彦四郎の中国生活

中国滞在記

中国・全国普通高等学校(大学)招生入学考試(試験)「高考(ガオカオ)」―6月7日・8日

2016-06-12 21:17:43 | 滞在記

 昨年の12月12日(土)、閩江大学の学生の姉の結婚式に招かれて、福建省泉州市恵安に行ったことがある。その際、学生の高校の母校に行くことになった。土曜日なので学校は休みのため、ほとんど学校に生徒はいない。3年生の教室に行った。ほとんどの生徒が「大学受験」をするような高校だった。教室に掲示されている「178天」とは、「大学入学試験まで、あと178日」という意味だ。教室の黒板の上には「好的大学招你」のスローガン。良い大学があなたを招く。頑張ろう!というような意味。
 あれから178日後の2016年6月7日・8日に、今年も「中国大学入学統一試験」(通称:「高考」)が実施された。受験者総数は約940万人。このうち720万人余りが、2852校ある大学(※2〜3年間の短期大学を含む)に入学する。そして、大学に入学できなかった約220万人は、専門学校(そのほとんとが公立)に入ることとなる。ごく一部だが、来年度の試験をめざしで「浪人」をする生徒もいる。
 中国の「大学入学選抜試験制度」は、日本などの大学入学試験制度と違い、「大学」や「大学の専攻」ごとの試験は原則行われない。この一回の「高考」の試験結果のみで判断されて、各大学への進学を選別入学される。選別するのは、「国や省の各教育局」。そのため、「高考」への社会的注目度や受験生のプレッシャー、親の異常なまでの力の入れようは凄ましいものがある。
 「高考」の試験問題は「各省」によって違う。試験問題を作成する担当者は、試験の終了まで、外部との連絡は一切することができない。家族とも連絡をとることが禁止されている。受験科目は4教科。国語・数学・英語の3教科は全員が受験する。そして「文科系」希望者は「歴史・地理・政治」の試験を受験し、「理科系」志願者は「物理・化学・生物」の試験を受験する。この試験の総合得点は、数日後に受験生に通知される。この試験の結果をもとに、受験生は「4つの大学・専攻」と「1つの専門学校」を選んで(※ここ数年の、各大学・専攻の最低合格試験点数を参考にし) 教育局に申請する。ある意味「賭け」的な側面も強い申請である。(専門学校の申請は自由)
 そして、7月10日頃から順次、レベルの高い大学の合格者から発表されるという流れになる。物凄く多くの受験生のため、3点〜5点の差によって入学できる大学が大きく変わる場合も多いという。1問の間違いによる差である。
 日本の数倍も「学歴信仰」の強い中国社会。一発受験の結果によって人生が大きく変わるため、さまざまなことがこの「高考」を巡って巻き起こる。

 6月8日(水)の午後3時頃、前日の結婚式(三明市尤渓)からの帰り、私の宿舎近くまで行くことがてきる6番バスは 途中で止められて、進路変更を交通警備員たちから指示された。全国700箇所あまりある「高考」試験会場の一つとなっている「福建師範大学付属中学校」の前の道は完全に車は封鎖されていた。車の音やクラックションの音が受験生にとって騒音となることを配慮しているためである。学校の前には、パトカーが常駐していた。

 上記の写真は左より、①学校の近くに来てしまった車に対して「受験の邪魔になるから早く出ていけ!!!」と、車を取り囲んでいる受験生の親たち。②受験会場の門の前で、我が子の受験終了を祈るように待っている親たち。➂~⑤は、夜の高校の補習授業や自習で、教室に設置された生徒一人一人の「点滴」装置。疲れて保健室で点滴を受ける時間が惜しいために、教室にて勉強しながら「点滴」を受けることができるためのもの。
 ⑥「83才の受験生」の記事写真。2001年から大学受験の年齢制限が撤廃されたため、高齢者の受験生も年に数名いるという。この写真の人は83才。医療関係の仕事に長年従事していたが、正式の医者になるために受験。12回、不合格で、13回目の挑戦だという。

 中国全土の約700箇所あまりの試験会場は、そのほとんどが大きな都市にある。このため地方郡部から試験を受けに行く受験生たちは、試験当日の前日や前々日に、契約した大型バスなどに乗って集団で移動することが普通に行われている。それを見送る親や親族・家族たちの写真が上記の6枚。
 中国インターネツト配信記事などを閲覧していると、この「高考」がらみの記事も、この時期多くなる。例えば、「受験へのプレッシャーから自殺を防止するために、ベランダを金網で囲ってしまった高校の記事」「我が子の受験勉強の妨げになると、近所の池の蛙をすべて毒殺してしまった母親の記事」など。
 ちなみに、この「高考」の試験開始時刻に遅刻しそうなら、警察や派出所にパトカーを要請すれば 受験会場まで送ってくれるのも「高考」名物となっているようだ。
 2000年代に入って、中国の大学進学率は 年々うなぎのぼりに上昇している。2016年度の大学進学率は、40%近くまで近づいてきている。2015年度の大学の学生総数は大学院生を含めて、約3700万人。毎年、900万人近くが大学や大学院を卒業する。このため、大学を卒業しても希望の職種につくのがとても狭き門となっているのが現状。現在、「韓国」の若者の失業問題や就職できない問題は深刻(25%)だが、それに比べれば中国は かなりましとはいえ、「大学卒業学生」の就職問題も大きな社会問題となってきている。







講座授業「日本概況」における学生発表❷―日本に対する関心―

2016-06-12 16:06:37 | 滞在記

 発表授業の休憩時間、学生の一人の腕を見たら何か模様のようなものがあった。近づいて話しかけて、腕を見たら「墨で描かれた鶴(スワン)の絵のタトゥ(刺青)」だった。タトゥをしている女子学生は珍しい。最近、タトゥを施したようだ。

 ⑭『日本ドラマ×韓流ドラマ』➡日本ドラマと韓国ドラマの特徴を紹介。日本ドラマは普通の人が主人公、韓国ドラマは 美人・美男で上流階層の人が主人公。日本ドラマのあらすじは、1回目を見ただけではわからなく 変化するが、韓国ドラマは1回目をみただけで あらすじが予測できるという。この韓国流のドラマの 単純なわかりやすさが 現代の中国では 日本ドラマよりも人気が高い理由とするプレゼン。なかなかよく分析していた。優れたプレゼン。

 ⑮『日本の城郭』➡日本の県庁所在地の街は 多くが城下町。日本の城について紹介するプレゼンだった。 ⑯『日本の食事マナー』➡日本の食事マナーについて紹介。「うどんは日本では音を立てても大丈夫だが、中国ではよくない。」「箸の置き方の日中比較」などをプレゼンした。
⑰『日本の北海道になぜ中国人は観光に行きたがるのか』➡北海道は中国人にとって魅力的な食べ物や観光場所、自然がたくさんあるということをプレゼン。

 ⑱『中国の大学入試と日本の大学入試』➡中日の大学入試制度について詳しく説明。中国の大学入試制度について、どのように入学する大学が決定されていくのかが、よくわかるプレゼンだった。

 ⑲『日本の祝祭日』➡日本の祝祭日を1月から12月までを紹介。特に、日本の正月や春の時期、お盆などを中心に紹介するプレゼンだった。
⑳『渡辺淳一について』➡渡辺純一の主な著作について紹介するプレゼンだった。

 (21)『山形県を知る旅へ』➡今年の9月から留学(半年間)する山形大学のある山形県について調べたプレゼンだった。 (22)『日本のアコースチック・ギタリスト』➡自分の好きな日本のギタリストについて紹介。ギタリストの演奏動画も紹介。よくわかるプレゼンだった。

 ◆まだ2回生ということもあるのか、「なかなか優れたプレゼンだ」と思うのはまだ少ない。自分なりの考察がないプレゼンも多い。
  しかし、PP(パワーポイント)を駆使した巧妙なプレゼンテーション能力には、中国の学生は強い。パソコンを使ったIT技術技能が、日本の同  年代の学生よりもかなり強いのは理由がある。大学生はほぼ全員が「寮生活」。お互いに技能を伝達し合うようだ。