加賀の旅人

郷土の凧と歴史の狭間に埋もれた凧の歴史を尋ねる旅人です。

金澤扇子凧

2014年03月19日 | 金澤郷土の凧

 

 

「卯辰山開拓図絵」

      Photo

石川県立歴史博物館を見学した時、館内の壁一面に浅ノ川の「卯辰山開拓図絵」が描かれていました。大きな図絵だったので、図の中央には木瓜が書かれた角凧ともう一つ形が今一つ判別できない凧が
2つ飛翔しています。橋の袂の男の人の背中に背負ったものがありました。手には糸巻のようなものが握られています。一般の人は多分わからないと思うのですが、私には扇子の凧だと確信出来ましたので、新しい発見に心が浮き立ちました。歴史博物館から図絵の所属先が石川県立図書館であることを聞き、早速、石川県立図書館に出向き、担当の方に「卯辰山開拓図絵」の借用を申し込むと、ポジフイルムを借用することが出来、紙焼き写真としました。石川県立図書館ではインターネットを活用した「デジタル図書館、貴重品ライブラリー」

 http://www.library.pref.ishikawa.jp/toshokan/dglib/nisikie/002.htmで閲覧可能です。写真掲載に関しても了解を頂きました。

 

金澤扇子凧の再現

写真の凧の部分を拡大してみると凧には風袋が付けられています。全国の扇子凧を調べてみると、新潟県小千谷市の盃凧、富士見市 扇凧絵凧、静岡県の井川扇凧、名古屋市の扇凧、京都市の扇いか、(大橋栄二氏の凧大図鑑より)と意外と少ないのであるが風袋は開いている物も閉じている物もあるが、形が崩れて柔らかい風袋の凧はありません。

                Photo  卯辰山開拓図絵拡大図


「卯辰山開拓図絵」をもう一度見ると男の人の背中で凧の風袋は垂れ下がって見えるのである。これは風袋の部分が柔らかい和紙で作られていることを意味しているのではないだろうか?ではどうして柔らかくするか、まず手始めに和紙を揉みしごいてみると和紙はクシャクシャになるが不思議と破れないのである。なおかつ、和紙の持つ特徴で破れないで柔らかさもでてきたのである。

扇子凧の骨組みを竹で組み立てて置き、和紙を扇子凧の平面形状に切り、手で揉みしごいた。それを竹で組んだ骨組みに貼付け風袋部分を糊で塞いだ。

       P1120004   金澤扇子凧(表面)

       P1120005 金澤扇子凧骨組み

出来上がった扇子凧の風袋は絵図のように垂れ下がり、見た目では満足できるものに仕上がったのであったが、扇子の面は皺があり絵を書くこともできずに日の丸の赤を書くことにした。

P5160020 揚がった金澤扇子凧


成巽閣の「凧あげ」図で婦くら雀と一緒に揚げられている扇子凧は凧上部にウナリが付けられ、長い尻尾を付けて飛翔している。扇子の上部にウナリをつける場合は今作った扇子凧の骨組みでは構造上無理なので、新たに骨組みから考えなければならない。

 

 

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