瀬崎祐の本棚

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詩の練習  15号  (2014/12)  北海道

2015-02-02 22:13:40 | 「さ行」で始まる詩誌
 今号は「アンチ現代詩特集」。

 北爪満喜は「苦肉の策でレポート詩」との註をつけて、「2014年10月18日 初めて前橋で「ビブリオフリマ」が開かれた」と題する作品を載せている。昨年刊行された詩集「奇妙な祝福」をキャリーケースに詰めてカフェ・アルキロコスへ出かける話。現実の行為を北爪が言葉で記録したらどのように変容するのか。

   黙っている言葉をもって集まったひとたちと
   テーブルの上に重なる 黙っている言葉
   もうこれが
   空間の詩 錯覚してしまいたくなる

 野村喜和夫は題も「アンチ現代詩の試み」として、(愛のレッスン)、(世界文学の方へ)の2章からなる作品を載せている。セックスの最中だったり、並んだ本の背表紙を眺めていたりして、そこから生まれてくる言葉を構築しているようだ。現実の行為が野村の言葉によってどこまで現実から離れていくのか。

   ウサギはウサギの繁殖を
   そしてわれわれの生はわれわれの生の終わりを
   待っているんだ
   こうして
   待機の息苦しさではちきれんばかりの
   いまここ
   それが宇宙さ

 実は瀬崎もこの号への作品依頼をもらっていた。はたと困ってしまった。”アンチ現代詩”をどのように考えればよいのだろうか。それに、ひょっとすればこれは、”アンチ現代”の詩なのかもしれないし、現代の”アンチ詩”なのかもしれない。
 発行者の杉中昌樹氏にそんなことを問いかけたところ、どのように解釈してもらってもかまいません、皆さんから集まった作品の集積が”アンチ現代詩”になるでしょう、とのことだった。
 そこで「とげ姿カフェにて」と題して、現実とはまったくかけ離れたところでの言葉の組み合わせを試みた。これが私の”アンチ現代詩”?

   とげ姿がアキレス腱からまっすぐに伸びている様はみものだった
   そんなときの監視者たちの寄せ書きの目印はいちご模様だった
   喉からの決めぜりふも心地よかったものだ
   ゾウガメたちの賭けはいつまでももりあがって
   深夜のラジオ番組を聞くどころではなかった
コメント
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