【前回までのあらすじ】
ここ数日の休みで日本に一時帰國してゐた僕は、神戸のCD屋で奇跡のCDを購入した。Z共和國に戻り、繰り返しこのCDを愉しんでゐる。帰國時、維納フィルハーモニーがメータとともに西宮に来てゐた。ランランとかいふパンダがショパンを弾くといふことで親父達が観に行ったが、丁度其の頃、僕はコルトーとメンゲルベルクのショパンに打ちのめされてゐた。 . . . 本文を読む
【前回のあらすじ】
奇跡的な発見により陽の目を見たコルトーとメンゲルベルクによる夢の協演。Asのオクターヴ下の代用にAを叩くコルトーの無謀な低音補強にやられっ放しだった僕は、これを真似てレッスン室からつまみ出された。現在はコルトーとフルトヴェングラーの協演の音源発掘に念力をおくり続けてゐる。 . . . 本文を読む
この歴史的な協演のSP原盤が復刻されるまでの奇跡的な経緯を聞き、神さまに感謝した。数日間、日本國に帰ってゐた際にこのCDを購入してきた。冒頭から、これまでに聴いたことのないショパンが登場する。コルトーのSP商業録音とも雰囲気がまるで違う。伴奏がメンゲルベルクといふことと熱狂的な巴里の聴衆の前で行われたライブ録音であることを考えれば当然のことだ。メンゲルベルクが1943年にヴァン・デル・パと協演したものとも異なる、贅沢さ、白熱度、興奮度、野獣の如き表現、いずれも過去最強の全くの新種の登場だ。 . . . 本文を読む
渋いヴィオラの独奏に続いてクラリネットが登場する。ヴィオラとクラリネットの為のドッペルコンチェルトといふブルッフの逸品がある。ブルッフは何を思ったのか、晩年にクラリネットとヴィオラの為の作品を続けて発表してゐて、いずれも忘れられた名曲である。ちなみにブルッフのご子息はクラリネット奏者だったそうだ。 . . . 本文を読む
オドノポゾフといふ提琴家の演奏を初めて聴いてゐる。しかし、この人は維納フィルハーモニーのコンサートマスターだから、どこかで必ず耳にしてゐるはずである。このやうな大家の雰囲気を持つ名演がどうして一般に知られてゐないのか不思議でならない(知らなかったのは僕だけかも知れない)。
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ダリウス・ミヨーの楽天的な世界はサティーの研究をしてゐた学生時代に出会った。僕の頭の中ではジョアン・ミロの絵画としばしばオーバーラップする。今日は仕事も暇で、帰宅してひと寝入りしてから風呂に入り、ミヨーの愉しい音楽を聴いて寛いでゐる。 . . . 本文を読む
マーラーの複数の交響曲の伯林初演を行うなど、歴史上の大指揮者と認識されながら数多くのレコヲドが忘れ去られたまま放置されてゐるのが今日取り上げるオスカー・フリートである。フリートは作曲家としてもセンセーションを巻き起こし、当時は絶大な支持を得てゐたことも忘れ去られてしまった。
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ショパンの作曲の師、ワルシャワ音楽学校の校長先生だったヨーゼフ・エルスナーの作品は現代では全く顧みられることもなく、其の名を知る人も殆ど居ない。今宵はベートーヴェンの同世代人、エルスナーの知られざる名作を愉しんでゐる。 . . . 本文を読む
ショパン競技会の生みの親であるジュラヴレフのCDを取り寄せて聴いてゐる。波蘭周辺の洋琴家は世間ではあまり知られてゐない。しかし、大手レコヲド業界から発売されるありきたりの無難な演奏には無い実に面白い表現や興味深い演奏解釈が犇めき合ってゐる。「日本、文化国家!ほんまか?ほんまか?」の歌詞で有名なあの作品一つとっても新鮮な発見の連続である。 . . . 本文を読む
1948年2月21日、ショパン生誕138年のこの日、ワルシャワでは首相を招いて演奏会が開かれた。ショパンの弟子ミクリの弟子、つまりショパン直径の孫弟子であるラウル・コチャルスキが開いた独奏会の模様がラヂヲのアナウンスのやうな紹介付で録音されてゐる。 . . . 本文を読む
ハンス・シュミット=イッセルシュテットとモニーク・アースの協演によるモーツァルトの協奏曲が発売された。その余白に1946年のSPレコヲドの復刻が居心地悪そうに収まってゐる。協奏曲も名演奏だが、僕はバッハの伊太利亜協奏曲とラモーの小品に心を奪われてしまった。 . . . 本文を読む
ホラフキン氏から教えていただいたゲディッケのトランペットの作品については聞いたことがあったが、CDを探しても見当たらないのでYou Tubeで検索してみると、仰るとおり多くの動画が登録されてゐた。確かに聞き覚えのある旋律だった。そんなわけで、先日の劇的序曲に続いてホルン協奏曲などを聴いてゐる。なかなか親しみやすい名曲だ。
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トムソンは亜米利加の作家で、ナディア・ブーランジェに師事した経歴の持ち主である。ドキュメンタリー映画「ルイジアナ物語」の為の音楽として作曲されたものらしい。故郷を懐かしく思ひ出すシーンやちょっとしたCMのバックに流すとこの上も無く上品で心に染み入るBGMとなるだらう。 . . . 本文を読む
チャイコフスキーの第5交協曲の影響を愉しむことのできる名曲、ゲディッケの劇的序曲を聴いてゐる。露西亜の作家だが、父がオルガン奏者であったことやバッハの音楽に傾倒する音楽一家に育ったこともあってか、ゲディッケの作風には対位法的な素地がしっかりと刻み込まれてゐるため、構成もしっかりとして独逸的でもある。 . . . 本文を読む