武西良和の個人誌。少年を題材にした作品が幾編も並んでいるのだが(武西は少年たちと接する日常を送っているのだろうか)、彼らの無垢とも言える心情に迫っていて、いいなあと思えるものだった。「歯科検診」は一年生の男の子が歯の健診を嫌がっている作品。
自分の見えないところを
見られる
怖さから逃げ出したのだ
どんなケガ
をしても泣かなかった子が
歯の健診
を怖がっている
こんな純粋な気持ちがあるのだろうかと、はっとさせられる。いつの間にか、世間の見えないものには気がつかないふりをして安楽に生きていくすべを身につけてしまうと、そのうちに自分の中の見えないものにまで気がつかなくなっていた。そんなことを改めて考えさせてくれた作品。
「トカラ山羊」は首に縄を巻かれるのを嫌がった山羊を詩っている。山羊は野生の象徴で、山羊が縛られると、「縛られた野生なら近寄っていける」と、子ども達が近づいてくる。子ども達を教育するとは、どんな意味のことなのだろうと作者が自問しているようだ。最終連は、
教室は野生から
どれくらい離れているのだろう
自分の見えないところを
見られる
怖さから逃げ出したのだ
どんなケガ
をしても泣かなかった子が
歯の健診
を怖がっている
こんな純粋な気持ちがあるのだろうかと、はっとさせられる。いつの間にか、世間の見えないものには気がつかないふりをして安楽に生きていくすべを身につけてしまうと、そのうちに自分の中の見えないものにまで気がつかなくなっていた。そんなことを改めて考えさせてくれた作品。
「トカラ山羊」は首に縄を巻かれるのを嫌がった山羊を詩っている。山羊は野生の象徴で、山羊が縛られると、「縛られた野生なら近寄っていける」と、子ども達が近づいてくる。子ども達を教育するとは、どんな意味のことなのだろうと作者が自問しているようだ。最終連は、
教室は野生から
どれくらい離れているのだろう