浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ヒンデミットのフーガの技法を楽しむ作品 洋琴奏鳴曲第3番

2008年09月21日 | 忘れられた作品作曲家
ヒンデミットのフーガはとても魅力的だ。以前からヒンデミットを気に入って聴いてきたが、その理由の一つにフーガの技法がある。今日は、少し古いLP盤を引っ張り出してきて奏鳴曲を聴いてゐるが、ここにも第3楽章や第4楽章に立派なフーガが登場する。

この洋琴奏鳴曲第3番は無調ではあるが、実際に聴くと変ロの民謡調のテーマが第1楽章を支配してゐて、低音部でロ長調で現れたかと思ふと高域でハ長調でも登場する。拡張された調性といふ考え方で捉えると良いかもしれない。

終わりの2つの楽章は、フーガ技法を取り入れた大変聴きやすい音楽であり、終楽章は特にシンフォニックな展開が胸を打つ。「ウェーバーの主題による交響的変容」を彷彿とさせ、ヒンデミットの作品の中でも特に親しみ易い秀作の一つだと思ふ。

フルトヴェングラーとの協演でその名を知ったパウル・バドゥラ=スコダの1956年のウェストミンスターへの商業用録音で聴いてゐるが、スコダの粒揃いで丸みのある音色でこの作品を楽しむのも趣があって良い。他には、ヒンデミットのフーガを絶賛してゐたグールドの3種の録音やチェルカスキのライブレコヲドなど、新しい録音は数多く発売されてゐるやうだが、モノラル時代のLP盤ではスコダくらいしか無いのではないだらうか。作曲されて20年後のレコヲドである。勿論、作者存命中に発売された「現代音楽」なのだ。

盤は、米國WestminsterのLP盤 XWN18200。

スコダのレコヲドは入手が難しいので、簡単に手に入るグールド盤で是非、お聴きになっていただきたい名曲だ。
ヒンデミット:ピアノ・ソナタ集
グールド(グレン)
ソニーレコード

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