桑の海 光る雲

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丹沢山・蛭ヶ岳

2012-10-28 20:14:24 | 旅行記
日本百名山ハンターの私としては、標高の低い山や地味な山、さらには私自身があまり魅力を感じない山は、なるべく早いうちに登って済ませてしまいたいと考えています。 具体的な山の名前を挙げれば、磐梯山・安達太良山・吾妻山・筑波山・那須岳・丹沢山・両神山・谷川岳・雲取山・美ヶ原・霧ヶ峰・御嶽山・乗鞍岳・荒島岳・恵那山・伊吹山・大峰山・大台ヶ原山・阿蘇山・久住山・祖母山・霧島山などです。 これらの山のうちいくつかは登りましたが、他の山からぽつんと離れている山や、西日本にある山などはなかなか登る気になれません。九州の山は11月末に登りに行くことに決めたので、それ以外の遠隔地にある山を、都合が付いた時に登るようにしたいと考えています。

丹沢山は神奈川県にありますが、近くに行ったこともなく、東海道新幹線からもこれが丹沢山だとはっきりと見たことはありません。 近くに行く機会も、今後はまずないと思われたので、思い立ったら登ろうと考えていました。 また、調べてみると北側からのルートなら、車でかなり高いところまで行け、しかも比較的短時間で登れることがわかり、また外環道が開通したおかげで、最寄りの相模湖インターまで比較的早く着くこともわかりました。 10/20は天気予報も良く、この日に思い切って登ろうと考えたのですが、所用が入って、翌10/21に変更しました。

4時半に自宅を出て、関越道から外環道に入って中央道に移るところで道を間違え、そのまま高尾山トンネルをくぐってしまいました。 仕方なく甲州街道を通って相模湖まで出て、そこから本来の道をたどって、青根の集落へと向かいました。 狭い林道を上りきったところに数台分の駐車場があり、そこから登るのが最短距離なのですが、やはり休日ということもあって、駐車場はいっぱいでした。 やむなく100mほど下ったところにある路肩のスペースに車を移動させようと思いました。 そこで車を切り返そうとしたところ、上手くいきません。仕方なく切り返さずに元の向きに戻そうとしましたが、これも上手くいきません。 道路の斜度がきつく、四駆ではないので、車が思うように登ってくれないのです。 ブレーキを踏まないと車がすぐに後退してしまい、後ろに停まっている車にぶつかりそうになります。また、前はコンクリートの法面が迫ります。 こういう時、マニュアル車であることを恨みました。 やむなく坂道発進を繰り返し、何とか窮地を脱出。 こんなに運転で焦ったのは初めてでした。 でも、もしAT車だったら、そのまま後退して後ろの車にぶつかっていたのは間違いないと思います。坂道を下って、かろうじて切り返せる場所を見つけて切り返し、林道脇のスペースに無事駐車できました。

登山口からはまず杉林の中を一気に登ります。 次いで松が生えている稜線を一気に登っていきます。 ここを八丁の坂というそうですが、その名の通り実にきつく、今回の山行で一番ハードだったと言っていいでしょう。しかし、足場がしっかりしていたのは助かりました。途中から木材運搬用のモノレールのレールが登山道と並行して設置されていました。 ここを1時間半かけて、標高にして約800mを一気に登り詰めたところが八丁坂の頭というところで、林道終点から登ってくるルートと合流します。

ここから姫次というところまでは、下草に笹が生えた灌木が広がる中を、平坦な尾根道が続きます。 木々の間からは、これから登る丹沢山の最高峰・蛭ヶ岳が見えます。 ここを30分ほど歩くと、姫次という開けた場所に出ました。姫次に到着すると、遠くに新雪を頂いた富士山がくっきりと見えました。思わず歓声を上げ、右手の小高いところに登り、写真を写しました。ここからはこれから登る蛭ヶ岳も見えました。

ここから登山道はいったん下りに入ります。木々の間に付けられた、気持ちの良い道です。この辺りは落葉樹が多く、地面には落ち葉が積もっていて、登山道がよくわかりませんが、テープをたどっていけば迷いません。地蔵平というところまではこうしたなだらかな道が続き、地蔵平からは山頂へ向けて一気登りとなります。視界はやや開け、檜洞丸という山や、その向こうに富士山、さらには遠く白峰三山まで見えます。白峰三山も新雪をかぶっています。この辺りの登山道は木道がしっかり整備されています。確かに足を取られることなく安心して登れるのですが、一方で木道のステップに合わせて登らなければならないので、かえって疲れます。紅葉は終わりかけで、一部きれいに残っているところもありました。それにしても素晴らしい天気です。姫次では風もあり、これは山頂ではかなり風があるかなと思いましたが、むしろ風は弱まっています。日差しもきつくて、暑さすら感じ始めました。

1時間ばかりのきつい登りを経て(最後は本当にちょっと歩いては休みしていました)、山頂にようやく到着しました。出発して3時間半。コースタイムより50分ほど短縮できました。最初のきつい登りをかなりスピードを上げて登ったからでしょう。山頂は広々として、ベンチでは先客が何人か休んでいます。山頂から西には檜洞丸が聳え、その遠くに富士山が聳えています。富士山の北側遠くには、荒川三山、塩見岳、白峰三山の南アルプス連山が見えます。白峰三山はこの夏登ったばかりです。荒川三山は、今まで目にしたことがなかったわけですが、ついに目にしてしまい、あれにもいずれ登らなければいけないと思いました。南西方向には箱根の山、その遠くに伊豆の山、伊豆の山々の左には相模湾と初島、さらにその左には遠くに大島三原山が見えます。手前の丹沢山を挟んで、東側には遠く横浜のビル群が見えます。北側は木々で遮られて見えず、下山途中に見たのですが、秩父方面の山々も一望でした。

あまりにもいい天気で素晴らしい眺めで、山頂には1時間ほども滞在してしまいました。昼はもちろん天ぷらそば。太宰治の「富士には月見草がよく似合ふ」ではないけれど、「富士にはカツプそばがよく似合ふ」

下りは来た道をそのまま戻りました。足下がしっかりしていたので八丁の坂は場所によっては駆け下りるようにして下っていきました。人気のあるコースだからでしょう、登りの時に比べて結構な数の登山客とすれ違いましたが、何しろ整備された登山道なので、さほど気にならず下ることができました。車に戻ると2時。下りは2時間半でした。

帰りには藤野町の日帰り温泉に入って汗を流して帰りました。あまり期待しない丹沢山でしたが、天気が良く眺めも素晴らしかったので、結構満足した登山でした。
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