暮らしの中で使われている陶器などに美を見いだす「民芸運動」に強い影響を与えた英国の陶芸家らの作品展「英国叙景」が、京都府大山崎町のアサヒ ビール大山崎山荘美術館で開かれている。さまざまな動物が描かれた大皿や昭和初期にはあまり普及していなかったコーヒーカップなどが展示され、来館者の注 目を集めている。英国を代表する陶芸家バーナード・リーチ(1887~1979年)とルーシー・リー(1902~1995年)の作品を中心に約60点を展 示した。
リーチは美術学校で銅版画などを学んだ後、日本で陶芸と出合った。東洋と西洋を融合させた独自の表現を貫き、日本の民芸運動に大 きな影響を与えた。リーもリーチを介し、民芸運動を推進した思想家の柳宗悦(1889~1961年)や陶芸家の濱田庄司(1894~1978年)らと交流 を深めた。
リーチの作品では、ペリカンの絵が描かれた大皿(直径43・5センチ)や「スリップウェア」と呼ばれる18世紀から19世紀前半にかけて英国の家庭で使われた日用雑器、鶏が遊ぶ様子をイカスミで描いた素描「竹林遊鶏図」などが並び、多彩な才能を感じさせる。
リーの陶芸作品は繊細で薄作りな点が特徴で、筆で細かな模様を描いた「茶釉線文鉢」や80歳代の力作「白釉カップ」などがある。
このほか、昭和初期には珍しかった濱田作のコーヒーカップや、大山崎山荘を建設した実業家の加賀正太郎による「蘭花譜」も展示されている。
来年1月4日まで。12月15、22日と26日~1月2日は休館。入館料900円(学生500円、中学生以下無料)。問い合わせはTEL075(957)3123。
【 2014年11月26日 10時04分 】