モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

その78:マリー・アントワネットの庭園 ①プチ・トリアノンの由来

2009-03-26 08:39:48 | ときめきの植物雑学ノート
いつか書こうと思ってから時間がだいぶ経過し、やっとマリー・アントワネットの庭園にたどり着くことが出来た。
マリー・アントワネットの庭園は、プチ・トリアノン庭園と言っても良いが、自然を庭園に取り込むことでは『日本庭園』に近く、自然が全く取り込まれていない舞浜のディズニーランドとも近い感じがしている。『日本庭園』的でもありディズニーランド的でもあるというこの矛盾が前から気になっていたことだ。

プチ・トリアノン庭園が出来るまで
ルイ十四世は、絶対王権を確立するためにベルサイユ宮殿を作りその象徴としての庭園作りに生涯をかけて作り続けた。ベルサイユの庭園は、1667-70年頃 ル・ノートルによる造園が出発点にあり、宮殿の方は主な部分の設計はマンサールとル・ブランが行い1682年頃完成した。
ル・ノートル、ル・ブランは『フランス幾何学式庭園』の代表作ニコラ・フケ卿の居城ヴォー・ル・ヴィコント(Château de Vaux-le-Vicomte)を作ったメンバーであり、ルイ十四世がフケ卿から略奪した天才達でもある。

広大なベルサイユの庭園には、グラン・トリアノンという離宮をルイ十四世が1670年に作り、ルイ十五世がさらに愛人のために1768年にプチ・トリアノン(le Petit Trianon)を建設した。

(写真)ベルサイユ宮殿・庭園とトリアノン宮殿・庭園の地図 by google


地図を見てもらってもわかるように、右下にベルサイユ宮殿があり左上の方に広がる定規を使って出来上がった部品が組み合わされているかのような幾何学的な庭園が広がる。この広大なスペースには驚くほどだ。中央上にあるトリアノン離宮と庭園はかわいいほどのスペースだ。そして、庭園は定規を使った感がなく直線ではなく曲線で描かれていることが見て取れる。

マリー・アントワネットがベルサイユ宮殿の裏手にあるプチ・トリアノン宮殿を夫であるルイ十六世から贈与を受けたのは1774年で、庭園と有名な田舎風の離宮アモーが完成したのがフランス革命が勃発する2年前の1787年だった。
わずか13年で『フランス幾何学式庭園』を超える新しい様式の庭園を完成させたことになる。
日本と較べると、柳沢吉保の『六義園』が完成したのが1702年なのでこれよりも85年も後のことになる。

(写真)プチ・トリアノン宮殿と庭園


庭園とは関係ないが、マリー・アントワネットが手に入れたプチ・トリアノン宮殿には、世界初のエレベーターがあったそうだ。このエレベーターは、階下の調理室から料理を載せた食卓が人手を介せずに直接上のフロアーまで昇ってくるので密会の饗宴にはもってこいの発明であり、必要が発明を生み出した典型的な代物だ。

このプチ・トリアノン宮殿は、ルイ十五世がポンパドゥール夫人など愛人との密会のために建設した宮殿だが、総建築費73万6千リーヴル、エレベーターの特別費用として発明者のレポレロに1万2千リーヴルを支払ったという。
快楽にはお金を惜しまないということだろうが、マリー・アントワネットもプチ・トリアノン宮殿と庭園の改修には164万9千5百29リーヴルを使ったという。

これまでの歴史では、マリー・アントワネットの浪費がフランスを食いつぶしたといわれていたが、最近では、たいした浪費がされていないという風に変わってきており、改修されたプチ・トリアノン宮殿・庭園などは今でも通用する新しさを持つアーティスティックな作品であると再評価されるようになって来た。

このアーティスティックな原点は何だったのだろうか?
漠然とした思いに形を与える或いはバックボーンとなったものは何だったのだろうか?
これを知ることによって『日本庭園』的でもあり、ディズニーランド的でもある矛盾が解決するような気がする。

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2 コメント

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Unknown (花ひとひら)
2009-03-26 23:07:12
なにもかもがスケールが大きいので
気持がいいですね。スケールの大きさがバックボーンとなったのでしょうか。
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花ひとひらさん (tetsuo)
2009-03-27 09:28:42
おはようございます。
ご指摘の通りのようです。
ベルサイユの庭園は、当初の1/3に縮小したとはいえ、現在でも600万㎡約200万坪もあるというので、平野に近いなだらかなところに河を引き誰もができ得ない庭を造りたかったようです。
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