モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

燃えるような フロックス・パニキュラータの花

2008-06-22 09:03:53 | その他のハーブ

(写真)炎の花フロックス・パニキュラータ


フロックスは、北アメリカ大陸が原産で、例外としてシベリアにも1種があるそうだ。
ベーリング海峡が陸続きの時に
シベリアに何らかの形で旅行した種がいたのだろうかというロマンチックな疑問がわく。

性質は強健で春から夏にかけて美しい花を咲かせ
燃えるようなピンクの花が、遠くから見るとピラミッド形をなし、
近づいて見ると、茎という幹線にいくつかの支線がつき
一つの支線がサテライトを形成し花のプラットフォームとなっている。

(写真)花序のサテライト


この花は、夕方に甘い匂いを発するというが、いまだ嗅いだことがない。
姿は美しいが上品ではないとも言われる。

言わんとする気持ちは、別名の“オイランソウ”に表れていそうだ。
頭上のあでやかな飾りから“おいらん(花魁)ソウ”とも言われたのであろうか
或いは、燃えるようなピンクの色も含めて名付けたのかもわからない。

そこには、願望があったのか、蔑視されたのか不明だが、シンボライズの妙を感じる。

“花魁”は、江戸吉原の高級遊女の呼称で、京では“太夫”と呼ばれていた。
“花魁”になるためには、
芸事(三味線、舞踊)、教養(古典、書道、茶道、和歌)に優れていないといけないというので
才能は別にして努力を嫌うヒトには難しい大変な職業でもあったようだ。

華やかさを支える才能と努力、
わかっているヒトはこれを愛で、わからないヒトはこれを嫌う。
フロックス・バニキュラータからこう感じたのであろうか?

(写真)フロックス・バニキュラータの立ち姿


フロックスの名前と普及の歴史

フロックスは、ギリシャ語で“火”という意味のPhloxを語源とし、
phlogi-fourusは火炎色の花、フロックスに似た花となる。

テオフラストスが炎の色をした花卉植物をフロックスと呼んだそうだが、
いまではどの植物のことかわからなくなっている。
ただ、炎のような真っ赤な花というイメージだけはフロックスに引き継がれた。

学名のフロックス・パニキュラータは、
花が集まった房(花房)が茎の頭上に集まり円錐形を形成するので
パニキュラータ(=円錐花序)という名がつけられた。

和名では、クサキョウチクトウと呼ばれているが、
キョウチクトウ(夾竹桃)に似た葉をしているということで名付けられたようだ。
http://www.botanic.jp/plants-ka/kyouti.htm

日本には明治時代に伝わるが、ヨーロッパに伝わったのも18世紀以降であり
伝播の歴史は新しい。

イギリスへの伝播は、
薬剤師で植物学者のジェームズ・シェラード(James Sherard 1666-1738)は、
ロンドン・グリニッチの南エルタムに栽培園を所有し、
この当時の珍しい植物を栽培していた。

この庭は“エルタムの庭”として有名になり、リンネなどにも植物の情報を提供しているが、
北米産のフロックス・パニキュラータもこの庭で咲いていた。

このことを紹介したのは、ドイツの植物学者ヨハン・ヤコブ・ディレニウス(Johann Jakob Dillenius 1687-1747)であり、
1732年に紹介している。
フロックス・バニキュラータは1732年以前にヨーロッパに伝わったといえる。


フロックス・パニキュラータ(Phlox paniculata)
・ハナシノブ科フロックス属の耐寒性がある多年草。
・学名は、Phlox paniculata(フロックス・パニキュラータ)。英名はFall phlox、Perennial phlox。
・和名は、クサキョウチクトウ、別名はオイランソウ、宿根フロックス。
・原産地は北米(テキサス)
・草丈、40~50㎝で直立し、茎の先にピラミッド型にピンク色の花をつける。
・開花期は6~9月と夏中花が咲く。
・春に株分けで増やす。
・明治時代に日本に伝わる。


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