天童大人が主宰している朗読パフォーマンス「詩人の聲」から生まれた詩集シリーズ「詩人の聲叢書」の5冊目。新書版で表紙には作者の写真を使っている。107頁、20編を収める。
すべての作品は「対馬、和多都美神社での体験や、古事記の豊玉姫を飛翔させて書きつづけたもの」となっている。
ひとすじ
透きとおった音
その衣擦れの音のなかにトヨタマビメ現れて
トヨタマビメの指先が喉を撫でる
洗われてゆく
わたくしの喉
の
水玉
(「橋」より)
私の場合、目で作品を読むときも、無意識のうちには頭の中で音読している感じである。言葉のリズムであるとか、言い回しの滑らかさ、次の行に移るタイミングなどを、そうやって計っているところがある。この詩集の作品はもちろん文字で書かれているのだが、朗読することを前提として書かれているのだろう。作品を読みながらもそのことは常に脳裏にあった。だからいつも以上に音読に近い意識で作品に接した。
あなたも
人影を洗った水をそっと撫でているだろう
涙はもはや涙を通り越えて
この惑星に造物主がもたらされた雪玉の雲
巨大雪玉が大気に触れて白雲に変化し
雨となって
わたくしの惑星の水位を清めつづけた
(「洗う」より)
作品は、まるで豊玉姫への祝詞のようにも思えてくる(すると、朗読は朗誦のような雰囲気でおこなわれたのだろうか)。豊玉姫に言葉を捧げることによって、自分の前にもこれからの道を広げようとしているかのようだ。
すべての作品は「対馬、和多都美神社での体験や、古事記の豊玉姫を飛翔させて書きつづけたもの」となっている。
ひとすじ
透きとおった音
その衣擦れの音のなかにトヨタマビメ現れて
トヨタマビメの指先が喉を撫でる
洗われてゆく
わたくしの喉
の
水玉
(「橋」より)
私の場合、目で作品を読むときも、無意識のうちには頭の中で音読している感じである。言葉のリズムであるとか、言い回しの滑らかさ、次の行に移るタイミングなどを、そうやって計っているところがある。この詩集の作品はもちろん文字で書かれているのだが、朗読することを前提として書かれているのだろう。作品を読みながらもそのことは常に脳裏にあった。だからいつも以上に音読に近い意識で作品に接した。
あなたも
人影を洗った水をそっと撫でているだろう
涙はもはや涙を通り越えて
この惑星に造物主がもたらされた雪玉の雲
巨大雪玉が大気に触れて白雲に変化し
雨となって
わたくしの惑星の水位を清めつづけた
(「洗う」より)
作品は、まるで豊玉姫への祝詞のようにも思えてくる(すると、朗読は朗誦のような雰囲気でおこなわれたのだろうか)。豊玉姫に言葉を捧げることによって、自分の前にもこれからの道を広げようとしているかのようだ。