桑の海 光る雲

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登山の記77・蓼科山③

2006-08-15 02:44:18 | 旅行記

樹林帯を抜けると、斜度がきつくなる。足下も礫地に変わり、登りづらくなってきた。休み休み登っていく。

その時、W先生のケータイに電話が入った。部活関係のことだったが、年休を取って出かけてきていることを知らなかったので、学校にかけてもつかまらず、ケータイにかけてきたのだった。こんな山の中でもケータイは通じるようになったのだ。(ちなみに電話を掛けてきた先生とは、その翌年から同じ職場になったのは不思議な縁である。この電話のことも覚えていて下さったのは面白かった。)

そこを登り切ると、ひょっこりと平らなところに出た。小屋があり、小屋の前は広場になっていてベンチなども置いてあり、休めるようになっている。ここが将軍平で、目の前にあるのは蓼科山荘であった。ここで大休止する。空はすっかり晴れ、目の前には山頂部分の山体が聳えている。ここを30分ほど登ると山頂である。

しばらく休んだ後、いよいよ山頂への登りにかかった。登山道には大きな岩がごろごろしており、とても登りにくい。ちょうどトムラウシ山のロックガーデンの岩の合間に灌木が生えているような感じである。また、あちこちで岩の表面が凍っているところがあって、これまた登りにくい。山頂はかなり寒いのではないかと思われた。

灌木帯を過ぎると、森林限界を超え、辺りは岩だらけになった。岩は山頂まで続いている。今度は岩を飛び越えたり、よじ登ったりして進んでいく。これを続けているうちに、目の前に蓼科山頂ヒュッテの屋根が見え、その横を通り過ぎると、一面に大きな岩がごろごろと転がっている円形の広場が目の前に広がった。これが蓼科山の山頂であった。

深田久弥の文章である程度想像してはいたが、なるほど大変ユニークな山頂である。火山(蓼科山もかつては火山であった)特有の火口があるわけでも、アルプスの山々のようなごつごつした岩場があるわけでもない。ただ角が取れて丸くなった大きな岩が一面にごろごろと転がっているばかりなのである。自然の造形の妙の一つをまた知ることが出来た。

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