彦四郎の中国生活

中国滞在記

日韓関係の未来と今のこと❶11月5日・7日の「日本企業就職説明会(ソウル・釜山)」一つの現在

2018-12-08 14:00:57 | 滞在記

◆韓国は1990年代末から2014年あたりにかけての15年間、「高度経済成長」の時代だった。中国市場においても、「サムスン電気」や「現代自動車」「食料品」「化粧品」などが、韓国製の工業製品は日本企業と競合を争った。私が中国にはじめて赴任した2013年当時、携帯電話などは、サムスンの製品が中国市場を怒涛していた。また、2010年頃からは、韓国のドラマやエンターテーメント関係は、完全に中国での影響は日本を上回った。

 しかし、2015年を境として、中国の国内大手企業の製品の質向上と手ごろな価格に圧されて、中国市場での韓国企業製品の市場は急激に悪化した。このため、韓国は、官民一体となって、インドやベトナム、欧米での市場開拓にシフトを広げてきている。今、中国で、韓国の影響がとても強いのは、若者への「ドラマ、エンターテイメント関連」と「韓国式化粧や化粧品、髪型」、そして「整形手術・美容関連」である。

 10月30日に「徴用工判決」が初めて出された1週間後の11月7日、ソウルで開催された「日本企業就職説明会」には韓国の若者が多く訪れた。韓国の大手新聞社「中央日報」は、「日本就職博覧会に2500人集まる‥‥日産や楽天など112社が現場面接」と報じた。11月5日に釜山で開かれたイベントと合わせると、日本企業全体の採用規模は660人程度に対し、事前書類申し込みは6200件を超えたという。韓国のイベントを紹介した6日の朝鮮日報は、韓国の雇用労働部の関係者の話として、「これほど熱を帯びるのは、韓国の青年たちの間で日本への就職に対する関心が高いことを示している」と伝えた。

 韓国での日本就職ブームは、日本側の統計でもうかがえる。日本の法務省の統計によると、2017年末時点で、大学などの専攻を生かして業務にあたる「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得した韓国人は2万1603人で、前年比に比べて約14%増加しているという。

 このことについて、12月上旬のNHK報道番組「これでわかった!世界の今」で特集されていた。特集テーマは「就職難—韓国の若者、日本企業に就職を」。(上記の写真は、その番組の写真—「日本企業面接会場」「家賃補助・新人教育・生活支援」「日本企業・運送関係者―"運送の関係も年々高齢化していて、若い人たちには人気がない職種なので、韓国などの外国人を採用しているのが今の実情です。"」「韓国人でこのイベントに参加した人の一人—"これから10年、20年を考えた時に、自分を成長できる場所は日本です。"」

 この報道では、韓国に新しくできた「日本企業への就職対策塾」のことも伝えられていた。この塾には現在100人近くが受講生として在籍、受講生の多くが日本企への就職を果たしてきているという。経営者の塾長は元日本人外交官。日本語の勉強も開講しているという。「日本は就職率が高いと聞いていいなあと思った」と語る受講生。

 「韓国の大企業は学歴・技能・経験重視、中小企業は給料面などで不人気」「韓国の大企業では、とても有名な大学卒業予定者でなければ面接の機会すら与えられない。日本への就職を準備する人たちと情報を共有したくて対策塾に参加した。」「採用の際、日本企業は"人"を見るが韓国企業は履歴書の"スペック"を見る。私は"人"として働きたい。」などと塾生が語る。

 韓国社会では、「有名大学合格へ向けての大学入学試験」や「企業就職」の競争が激烈だ。それは、かなり厳しい中国社会以上、いや、中国をはるかに超越した社会だ。就職に関しては、「容姿」も重視されるため、整形手術を受けることも常識となっている。報道番組では韓国での大学進学や就職のことを「地獄のようだ」とも表現もしていた。

 最近、「日本の大学との提携関係」を結ぶ韓国の大学も増加していることも、この報道番組では紹介していた。これは、大学の学生の定数を確保し、留学生数を増加もさせたい日本の私立大学の願いとも一致していることだ。番組では、韓国の大学関係者の話として、「日本の大学と姉妹校提携が進めば、学生が交換留学生として日本に留学に行っても、日本の学生と同じように就職支援も受けることが可能になる」と語っていた。

 ◆このような就職を巡ることも、今の「日中関係」の現在なのだと思った。

 

 

 

 

 

 

 


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