浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

マイラ・ヘス グリーグの協奏曲を聴く

2013年08月08日 | 洋琴弾き
1937年3月7日に米國で放送用に録られた音源からグリーグの協奏曲第壱楽章を聴いてゐる。貧しい録音ではあるが、ヘスのデモーニッシュな演奏を垣間見ることができて本当に嬉しい。写真は見てのとおりヘスにあらず、伴奏指揮を務めるヴィクトール・コラーといふ作曲家である。

従姉妹のシャラー同様、ヘスにも此のやうなステージがあったのかと驚かされる。ヘスのバッハなどを聴いて独り勝手にイメージをつくりあげてはいけないと十分に分かってゐたつもりだったのだが、やはり実際に此の演奏のやうなヴィルトゥオーゾ、マイラ・ヘスに直面すると戸惑うものだ。

ヴィクトール・コラーといふ指揮者のことはよく知らないが、洪牙利出身の作曲家で、ブダペストかプラーハでドヴォルザークに作曲を学んでゐる。レヴィツキとの協演も残されてゐる。

デトロイト交響樂團は此の指揮者の棒のもと大胆なテンポ変化を乱れずによく表現するし、ヘスもロマンティックな表現も見せはするがどちらかといふと豪快な一面を前面に堂々たる洋琴を聴かせてくれる。途中、盤交代の継ぎ目での録音欠落、盛大に混入するサーフィスノイズもまったく気にならない。僕は、「静かにバッハを弾く」といふイメージのマイラ・ヘスがたまに見せる豪快な演奏が好きだ。

盤は、英國AppianによるSP復刻CD APR5549。


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