浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

フルトヴェングラーのブラームス第4番 維納フィルハーモニー

2011年12月23日 | 指揮者
僕にとってフルトヴェングラーの市販されてゐる未聴音源はあまりないが、此のブラームスのことは最近まで知らずにいた。すべての交響曲の中で最も好きな作品なのに、どうして今まで気付かなかったのか不思議でならない。

今までの録音は伯林フィルハーモニーとのものだったが、維納フィルとの演奏であることも大変興味をそそる。穏やかな表情で音楽が始まる、伯林の悲壮感漂う表情とはかなり違うように感じる。第1楽章はどこかびしっと決まらない部分が多いが、特に390小節のffは少し残念な気持ちになった。しかし、410小節あたりからコーダに向けてのテンポ設定など、此の指揮者以外には絶対に聴けない興奮の音楽がある。その後に続くアンダンテ楽章の美しさが際立つのも、興奮の後の弛緩からか。甘美なセロの響きや、90小節前後のきわめて重厚な絃楽合奏には心が奥底から震える。

フルトヴェングラーの演奏会に出かけて聴いてゐるやうな新鮮な感覚で聴くことができたのは、この上ない幸せである。それにしても、終楽章が始まってすぐの2音目にハリセンでパーンと叩かれるすごい音が入ってゐて、此れには驚かされた。いったい誰が叩かれたのか、とても気になる。

盤は、独逸OrfeoによるCD C.525 991 B。
ブラームス:交響曲第4番 他 [Import]
クリエーター情報なし
ORFEO


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2012-01-12 13:39:20
同感です.アンサンブルが悪いし,問題点もあるはずなのに魅力満載の演奏です.
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