
京都府大山崎町の山本圭一町長が提出した一般会計当初予算案は23日、実質的に否決された。否決は昨年に続き2年連続となった。共産党などが賛成した修正案が可決され、町民生活に大きな影響を及ぼす事態は回避できたものの、町長が公約に掲げた都市計画税導入と保育所民営化に関連する予算は削除された。議会の各勢力がきっ抗する中、山本町長に批判的な勢力による修正案の可決は、二つの政策をめぐる両者の対立を決定的にした。
本会議では二つの修正案が提出された。可決された修正案は、都計税導入に係るシステム改修費と保育所民営化の調査研究費を削除する内容で、朝子直美、渋谷進、辻真理子(以上共産党)、前川光(光会)、小泉満(清新)、波多野庇砂(のぞみ)の6人が賛成した。
■支援町議は苦渋
町長選で山本町長を支援した森田俊尚、西田光宏、山中一成(以上大山崎クラブ)、岸孝雄(民主フォーラム)、高木功(公明党)の5人は、「予算を成立させるための苦渋の決断」(山中町議)として、岸町議らが提出した都計税導入のシステム改修費のみを削除する修正案に賛成した。
山本町長にとっては、初の編成となった当初予算案が認められなかったばかりか、自身に批判的な勢力の修正案が可決されるという「煮え湯」を飲まされることとなった。
山本町長は昨年12月の就任以来、都計税導入や保育所民営化について、自身の当選をもって信任を得たとの認識を示し「スピード感を持って進める」と強気の姿勢を打ち出してきた。都計税については「議会と慎重に議論する」として条例案そのものは提出しなかったが、予算案には関連経費を計上。町幹部は「あくまで事務経費で、条例案が可決されない限りは執行しない」と弁明した。
これに対し、町議からは「(都計税を)何に使うかや税率の説明もないのに、あり得ない」「住民との合意形成を無視している」と批判の声が出ていた。
■ハードルより高く
修正案の予算削除は町民生活に直接影響を与えるものではないが、議会との対立軸が鮮明になったことで、都計税導入と保育所民営化に向けたハードルはより高くなった。
山本町長は本会議終了後の取材に「(暫定予算で)町民の混乱を招く事態にならず、ほっとしている」と話す一方で、「公約実現を焦った面があったかもしれない。財源不足などの課題認識を議会と共有し、理解を求めていきたい」と前向きに話した。
【 2015年03月24日 16時30分 】