ローザ・タマルキーナは30歳台で癌に倒れた天才洋琴家といふことでリパッティと比較されることが多い。1920年キエフに生まれ、26歳の年に癌と診断され、4年後に30歳といふ若さでこの世を去った悲劇の天才女流洋琴家タマルキーナの「幻のリサイタルレコヲド」は癌の診断の下った1946年に録音された。 . . . 本文を読む
オイゲン・ヨッフムは若くして独逸音楽界の頂点である伯林フィルハーモニーの指揮台に立った。1937年のエロイカは一度取り上げたことがあるが、戦時中のライブではヨッフムの激しい一面を垣間見ることができる。 . . . 本文を読む
アリャビエフのナイチンゲールはエルデンコの提琴とサペルニコフの洋琴で既に紹介した僕のお気に入りのメロディーだが、元々は歌曲だった。露西亜で大流行した歌で、露西亜人で知らない人は10人中9人くらいのものだらう。 . . . 本文を読む
20世紀半ば、1950年代に入るとLPレコヲドが発売されるやうになる。ラファエル・クーベリックはこの頃、マーキュリーにシカゴ響との録音をいくつか残してゐる。ラファエルの父は一度登場した大提琴家、ヤン・クーベリック、風貌も似てゐる。
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別宅に来て異動前の休日を楽しんでゐる。ビデオライブラリーをあさってゐると、「ピアノの芸術」といふタイトルの古いテープが出てきた。ギレリスがクリュイタンスとやったチャイコフスキー、リヒテルの「革命エチュード」、ミケランジェリのスカルラッティ、アラウのベートーヴェンなど1950年代の映像が納められ、これらの映像をもとに、最近のピアノ弾きたちが思い出を語る構成になってゐる。 . . . 本文を読む
戦時中の放送録音を集めたCDの中にイッセルシュテットによるシューマンの珍しい作品が収められてゐる。当時の独逸における録音技術は驚くべき水準で、1944年には歴史上初のステレオ録音が行われてゐる。
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指揮者、近衛秀麿には「禿山の一夜」と「ウヰリアム・テル行進曲」で、既に2回ご登場願ったが、「ちんちん千鳥」を作曲してゐたことは恥ずかしながら知らなかった。聴いてゐる演奏は、ハープとフルートによる編曲だが、実に美しい日本のメロディーだ。亜細亜の国々の中で、これほど四季の移ろいや森羅万象に対して歌心を持つ民族があるだらうか、と日本人であることにあらためて誇りを感ずる、そんな曲だ。 . . . 本文を読む
カール・アルウィンをご存知の方は蓄音機とともに青春時代を過ごした世代であらう。ビクターの赤盤指揮者であったと思ふが、最近では全く聞かない名前だ。何の曲かは思い出せないが、僕の家にも1枚のSP盤があって、この名前ははっきりと覚えてゐる。最近聴いたCDの中に、アルウィン指揮維納フィルハーモニーの名演奏を見つけたのでご紹介しよう。 . . . 本文を読む
クナパーツブッシュのテンポ設定は時に異常さのあまり、聴く側がひいてしまふことがあるといふ。オデオン大交響樂團とやった「ルスランとリュドミュラ」は超スローテンポで演奏され、軽快なはずの曲が壮大なスケールで演奏されてゐる。 . . . 本文を読む