浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

エルナ・ベルガーもう一つの「マルタ」

2009年02月08日 | 歌もの
最近、毎晩帰宅が遅くなって近所の工事現場も見ぬまま数週間が経った。今日、見てみると平城京跡を再現して造ってゐることは一目瞭然だった。しかし、何の目的でこんなところに平城京跡を再現してゐるのか謎は深まるばかりだ。今日は、暇があるのでCDを沢山取り出して聴いてゐるが、オペラも久しぶりに聴いてみた。

宮廷で暇を持て余した女官と田舎者男の恋愛物語に、田舎者男が男爵の遺児だったといふサプライズまで付加されたいたって分かりやすいストーリーのオペラ「マルタ」をCD盤で聴いてゐる。以前に、同じくベルガーの歌でこの作品のLP盤を取り上げたことがあったが、そのときの指揮者はローターだった。その際に少し触れたシュラー指揮による1944年のもう一つの録音を聴いている。

まず、序曲を聴いて思わずクレディットを確認した。間違いなく1944年録音と記されてゐる。とてもじゃないけれど、この録音を聴いて戦中の録音だと言い当てるのはまず無理だらう。ベルガーの高音が割れるくらいで、僕の耳には1957年頃のモノラルLP録音にしか聞こえない。

エルナ・ベルガーの澄んだ美しい声は健康的でとても好きだ。僕の心がベルガーの声を求めるときは、たいていストレスがたまってゐるやうだ。場面転換が多く、愉しげで親しみ易いメロディーに満ち溢れたオペラで退屈せずに聴ける。しかし、いつも思ふことだが、やはりオペラは絵付きで鑑賞するものだ。音だけで、しかも言語が理解できなければ、本来の愉しみの1割程度しか味わえてゐないやうな気がする。

盤は、独逸Berlin ClassicsによるリマスタリングCD 0021632BC。


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