ヒダサンショウウオの生息調査、西山一帯で開始

2013-03-23 11:55:21 | 水 water
 京都府のレッドデータブックで準絶滅危惧種に指定されている両生類「ヒダサンショウウオ」の生息調査を、京都大生態学研究センター研究員の神松(こうまつ)幸弘さん(39)=向日市寺戸町=らが西山一帯で始めた。川の源流部に生息し、シカによる害など生態への影響が懸念される。「西山の至宝ともいえるヒダサンショウウオの保全に役立つデータを収集したい」と神松さんは話している。

 ヒダサンショウウオは褐色のまだら模様が特徴で体長12~13センチ程度。夏は陸上で生息し、秋から冬にかけて水中で過ごす。今の時期は水底の石の裏などに、一対の卵のう(らんのう)と呼ばれる薄青色の袋に包まれた卵を産む。半透明のベールのような卵のうは「神秘的に美しい」(神松さん)という。約1カ月後にオタマジャクシのような幼生が誕生する。

 神松さんによると、川の泥が増えると酸欠状態になったり、エサとなる水中の昆虫が減る。近年はシカによる食害で山林の下草が減少し、川に流れ込む土砂が増えていることが懸念される。ヒダサンショウウオは最も源流で環境の変化にさらされやすいため、その生息状況は西山全体の自然環境の変化をはかる指標になるという。

 調査は、水生生物を専門とする神松さんのほかに神戸大の植物生態学や分子生態学の研究者も加わる。京都市西京区や長岡京市、大山崎町にかけてヒダサンショウウオの分布状況だけでなく植生や水質も調べ、長期的な経年変化をたどる。

 神松さんは「乙訓には自然環境の保全へ熱心に活動するグループがある。そうした人たちや幅広い市民のみなさんと調査したい」と話している。

【 2013年03月21日 10時19分 】


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