浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

天才作曲家、サンソン・フランソワの洋琴協奏曲

2008年12月11日 | もう一つの顔
フルトヴェングラーも評価してゐた仏蘭西の洋琴家、サンソン・フランソワの作品が存在することは以前から知ってゐたが、先日、三田藩主の友人Yと会った際に、こんなの聴いてみるかと借りることができた。フランソワの演奏自体が面白いので、録音さえもう少し古ければ、もっと聴いてゐただらうが、僕のコレクションにSTEREOといふ文字はあまり似合わないため聴く機会が少なかったのだらう。

今朝は早起きして8枚組のアルバムの中から早速モノラルの自作自演を聴いてみた。録音年は1953年、共演は忘れられた大指揮者、ジョルジュ・ツィピーヌ指揮コンセルヴァトゥアール管絃團だ。この豪華な顔ぶれを見ただけで、いかにこのレコヲドに業界が力を入れたかが推察できる。

作品はラヴェルのやうでもプロコフィエフのやうでもなく、全くの独自の世界であり、何かの物真似や亜流といったレベルの作品でないことだけは、僕の少々呆けた頭脳でも理解できるほどだ。モティーフは多く登場するが、いずれも難解なものは無く、無調であっても心地よい響きである。驚いたのは、この洋琴弾きはどこで勉強したのか、オーケストレイションも実にセンス良く仕上がってゐて僕好みだ。不思議な感覚にさせられる曲想といい、技巧的にもリズム的にも野趣に富み、エンディングも圧倒される。

一気に聴いてしまった。十分に愉しむことのできる作品だ。カップリングされてゐるフランソワ作品がもう一つある。映画音楽「ごろつきの為のバラード」といふ4つの楽章から成る音楽だ。出勤前なので後日のお愉しみにおいておくことにする。
本日、僕は気分良く出勤できる。

盤は、独逸EMIによるリマスタリングCD CZS7 62951 2。


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