明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(254)実はこれまでも日本全土が被曝していた・・・・・。

2011年09月06日 23時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110906 23:00)

これまでこの通信に多くの方がコメントを寄せて下さいました
が、その中でやりとりをし、お互いにブログをリンクさせるに
いたった方に「よもぎ」さんという方がおられます。「石の下
にも5年かも」というブログを開設されています。

ブログの説明として次のような一文が掲載されています。「慢
性疲労症候群と診断されてから、いろいろな方面に関心が広がり
ました。石の下に閉じ込められている方々が大勢いらっしゃる
のだと思います。病名にこだわらず、思うことを記していきた
いと思います。」

「慢性疲労症候群」という言葉を、僕は肥田舜太郎医師のイン
タビューの折に初めて知りました。ウキべディアでは「主訴は、
身体及び思考力両方が激しく疲労し、日常生活を著しく阻害す
る」と説明されており、日本で38万人の患者がいると推定され
ています。

しかし認知度が低く、「適切な診断を受けていないか、うつ病
・神経症・更年期障害・自律神経失調症等に誤診されている患
者が多いと思われる」のが実情のようです。アメリカでも数百
万人の患者さんがいるようですが、肥田さんがしのビデオをみた
ときに、原爆ぶらぶら病とそっくりだと感じたと言うのです。

そこから肥田さんは、この病もまた被曝の影響によって起こって
いるのではないかと考えたといいます。詳しくは、岩波書店
『世界』9月号に掲載された、肥田さんのインタビュー記事を
ご参照ください。

よもぎさんもまた「慢性疲労症候群」という診断を受ける中
で、さまざまなことを学び、情報発信をしてくださっているの
ですが、彼女が伝えたいことは、この病の恐ろしさというよりも、
その中にあって、前向きに、命ある事に感謝しつつ歩んでいる姿
です。その姿勢に心を打たれます。

さて、そのよもぎさんが、今回、「これまでずっと封印してきた」
ことを書いて下さいました。端的に言えば、311の前からたくさん
の原発に囲まれている日本では多くの地が被曝しているという
点です。また多くの人がガイガーカウンターを持った今、それが
明らかになりつつある。だから「原発マフィア」が、放射能を
日本中にばら撒いてしまおうとしているのではないかという推論も。

僕は全体としてよもぎさんの書いていることに強く共感しました。
避難や除染を考えるときにも、この日本全体の被曝の可能性を
考えることは非常に重要だと思います。この点、肥田さんも、
グールドというアメリカの研究者が行った研究を引いて、原発から
100マイル(160キロ)圏内ではガンの発症率がそれ以外の地域より
高いこと。被曝が疑われることを指摘していました。

それで肥田さんは日本でも原発からの100マイル地図を作ろうとした
ところ、ほとんど日本全土が入るのでやめたと我々ていたので
すが、今回、よもぎさんは、自らのブログにこの地図をアップされ
ています。ぜひこれもご覧ください。
http://baikautsugi132.blog24.fc2.com/blog-entry-73.html#comment

この地図を見ると、原発から160キロ圏内にあることを免れている
地域は、北海道の東半分と、紀伊半島の南側部分。徳島県などであ
ることが分かります。被曝から逃れるにいいところといえそうです
が、東北海道は西で事故が起こったらアウトです。紀伊半島はどう
か。放射能の被害ではないけれど、豪雨による大災害の最中で、
なんとも悲しく思います・・・。

こう考える時、思いだされるのは、肥田さんの次の言葉です。
「一番大事なのはみんなで元を断つことです。放射能から逃げる
努力などする必要のない世の中を作ることです」・・・。
まさに僕もその通りだと思います。

以下、よもぎさんのブログ内容をご紹介します。

*****************************

現実直視(1)2001年3月11日以前の日本1

このブログでは、ずっと封印していたことを書きます。
未来に生き残る人に伝えなくてはいけない時になってしまった
と判断しました。現在、生きている人が、この事実の連鎖を知
らなくては、生き残る人さえいなくなるかもしれないという懸
念が、日々強くなるばかりです。

まず、日本がこれまでの55年間に、多かれ少なかれ日常的に被
曝してきた範囲。原発が稼働するだけで、低線量フォールアウト
は半径160kmの圏内に及びますが、もう多くの人がご存じのよう
に、風向きによって範囲はきれいな円など描きません。

そして、どの原発も何度も高濃度の放射能漏れ事故を起こしてい
ます。その都度、よくても「事故はあったが周辺に影響はない」
の報道が為されました。まったく報道されない事故も多々あった
ことと想像します。

しかし、もちろん影響はあったのです。
子供や若者にがんや脳腫瘍が増え、大人がある日突然に白血病に
なる…。その多さを見ても(おそらく統計は公表されないで
しょうが)、従来の生物学や疫学では説明できない不思議な現象
のはずです。

私自身が「脳内物質が影響を受ける免疫障害の病」と知って、脳
と免疫に関するさまざまな文献を渉猟し、また、それ以前に生活
をともにしてきた動物たちの「免疫障害」の病気の数々と闘って
きた重い経験が結びついたとき、無数の病名の区別など吹っ飛ん
でしまいました。

生物の免疫システムが広範囲にわたって壊されている!

小動物の場合しか知らないといえば知らないのですが、最初に出
る症状は多様で、ほんとうに何年経っても、次から次へと新しい
病名に遭遇します。けれども、つきっきりの臨床看護をしていれ
ば、次第に症状の展開が読めてくるようになります。
なりたくないのですが、なってしまいます……

これと同じことが人間にも起きているとは、現実には、長い間、
私は気づいていませんでした。自分の状態も病気とは知らなかった
のです。

けれども「慢性疲労症候群」という病名からスタートしてみると、
WEB上で、さまざまな病気と苦闘しあるいは共生している方々の
たくさんのブログを知ることができる時代になっていました。

なかでも気になったのは、グリオーマという脳腫瘍(膠芽腫)の
多発でした。2001年前後に、20代後半という若さで罹患されてい
る方が多い……。数年の余命宣告を受けるような病の好発年齢が
20代後半?

ホームページやブログという表現手段を使えるという条件が、年
齢層をかなり狭く見せているのかもしれませんが、これほど苛酷
な病に罹る働き盛りの方が多いというのは、どう考えても異常です。

また、今ではごく当たり前の病のように口に上る「うつ病」の
多発も、やはり異常と考えるべきだと思いますし、免疫障害が
関わっていると思われます。「うつ病」は憂鬱が続くからなって
しまう、というような病ではありません。脳内物質の異常が
起こっています。ただし、セロトニン、ドーパミン由来説は、
現在も「仮説」です。仮説をもとにした投薬は、ターゲットを
確定できないロシアン・ルーレット。しかし、SSRIはもはや湯水の
ように処方され、ビジネス分野を確立してしまいました。
副作用には「うつ病」が必ず明記されています。

けれど、断薬も苦しい副作用を伴うため難しく、患者の発症時の
恐怖、断薬時の苦悩の記憶を糧に、個体差を精査することなく、
どんどんばら撒かれています。いったん「うつ病」と診断される
と薬の人質状態となってしまいます。

薬と武器は同じ人間が所有する会社が作っている。

同じ人間たち=シンジケートが、医療産業、石油産業、自動車
産業、金融産業も、その根幹を一手に握っている。

もちろん原子力産業も、です。

そして、医療、薬、武器、原子力が最も欲しがるものは何か?
出来るだけ多くの「人体実験」のデータとエビデンス(統計証拠)
です。

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3月の事故をきっかけに、いち早くガイガーカウンターを入手され
た方々が大勢いました。この全国の状態を計測されたら、当時
「安全」と信じていた関東以西でも、異常な高い数値が続々と出る
ことに、誰もが不審を感じ始めるのは時間の問題です。

そこで「原子力シンジケート」が打った手が、「汚泥を腐葉土に
混ぜて、全国拡散」だと私は直観しました。

これで、速やかにすべてを福島のせいにできる。

でも、多くの人が「安全でクリーン」と考えていた日本は上図のもの
です。現在、多くの日本在住の人が「返して!」と叫んでいるのは、
人工放射性原子のヒット率が低く、たやすく隠蔽できるだけの島
なんです。

原発の配置を見て、私が想起したのは、解体するためにビルの各所
に配置された爆薬でした。

原典は6月14日の記事「未曾有な日常、生き方シフト」で、記事の
末尾にご紹介した下記の本とともに送付していただいた小冊子、
【アヒンサー 未来に続くいのちのために 原発はいらない】です。

2冊の本も、再度ご紹介しておきます。
アメリカに於けるデータが詳しく掲載されています。

アヒンサーシリーズ(アヒンサー=「生命あるものを傷つけない」)
『死にいたる虚構 国家による低線量放射線の隠蔽』 (1994年刊)
ジェイ M. グールド/ベンジャミン A. ゴルドマン著
(肥田舜太郎/斎藤紀 共訳)
“DEADLY DECEIT Low Level Radiation High Level Cover up”
    Jay M. Gould/Benjamin A. Goldman

同じシリーズに
『放射線の衝撃 低線量放射線の人間への影響(被曝者医療の手引き)』
もあります。
ドネル W. ボードマン Donnell W. Boardman,M.D.著(肥田舜太郎 訳)

現在は[PKO法『雑則』を広める会]
(tel&fax 0422-51-7602 047-395-9727)で、500円以上のカンパで頒布。

本当にできるだけ多くの、日本にいる人に読んで欲しいのですけれど
……無理かなあ?(-_-;)
コメント (2)
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明日に向けて(253)ナラ枯れ防除活動に再度、取り組みます・・・。

2011年09月06日 01時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20110906 01:00)

みなさま。*印の内容は9月1日に書いものです。主旨はナラ枯れ防
止活動を洪水防止の観点からも再開するというものです。ところが
親しい友人にこのことを話したところ、原発問題でこれだけ動いて
いるのに、そう何でも取り組まなくていいのではとアドバイスを受
けました。それで取りあえずこの文章を保存状態にしました。

ところが台風12号がやってきて、紀伊半島を中心に、もの凄い被害
が発生し、何か所にもわたって大洪水がおきて、多くの方が亡くな
ってしまいました。未だ行方不明の方もたくさんいます。こうした
被害の発生は、予想できもしたことですが、それでも唖然とするも
のがありました。

いろいろな悲劇が起こっています。例えば那智勝浦町では、寺本
真一町長(58)の自宅が流され、お連れ合い(51)と娘さん(24)も流さ
れ、後に娘さんは遺体で発見されました。ちょうど4日に結納を行う
予定だったそうです。「被害に遭ったのはうちだけではない。・・・
早急に復旧に向けた対策、対応を考える」と町長は語ったとか。

この紀伊半島を襲った激烈な被害そのものは、ナラ枯れを原因とす
るものとはいえません。この地域にもナラ枯れの原因となるカシノ
ナガキクイムシが生息していますが、主に激烈に枯死をもたらして
いる日本海側固体群とは別の太平洋側固体群で、それほど大きな枯
損はもたらしてはいないからです。

それでも全国的に進んでいるさまざまな要因での山林の崩壊が一因
となっていることは間違いないと思われるし、これに「絶対に洪水
を行させない」ことを目指してきた、堤防の度重なる強化による洪
水防止という河川管理方法の破たんが重なり、気象の異常化による
降水量の激増に対応できなくなったためと思われます。

これを考えたときに、山林の保全は急務であり、とくに激烈に進行
を続け、今日、奥羽山脈を峠越えして太平洋側に侵入しつつある
カシナガ被害を食い止めること、いや少なくとも食い止めるべきだ
という発信を行っていくことは必要不可欠だと思います。以上から
いったんは保存にした内容をご紹介します。以下、お読みください。

**************

(2011年9月1日記)

僕はこの春まで日本の森林の荒廃を憂い、激しく進行す
るナラ枯れ(ミズナラやコナラなど、ナラ類の集団枯死現象)を食
い止めるための活動を行ってきました。しかし311事態以降、これを
休止して、すべてを大震災・大津波・原発大災害対策に振り向けて
きました。

その間にも各地で枯死が進み、森の中を奔走している人々を思う
と胸が痛い思いがしていましたが、今は緊急事態だからと、放射線
被曝からいかに私たち自身を守るのかということに、ウェイトをお
いて走ってきました。そのスタンス自身は今後も大きく変わるわけ
ではありません。

しかし今回の東北の旅で、仮設住宅を訪れ、平地が津波で被害を受け
たのだから当然といえば当然ですが、その多くが沢筋に建てられてい
るのを見て、山を守る必要性を痛感する思いがしました。特に宮城
県から岩手県にかけては、コナラやミズナラの純林がとても多いと
聞いています。

実際、旧仙台城裏手の山間ににある東北大学植物園も、最大数を誇
る樹木はコナラで約5000本、そのつぎはこの地域の自生的な樹木で
あるモミで約2000本と、圧倒的にコナラが多く、それだけにここで
ナラ枯れ被害が起こった場合、急速な生態系の変化が起こることが
考えられます。

とくに懸念されるのは、圧倒的な集団枯損が進むことで、山の保水力
が急激に低下し、洪水が発生しやすくなることです。ことに最近の
「異常気象」の中で、極地的な「ゲリラ豪雨」が発生しやすくなって
いることを考えるとき、山の崩壊を食い止めて、洪水を未然に防ぐ
ことの重要性は非常に高くなっています。

津波被害を受けた方たちのもとに今度は山から洪水が押し寄せるなど、
あってはならないことであり、山の動植物を守るためでもあるけれど
も、今は東北の再生のため、これ以上の被害を増やさないために、
人を守ってくれる山々を守ることを訴えたいと思います。そのため
この間知り合った東北の方たちと何らかの活動を行いたいと思います。

同時に、かなり被害の進んでしまった京都市内でも、再度、気持ちを
奮い立たせて防除に取り組みたいと思います。対象としては、大文字
山の大の字の上から頂上にいたる部分と、大文字山からは少し南に
なりますが、これまでも防除に取り組んできた、若王子山頂の、共同
墓地付近です。

近くの手近かな自然を守ることを繰り返すことで、さまざまなことを
学び、また力も蓄えて、東北での活動につなげたいと思います。スケ
ジュールなど、これから考え、この場で明らかにします。みなさま、
どうか再びお力添えください。山を守り、人を守り、よりよい明日を
目指しましょう!
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