6月上旬、「WHO内部で不満―ヒトからヒトへの感染リスクなどの情報を中国側は十分に提供していなかった 中国の国営テレビで流れる15分前にしか情報が提供されなかった SARSの二の舞になった」と報道された。この報道内容は、WHO事務局長のデドロス氏ら中国癒着の幹部に対する批判・不満がWHO内部にあることも示唆している。
この報道を受けて6月3日、中国外交部報道局の趙立堅報道官は、「ひどく事実と異なる。はっきり教えます。その報道が事実でないことを」と反論。12月下旬から1月20日の約1か月間の中国及び湖北省武漢市当局の隠蔽や対処の不備の問題に特に敏感になっていることを現していた。
この趙報道官は5月25日には、香港の国家安全法成立後の対中制裁を示唆したオブライエン米大統領補佐官(国家安全保障担当)の発言を受け、「米国の一部政治家が全国人民代表者大会の香港関連議事について発する雑音に断固反対する」と非難していた。
"全人代"後の具体的な動き(行動)①―新型コロナウイルス問題に関して「白書」発表―「中国は世界から感謝されこそすれ、批判されるゆわれはまったくない」と世界に表明
全人代が閉幕して1週間あまり後の6月7日、中国政府は新型コロナウイルスに対する政府見解をまとめた白書を公表した。「新型コロナウイルスに対する中国の行動」と題されたその内容は、中国が「ウイルスとの戦いで重大な戦略的成果を収め、世界の公衆衛生の安全を守るために、重要な貢献をした」とし、国際的な中国批判に対しては「疫病の情報を早期に国際社会に通報した。いわゆる中国発生源論や中国隠蔽論などは、まったく事実に基づかない」と主張している。
この白書発表に関する日本のテレビ報道では、「中国 事実上の"勝利宣言"か―字型コロナ白書を発表」「新型コロナに立ち向かう中国」「国際的には"多大な貢献をしてきた"と主張」「米国などを念頭に"中国に責任を押し付けている"と反論」「担当者―"この歴史を永遠に忘れることはない"―白書の発表を勝利宣言にしたい狙いか」などのテレップが流されていた。
白書では、14億の国民が団結しウイルスと戦ったとし、医療従事者や武漢など都市封鎖を受けた都市の住民らを讃える文言が並ぶ。一方で、「中国の人民がさらに深く認識したのは、中国共産党の指導が最も重要な保障で、頼れるということだ」と、一党独裁政治の支配体制を賛美している内容。また、国際社会の中国への評価に関して、「中華民族は受けた恩を忘れず、力の限り国際社会に貢献してきた。団結と協力がウイルスに勝つ最も有力な武器だ」とし、中国が医療物資や医療従事者を派遣してきた実績を強調。
ウイルスの発生源を巡る米国の中国への批判やオーストラリアなどが独立した調査を求めるなど、中国に透明性のある情報公開を求める動きに関して、この白書では、「ウイルスは人類共通の敵。ウイルスを利用して汚名を着せることや政治問題化することに断固反対する。中国は感染の被害者であり、世界に貢献してきた。公正に評価されるべきで批判されるいわれはない」と反論している。さらに「責任転嫁して自身の問題を隠そうとするのは、無責任かつ非道徳的で、中国はいかなる賠償請求も絶対に受け付けない」と。
白書は最後に「太陽の光は風雨の後に現れるもの。目標を一致させ、団結し前進すれば困難に打ち勝てるし、さらに繁栄した美しい地球を築けるはずだ」と結んでいる。
全人代開催中の5月26日、中国共産党機関紙「人民日報」の中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」上の公式アカウントに掲載したイラスト(風刺画)が上記。香港への国家安全法導入を非難するポンペイオ米国国務長官(ハエ)、台湾総統の蔡英文(バッタ)、香港の大物実業家・報道家の黎智英(ゴキブリ)を害虫扱いする漫画が描かれている。おそらく中国国内や香港台湾でも拡散されているかと思う。漫画には「香港国家安全法」と書かれた害虫駆除のスプレー缶も描かれ、「虫を駆除するときだ」との言葉も書かれていた。
5月30日、アメリカのトランプ大統領は、6月にアメリカで開催予定だったG7サミット(アメリカ・イギリス・フランス・イタリア・日本・ドイツ・カナダ)を9月に延期し、G7に韓国・インド・ロシア・オーストラリアを招待したいと発表した。イギリスのジョンソン首相が提唱している民主主義国10か国連合(D10)とよく似た国々だが、改めて中国に対しての対抗上、この提案は注目をもたれてきている。
この提案に対して、韓国の文大統領は6月2日にトランプ氏に対して招待に応じる考えを伝えた。ロシアは不参加を表明した。
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