森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

雪がふる

2019-12-14 | 日記


 今日は朝から雪が降り続いています。
 この調子じゃ明日の朝はどうなっているのでしょう。
 わが小屋の下町アジサイはすっかり変色して薄茶になったけれど、枯れてはいないのです。
 昨日までは立派に生き延びてきましたが、この雪で折れてしまいそうです。
 生きてるものが止まるのは淋しいことだけれど、来年の再生を期待しましょう。



 冬の間、この森で緑を見せてくれるのはササとトドマツだけです。
 カラマツは落葉するし、エゾマツやモミは元々ここにはないのです。

 このモミは二十年ほど前にカナダから輸入したものを植えました。
 これがあるおかげで、自分はもちろん鳥や生きものたちの冬の生活に潤いが出ています。
 子どものころから、なんとかモミの木が一本欲しかったのです。たぶんクリスマスのお
 話や絵本のことが、頭のかたすみに消えずにあったのでしょう。

 いい齢になっても忘れないことはいっぱいあります。
 例えば手袋です。小さいころの手袋といえば毛糸で編んだ「ぼっこてぶくろ」です。
 遊んでいるとしょっちゅう落とすから、紐で結んで首からぶらさげていました。
 早く大きくなって五本指の手袋が欲しいなぁ、とどんなに思ったことでしょう。
 しかし、今また「ぼっこてぶくろ」を使いだしました。五本指より遥かに温かいのです。
 紐はつけていませんが。

 例えばお正月の「くちとり」です。あのド派手なタイやエビのお菓子です。
 兄弟が多かったから、みんなで分けて食べました。いつの日か一匹丸ごと食べてやろう
 と夢をふくらませていました。
 今年は、この夢の「くちとり」が暮の函館のお店に出る、と教えてくださった方がいて
 なんとしてもゲットして、おかしらからガブリとやるつもりです。

 また「ハーモニカ」もそうです。当時のは子ども用の安物だから、毎日吹くとじきに壊
 れて鳴らない穴がでます。それでもかまわず吹き続かるから、ほとんど鳴らなくなって
 使えなくなります。いつか大人用の「ハーモニカ」が欲しいなぁ、と思っていましたが
 とうとう親には言えませんでした。そのうち少し大きくなったら、ピアノ習ってる良い
 子に「ハーモニカって楽器じゃないんだよ」と言われてがっかりしました。
 じつはこれも今年ゲットしました。なんと数十年前に吹いた曲がぜんぶできたのには驚
 きました。体で覚えたものは一生忘れないようです。

 まだまだ子どものときの夢はいっぱいあります。たぶん誰でもそうでしょう。
 来年からは「子どもがえり」をやろうと心に決めました。今からわくわくしています。

 雪に埋もれて生きるのも悪くはないです。さまざまなことをゆっくり考えられるから。
 たぶん森のみんなも同じだね。