浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ラテンの異端児 ホセ・イトゥルビ 

2006年09月30日 | 芸能
サン=サーンスは自身が洋琴の大家であり、ワーグナーの楽劇のフルスコアを初見で見事に弾いて見せ、作曲者らを感嘆させたといふ逸話も残ってゐる。そのサン=サーンスがベートーヴェンの熱情奏鳴曲を意識して作ったと思はれる「アレグロ・アパッショナート」といふ魅力的な作品がある。 . . . 本文を読む

仏蘭西人イーヴ・ナットによる独逸的なシューマン

2006年09月30日 | 洋琴弾き
僕は、シューマンの洋琴作品を他のどの作曲家よりも好んで弾いていた。シューマンの詩情と激しい感情の揺れ動きを表現するのは難しい。まず、音色が美しくないといけない。激しい感情の動きを表現するためには、テンポ、強弱、タッチなどが有機的に絡み合って変化しなくてはいけない。僕の場合はテンポ、強弱、タッチに加えて指が絡んでしまい、なかなかうまく表現できなかったのが残念だった。 . . . 本文を読む

ウラディミール・ソフロニツキー 英雄ポロネーズ

2006年09月29日 | 洋琴弾き
ウラディミール・ソフロニツキーは、1901年生まれの露西亜のピアニストでミハロウスキに学んだ。スクリャービンの娘婿でもある。竹を割ったやうな音色(竹を割るときに出るポーンといふ独特な音色)のピアニストで、ショパンを露西亜ピアニズムで攻め立ててゐる。1949年に露西亜で開かれたショパン没後100年記念演奏会のライブ録音の中にマズルカ、ワルツ等が残されている。 . . . 本文を読む

ライブで豹変 シャルル・ミュンシュの幻想交響曲

2006年09月29日 | 指揮者
僕のレコヲド狂人生は、シャルル・ミュンシュ指揮ボストン響の米国盤LPとともに始まる。小学校の高学年に成った頃、親父が毎月数枚のLPをくれるやうになった。そのLPはいずれも親父がロチェスター大学に在学中に集めたモノラル時代の米国RCAやCOLUMBIAの1950年代のLP盤ばかりだった。親父にしてみれば、ステレオ装置を購入し、要らなくなったモノラル盤を息子に譲ったわけだが、僕にとっては突然のプレゼントへの戸惑いがあった。グレースの重いアームをLP盤にそっと乗せると不思議な音楽が鳴り始める。次第に興味が湧き、のめり込んでいった。 . . . 本文を読む

フリッツ・クライスラー&レオ・ブレッヒ ブラームスの協奏曲

2006年09月25日 | 提琴弾き
名盤中の名盤、説明の必要もない歴史的名演奏のブラームス提琴協奏曲を何十年ぶりかに聴いてゐる。上品さを失しないクライスラーのロマンティシズムは流石だと、つくづく思ふ。しかし、この演奏の素晴らしさのもう一つの理由がブレッヒの伴奏にあることは、今回聴いてみて初めて痛感したのである。昔、聴いた名盤も、齢を重ねて聴きなおすと面白い発見の連続である。興味が尽きない。 . . . 本文を読む

エセル・レギンスカ このうえなく美しいシューベルト 

2006年09月25日 | 洋琴弾き
エセル・レギンスカはフルトヴェングラーと同い年、英國ヨークシャー生まれの洋琴家である。16歳までの数年間、伯林でレシェテツキに就き、1925年にカーネギーホールでデビューを果たしている。彼女が人並みはずれていると思うのは洋琴に留まらず、作曲をエルンスト・ブロッホに学び1914年には作曲活動を始めていること。更に、当時、女性としては珍しく、ユージン・グーセンスにオペラ指揮を学び、指揮者としても活動していたことである。 . . . 本文を読む

グレゴール・ピアティゴルスキー 小品集

2006年09月23日 | 器楽奏者
グレゴール・ピアティゴルスキーは、露西亜生まれの大チェリストで、命からがら露西亜を脱出し、フルトヴェングラーの下で伯林フィルハーモニーの首席チェロ奏者を務めた。1920年代にソロデビューを果たし、米国の市民権を得てからは米国での演奏活動が中心となった。 . . . 本文を読む

もう一人のF.シュミット チェロとピアノの為の3つの幻想的小品

2006年09月22日 | 忘れられた作品作曲家
F.シュミットと言へば普通はフローラン・シュミットを指す。しかし、ブルックナーの弟子にフランツ・シュミットといふ維納の作曲家が居る。シュミットはエルメスベルガーにチェロを、レシェテツキに洋琴を学び、維納音楽院で洋琴とチェロを教えていたいわばオールマイティな作曲家であった。 . . . 本文を読む