モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

その42 植物学の謎 パープルルースストライフの受粉システム

2008-07-14 07:31:18 | ときめきの植物雑学ノート

パープルルースストライフの謎

(写真)花一杯のパープルルースストライフ


パープルルースストライフは、不思議な花のようだ。
あの進化論の巨人“ダーウィン(Charles Robert Darwin, 1809- 1882)”も、この花を観察して悩んだという。
(凡人である私には何で悩んだかがよくわからないが・・・)

つまりこういうことだ
パープルルースストライフには、1本に三種類の花が咲くそうだ

三種類とは、花の色とか花びらの形の違いではなく、
ダーウィンが悩むぐらいだから進化にかかわることで
一つのパープルルースストライフに、雌しべ(花柱)と雄しべの長さが異なる3種類の花がある。
ということだ。

長さが違うということは、蜂が飛んできて3種類のどれかの雄しべの花粉がつくと、
その長さにあった雌しべ(花柱)でないと受粉することができないので、
当然、自家受粉しにくいような雄しべと雌しべの長さになっているので、
よその花でないと授粉できないということで他家授粉の確率が高まる。

確かに、他家授粉を優先させる方法として雌しべ・雄しべの長さが異なるという方法はわかるが、
3種類もあるということが何なのかわからない。

進化の考え方として
大きな環境変化があったときは、あらゆるものが同時多発的に出現し
その中から環境に適合したものが生存できるという適者生存説があるが

パープルルースストライフの3種類も何らかの理由がありそうだ。
或いは、異なる環境で能力を発揮する可能性を秘めているのかもわからない。


現在のパープルルースストライフは、沼地、湿地などで増殖しており、
この種が存在しなかったアメリカ大陸でも増えているようなので、
環境に適合する優位な子孫繁栄の方法であることが証明されているが、
複雑にした理由は何なのだろう?
謎でもある。

わが庭の咲き始めのパープルルースストライフをつぶさに観察したが、
1cm未満の花であり裸眼では、雄しべ・雌しべの長短を見極めるにはいたらなかった。

咲き始めに3輪だけ咲いたことも3種類の花に関係しているのであろうか??
新たな疑問が沸いてきた。

(写真)写真)確かに違いそうだ・・・雄しべ、雌しべ


花を楽しむための雄しべと雌しべの観察

子孫を残すということは、ある意味で花々が生存の戦略とマーケティングを展開しているようだ。

その基本を“受粉”で整理すると
1.自家受粉は、受粉の確率が高くコストが安い。
2.他家受粉は、媒介者を必要としそのために余分のコストがかかり受粉の確率も低い。
ということになる。

次に“生存”ということで整理すると次のようになる。
3.自家受粉は、遺伝的な多様性を高めない。
4.他家受粉は、遺伝的多様性を高め、適応性が高まる。

このように整理すると、どちらを選択するのがベストであろうかと考えるようになる。
植物も長い歴史の中でこれを考えてきたのではないだろうか?
と思う。

(写真)花粉放出中のノアザミ


5月に咲いたノアザミは、
雄しべが大量に作った花粉を自家受粉しないように
花粉が放出し終わった時期を見計らって受粉できるように熟成するという。
徹底しているのは、残った花粉をかき出す機能まで雌しべが持っているというから驚きだ。
これを“雌雄異熟”というそうだ。
ノアザミの場合は、雄しべが先に熟して花粉を放出するので“雄性先熟”というが、
時間差攻撃というところだろうか。

パープルルースストライフの場合は、
自家受粉を避けるために、雄しべと雌しべの距離を大きくとっているが、
これを“雌雄離熟”といっている。
しかも3種類あるというから自家受粉の可能性がありすぎるのではないかと思うが
どうだろう。

他家受粉の場合は、
蜂・蝶などの流通業者に花粉を運んでもらう運賃の支払いと接待をしないといけないし、
きていただくためのプロモーションを展開しないといけない。
来てもらうというこの部分が花々の競争で、魅力的でなければ生き残れなくなる。

自家受粉、他家受粉にしろ
自分の遺伝子を大量にばらまきたいというのが遺伝子の持つ本質で、
利己的、わがままだという説が提示された。
なるほど納得。と自己正当化したくなる説であり、
リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』 (The Selfish Gene、1976)は、一世を風靡した。

しかし、
ばらまくにはコストがかかるし魅力ある自分にしなければならないという社会の仕組みがある。
美しい花をじっと見ているとこんなことが透けて見えてくる。
だいぶ目が悪くなってきたのだろうか、霞んで見えているかもしれない・・・・・


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