トンネルの向こう側

暗いトンネルを彷徨い続けた結婚生活に終止符を打って8年。自由人兄ちゃんと天真爛漫あーちゃんとの暮らしを綴る日記

自営業

2006-05-09 13:38:31 | 
就職活動真っ只中の夫
なかなか40で仕事を見つけるのは大変
そんな中で夫の友達が自営業をやらないかと話を持ってきてくれた

聞いて見ると内容もしっかりしているし悪い話じゃないような気もする
でも収入の安定しない自営業を選択する勇気がないし
夫にも賛成とはまだ言っていない
現在保留中である

私の実家は小さなお店をやっている
父は職人で機械の修理や販売をしていた
店を持っている割には父は働き者ではなかった
店を開けるのは商店街の中で1番遅く、お客さんも自分の気に入った人しか引き受けない

大手のデパートから専属の修理を頼まれても自分のペースが乱れるからと
断った

それでもたまに大口が売れたりしてそれなりの収入があったらしい
けれど父は家にお金を入れない人だった
母に家計を任した事は1度もなかった

食費も母が何度も言ってやっと貰える状態
子供の学費から被服費その他日常にかかるお金は全くくれなかったと言う

母は結婚してから今まで店が幾ら収入があって父にどれくらいの預金があるのかも知らないのだと言う

母も頑固で媚びへつらってお金など貰いたくない
必要な分は自分で稼いでみせるというタイプだった。
外でパートで働いている時もあったけれど
店の一角で洗濯の営業所をやったり、ハンコや切手を売ったり
自分なりの仕事を取ってきては収入を得ていた
私も学校の帰りに店に寄り洗濯の受付などを手伝った

店は夜の7時半までやって帰ってくるのはいつも8時頃
その後母は祖母や父の食事を作っていた

店の為に働いても働いても父は母にバック1つ買ってあげた事がない
誕生日すら覚えていないかもしれない

母はこの店をやっていて良い事があったのだろうか

連休中に実家に行った
母に夫に自営業の話が来ていることを相談した
「私は父の店を見てきているから自営業に賛成できない。
ただその自営業の話はとてもしっかりしていて怪しい話ではないし紹介してくれた人も信頼の置ける人なのでやろうと思えばできるかもしれない」と悩んでいることを打ち明けた

母は「家の店は本当は私に持ってきた話だったんだよ」と言った
母はたまたま出かけたスーパーで母の事を子供の頃から知っていると言うおばさんに偶然会った
そのおばさんは「息子がスーパーをするので手伝ってくれないか」とその場で言われた

母は仕事を探していたのでそのスーパーで働き出した
するとそのスーパーの向かいで店をやっていたおじさんが母の毎日の働きぶりを見て自分は店を閉める事にしたから母に何か店をやらないかと言われた

困った母は祖母に相談すると祖母は子供達は私が見ていてあげるからそのお店を貰ってやりなさいと大賛成だった
と言っても母には資金も何かやりたい事もなかった

すると今度は父の姉がやってきて店の話を聞いたから
母ならできるからやりなさい。資金は全部だしてあげるからと言い出した
ドンドン話が進んでさて何の店をしようかと考えていたら突然父が
「俺がそこで店をやりたい」と言い出してあっというまに開業となった。

と母は初めて教えてくれた。
実家の店にそんな不思議な縁がくっついていたとは驚きだった

母は「仕事にも縁がある。どうしてこんな風になったの?と思うことでも
どうしてもそこに縁があったら逃れられない。
あんたの父さんは店をする前は親戚の家で雇われていたけれど
仕事はしないし、他の人とも仲良く出来ない困った人だとよく言われていた

それでも店を持ってから30数年今まで潰れる事無く続けて来れて
あんた達を最低限育てる事は出来た
あんたの夫もどうしようもなく会社を辞めざる終えなくなってしまった
それは縁がなかったからだ。
どんなに嫌でもその流れを止められない時はその流れに任せたほうが良いと言うことさ

その自営業の話も逃れられないものなら黙っていても流れて行くと思うよ
ただ見極める事は必要だと思うけれどね
あんたは自営業の大変さを知っているんだからその事だけは伝えて
後は旦那に任せたらいいさ」と言われた

あー。そういうものかもしれないなとしみじみ思った
仕事にも縁がある
人には貰ってきたものがある

母は父の自営業を後悔しているとずっと思っていた
でも母は後悔などしていなかった
母は母の貰ってきたものを受け継ぎやり通せた事を誇りに思っているようだった

暫く夫の自営業の話は私も見守ってみようと思った
私や夫が貰ってきたものは果たしてなんだろう。





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2 コメント

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話すとゆうこと (nao)
2006-05-10 05:57:37
聞いて初めて分かる事。

ちっこさんの中で今回のお母様との会話は

ご主人の仕事の事よりも、

ちっこさんの中にあったお母様への思いに新しい風が

吹いたように感じました。

ご主人との関係、お母様との関係。

ちっこさんの気持ちの変化に周りの関係も変わってきてるようですね。



自営業・・・。

私もお母様と同じ思いです。

人とのつながり、ちょっとしたきっかけで

変わっていきます。

その波に乗るか乗らないか。



貰ってきた物は後で分かるのかもしれないですね。

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naoさんへ (ちっこ)
2006-05-10 18:55:25
最近母とはあまり話さなくなりました



電話でも一方的に母の話を聞くと言うこともなくなりました



頷けるところは共感してそうでないところは聞き流して母の言動に振り回される事も少なかったかもしれません



あの日、地雷を踏んだ日から私は周りの者全てがはっきりと見える気がします



こんな事ってあるんですね

不思議な気持ちです



それでも今回の母の話は深く頷けるものでした

伊達に母も歳を取っていないなぁと感心しました
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