「冬の窓」田中郁子。毛糸の帽子を被った幼女を乗せた乳母車を見ている。そして、乳母車はいつも通り過ぎていくものだと思っている。
冬は 向こうからやってきて
あんなふうに赤い上着で幼女をくるみ
乳母車に乗せてガタガタと通り過ぎていくのだ
(略)
わたしはいつの間にか乳母車から手を離し
外套のポケットの中で何かを探している
かじかむ季節を握り締めている
表面的には、乳母車に乗せて育ててきた子どもたちがやがて離れていったことを詩っているのだが、それだけでは終わらない、なにか普遍的なものにつながる格調がある。乳母車は誰もが持っている何かを育てる器であり、いつかはそこからおくりだしてやる場所なのだ。
冬は 向こうからやってきて
あんなふうに赤い上着で幼女をくるみ
乳母車に乗せてガタガタと通り過ぎていくのだ
(略)
わたしはいつの間にか乳母車から手を離し
外套のポケットの中で何かを探している
かじかむ季節を握り締めている
表面的には、乳母車に乗せて育ててきた子どもたちがやがて離れていったことを詩っているのだが、それだけでは終わらない、なにか普遍的なものにつながる格調がある。乳母車は誰もが持っている何かを育てる器であり、いつかはそこからおくりだしてやる場所なのだ。