厳格規制に小規模福祉ホーム戸惑い スプリンクラー義務化

2014-09-01 10:01:27 | 政 governing

 来年4月に施行される改正消防法施行令で、民家を改装するなどした小規模グループホームにもスプリンクラー設置が義務づけられることに、京都府乙 訓地域の福祉関係者から戸惑いの声が出ている。多額の費用が重くのしかかり、設置のめどが立たないためだ。関係者は必要性は認めつつも、厳しすぎる規制は グループホームの減少につながる恐れもあり、国が推進する地域移行の流れに逆行しかねないと懸念している。

 消防法は2009年から、延べ床面積275平方メートル以上の福祉施設にスプリンクラー設置を義務付けていた。だが、昨年2月に長崎市の認知症グループホームで火災が発生、5人が死亡した事件を受け、面積の規定が撤廃されることになった。

  大山崎町円明寺にある「ハイツさくら」は、乙訓地域で最も古い知的障害者のグループホームだ。民家を改装し、02年に開設した。鉄筋コンクリート2階建て で、延べ床面積は102平方メートル。長岡京市の社会福祉法人「乙訓福祉会」が運営し、30~50歳代の女性4人が共同生活を送っている。

  「ハイツさくら」には、世話人と呼ばれる同法人職員やヘルパーが絶えず出入りする。入所者は地域の清掃や自治会活動にも積極的に参加し、近隣住民との関係 性もできてきた。定期的に避難訓練を行うなど、火災を想定した対策も行っている。世話人の1人は「地域との連携の中で、できる限りのことはやっている」と 話す。

 改正消防法では、既存施設に対し、17年度末までにスプリンクラーを設置するよう求めている。ただ、「ハイツさくら」は築40年以 上経過しており、「まずは耐震改修か建て替えを優先しないといけない」(同法人)。多額の費用が必要で、スプリンクラーの設置が間に合うかどうかは不透明 だ。

 同法人のグループホームを担当する山条益由統括事業長は「スプリンクラーがあれば安全性が高まるのは間違いない」としつつも、「規制を厳しくしすぎると、グループホームが減り、障害者が地域で生活できなくなる」とため息をついた。

【 2014年08月29日 12時00分 】



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