浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ミヨーの洋琴協奏曲 自作自演の独奏者はマルグリット・ロン

2011年05月16日 | 自作自演
ミヨーの自作自演盤を取り出してきた。以前から聴こうと思いつつ、なかなか機会が無かったのは、このところシリアスな毎日を送ってゐて、このCDを聴くのがなにか不謹慎な気がしてゐたからだ。

今日は久々に午後7時には帰宅して、書斎でゆったりと寛いでゐる。今日こそはと此の気になるCDを取り出したといふ訳である。

1曲目の「仏蘭西組曲」は有名な作品で、ヤンキーの國のブラバンド(「乳あて」ではなく「吹奏楽」のことである)の為に作られたものだ。元々の子供向けの安っぽい響きを少し管絃樂用にアレンジするだけでこんなに素晴らしい響きに変わることに驚かされるだらう。此の録音は1946年に紐育フィルハーモニックを指揮して行われたもので、初演者のメンバーによるものである。非常に愉しい音楽ではあるが、第二次大戦で亜米利加が仏蘭西の解放に援軍を送ったことに対する感謝の気持ちで書かれた作品であり、時代背景を考えると、ミヨーの楽天家ぶりに仰天させられる。

その次のトラックに収められてゐるのがロンとやった洋琴協奏曲である。3楽章の合計が12分といふ短い作品だが、快活で「スカラムーシュ」を思わせる旋律の聞こえる第1楽章、洋琴がハープのやうに幻想的に奏でられる第2楽章、速い動きでの管絃と洋琴の掛け合いが愉しい第3楽章、いずれもロンの意外な一面を聴く事ができる。

紐育に於ける仏蘭西組曲の10年前の巴里での録音、即ち、ナチス独逸が暴走し始める前の録音なのである。そう考えれば、僅か10年で世界がこれほどにまで変化するといふ現実の恐ろしさを改めて感ずる。日本では関東大震災の10年後には満州への侵略を進めた歴史がある。今回の大震災の10年後に、同じことが繰り返されないことを祈ろう。

盤は、墺太利DUTTON LaboratorieによるSP復刻CD CDBP9711。

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2012-01-12 13:41:07
いいですね.たまたまこの曲のSPレコードをもっていて,たまに聞きます.忘れがたいもののひとつです.

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