第弐次大戦末期、独逸國が降伏して僅か二十日ほどの後、レオ・ボルヒャルトがフルトヴェングラーに代わり指揮台に立った。戦時中のフルトヴェングラーのメロディア盤でよく耳に馴染んだあのティタニアパラストが其の舞台だったと言ふ。
此の録音は6月17日の演奏と記されてゐるが、以前はフルトヴェングラー指揮維納フィルとか伯林フィルを振ったものだとか、いろいろと騒いで販売されてゐた。偽モノと分かってゐた僕は此のLPは買わなかった。しかし、今になって思へば、此の時代の一流演奏家の録音なら何でも聴いてみるべきだったと反省してゐる。
今回聴いてゐる作品はグラズノフの交響詩で、「エイコーラー」といふあの有名な歌詞が頭から離れず困ってしまふ。しかし、これがなかなか味わいの在る作品で、露西亜の土臭い雰囲気が敗戦直後の暗い世相と通じる。
ボルヒャルトの指揮ぶりは以前にモノクロの映画で一度見た記憶がある。マルケヴィッチのやうないでたちで颯爽と棒を振ってゐたが何の曲だったかは全く覚えてゐない。其の時の記憶どおり、今回の演奏も余分な表現を一切取り除いたやうなキビキビとした指揮ぶりだ。此の曲の録音にはスヴェトラーノフのCDもあるやうだが、きっとコテコテの表現なんじゃないかなぁ、などと想像しながらボルヒャルトを聴いてゐる。
チャイコフスキー作曲の「くるみ割り人形」「ロメオとジュリエット」とウェーバーの「オベロン」序曲とのカップリングだが、最終トラックに収められた此の交響詩「捨てんか!バージン」が最も気に入った。
盤は、仏蘭西TahraによるCD TAH520。
此の録音は6月17日の演奏と記されてゐるが、以前はフルトヴェングラー指揮維納フィルとか伯林フィルを振ったものだとか、いろいろと騒いで販売されてゐた。偽モノと分かってゐた僕は此のLPは買わなかった。しかし、今になって思へば、此の時代の一流演奏家の録音なら何でも聴いてみるべきだったと反省してゐる。
今回聴いてゐる作品はグラズノフの交響詩で、「エイコーラー」といふあの有名な歌詞が頭から離れず困ってしまふ。しかし、これがなかなか味わいの在る作品で、露西亜の土臭い雰囲気が敗戦直後の暗い世相と通じる。
ボルヒャルトの指揮ぶりは以前にモノクロの映画で一度見た記憶がある。マルケヴィッチのやうないでたちで颯爽と棒を振ってゐたが何の曲だったかは全く覚えてゐない。其の時の記憶どおり、今回の演奏も余分な表現を一切取り除いたやうなキビキビとした指揮ぶりだ。此の曲の録音にはスヴェトラーノフのCDもあるやうだが、きっとコテコテの表現なんじゃないかなぁ、などと想像しながらボルヒャルトを聴いてゐる。
チャイコフスキー作曲の「くるみ割り人形」「ロメオとジュリエット」とウェーバーの「オベロン」序曲とのカップリングだが、最終トラックに収められた此の交響詩「捨てんか!バージン」が最も気に入った。
盤は、仏蘭西TahraによるCD TAH520。