隊長のブログ

元商社マン。趣味:ヒップホップダンス、ジャズダンス、日舞(新舞踊)、旅行、映画、スポーツ観戦。阪神タイガースのファン。

映画 Film190 『サンザシの樹の下で』

2020年08月20日 | 映画

隊長が、これまでに観た「映画」を紹介するシリーズの第190作品目は、『サンザシの樹の下で』をお送りします。

 




『サンザシの樹の下で』(原題:山楂树之恋、英題:Under the Hawthorn Tree)は、2010年9月に公開(日本公開:2011年7月)された中国映画です。オリジナル言語は、中国語普通話(北京語)。


製作会社は、北京新画面影業有限公司(Beijing New Picture Film Co.)、ほか。上映時間:114分。


「隊長のブログ」では、中国映画を、これで21作品を紹介したことになります。詳細は、こちらの記事一覧を、ご参照下さい



原作は、米国在住の中国人女性作家:エイ・ミーの小説「山楂树之恋」。


監督:張芸謀(チャン・イーモウ)。

 

チャン・イーモウの監督作品を、これで7本を紹介したことになります。詳細は、こちらをご覧下さい


主演は、周冬雨(チョウ・ドンユィ)と、窦骁(ショーン・ドウ)。


共演者:奚美娟(シー・メイチュアン)、李雪健(リー・シュエチェン)、成泰燊(チェン・タイシェン)、孫海英(スン・ハイイン)、ほか。


あらすじ:物語の舞台は、1970年代初頭・文化大革命下の中国。「農民に学べ」という毛沢東の方針のもと、都会の学生は農村に派遣され、住み込みの実習を強制されていた時代です。


都会育ちの女子高生の静秋(ジンチュウ)<チョウ・ドンユィ>が、仲間と共に送られた村には『英雄の樹』と呼ばれるサンザシ(山楂)の樹があり、抗日戦争に斃れた志士たちの血を受けて、赤い花を咲かせるのだといいます。しかし、花はすでに散り、次の花を咲かせるには、来年まで待たなければなりませんでした。


ホームステイした農家には、地質調査隊の一員として村を訪れていた青年・孫建新(スン・ジェンシン)<ショーン・ドウ>がいて、その家の三男同然という意味から “老三” (三番目の兄の意味)と呼ばれていました。


互いにひかれ合う二人でしたが、ジンチュウは両親が「反革命分子」として迫害を受けている身。一方のスン・ジェンシンは、父親が共産党幹部という恵まれた家庭でした。


ジンチュウの母親<シー・メイチュアン>からは、“身分違い” を理由に、交際を強く反対されるのでしたが。。。



感想:典型的な純愛悲恋物語です。配給会社の宣伝文句には、「文化大革命に散ったはかない恋の物語」とありますが、二人の恋が成就出来なかったのは、文化大革命が直接の原因ではなく、ネタバレになってしまいますが、スン・ジェンシンの病気です。


時代背景としての文化大革命はありますが、チャン・イーモウ監督が注視してもらいたかったのは、共産党幹部子弟の特権とか、貧富の差だとかではなかったでしょうか。

 

映画の中でも、バレーボールの授業を受けている女子生徒の中に、ジンチュウ一人だけユニホームを身に着けていない姿を見たスン・ジェンシンが、ユニホームを買う費用を与えたり、夏休みの労働奉仕をしていたジンチュウが素足でセメントをかき回したため、足に傷が出来てしまい、その様子を見たスン・ジェンシンが長靴をプレゼントしたり。。。


同じチャン・イーモウ監督の純愛映画 『初恋のきた道』
 の映像美に魅了されましたが、この映画でも、美しい農村風景の映像に魅かれました。例えば、冒頭のジンチュウが村を訪れる時に咲いていた一面の菜の花畑の美しさ。


ジンチュウとスン・ジェンシンの関係性がだんだんと深まっていく描写も見事です。手を触れ合うことも出来ない二人。最初は、道に落ちていた木の枝の両端を持って歩いていましたが、最後にはしっかりと手を繋ぎ合っていました。




自転車二人乗りのシーンも、青春映画そのものですね。

 




2019年の 『芳華-Youth-』 
、 同 『The Crossing -ザ・クロッシング- PartⅠ』   など、文化大革命時代を描いた中国映画では、写真館で撮った記念写真が効果的に使われることが多いです。


この映画でも、ジンチュウとスン・ジェンシンが二人並んで写真館で撮った記念写真。どのシーンで使われるかと観ていました。スン・ジェンシンの危篤を聞き病院に駆け付けたジンチュウ。亡くなったスン・ジェンシンのベッド。ジンチュウがふと天井を見上げると、そこには記念写真が貼ってありました。病床で毎日、この写真を見ていたスン・ジェンシンを思い、涙が止まらないジンチュウでした。


スン・ジェンシンの遺体が葬られたのは、二人の思い出の “サンザシの樹の下” ですが、そのサンザシの樹も三峡ダム建設のためにダムの底に沈んだとのラストの語り。現代中国の進歩と失ったものの大きさを象徴しているかのようです。


17歳の時、この映画で女優デビューしたチョウ・ドンユィ。『初恋のきた道』で同じくチャン・イーモウに見いだされたチャン・ツィイーが、今では国際的映画スターになった様に、着々と大女優の道を歩んでいますね。


2018年に日本公開された 『恋するシェフの最強レシピ』
 では、金城武と共演し、日本でも話題になりました。

 




==「映画」バックナンバー =
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/226e9f0193a60e6a012384176360666f

Film1~175  省略

Film176 2020/6/13 『超高速!参勤交代 リターンズ』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/8b756035874f2baae157760d494484ab

Film177 2020/6/17 『レッドクリフ PartII-未来への最終決戦-』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/384e9228c40aa1ca5df2b5445e15cbcf

Film178 2020/6/21 『イップマン 継承』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/2a258dc354dc3c00524c6ac6f712d953

Film179 2020/6/24 『緋牡丹博徒』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/282e2a81b08e1f2f32884b116798f971

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