浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ゲイ術家 ノエル・ミュートン=ウッドといふ洋琴弾き

2013年08月18日 | 洋琴弾き
英國音楽と現代作品の佳き理解者として活躍した濠太剌利出身のゲイ・ピアニスト、ノエル・ミュートン=ウッドのレコヲドを初めて聴いてみた。曲はウェーバーの二つの奏鳴曲と、僕が昔よく弾いて楽しんだショパンのタランテラの三曲だ。

14歳までメルボルン・コンセルヴァトワールで学び、倫敦に渡るとシュナーベルについて学んだミュートン=ウッドは主に英國で活躍し、ストラヴィンスキー、ヒンデミット、バルトーク、プロコフィエフ、ショスタコーヴィッチなどを世に紹介すると同時に、英國のブリス、ランバート、ブリテン、ティペットなども積極的に取りあげた。しかし、此のCDには浪漫派の作品しか収められていないのが残念だ。

ウェーバーにせよショパンにせよ、かなりガツガツと速いテンポで突き進むスタイルは緩徐楽章でも貫かれる。タランテラでは其の速度の中で此の作品の持つ激しさや和音進行の面白さを感じることができる。此の初めて耳にする洋琴弾きはSPのスクラッチノイズはあるが、聞こえてくる音楽は現代の演奏家のものである。1941年、デッカの録音といふことだから、ミュートン=ウッド20歳のときの若さ弾ける演奏である。

31歳の時、愛人である男性が亡くなり、其のあとを追うやうに服毒自殺した。世界に其の名をとどろかせる前に此の世から消え去ってしまった。奇しくも飛行機事故で亡くなったウィリアム・カペルと全く同じ生年1922年、没年1953年、31年の短い人生だった。

盤は、英國PearlによるSP復刻CD GEM0031。

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