、封印された暗い過去の秘密を、故郷で起こっ
た衝撃の真実を――
内戦の激戦地ヤカオラン、美しい大地は血で染まり、人々は悲しみに
沈んだ。アリ・アクバル、タジワール夫妻は、生きるために故郷を離れ、
難民となった。そして、自らの人生を子どもたちに語り始めた。
平和を希求する人々へ、あるアフガン家族からのメッセージ…
---------------------------------------------------------
主催:PJ21(京都大学大学院 人間環境学研究科 岡真理研究室)
PJ21kyoto@gmail.com
----------------------------------------------------------
<今後の予定>
■第2回 2011年10月8日(土)1:30~(1:00開場)
◎映画「カンダハール」(モフセン・マフマルバフ監督、イラン=仏、
2001年、87分)
◎講演 鈴木均さん(アジア経済研究所研究員)
「アフガニスタンはどこへ行くのか~9・11から10年を迎えて~」
--------------
■第3回 2011年10月29日(土)1:30~(1:00開場)
◎講演 マラライ・ジョヤさん(人権活動家・もと国会議員)
「祖国に自由と真の民主主義を求めて
~占領・軍閥・原理主義との闘い~」
-----------------------------------------------------------
PJ21 その他の企画(別途、詳細お知らせします)
■9月17日(土)1:30~(1:00開場)
「<パレスチナ>私たちに何ができるの?」
◎映画「シャティーラ・キャンプの子どもたち」
◎講演1.岡真理「パレスチナ問題とレバノンのパレスチナ難民」
2.清末愛砂「西岸最新情報」
◎私たちにできること(パレスチナ関連NGOの活動紹介)
会場同じ/資料代1000円
------------------------------------------------------------
以上
岡 真理
*****************
京都大学大学院 人間・環境学研究科
tel/fax 075-753-6641
e-mail PJ21kyoto@gmail.com
*****************