浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

マリア・イヴォーギュンの夜の女王

2008年09月23日 | 歌もの
モーツァルトの歌劇「魔笛」から夜の女王のアリア「恐れるな、愛する若者よ」と「地獄の復讐が心の中で燃え」の2曲をマリア・イヴォーギュンが歌ってゐる。野村あらゑびすのSP名曲決定盤第2集にもこれらが収められてゐるので、当時から名盤として確固たる地位を築いてゐたのだらう。

この愛すべきコロラトゥーラ・ソプラニストは「愛の喜び」の名唱で一度取り上げたことがあったが、若くしてフルトヴェングラーやニキッシュとともに伯林フィルハーモニーのステージに立った大歌手である。ワルターとはモーツァルトのアリアで縁があり、ワルターの指揮で1924年にはコヴェントガーデンにデビューした。作品は新作の「ナクソス島のアリアドネ」だった。

このレコヲドではちょうどその頃のイヴォーギュンの声を聴くことができる。データでは1925年の録音となってゐるが、機械吹き込みである。ロッテ・レーマン、エリザベート・シューマンらとともに独逸歌劇や独逸リートの一時代を築いたイヴォーギュンだが、弟子のシュワルツコップに受け継がれている。

この「夜の女王」では技術的に少々危なっかしいコロラトゥーラ・ソプラニストと、歌にうまく合わせられない伴奏オケとのコラボレーションによって、余計に愛らしさを感じるのだ。

因みに、我が家の「夜の女王」は技術的に少々危なっかしいフルーティストだ。今夜のフルーツは梨の形をした3つの林檎だ。

盤は、洪牙利のClub"99"によるSP復刻CD CL99-20。

あらえびす SP名曲決定盤 第II集
オムニバス
日本音声保存

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