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特別展「新説・恐竜の成長」

 大阪市立自然史博物館の特別展「新説・恐竜の成長」に行ってきました。

前半のメインはトリケラトプスの成長段階で、これはさすがに圧巻でした。眼の上の角の向き、フリルの長さ、縁後頭骨(フリルの縁にある三角形の骨)の状態、鼻の角と鼻骨の癒合などの比較展示です。DVD映像も使って子どもたちにもわかりやすく伝える工夫がされていました。
 トリケラトプスの角やフリルは、「同種(内)の識別」のためという結論ですが、従来の「防衛のため」や「繁殖行動での雌雄間のディスプレイのため」という考えを「違います。」と完全否定してしまっていたのが気になりました。大丈夫かなあ。トリケラトプスが角を使えないでどうするのだろう。また雌雄ともフリルはあるが、模様が異なったりしないのだろうか。



ヒパクロサウルスとパキケファロサウルスの成長段階は中継ぎの位置にありました。この「ドラコレックス」からドーム状の成体への変化もかなり劇的ではあります。



後半の広いスペースの中央にはティラノサウルス動刻がいて、動いたり吠えたりしているので親子連れは釘付けになります。ロボットがガキんちょ、もといお子様を引きつけてくれるおかげで、化石・骨格の前はむしろ空いていたりするので、良しとしましょう。恐竜の動刻も年々進化しているらしく、かなり複雑な動きをしています。



それにしても、世界最大のティラノサウルス頭骨実物化石MOR008の前は妙に空いていました。あまり詳しい解説パネルがなかったせいか?





(スーの発見までは)最も保存の良いティラノサウルス骨格(だった)ワンケル。若い夫婦が、「やっぱりスーに抜かれたんだ」といいながら立ち去っていきました。しかし、初めて見る標本はやはり感動しますね。頭骨も保存がよく、立体感を演出するスポット照明が効いている。
ティラノサウルスについては、ホーナー博士の持論であるスカベンジャー説が展開されているのですが、スカベンジャーでもありハンターでもあったという視点が欠けていると感じました。なぜ二者択一なのでしょうか。大型の成熟個体がもっぱら屍肉食であったとしても、幼体や亜成体がハンターであることを認めるならば、ティラノサウルスは強力な捕食者であるという表現に問題ないと思うのですが。

全体としてこの企画は、「世界最大のなんたら」といったものよりは、はるかに学術的なテーマが明確であり、教育的プログラムもしっかりしている。ただそれだけに、特定の研究グループの学説のプロパガンダ色が感じられなくもない、という感じでしょうか。




今回のワンケル=MOR555Rは新しい復元キャストのようです。比較のため、日本在住の豊橋市のワンケル君を並べてみます。やはり新しいワンケルの方が洗練された感じがするかな。頭骨だけのは旧バージョンと同じ赤茶色でした。まあ頭部を下げている方が、顔がよく観察できて助かる。








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