第4詩集。94頁に24編を収める。
「声」では、「言い残したことはないのか」と何者かが私に問いかけている。「一月の道」では、「はるかな時を越えて 今私に届いたもの」がある。それらは真剣に生きていることの証のようなものなのだろう。この詩集に収められているのはそういったものだ。
「海辺の家」。「望みさえすれば何にでもなれそうな気がし」て、私は貝殻に姿を変えたのである。次の日には砂になったのである。しかし、それはどうも納得のいくことではなかったようなのだ。望んだだけで容易に変われるものなど、結局はその程度のものでしかないのだろう。最終連は、
去りがたく生きがたく空ばかり見つ
めていたら 私は家になっていた
もうどこへも行かない
話者は自分が生活していた場所に根を下ろしたようだ。精神的にも彷徨った結果のことなのだろう。だから、もう変わることを望まなくてもいいのだろう。
「夜の紐」。夜はやってくると、だれかを連れてきてくれるようなのだ。私は、影のようにあらわれた人とつながらない会話をするのだ。それは気持ちが休まるようなことなのだろうけれども、どこか寂しいことでもあるわけだ。
夜には紐がついていて
探り当てたものだけを
どこか遠いところへ
つれて行ってくれるのだ
だれがいい? と
夜に隠れて私に、だれがいい?と聞いているのは、だれなのだろう?
「声」では、「言い残したことはないのか」と何者かが私に問いかけている。「一月の道」では、「はるかな時を越えて 今私に届いたもの」がある。それらは真剣に生きていることの証のようなものなのだろう。この詩集に収められているのはそういったものだ。
「海辺の家」。「望みさえすれば何にでもなれそうな気がし」て、私は貝殻に姿を変えたのである。次の日には砂になったのである。しかし、それはどうも納得のいくことではなかったようなのだ。望んだだけで容易に変われるものなど、結局はその程度のものでしかないのだろう。最終連は、
去りがたく生きがたく空ばかり見つ
めていたら 私は家になっていた
もうどこへも行かない
話者は自分が生活していた場所に根を下ろしたようだ。精神的にも彷徨った結果のことなのだろう。だから、もう変わることを望まなくてもいいのだろう。
「夜の紐」。夜はやってくると、だれかを連れてきてくれるようなのだ。私は、影のようにあらわれた人とつながらない会話をするのだ。それは気持ちが休まるようなことなのだろうけれども、どこか寂しいことでもあるわけだ。
夜には紐がついていて
探り当てたものだけを
どこか遠いところへ
つれて行ってくれるのだ
だれがいい? と
夜に隠れて私に、だれがいい?と聞いているのは、だれなのだろう?