Z共和国では4月だといふのに蝉がやかましく鳴いてゐる。日本國とは随分と気候も違って体調管理が難しい。世間では豚インフルエンザのことで騒がしいが、そんなことはこの地では関係無いかの如くに責任者も能転気だ。久々に提琴演奏でも聴いてみたくなり、未だに聴かぬまま放置してゐたミルシティンのライブアルバムを取り出した。 . . . 本文を読む
朝比奈隆は僕の祖母と同じ1908年生まれの我が町のマエストロだった。祖母は元気で102歳の働き盛りだが、朝比奈のおっちゃんは90歳と少しで若くして逝ってしまった。若かりし頃には、神戸高校のPTA会長として第九を演奏したこともあった。そのときのレコヲドが祖母の家にあり、何度か取り出して貧相だなぁとため息をついて聴いたのを覚えてゐる。 . . . 本文を読む
昭和初期まで活躍したリストの弟子達の中でも取分け好きな洋琴家、モリッツ・ローゼンタールのショパンを久々に聴くことにした。HMVへの1934~37年のレコーディングにあるショパン作品は22タイトルあり、その中にワルツ第5番が2種類含まれてゐる。一つは1934年2月9日のファーストセッション、もう一つは翌35年11月21日に行なわれた第4セッションのテイクだ。 . . . 本文を読む
カラヤンよりも早くから映像の世界に自己表現を試みたハリウッドのスター、ストコフスキーが1946年に録音したブラームスの第1交響曲を聴いた。絃楽器群が大勢居るやうで豊かな響きを聞かせてくれる半面、打楽器群は奥に引っ込んでしまって物足りない。 . . . 本文を読む
白耳義の大作曲家、モルテルマンスの弟子で師の教えを忠実に受け継いだ(と思はれる)ロードヴェイク・デ・フォフトの提琴協奏曲を我が國の提琴家、藤川真弓の演奏で聴いてゐる。実に美しい曲だ。 . . . 本文を読む
東芝のHA赤盤で聴き親しんだバルトークの提琴協奏曲第2番を久々に取り出した。会話にも不自由をする此の地での仕事は多忙を極めたが、やうやく仕事も軌道に乗り始め、ゆっくりと音楽を聴く時間のゆとりも無理矢理作ることができるやうになった。 . . . 本文を読む
平和で温暖な土地で会話の通じない人々に愛想笑いで誤魔化す毎日が続く。あまりに生活スタイルが違い過ぎて物を言ふのも辛いくらいだが、言葉が分からす本当に物が言へないので都合が良い。こんな中、ステンハンメルの交響曲といふ聴きなれない作品を聴いてみやうと思った。 . . . 本文を読む
周囲の大きな変化に翻弄されつつ、Z共和国での新たな生活も2週間が経ち、ぼちぼちこの地の風習が見えてきた。そんな中、ふと昔聴き親しんだミュンシュのブラームスを確認してみたくなった。
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忘れられた作曲家でも作品でもない名曲「ペリ」を取り上げたのはこの曲が、その完成度の高さの割りには正当な評価を受けてゐないと思ふからである。今宵は久々に音楽を聴く時間のゆとりを持つことができたので、ミヨーのアルバムを聴き、元気付いたところでジャン・フルネ指揮によるデュカスのアルバムを手に取った。
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