tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

バッテリー

2008-01-11 11:59:34 | cinema

本屋の店先に山となって置かれていた累計1000万部のベストセラー小説。気になっていつも手にとって見ていたが、あまりにも大きなそのボリュームから、読むことをを断念していた。それが、映画になって、そしてDVDとなってやってきた。

とてつもなく速い球を投げるピッチャー。同じ人間とはとうてい思えないバッター・・・・・・。どんなスポーツでもそうだが、才能に恵まれていて、頭一つ抜け出ている非凡なヤツってのは必ずいる。凡人がどんなに努力しても追いつけない天賦の才能。小さい頃は、そんな才能のあるヤツにあこがれてたし、その才能に嫉妬もした記憶がある。
特に野球が好きというわけでもないが、大学の頃は他のクラスの体育授業にまで参加してソフトボールを追っかけていた。ある時は、草ゲームで人数が足らなければ助っ人を。普段のポジションはピッチャーなのだが、助っ人の手前、遠慮してファーストの守備。そこで、サードに入ったサウスポーからのスローイングにびびったのを思い出す。あの大きなボールがナチュラルにシュートしながら、しかも、うなりを上げてファーストめがけて襲ってくるのだ。シュートする分、差し出したグローブの親指をボールがたたく。グローブを突き上げるようなボールを受けたのもはじめてで、ボールを受けるたびに親指を脱臼しそうになって。恐怖に襲われていた。死ぬかもしれない・・・・・・。恐怖から、ボールを取りこぼしていた。・・・・・・すごいヤツっている。

女性が書いた中学の野球小説。ぼくら”巨人の星”世代の呪縛を乗り越えて、スポコンドラマとは違ったテイストのストーリーを描いてくれている。時代は確実に変った・・・・・・。
主人公は、剛球が自慢のピッチャー。独りよがりのところがあるけれど、これが新しいクールなヒーローだ。おそらく、原作者あさのあつこの理想とする少年像なのかもしれない。<中途半端なことはやらない>。主人公は大人顔負けのガッツを見せる。軟弱に、人の影に隠れていた自分の中学時代を思い出し恥ずかしくなる。「おばさん、野球はやらしてもらうものではなく、やるものです」なんて逆立ちしても言えなかっただろうなあ。野球部の監督による支配的指導や丸坊主を求められても、「丸坊主にしたら、球が早くなるんですか!」と。言えないだろうなあ。

だが、確かなことは自分も中学生時代には、少なくとも頭の中が空っぽだったわけではなく、一生懸命なにやら考えていたなあということ。自分の年にあった相応の悩みがあり、真剣に考えていたということだ。だから子供を、いつまでも「子ども」と思っていてはいけないということ。年配者として考えさせられる映画だった。